諸外国の障害レース

ここからの文章は、基本的にすべてJRAの資料による解説を丸写しという
形で書いていきます。マスコミに配布される資料は非常に豊富ですが、これ
らがファンの目にすべて留まることは、まずありません。もちろん、ここで
もすべてを書くことは厳しいのでお許しいただきたいのですが、それでも、
できる限りの情報を伝達したいと思います。

その前に。他国の障害レースには、スティープルチェイスとハードルという
2つのレースがあることをご理解ください。一般的にスティープルチェイス
は難易度が高く、ハードルはスピードが上がりやすいとされています。日本
のファンがみても、すぐに区別はつかないかもしれませんが、飛越のフォー
ムがまるで違うので、参考ビデオなどでご確認を。ちなみに、日本のレース
がどちらに近いかは微妙なところです。スティープルチェイスだと言う人も
いれば、ハードルに近いという人も多いので、特に大障害コースともなれば
両者の融合と考えていいのではないでしょうか。

それともうひとつ、諸外国の障害レースは、日本に比べて平均的に距離がだ
いぶ長いです。グランドナショナルは別としても、招待馬の多くは4000
m級のレースを当たり前のように経験していることを覚えておきましょう。

1.フランス

なにせ競馬場が多い国。レース数は平地4200に対し、障害も1800レ
ース近くある。障害の競馬場として名高いオートゥイユ競馬場はパリ近郊に
あって有名だが、凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場かこのオートゥイユ
競馬場のいずれかを閉鎖するようにパリ市に求められていることが、フラン
ス競馬界の話題だが、どうやらオートゥイユ競馬場が閉鎖されるのではない
かとマジョルクリック騎手が言っていた。この中山グランドジャンプには、
マジョルクリック騎手が所属するガロリニ厩舎の馬にも来日予定があり、そ
のためにマジョルクリック騎手も頑張っていたが、来日がかなわなくなった
ことは残念としか言いようがない。

2.イギリス

実に3000レース以上の障害レースが行われる、障害のメッカともいうべ
き国。言わずと知れたグランドナショナルが行われるのもイギリスだ。グラ
ンドナショナルは昨年に関して言うと、ダービーの3・8倍も馬券が売れ、
テレビ視聴率もダービーに大差をつける競馬ナンバーワンを誇っている。国
全体のレースにおける売り上げで、売り上げが多いレース上位4つのうち、
2位はダービーだが、1、3、4位が障害なのだから、人気のほどがうかが
えるといえるだろう。有名な競馬場は、グランドナショナルが行われるエイ
ントリー競馬場と、チェルトナム競馬場。イギリス国内の59の競馬場のう
ち、24場が障害専用で、18場が平地との兼用。今回は来日しないが、マ
ッコイ騎手という25歳の若手が、ナンバーワンジョッキーで、昨年12月
に引退した通算最多勝を誇るダンウッディ騎手の後継者と見られている。

3.アイルランド

記録に残る世界初の障害レースは、アイルランドで1752年に行われたと
されている。その伝統か、今でも障害馬の生産においては、アイルランドが
世界最高水準にあり、アークル、レッドラムという歴史的な名障害馬もアイ
ルランドの生産。昨年からイギリスの障害界を席巻しているイスタブラクと
いう馬も、アイルランド産で、アイルランドの敏腕トレーナー、A・オブラ
イエン師が管理している。平地との兼用競馬場が24、障害専用は1場。平
地700レースに対し、障害は800レース以上行われている。イギリスと
同様、平地のシーズンオフに障害の主要レースが行われ、ファンの関心が集
まってくる。

4.オセアニア

オーストラリア、ニュージーランドとも、平地に比べれば障害のレース数は
少ない。ただ、後述のアメリカと違い、レベルは決して低くないとされてい
る。特にその象徴とされているのが97年に英グランドナショナルを勝った
ロードジリーン。ニュージーランドからイギリスに転厩して勝ったことから
ニュージーランドの障害馬のレベルの高さをイメージづけている。今回は、
オーストラリアの最強馬マールボロも招待されていたが回避。しかし、今回
の招待がかかった地域の中で、このオセアニアの障害レースが、最も日本に
似てペースが速いとされており、その意味では適性があるかもしれない。

5.アメリカ

全国的に障害レースが普及しているわけではなく、東部の諸州に限定されて
いる。国全体での昨年の障害レースの合計は895。平地の6万1000と
いう数字から比較しても、規模は小さいといわざるを得ない。とはいえ、日
本と同じく、近年になって障害レースを盛り上げようという機運があるだけ
に、このグランドジャンプをきっかけに、さらなる今後の発展が見込めれば
いいと思う。昨年限りで最強馬ロンサムグローリーが引退し、現在の最強馬
は、今回来日するナインピンズである。もっとも、平地と違い、諸外国との
間に交流がほとんどなく、レベル的にはまったくの疑問という状況だ。

日本との違い

何よりペースが違う。オセアニアだけは日本に近いとされているハイペース
で繰り広げられているようだが、欧米ではハロン15秒近くが平均(日本は
13秒台後半)だけに、流れに戸惑うかどうかが最大の焦点だろう。

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