9月の日記(後半)

30日(土)

もう今年も4分の3が終わったことになる。アッと言う間、と言えばそんな
気もするが、ふと気づくと「あれから」1年経っていた。もう明日は凱旋門
賞なのだ。たった1年前のこととは思えない、遠い昔のことにような気がし
ている。4度のフランス出張と、そのレースのことは、もちろん鮮明に覚え
ているのだが、もっともっと前だったように思えてならない。この1年、そ
んなにいろいろなことがあったわけではないのだが、もう、1年経ったかと
いう気もするし、まだ1年なのか、という気もするし…。いずれにしても、
今度、凱旋門賞に挑戦する日本馬がいる時に、また取材に行ってみたいもの
だ。果たして、エルコンドルパサーを超える馬が出るのはいつの日かな…。

29日(金)

休みの金曜日とはいえ、たいてい何がしかの用事があって、昼前には出かけ
なければならないのが通常なのだが、きょうは午後まで何の用事もなく、久
しぶりに目覚ましをかけないで寝ていられた…はずなのだが。よりによって
こんな時に、目覚ましよりもはるかに強烈な地震(震度3か4)が襲ってき
た。神様とは、まことにありがたい朝を迎えさせてくれるものである。文字
どおり「飛び起きた」という感じで、ピョーン! と跳ね上がるようにフト
ンから飛び出し、身構えたのが9時前。カンベンしてほしいよなぁ…。二度
寝できるどころか、神経が昂ぶってそのまま起床。なんだか、ボケーッとし
たまま、1日を過ごしている感じだ。やれやれ。

28日(木)

昨晩の話。我が雑誌の栗東担当カメラマンと、彼も仲良しである某調教厩務
員と3人で食事に行き、宿舎に帰ってきた後のことである。とある他社の先
輩に誘われて、宿舎の食堂でさらにもう一杯、となったわけだが、その時に
放送関係のカメラマンさんを紹介された。こちらが名乗ると
「ああ、ビン○
ロさんですね?」
。………。聞けば我が雑誌の愛読者だそうであるが、その
あだ名が飛び出すコラムにまで入念に目を通されているのかと思うと、今さ
らながらメディアの底力というものを感じてしまった。つーことは、日ごろ
の馬券のハズレっぷりだとか、ヘンテコなエピソードなども、このHPだけ
でなく、広く世間に公開されているのだ。う〜む。まあ、何を今さら隠すこ
とがあるのか、と言われればそれもそうなんだが、見ず知らずの人に初対面
で知られているというのも、奇妙な感覚だった。今後は、少し振る舞いを改
めたいと思う…が、できるかどうか自信はない…。

27日(水)

久しぶりに共同記者会見のセッティングなどを目にして、いよいよG1シリ
ーズの到来だと改めて感じる。先週いっぱいで札幌競馬が終わったこともあ
って、人馬の数も先週までと比較してだいぶ増えており、まさしく活気にあ
ふれているトレセンといった状況だ。その中でひっそりとデビューが近づい
ているのが、クラブ法人で所有している我が愛馬(3歳)。名前はまだ明か
さないでおくが、今まで出資してきた馬(9頭目)の中では、最も期待でき
そうな感じで、非常に楽しみである。調教師はラッパを吹きまくっているし
調教のタイムも優秀。もっとも、関西デビューになるので、ナマの競馬を見
ることができないのがつらいところなのだが。

26日(火)

G1シリーズの開幕週であり、自分の取材は毎日王冠、京都大賞典である。
いよいよ本格的に秋競馬なんだな、と感じずにはいられない。ナリタトップ
ロードやメジロブライトの取材をしていると、やはりどこか気合乗りが良く
なってくる自分に気づいたりする。新馬も、東京、京都を待っていた素質馬
が多くスタンバイ。このところ停滞している競馬界だけに、何とか多くのフ
ァンが楽しめる競馬を展開してほしいと願うばかりだ。いや、その、仕事を
マジメにこなしたんで、特にネタがないんスよ。すんません。

25日(月)

きょうは朝から、スポーツマスコミの1人として考えさせられた。我が家に
届けられた、我が社のスポーツ紙は、1面が巨人優勝だったのである。掲示
板でもこのネタは多少触れたが、自分は当然、高橋尚子選手の金メダルにな
るものだと思っていた。非常に理解に苦しむ選択だ…と思ったのだが、いざ
駅に行ってみると、朝刊スポーツ紙6紙中4紙(巨人系列1紙はもちろん)
が巨人Vを1面にしていたのである。いろいろ考えてみると、確かに女子マ
ラソンは朝に行われて、夜までにさんざんニュースで報じられてきたという
経緯がある。夜遅くに劇的なサヨナラVを果たした巨人の方が、報道されて
いる部分としては少ないだろう。レース前から金メダル候補だった高橋尚子
選手の場合、テレビ局も各局がさまざまな映像を用意していた。スポーツ紙
がいくら頑張っても、確かに感動において映像を上回ることは難しい。しか
し、たとえ独自のネタがなくても、巨人のセ・リーグ優勝と比較して考えた
場合、自分の中ではどうしても高橋選手に軍配を上げてしまう。自分の感覚
がスポーツマスコミとしてズレているのだろうか。ちなみに五輪を1面にも
ってきた2紙は、いずれも巨人以外の球団に肩入れしている新聞だ。さまざ
まな映像と解説が出尽くした高橋選手のネタよりも「売る」という観点で考
えた場合、この選択が正しいのかもしれないが、さて…。

