君の唇に触れた 2001.03.17


君の唇に触れた。君は少し非難するような目で僕を見た。僕はそれを無視した。

もうずっと前のこと。
冗談のつもりだった。僕が君に「あ〜ん」と、差し出したお菓子。何故か君は素直に口を開けた。君の口に投げ込んだ。その時は、それだけ。鼓動が少し速くなった。

君と歩いた。遊歩道を二人で。公衆電話で君が自宅に電話をした。内容は知らない。その間、僕は小さな店でお菓子を買った。苺の味の。
そしたら、君も何かを買っている。買った物。なんだか、君らしくって微笑ましいような。

僕がチョコを食べようとしたときに、突然君が言った。「あ〜ん」。
おいおい、まじで?たちの悪い冗談かい?
でも、僕は急いで、チョコの包みをあけた。そして君の口元へ。「あ〜ん」。
君の唇が開いた、そしてチョコが君の中へ。

どうして?

もう一度、君へ。「あ〜ん」。素直に唇を開く君。指先が震える。君の柔らかな唇。僕が君に与えている。君の悪戯な視線。手元が狂う。

僕の指が君の唇に触れた。

僕は それに気づかないふりをする。


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