10月の日記(前半)

15日(金)

気づくと10月も半分が過ぎた。あっという間である。帰国して2日間
の休みはあったが、疲れと時差ボケとの戦いだっただけに、きょうが帰
国後初めての休みという感じだ。ようやく落ち着く。とはいえ、今月は
もろもろの事情により極めて貧しい生活を余儀なくされている。土日の
競馬は、遊びの概念を捨てて、儲けを狙いに行かねばならない。えてし
て、こういう時ほど、狙って買わない大穴が来たりする…。怖いなあ。

14日(木)

栗東から舞い戻り、天皇賞号の会議。確たる中心馬が決まっているレー
スは誌面も組みやすいが、スペシャルウィークの惨敗で、どのようにす
るかの議論が続いた。まあ、どういう結果になったかは、ご覧いただい
てのお楽しみ。もろもろの意見を総合して、納得の誌面構成となってい
るように思う。次週は久しぶりの美浦取材。やっと行ける…

13日(水)

秋華賞の追い切りは、約半数が終了。まあ、今週の取材はとにかく無難
に進んでいる。いいことだ。もっとも、きょうで自分の役割はほぼ終わ
っており、先輩からは帰宅してもいいとの指示だったが、こちらのカメ
ラマンに誘われ、O厩舎のS助手夫妻と食事に出たら、その勢いで飲み
に行ってしまい、帰宅は延期することにしてしまった。まあ、日頃から
木曜帰社が染み付いているので、これはこれで気にはならないが。とに
かく、酔っ払っているので、きょうはこれでおやすみなさい…。

12日(火)

久々の栗東でG1取材。心なしか気分が弾む。特に、春先に来た時には
必ず話を楽しませてくれた伊藤修司厩舎では、今回もハギノスプレンダ
ーがいるため、取材に行った。解散間際の厩舎とは思えない勢いで勝ち
星を積み重ね、先週も2勝。「今週もなんか勝つんとちゃうか」という
いい加減に聞こえる言葉も、勢いのある厩舎の口から出るとそのように
思えてくる。こういう厩舎の解散は惜しいものだ。きょうは比較的、取
材の対象者がうまく捕まえられ、無難な1日。明日もきっちり追い切り
の取材をこなそう。本当に年末まであっという間だからなぁ。

11日(月)

今週は久々の栗東出張。しかし、その前に我が社の先輩Aさんの結婚式
二次会にご招待を受けていた。大安吉日にして、月曜日、さらに祝日と
重なり、競馬関係者にとっては結婚式ラッシュの1日らしい。実は他の
席にもご招待を受けていたのだが、この栗東出張が控えていたため、な
くなくお断りしていた。それにしても、ああいうおめでたい場は、何度
呼ばれてもいいものだ。果たしていつになったら呼ぶ立場になれるのだ
ろうか。あまり考えないようにしよう…。もうボクらは秋華賞の取材に
なる。G1シリーズは、始まれば一気に終わりまで突っ走るわけだし、
気合入れて頑張るとするか!

10日(日)

祝日にして3連休の中日。しかもこのメンバー。競馬場の混雑は想像に
難くない。必然的に、行きの電車も混雑は極まっていたが、朝っぱらか
ら不愉快な思いをさせられた。乗り込んできたのは30代とおぼしき男
性2人組。話を聞いていると、競馬の知識はそこそこにありそうだ。し
かも、2人のうち1人は凱旋門賞を見にロンシャンまで行ったらしい。
しかし…である。2人の会話の内容の傍若無人ぶりときたら、聞くに堪
えない。「どいつもこいつも写真ばっかり撮りやがってさあ」「日本人
て、写真撮るのが目的なんだよ。バカばっかり」「フラッシュたきまく
りだよ、バカども」。この他にも「秋華賞? クソG1レースか」だの
何だのと言いたい放題である。ひとこといわせてくれ。
おめえらがバカだ!
だいたい電車に入ってくる時から携帯電話で大声でしゃべりまくって、
周りの迷惑かえりみない。話す内容はといえば、先に着いている友人に
向かって「席を取るためには、上がり32秒を切る脚を使え」だと。そ
んな脚、世界一の馬だって使えるわけねえだろ。容姿はといえば、理知
的といえば聞こえはいいが、いかにも女に縁のなさそうなヤツら。こう
いうヤツらが競馬のステータスをおとしめるんだな。地獄に落ちろ。
こんなことがあったせいか、きょうは冴えない1日だった。勝負レース
の勝負馬はほとんどが連対したのに、ことごとく相手を間違える。最終
レースはどっちも持ってる11倍と50倍のハナ差がきっちり11倍の
ほうだった。こうなると処置なし。帰りも適当に腹が減ったところで入
ったラーメン屋が大ハズレで、よくもあんなにまずい餃子が作れるもの
だと思う。ハナ差で勝ったグラスワンダーの尾形調教師は「消化不良」
と仰せだったが、こちらは消化不良どころじゃねえや。とほほ。