24日(日)

フサイチソニックは、菊花賞回避の意志を表明した。3戦続けて中距離戦で
引っかかる仕草を見せているだけに、当然の選択と言えるだろう。これで、
2つのトライアルレースはともに夏を使った上がり馬が勝ち、なおかつその
2頭はともに菊花賞を見送る公算が高いという結末になった。たまたまのこ
とかもしれないが、ますます菊花賞の人気凋落に拍車がかかる気がしてなら
ない。短距離路線が充実していく一方で、かつて「強い馬が勝つ」と言われ
てきた菊花賞が衰退する現在の傾向。まあ、日本の場合、多くの選択肢があ
るわけではないだけに、セントレジャーほどの衰退ぶりを見せることはない
と思うが、寂しい思いは拭い去れない。前日の日記で触れた内容とはあまり
関係ないのだが、血統面の人気も含め、世界の趨勢ということに落ち着いて
しまうのだろうか。

23日(土)

レースが終わってから言うのも何なので、やはり先に言っておこう。だいぶ
前にも指摘したことだが、菊花賞路線についてである。明日の神戸新聞杯が
実質、唯一のトライアル。まあ、セントライト記念を含めてもいいのだが、
どちらにしても有力馬は8月中に始動しないわけにはいかない。以前の京都
新聞杯ならば、9月に入ってから帰厩しても間に合ったものだが、この番組
変更は、菊花賞のセントレジャー化、つまり衰退の呼び水となるのは必至だ
と断言する。ジャパンCに4歳馬を出させたいのは理解できるが、それなら
ば欧州を真似して斤量を軽くする方がまだいいだろう。8月中に始動した4
歳馬が菊花賞を経て、よしんばジャパンCに出たとしても、さすがに有馬記
念には出ない、という決断をするように思われる。まあ、欧州でもジャイア
ンツコーズウェイがG1を5連勝するローテーションで頑張っているが、い
まの競馬界においては、使うレース数を少なくするのが趨勢。あまりそんな
馬が出てくるとは思えない。世界的なステイヤー受難の時代も趨勢だと言わ
れればそれまでだが、何とも言えない寂しい思いだ。どんな結果が出るか、
現時点では分からない。本番につながる競馬なのかどうか、順調さを欠いた
ダービー馬はどうなのか。競馬ファンの興味をそぐようなことにだけは、な
らないでほしいと願うばかりだ。

22日(金)

現時点では、柔道で男女とも準決勝進出という状況。決してメジャー競技と
はいえないボートでも、男子軽量級ダブルスカルで決勝進出(関係者にとっ
ては、悲願だそうだ)というニュースが飛び込んできた。思うに、こうした
マイナー競技(失礼ながら)では、こんな五輪のような機会で競技をアピー
ルすることで、競技人口の増加や、多くのファンの獲得を目指しているのだ
ろう。先日、インタビューした馬術の布施選手も「馬は決して遠い存在では
ないということをアピールしたい」と話していた。人気種目ばかりがスポー
ツではない。中継の機会は少なくても、多くのアスリートたちに声援を送り
たいと思う。

21日(木)

一部スポーツ紙にも報じられた取材拒否騒動も一段落し、またまた五輪三昧
の日を送った。と言っても、やたらヒマなのかと言われそうだが、我々の仕
事の特性として、G1の1週前は、仕事がややラクなのである。G1は特別
登録が1週前の段階で行われるため、週刊誌の編集作業を行う上で、すべて
の出走馬が明らかなためだ。どの馬が出てくるのか…という大事なことに神
経を使わずに済むことは、精神的にとにかくラクなのである。そんなことも
あって(言い訳がましいかな?)、きょうは会社に戻って柔道と水泳とソフ
トボールに集中。井上選手の豪快な内また、ソフトボールの手に汗握る接戦
を堪能した。ということは、来週はG1ではないわけで、そんなにのんびり
五輪漬けというわけにはいかない。寂しいなあ…。

20日(水)

