長野まゆみの少年アリス

Date 2002.01.23 - 2002.11.14

を読んでみて。

(C)Aoi Aoyama


友人から勧められた本「少年アリス」を読んでみた。

最初の印象は、字が大きくて薄い。これなら読める(笑)
次の印象は、読むリズムを掴むのに少し骨が折れそう。
でも、読み進めていく内にだんだんそのテンポがしみこんでくる感じ。

わかりやすい描写、具体的にイメージできるのは嬉しい。
良く知っている物を見慣れない文字とルビで表現されて戸惑うこともあるが
それがまた、独自のテンポを作っているのかも知れない。
普段、本を読む時には、なにげなく(文字を追わずに)読む事が多いが
長野まゆみのものは、所々で一瞬目が止まる。
そこで改めて文字を確認することの繰り返しが、
決して長くない「少年アリス」を読むのに丁度良いのかな。

ただ、人物に関しての描写は意外なほど少ない様に思う。
そのため、具体的なアリスや蜜蜂の姿が目に浮かぶことはない
が、でも何となく雰囲気を感じることが出来て、
それはそれで充分かなと思えるから不思議。

少年の成長を描いた物語だろうか。
それぞれの相手を想う気持ちと、漠然とした自分自身の変化を感じる
そんな物語は、やっぱり好きだと思う。
どこか、以前に読んだ事のある物語を思い浮かべてしまうが、それはそれとして。

僕自身も、怪我をする前に包帯を巻く。
そんな人間かも知れないと思ってしまった。