9日(土)

久々に休日を家で過ごした。家族が温泉なんぞに行っちまったためで、
競馬場を休んで久々にテレビで競馬を見た。まあ、面白いといえば面白
く、問題があるといえば問題がある。フランスで競馬を見てきた後だと
レースでのカメラワークや、中継の工夫という点で、物足りない。おそ
らくテレビ局でもやりたいことはあるのだろうし、その点でJRAの方
とどう交渉しているのか分からないが、もっとファンの立場になって中
継をしてもいいかな、とは思う。具体的に言えば、やはりレースを横か
ら撮るカメラがほしいことと、レース直後の騎手に対するインタビュー
だ。特に後者は、米国でも行われている、馬上インタビューがみたい。
燕尾服で騎乗するインタビュアーが、上がってくる勝者の元に駆けつけ
て、馬上でインタビューするのである。実際に欧米で行われているのだ
から、騎乗者の技術さえあれば、さほど危険ということもないだろう。
あ、こんなネタは久しく更新していない競馬雑感でやるべきだったな…

8日(金)

ダビスタ購入後はじめて、帰宅してプレステより先にパソコンの電源を
入れた。少しは堕落した生活に終止符を打つ努力をせねばならないと思
うものの、ゆうべも4時までプレイ。朝9時に起きたら、時差ボケと寝
不足のダブルパンチが襲ってきた(当たり前だ)。しかし、今週は久々
に腰を据えて日本の競馬に打ち込める。あれだけのレースを見た後だけ
に、並大抵のレースでは満足できないだろうが、今週に関しては東西と
もにメンバー充実。楽しめそうだ。願わくば、結果はどうあれ、いいレ
ースをみたいものである。

7日(木)

いけません、いけませんよ。この自堕落な生活は。何がって、サルダビ
生活。サルのようにダビスタする生活
である。お、今も日記を打ちつつ
ニューイヤーSを勝った。きょう、会社に出勤したら、やはりそういう
話題が出ていたので、うっかり買ったことを告白したのだが、さっそく
編集担当のSさん(かなりのダビスタおたくらしい)から「月末に大会
やりますから」と宣告された。言われると断れないのが心情。きょうも
更新は3時を過ぎた。昨日は朝の5時までダビダビ…。時差ボケ、治る
どころか悪化している。どないしょ。ちなみに勝負服は「水色、青襷、
青袖黒一本輪」である。あまり良くねえが、変えられないのだ。皆さん
はダビスタやっているのでしょうか?

6日(水)

ゆうべは、掲示板で「これから更新」といきまいたものの、時差ぼけを
解消するために踏ん張っていた気力が途切れてダウン。そのままきょう
のPM1:00までグースカ寝ていた。きょうは在宅ワークで、凱旋門
賞関連の原稿を打って会社に送信。予定していたよりも長くなってしま
った。それでも、もっと書きたいことはあるように思うのだが、今もっ
てまとまらない。まとまらないものをどうにかするより、このままの方
がいいのかな、とも思う。あまり時間が経つのもよくないから、今週の
末までがリミットかな。
とか何とかいいながら、すいません。
ダビスタ99買っちゃいました
別に
優香につられたわけじゃないっすよ。ホントに。今回は初期の牧場
経営が難しいっす。

3日(日)

ホテルの部屋に帰って、この秋のためにあつらえたスーツの上着を脱い
で、ズボンのポケットからいろいろと物を取り出してベッドの上に放り
投げて、しばし動きを止めた。つくづく自分がモノを書く仕事をしてい
るくせに、と情けなく思うのだが、きょうのこの気持ちをうまく言葉に
することができない。いいものを見た。悔しかった。ありがたかった。
楽しかった。寂しくなった。どれもこれもそのとおりだが、ひと言では
とても言い表せない。モノ書きとして、実に情けない話である。少しで
も落ち着いたら、きょうの気持ちをきちんと書こう。一生、忘れること
のできない、素晴らしい1日のことを。ホテルに帰って、涙があふれて
きた。仕事中にも涙ぐんだけど、仕事中との区別をしたかったので、我
慢。泣いてもいいかな、と思ったが、恥ずかしさもあった。ひとりにな
れば、別にいいだろう。何の涙か説明できない、ということだ。4回の
フランス出張で得たものが、きっとあると思う。エルコンドルパサーと
その関係者の皆さんへの感謝の気持ちを表すには、これからもいい仕事
をし続けることだと思いたい。ボクのHPのカウンターもすごく増えて
いる。皆さんの期待に応えることも、それに含まれていると思った。体
はすごく疲れているけど、きょうは絶対に更新したかったので、いま、
この日記を打っている。文章が支離滅裂になっていて、ますます恥ずか
しいが、ご容赦下さい。皆さんに伝えたいことは、自分のある限りの力
で新聞の原稿にし、雑誌の原稿にします。それでは、おやすみなさい。

