日記特別編
(静岡ダービーに行く〜鈴木誠は神様です〜の巻)

まさに、当HPの名前を地で行く企画であった。「日曜の競馬が
終わってから、月曜の夜に出張先に着くまでの間で、静岡に行き
ダービーを楽しもう」企画。当初は、美浦の厩務員さんグループ
にそういう企画があると聞き、厩務員さんに可能ならオレらにも
できるはずだと思い立った企画なのだ。オレ「ら」というところ
がミソで、これに着いてくる仲間がいるからスゴイ。

さて、当初の予定と変わったのは、厩務員さんグループの企画が
立ち消えとなってしまったことで、我が社の3人とともに、厩務
員のS氏が加わっての4人旅だということである。S氏はつい先
日に担当馬が勝利したこともあり、資金が潤沢。それに引き換え
こちらは貧乏旅打ち企画ということで、夜遅くの新幹線自由席で
23:30の静岡着だった。

自分以外の3人はあまり接点がないため、新幹線の中では遠慮が
ちな感もあったが、幸か不幸かやけに自分がボケをかましてしま
ったため、場を和ませることに成功。まあ、みんなの雰囲気を考
えてわざとボケたことには気づいてくれていないことだろう。

それはおいといて、選択の余地がなかったホテルに荷物を置き、
飲み屋街に出陣。もうすぐ日付も変わるという時間帯だったせい
か閑散としている。仕方なく入ったのはチェーン店「S木屋」。
しかし、店の中で常に店員が走り回っている。理由は簡単。注文
を取られたくないのだ。とにかく店員が少ない。酒はまずまずの
早さで出てくるものの、料理はてんで出てきやしない。しかし、
店内でダッシュする姿に同情したせいか、文句も出ず。2:00
近くなって眠くなったこともあり、ホテルに戻って熟睡した。ち
なみに飲んでいる最中から最も眠そうな顔をしていたらしく、同
室のくずNo.2氏は翌日、「アッと言う間に寝てましたよ」と
教えてくれた。あの小汚いホテルの薄っぺらいフトンで早々に寝
たのだから、よほど眠かったんだろう。

翌朝は熟睡後でもあり、気持ち良い寝覚め。メンバーも出揃い、
静岡駅前の無料バス乗り場から競輪場へ。いい席に入れたことも
あり、気合も充満。あとはレースを待つばかりである。目玉は2
R。この日をもって引退する鬼脚こと井上茂徳のレースだ。とは
いえ、別に車券で勝負するわけではない。あくまで見るレースと
踏んでいた。競馬と違って、展開ひとつで大穴が出るのが競輪。
特に勝負レースとは定めず、すべてのレースに全力投球だ。2R
は井上を含め、先行選手がいないため、面白そうだと読んだだけ
である。しかし、新聞を開いたら、1Rも同じようなメンバー構
成。イヤな予感が的中して、立て続けに外してしまった。

ハズレ続けるのは良くない。何とか一矢報いようと、次から次へ
とゲン直しに出る。座る場所を変え、座り方を変え、マークシー
トを塗るペンを取り替え、車券の保存場所を変え、ジャケットを
脱ぎ…。気づいたら9R。もう準決勝である。どうしても手をつ
けてはいけない栗東行きの資金にも、ここでハズレたら着手する
ハメになる。神よ、我に的中を与えたまえ。

そんなワガママを聞いてくれるバクチの神様はいない。しかし、
この世に神は存在したのである。生き神様、それがS氏だった。
金古−小川という読みにくい車券(5300円)を5000円も
ヒット!そして、「小川が審議の対象になりながらもセーフだっ
た、アブク銭のようなものから」という理由で、我々3人の貧乏
グループにご祝儀を弾んでくれたのである。普通ならば、窮状を
救ってくれた恵みの金、というレベルに落ち着くのだが、後々に
これがエライ結果を招く魔法の金だったと分かるのである。

続くは10R。このところとみに不振が目立つ吉岡と、絶好調が
続く東出、さらに山田、児玉とメンバーが揃う好戦だ。当初は十
文字ラインにつくと見られていた児玉が地乗りから単騎をほのめ
かし、混戦模様。こうなれば、ゲリラに強い児玉しかいない。