まあ、皆さんの周りでもそうかもしれないが、五輪フィーバーとも言うべき
状況は自分だけのことではない。朝の調教スタンドに行くと、にわかソフト
ボール通を気取っていたり(10回からの無死二塁のルールなどを得意げに
説明してたりする)や、きょうの見どころなどを逐一、周りに触れ回る調教
師などが目立って、微笑ましい光景だ。かく言う自分も、仕事に身が入らな
い分(情けない話だが)、周りの人々に的確な状況説明をして重宝がられて
いるようである。それにしても、ソフトボール日本チームの充実ぶりたるや
並のものではない。見ていて負ける気がしないし、何より、他国の選手と比
較して表情がイキイキとしている。テレビで見ていても元気さが伝わってく
る感じがして、何ともすがすがしい。きょうの勝利でメダルは確実なものと
なったが、ここで気を抜くと「米国は予選で手を抜いた結果」などと言われ
かねないだけに、ぜひとも全勝での金メダルを目指してほしいものだ。自分
は何も金メダルバカではないが、それだけの実力がある人(チーム)には、
しかるべき成績を残して欲しいと願うだけのことである。

19日(火)

栗東名物のカラオケに行き、すっかり酩酊している。うい〜。JRAの瀧本
選手の金メダルバンザイ。すばらしい。秋のG1シリーズでは、プレゼンタ
ーなどとして来場していただきたいものである。さて、メダルと言えば、前
日のことになるが、背泳ぎで銀メダルを獲得した中村真衣選手のセリフには
感動した。「金メダル銀メダル銅メダルなんて関係ないんです。精いっぱい
泳げて、気持ちよかったです」とかいったような内容だったと思う。酔って
いるので定かな言葉で申し訳なく思うが、あのセリフはすばらしい。アトラ
ンタの時などに「楽しめればいいんです」と言って千葉すず選手が反感を買
ったのは記憶に新しいところで、実際、あの時は自分もかなり怒りを感じた
ものだ。自分の考えでは、スポーツというのは基本的に日ごろ練習したこと
を精いっぱい出し切ることが目標で、そこに結果が出て、その結果として楽
しかったと感じられればいいのだと思う。楽しもうと思って勝負に挑むべき
ではないと考えるのだ。その点で、今回の中村選手の言葉は、実にさわやか
で、短い言葉ではあったが、とても感動的だった。五輪という場は、自分の
限界に挑戦したアスリートたちの競技はもちろんのことだが、そのアスリー
トたちが発する言葉もすばらしい感動を与えるものが多い。ここにきて、仕
事に支障をきたすレベルまで五輪に釘付けになっているのだが、それだけの
価値があるイベントだと思う。まずは残りの期間を存分に楽しもう。

18日(月)

これで3週連続の栗東勤務である。まあ、この秋は有馬記念までずっと栗東
という可能性も十分にあるため、覚悟はできているが、美浦トレセンが恋し
い気持ちも否めない。仲良しの厩務員さん夫妻にお子さんが生まれたと聞い
てもお祝いに行けないし、いつも話を聞いていた馬のことも聞けない。自分
が万能人間ならば、美浦でも栗東でも同じだけの働きができるのだろうが、
まだ栗東に関してはゲスト的な働きしかしていないので、どうしても自由に
話を聞いて回るようなことができないでいる。もどかしい限りだ。週末だけ
中山(や東京)に行くことになっても、週の中の取材がおろそかでは、馬券
も当たるはずがない。改めて、気合を入れて取材に臨みたいと思う。

17日(日)

昨日の日記に書くべきところだったことを少々。阪神ジャンプSの時のこと
である。ヒサコーボンバーとチアズニューバワーの2頭に注目して、ここは
見るレースだと思っていた。しかし、展開的に前に行く馬が多く、じっくり
レースを進めるチアズが軸には最適と判断。相手本線はヒサコーだが、障害
レースの場合、一度の落馬が思わぬ精神的後遺症になる場合もある。念のた
めに、自在性のあるタヤスマグワイアを抑えた。そしてレース。皆さんも結
果はご存知のことと思うが、最初の障害でヒサコーが落馬した。記者席では
「いきなり1点勝負になっちゃったよ〜」の叫びに笑い声が漏れる。そして
しばらくして後方でタヤスマグワイア落馬の実況。「2点勝負の2頭がどっ
ちも落馬だぁ〜」の声にバカ受けされ、しまいには本命チアズまでもが落馬
してしまい「お前は死神か」の声が…。もはやぐうの音も出なかった。よく
「お前が買うから来ないんだ」と言われるが、多少のことでは知らん顔して
いるものの、さすがに今回は3頭の馬に申し訳なく感じた。くぅ〜っ…。

16日(土)

前夜は体育会系の懐かしい飲み会で、ベロンベロンになってしまい、歌舞伎
町を2時間近くも徘徊していた(酔い覚ましのため)。とはいえ、意外に寝
起きはよく、きっちり1Rから競馬場に。もっとも、自信あるレースはこと
ごとくやられ、こんなことならもっとひどい二日酔いになって寝ていればよ
かったかと思ったりするばかりである。
それよりも心配なのは天気。明日の開催もさることながら、明後日からの栗
東出張の時に、新幹線や飛行機は無事に動くのだろうか。この秋はホントに
天気が荒れるなぁ。

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