2日(土)

掲示板に大声で怒りをぶちまけたため、そちらを先に書いてもいいのだ
が、順番を追う。昨日は、日記の更新の後に、前記Nさんと、Tスポの
S記者(5月にNさんとともにこっぴどい目に遭われた方です)との3
人で、現地のカラオケに行った。誰がこんな男にしてしまったのかは分
からないが、自分の頭に悪い考えがよぎり、中島みゆきの「時代」を歌
う。「今はこ〜んな〜に悲〜しくて…」に始まる歌は、「そんな
事件
あったねと」とか「あんな
スリにもあったねと」とかの替え歌で「いつ
か笑って話せるわ」と続き、さらに「だから、きょうはくよくよしない
で」になる。素晴らしい励ましだ。すると、S記者が入れた曲は、やし
きたかじんの「やっぱ好きやねん」。ここでも「さしずめ、
スラれたん
やね
」(原曲では「フラれたんやね」)で爆笑。ここまでやられても、
Nさんは素晴らしい。みずから高橋真梨子の「ごめんね」を入れ「連れ
て行って〜、
盗みのない国へ〜♪」と締めてくれた。世の中に、こんな
に人を楽しませられる人がいるものかと感じ入った次第だ。
しかし、まさか、きょうになって自分がみんなのピエロ役になろうとは
思いもよらなかった。ところはロンシャン競馬場。凱旋門賞前日の競馬
場では、蛯名J、武豊Jが騎乗し、本番前日の馬場を体験している。2
レースでいきなり蛯名Jが2着に入り、穴をあけるスタート。このあた
りからチョロチョロと馬券は買っていたのだが、当たらない。まあ知ら
ない馬ばかりの競馬場だから、仕方ないところだろう。そして事件は、
5Rで起きた。自分が軸に選んだ馬は名門ファーブル厩舎のサドラーズ
ウェルズ産駒ダーリングミス。鞍上はT・ジャルネで、凱旋門賞2勝の
名騎手である。欧州の重馬場なら黙ってサドラーズウェルズ産駒、とい
う馬券術を信用したのだが、ダーリングミスは手応えこそよくないもの
の、極悪馬場を追えば追うほどしぶとく伸びてきた。直線の競り合いを
制して、見事先頭でゴール! …したように思えたのだ。
ここで、ロンシャン競馬場の形態について説明したい。いわゆる日本の
競馬場は、どのコースを使用しても共通のゴール板を使用する。しかし
ここロンシャンでは、レースに応じて3ヵ所のゴール板を使うわけで、
普通は第1ゴールを使用し、距離によって第2を、また1000mコー
ス(アベイユ・ド・ロンシャン賞のコース)は向こう正面の直線コース
だけなので、向こう正面に第3のゴールがあり、これを使用する。おそ
らくカンのいい読者の方ならば、もうお分かりだろう。話を戻す。
明らかに先頭でゴールしたと思われたダーリングミスとT・ジャルネは
手綱を緩め、勝利の余韻に浸り始めていた。しかし、周囲の馬が狂った
ように追われている。瞬間で自分の頭にロンシャンの特殊なコース形態
が思い浮かんできた。たぶん、
ジャルネの野郎の足りねえ頭にも、ほぼ
同時に答えは出たはずだ。慌てて追われたダーリングミスは再び差し返
す根性を見せたが、時既に遅し。2着に敗れた。場内からは目の肥えた
ファンが「クレイジー!」の連呼。引き上げてきたジャルネは顔面蒼白
で、中継のカメラに追いかけられている。そしてその近くでこのオレ様
は、確かに当たっていたはずの単勝と馬連単馬券を握り締め、しきりと
周りの人々に「
フランス語で、死んじまえ、は何と言うのか?」という
ブッソウな問いかけをしまくっていたのであった…。日本の馬連なら、
まだ救われる。こちらで売ってるワイド(仏語でジュムレプラッセ)を
買っていても良かっただろう。よりによって馬連単である…。その場に
エルコンドルパサー陣営のマネージャーを務める多田さんが現れたため
事の顛末を説明すると「たまにあるんですよ」とのこと。しかし「重賞
の1着ゴールでやるのは、ちょっと珍しいですねえ。相当重い騎乗停止
になるんじゃないですか」との見解だった。しかし、この際、そんなこ
とじゃ、すまねえ。ジャルネの首を持ってこい、と戦国時代の武将のよ
うにつぶやきながら、無念の敗北をかみ締めていた。ちなみに、こんな
ウソみたいなミスをしでかしやがる凱旋門賞2勝ジョッキーは、15日
間の騎乗停止になりました。こんなヤツが操るクロコルージュが、エル
コンドルに勝ったことがあるたった2頭のうちの1頭なのかと思うと、
情けなくなる限りである。
このあたりで「きょうの流れは自分にない」と気づけばいいものを「毒
を食らわば、皿までも」などと勢いづいてしまい、次のレースにも手を
出すことに。有力馬を見ていきり立った。またしてもジャルネがいるの
だ。ここは当然、罰を与えなければならない。当たり前のように、複勝
だけを買ってレースを見ていた。ここでも、慣れた読者の方ならお分か
りだろう。あんだけのレースをした直後であるにもかかわらず、ものの
見事に1着でゴールしてくれやがったんですよ。本日初の的中は、わず
か1・4倍の複勝。周りの人に「
フランス語で、インチキ野郎、は何と
言うのか?
」と聞いてまわったことは言うまでもあるまい。
とどめは最終8R。もうヤケもヘチマもない。20頭立てのハンデ戦。
荒れる要素は十分だ。重馬場が上手そうなグリーンダンサー産駒(サド
ラーズウェルズ産駒はゼロだった)が人気薄のため、複勝とワイドで手
広く流したのだが、
ウソみたいなゴール寸前の4着転落。いや、あの、
ここまでのハナシ、本当にウソじゃねえんですよ、皆さん。証人は笑い
笑った記者の皆さんがいるんで。鈴木淑子さんは親切に「フランス語で
死ね、の意味が分かりました」と数レースあとに教えてくれた。周りの
方々に哀れみの混じった笑顔をふりまくことができて、幸せである。
ここまできたら、凱旋門賞の前に数少ない的中の運を使わずに済んだと
思うしかない。そうだ。そうに違いない。明日はきっといい日になる。
そう信じよう。不真面目なことばかり書いているが、エルコンドルに対
する信頼だけは揺るがない。さあ、行こう。
がんばれ、エルコンドルパサー!