ここで、ゲン直しを考え直した。どうもいけない。ハズレ車券を
山積みしていたのだが、これが見苦しくなって、まとめとポイ。
さらに、洗面所で顔を洗い、まさに「顔を洗って出直しだ!」と
意気込む。そして、混雑する車券売り場で、マークミスのために
売り場の横で塗り直していたオヤジを先に列に入れてあげた。す
るとオヤジが笑顔で「ありがとう。あなたの車券は当たります」
と一言。たかだか列に入れてあげただけなのだが、気持ちのいい
ことを言ってくれるじゃないかよオヤジ。でもこの御託宣も見事
に当たるのだから分からない。いいことはするもんだ。

我がもくろみが見事に成功し、児玉は勝負どころからインを通り
抜けて2着に入ったのだ。東出との連は1890円。なにせ、ご
祝儀のおかげで、財布の心配をすることなく購入できたことで、
ほとんど9連敗がチャラ。心置きなく最終レースに臨めた。

その最終レース。我が狙いは鈴木誠である。土日に競馬場のテレ
ビで競輪を見ていた(とんでもない)ベテラン記者たちが口々に
「マコトのデキがいい」と言っていたこと、そして我がSスポー
ツの競輪記者O氏が、わざわざ締め切り時間を過ぎてから神山に
つけていた本命をマコトに切り替えたことが、頭にインプットさ
れていたからである。事実、一時のスランプからは完全に脱して
いることは知っていたし、神山が正攻法で挑めばアタマまで突き
抜けるという読みも、自分なりにあった。

アタマが決まれば、後は相手と資金配分である。神山−鈴木の車
券は、表が3倍、裏が7倍。となると、表を1つ抑えておけば、
あと2つ、という計算が成り立つ。表を1万、裏を5000。そ
こからがポイントだ。脚があるのは小橋。しかし、きょうは本田
という目標があり、児玉のようにどこからでも、という計算はし
にくい。したがってここに3000。マコトのアタマで他に2着
が考えられるならば、馬渕が早駆けした場合の浜口しかいない。
ここに2000。あとは万が一グチャグチャになった場合の小橋
のアタマで、これから人気薄に500ずつのお遊び車券。これが
我がシフトだ。願わくば、群馬ラインとの連携にこだわることな
く神山が逃げ、マコトが恵まれる展開。しかし、展開はまるで違
っていた。

神山と群馬ラインは辛うじてドッキングしたかに見えたが、結局
息が合わずホームでは神山−鈴木は8、9番手。絶望的な展開と
言っていい。ところが、この日、重ギアに履き替えていたマコト
の賭けが、思わぬ形でハマる。逃げた金子に馬渕が並びかけ、神
山は外からまくる展開。直線は大きく広がった。マコトは直線の
入り口でもまだ後方。しかし、最も伸びるコースで、前がガラリ
と開いていた。イッツ・ア・ビクトリーロード!

「マコトッ、突っ込めっ!」

この日、10Rまで1度も出せなかった声をMAXに振り絞って
絶叫。誰もが届かないと思った位置から、マコトは見事にアタマ
まで突き抜けてみせたのだ。問題は2着。神山と浜口の争いであ
る。神山なら3万5000。浜口なら30万。天地の違いだ。す
ぐに口をついた。「3−2なら30万…」。食い入るようにスロ
ーリプレイに。仲間3人が声を揃えた。「2(浜口)だよ!」。
車連配当は1万5860円。実に31万強の払戻である。

S氏にご祝儀返しをして、残る2名にもささやかにご祝儀。それ
からすし屋へゴー。「ホントにうれしそうな顔するねえ」と呆れ
られつつ、心行くまですしを食べた。この日記は、栗東に向かう
新幹線の中で、薄ら笑いを浮かべながら打っている。たまにゃ、
こんな日もあったっていいだろう。

ありがとう、マコト!
ビバ静岡!
そして助かりましたSさん!!!

これで、今月もGambling Lifeが送れます。

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