天皇賞特別予想

GIだから毎回やる、というわけではないんですが、普通の予想
コーナーに書くと長くなり過ぎる感じがするので、別コーナーに
しました。毎度毎度テキストだらけで恐縮ですが、なにとぞお付
き合い下さいますよう、お願い申し上げます。

1.展開

この天皇賞は、実力馬3頭争いと見られている。その実力は、ス
ペシャルウィークvsメジロブライトが1勝0敗なのを除くと、
いずれも五分の対戦成績ということで分かるように、互角と言っ
ていいだろう。それだけに、展開がクローズアップされてくる。
カギを握るセイウンスカイが逃げ先行の脚質だけに、目標にされ
るわけで、それをマークするスペシャル、さらにその後ろにいる
ブライト、という図式だ。それ以外はタマモイナズマやサンデー
セイラを除けば、3強の意識過剰からくるもつれを狙っている。
「絵に描いた餅」という言葉があるが、それをもくろむ陣営は少
なくない。メジロランバート、ローゼンカバリーがそうだし、マ
チカネフクキタルやステイゴールド、シルクジャスティスなども
自ら動いて負かしに行くクチではない。彼らの描く展開は「セイ
ウンが逃げ切るのを、武豊Jは2度は許さないはずだ。それだけ
早く動けることを前走で証明した。そしてそのスペシャルをマー
クするブライトも、悠長には構えていられない」というものであ
る。これはあながち外れではないだろう。セイウンスカイが前に
いる、その前提があるからこそ、前走はシミュレーションをした
とみるのが普通だ。セイウンの強さは「自分のレースをした時」
にこそ発揮される。武豊・スペシャルが執拗にマークをした場合
に、「自分のレース」がどれだけできるかだろう。

2.実力

ここで3頭の図式に割ってはいる馬を探したい。その前に3頭の
実力比較だが、すべてが単走で自分のレースだけをした場合、や
はり勝つのはセイウンスカイだと思う。時計の裏付け、スタミナ
の有無、なにより自分でレースができる馬だ。その意味では、最
も強い馬だとも思う。スペシャルとブライトの比較では、前走で
スペシャルが先着しているが、1kの斤量差、スローで早めに動
いた好騎乗と、スペシャルに有利な点はいくつかあった。逆に、
今回は確実に2頭をみて競馬ができる利点がブライトにはある。
スペシャルにしてみれば「前門の虎、後門の狼」になるわけで、
実力では互角と見受けられる2頭ではブライトを上位に見たい。
そこでこの3頭に迫り得る素材としては、メジロランバート、ロ
ーゼンカバリー、マチカネフクキタルが挙げられる。ローゼンは
陣営が言うように「マーベラスサンデーやサクラローレル、マヤ
ノトップガンあたりに比べれば今年の3強は…」という見方がで
きる。マチカネもデキの良さは上昇しており、現にブライトを菊
で差し切っているのだから、能力そのものはここでもトップクラ
スのものがあるのだ。だが、この2頭はいずれも完調にたどり着
く途上であり、自信を持って3強に伍する存在とは言い難い。そ
こでメジロランバートを抜擢したいと思うのだ。

3.メジロランバート本命の理由

実力でメジロランバートが3強を上回るとは言えない。しかし、
割ってはいるだけの力はあると見た。ひとつには確実にパワーを
つけている点。「ダービー後の夏を越して、確実に馬が変わって
いる」とは陣営の一致した見方だ。調教の動きも4歳春当時とは
雲泥の差である。もうひとつは馬場。とにかく昨秋からの復帰後

6戦のうち、3戦が悪い馬場にたたられているのだ。そして、展
開。良馬場の3戦のうち、AJCCは超スローをしんがりで我慢
した展開の負け。冬至Sはスローでも力の差で負かしたが、最大
のポイントは菊花賞にあるとみている。道中はひたすら内々で我
慢を重ね、直線で末脚爆発のシーンとなりそうだったのが、なぜ
か一気に外に持ち出した。菊花賞の京都3000m外回りといえ
ば、4角で内がぽっかりと開くことで知られる。にもかかわらず
なぜか外に出した分が、4着敗退につながった、自分の目はそう
判断したのだ。それでもスペシャルウィークとはコンマ1秒差。
もちろんスペシャルは外外を回って、ランバートより距離のロス
はあった。だが、これはランバートより後ろから行ったから使え
た脚だとみている。前に行けば、それだけ脚は鈍るはずだ。たと
え「絵に描いた餅」でも、それを実行できる実力はランバートに
しかない、そうみている。スローのしんがりで我慢をしたり、菊
花賞での不可解な外への持ち出しなど、やや吉田Jとこの馬のコ
ンビは合っていないイメージもあるのだが、逆にみればどんなス
ローでも自分のレースに徹する度胸が、セイウンの引っ張るこの
舞台でこそ生きるのではないだろうか。単勝とまでは言わない。
だが、3強のうち2頭くらいまでなら負かし得る。これがメジロ
ランバート本命抜擢の理由だ。

4.馬券

「絵に描いた餅」が実現するのにセイウンスカイを対抗視するの
は矛盾しているようだが、ランバートを本命に推す以上、あとの
序列は正直、あまり気にしていない。実力順、と思っていただい
ていいだろう。仮にセイウンが逃げ残る流れでも、それはスペシ
ャルとブライトが牽制し合うということだろうから、それならば
ヨーイドンの切れ味勝負で食い込める余地が出てくる。いずれに
しても、ランバートから3強への馬連、そしてマチカネ、大穴で
ローゼンへの5点。オッズによるが、複勝の保険もかけたい。

はっきり言って、我田引水のそしりを受けてもおかしくない論法
だろう。だが、決して間違っているとは思わない。これまで何度
となく悔しがってきた谷原厩舎のスタッフの姿を見てきたが、そ
れこそこの馬への期待度の現われと信じている。何より、ステイ
ヤーの真髄を見せてほしい。我が道を行け、ランバート。

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