1日(金)

何ということもなく過ごしてきた今回のフランス出張だったが、やはり
タダでは終わらなかった。といっても、今回の主役は自分ではない。T
京C日スポーツのN記者である。古くからこちらのHPに出入りしてい
る方ならご記憶の向きもあるかもしれない。イスパーン賞の時に、やは
り出張にきてボッタクられてしまった、あの1人である。事件は、取材
の帰りの地下鉄で起きた。地下鉄4号線に乗り換えて、ひと駅めのこと
である。
Nさんの足元にライターが落ちて、それを拾おうとする若者が
現れた。しかし、その若者は、どう見ても手が届きそうなのに、しゃが
んでNさんの足首やふくらはぎをグイグイ押している。「そんなに足を
どけないと、あのライターは拾えないのかな」とうっすらとは感じた。
乗降者で少しバタバタしていたため、あっという間にライターを拾って
若者は去っていく。しかし、ここまでのできごとなどは、ホンの一瞬。
しかし、ふと予感が走った。「Nさん、ふところ大丈夫?」。Nさんも
急に思い当たったらしく、ズボンの後ろポケットに手を当てるやいなや
「ない!!!」
その時、すでにドアは閉まっていて、ドアの向こうではライターを拾っ
た男が涼しい顔して立っていた。おそらく仮にヤツをとっつかまえても
ヤツはダミー。「ただライターを拾っただけ」と言うに決まっている。
犯人はグルのもう1人なのだろう。3500フラン(約6万5千円)と
日本円が1万円。さらにクレジットカード2枚。これが被害額である。
Nさんに言わせれば、ボクが気づかなければ、ず〜っと分からなかった
というくらい、鮮やかな手口。後ろポケットは、ボタンまでかけて財布
をしまっていたのに、それをはずされた挙げ句のスリだから、まさしく
プロの技術である(ヘンに感心)。ただ、目の前で見ていたのは自分だ
けだっただけに、責任も感じた。Nさん、すみません。
教訓。どこの国にも悪いヤツはいる。
念のために申しますが、フランスは日本と並んで治安のいい国です。

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