2.取材記者の1週間
(98.12.21)

 

スポーツ紙の新聞記者とは異なるわけだけど、1週間の動きという意味では大きな
違いはない。月曜は厩舎の全休日だから、大きなGTでない限り行くことはないし、
夜のトレセン入りが普通だ。そして火曜日の朝から仕事が始まる。

火曜日はいわば「仕込み」の日。今は水曜か木曜の追い切りが主流だから、その
予定を聞いたり、追い切る前に基本的な談話を仕入れたり、あるいは前週に使った
馬の次走を聞いて回ったり。そんなネタ仕込みの日である。普通の新聞記者は。

しかしボクの仕事は翌週の競馬を特集する週刊誌の取材。1週前の火曜日から、
次の週の予定を聞いて回ることになるわけだ。それなら水曜や木曜でいいじゃないか
というように考えても不思議ないのだが、これがまるで逆。火曜日のうちに済ませる
というのが正しい。これは尊敬するT先輩の教えである。なぜなら、追い切りでバタ
つく水、木曜に翌週の話を聞かれるよりも、明らかにのんびり度が違うからだ。事実、
火曜日にいない調教師の話を水、木曜に取るのには少し苦労するし、こちらとしても
申し訳なく感じることもある。新聞記者と違い、火曜日が「勝負」と言っていいのだ。
長めのインタビューなども、火曜日が断然好まれる。そして何より、火曜日に仕込みを
きちんとしておけば、水曜木曜がラクになることも大きい。

といって、水曜木曜がヒマということは断じてない。水曜になると専門紙の記者が
やってきて、トレセンのスタンドは混雑の度合いが増す。そう、専門紙は水曜からやって
くるのだ。それはともかく、きちんと1週前追い切りの内容を確認し、改めてそのコメント
を取り、なおかつ翌週以降の想定(2週後、あるいはそれ以降のレースを考える!)を
する。そして原稿にする。これを水曜の締め切りに間に合わせ、かつ、木曜日はその
フォローを行って、トレセンでの取材が終わりになるわけだ。

金曜日は休み。出馬作業とは無縁の週刊誌なので、この日は昼過ぎに売店に行って
新聞に目を通す、1ファンに戻る日と言っていい。そして土日は競馬場。ここではメーンを
中心とした取材を行う。メーンレースのヒーロー原稿をはじめ、騎手や調教師の通算
何勝とか、珍記録達成とか、そういった仕事をこなしつつ、馬券を購入して痛い目に
遭っているわけです…

もちろん、偉そうに言っていますが、まだまだ駆け出しのボクがこんなに仕事に
打ち込めるのも、諸先輩方の指導の賜物。これはお世辞でなく、ホントのことです。
前記のT先輩には、頭が上がらないし、今この人がいなくなったら大変だとも思う。
もっともっといろいろ教わって、早く一人前にならねば。

ずいぶんとマジメなことを言ってきたけど、取材の合間を縫って、前の週にボクの馬券を
紙くずに変えた若手騎手に文句を言ったり、仲良しの厩務員さん、調教助手さんとの会話を
したりもしています。もちろん、そうした日ごろのコミュニケーションこそが、いざという時に
役立つものでもあるんですけどね。さ、今週もトレセン行きだ。お仕事頑張ろう!

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