桜花賞の前あたりでは、この春最も馬券的に面白いレースはオークスだと思っていた。結果的にテイ
エムオーシャンは距離がもちそうだという気持ちがうすうす芽生えたり、モットヒカリヲという思い
入れのある馬が出てきたりで、あまり馬券的に熱が入ることにはならなかったが、ここにきて馬券的
妙味という点では、この安田記念が何よりも気合をそそられるレースだと感じている。役者不足によ
る混戦ではなく、しかるべき(現状の)メンバーが揃った中でのレース。これで馬券が売れなかった
ら、JRAも大変なことになるだろうが、間違いなく売れるのだから、楽しみだ。とりわけ、2頭の
外国馬がいずれも日本でレースを披露しているのだから、馬券を買う側にしても十分な材料を与えら
れていることになる。何にしても、ワクワクさせられるレースだ。

本命はテスタロッサとした。大きな理由は何よりもここ狙いがミエミエという陣営の戦略だ。前走は
試走の感がアリアリのレースぶり。それでも上がり3Fのタイムはスティンガーと同じで、そんな前
哨戦のために名手ダミアン・オリヴァーを呼び寄せたあたりが、何とも言えずいい。今回はブリンカ
ーを着けるという。もしかすると裏目に出る可能性もあるかもしれないが、普通に考えれば百戦錬磨
のオセアニア馬。遠く離れたこの日本に来て、万全の力を出し切るための策略と考えるのがスジだろ
う。揉まれ込む心配もない外枠。まず間違いなく上位に食い込むとみている。勝ち切るまでの切れが
あるかどうかは分からない。単勝はオッズ次第として、控えめにし、馬連、ワイドで勝負する。

その相手が問題だ。何を買ってもつくかわりに、何を買っても大儲けの期待ができない。考えた馬券
作戦は2パターン。ひとつは相手を思い切り絞ってワイドで2点にまとめる策。もうひとつは馬連に
狙いを定めての流し馬券。だが、どちらをとっても心は揺れる。結果的に的中させることを最大目的
として、両方を採用することにした。

で、ワイドの対象というか、相手の本線に見立てたのはジョウテンブレーヴとアグネスデジタル。ジ
ョウテンブレーヴは「2000mでも長い」というのが堤助手の見解で、マイルから1800mがベ
ストのようだ。ヤマカツ、ギャラクシーが内からグイグイ行く流れになれば、間違いなく好位でため
て行ける。ワイド向きの堅実性という点では、メンバーでも随一だろう。アグネスデジタルは、前走
のレース後、四位Jがしみじみと「この馬、面白い馬だ…」とつぶやいていたことが印象深い。馬場
入りの時からのんびりとした姿を見せ、輪乗りの時にもアクビをしていたそうだ。良化具合は栗東で
のことなので取材していないれど、これもテスタロッサ同様、前走は試走の色合いが感じられる。マ
イルチャンピオンシップの内容は決してフロックでできる芸当ではなく、人気急落の今回こそ狙って
妙味だろう。ワイドでも高配当が狙える1頭だ。

デザーモJがお気に入りのマチカネキンノホシ、昨年5着時(18番人気)でも△を打っていたトロ
ットスター、昨年のこのレースに来日した時とは世界的ネームバリューが違っているフェアリーキン
グプローンなどか抑え候補だが、穴に狙いたい馬もいる。1頭は前走、不利がありながらも4着に押
し上げてきたタイキブライドル。もともと自分は好きな馬だが、前走の内容ならば本質的にマイルで
いいこの馬だけに、狙い目十分とみる。もう1頭はダイワカーリアン。さすがに人気は落ちているが
この外枠はいい。距離不足と思われた高松宮記念の内容を思い出してみよう。先行こそできなかった
が、外枠からスムーズに中位を追走して、直線もあわや3着というところにまで脚を伸ばしてきた。
以前から指摘しているが、ハナに行けなくても、引っ張り過ぎることなくスムーズにレースができれ
ば位置取りはこだわらない。超大穴ならこの馬が好位か中団から差してきた時だ。買い目は予想ペー
に。