刹那 時を止めて


ある日の雨上がり
白木蓮の花びらから
零れ落ちる雫
その行く先に視線を落す

揺れる水面に写る
その姿をじっと見詰め
ハッして視線を上げれば
微笑む君が立っている

雨に濡れたその髪に
腕を伸ばし指を絡め
探るように愛しむように
掌の温度を移していく

ゆっくりと引き寄せて
ほのかに香るその匂いに
こころときめかせながら
耳元に揺れるピアス越し
首筋にキスをしようか

伝わりあう鼓動と
その息遣いと
抱き締めた腕の強さ
それだけを感じて

幾つかの大切なもの
こころに秘めたまま
流れる街の片隅で
人々の雑音の中で

刹那 時を止めて

2003.04.23. 11:15 (Wed)