11.2000年番組について
(99.12.06)

少し古い話になるが、来年のJRA日程が発表された。かなり大胆に
レース体系が改革されたという印象で、あちこちで賛否の声が上がっ
ている。評価すべき点も多いが、疑問を投げかけたい変革も少なくな
い(というか、その方が多い)。

そんな中で、いくつかのメディアに目を通してきたが、ボクの知る限
り、どこでも触れられていないことについて言及しようと思う。それ
は菊花賞の日程についてだ。これまでより2週繰り上がり、来年に関
して言うと10月22日に行われる。それ自体、決して違和感を感じ
る向きはないかもしれないが、恐らく来年のダービー戦線で好戦した
馬たちの陣営は、頭を悩ませることになるだろう。

というのは、施行時期の繰り上がりに伴い、トライアル(京都新聞杯
も春に移動になってしまった!)も9月17日のセントライト記念、
同24日の神戸新聞杯の2つになった。3000mの菊花賞に直接、
挑むということは、ほぼ考えられない。となると、この2戦のどちら
かを使って菊へ、というのが王道ということになると想定して作られ
た番組だろう。京都大賞典を使うようなローテーションはほぼ不可能
った(中1週なら可だが)わけである。

では、この2つのいずれかに出走しようと考えた場合、果たしてどう
なるか。答えは明白。8月のうちに始動しなければならない。春の激
戦の疲れを癒すために、ダービー上位馬などが夏休みを取るのは、ほ
ぼ明白だ。せっかく宝塚記念の施行時期をダービーともども繰り上げ
たのだから、そちらに向かう馬もいるかもしれない。中距離志向が強
い馬ならばなおさらだ。だが、わざわざ4歳の春(6月となれば、春
といっていいだろう)に無理して強い古馬にぶつけるよりも、素直に
夏休みに入る馬が多いことは予測できる。だが、せっかく宝塚記念を
やめて夏休みに入っても、8月中、遅くても9月の初頭にはトレセン
に戻らねばならない。涼しくなっているのならばともかく、今年のよ
うな猛暑にあっては、相当な負担が馬にかかることは避けられない。

すべての馬が同じ条件であるし、厳しい3000mのレースを乗り切
るためには、並々ならぬスタミナが必要なわけで、夏負けなどと泣き
言を言うわけにはいかないかもしれない。それでも、これでは「菊花
賞は軽んじていますよ」とJRAが認めているようなものではないだ
ろうか。ジャパンCのステイタスを高めるために、菊花賞馬の参戦を
促すための施行時期繰り上げだとしたら、あまりに無謀だ。たった2
週とはいえ、この2週の差はかなり大きいと思う。欧米を見習ってか
短距離志向が進む日本の競馬界。それについても言いたいことはある
のだが、ここでは別のこととして、少なくとも4歳秋の3000mを
目指す馬には、かなり酷なローテーションだと思わずにいられない。

来年の夏から秋にかけて、きっと不平の声が現場から上がることだろ
う。「じゃあ、元に戻します」とはいかないだけに、寂しい思いを禁
じ得ない。菊花賞は、G1の中でも特に力のある馬が勝つレース。す
べての馬が持っている力をフルに発揮できる場で戦ってほしいと思う
ばかりだ。

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