仕上げ削りが終わったスプリットを節合わせしてからマスキングテープで束ねます。一辺をカットして開けば接着中にスプリットがばらばらにならなくてすむという方法ですが、それでもあまり入念に接着材を塗っているとマスキングテープがはずれてスプリットが接着剤でぬるぬるのまま6本ばらばらになり大変な事になります。回避方法としてはティップもバットも一番太い側のテープの上から瞬間接着剤を一滴ずつ6辺に垂らしておくと具合が良いようです。かなりはずれにくくなりますし最終的にはカットしてしまう部分なのでその上からバインディングしても問題ありません。ただティップの先を束ねているテープには使用厳禁です。そのまま接着されてしまい無理に剥がそうとすると・・・・。あくまで太い方のテープのみに使用可能です。
また万が一のために表皮側にマーキングをしておくと良いでしょう。接着剤でぬるぬるのスプリットを束ね直す時ちょっとしたはずみで一本だけ表皮側が中に入ったまま気がつかずに接着してしまう事があるからですが、そんな失敗は私だけですかね。

そしていよいよ接着です。まず初めに右図のように必要なものすべてを準備しておきます。歯ブラシ、計量はかり、手袋は介護用のものが安くていいですね。接着剤を混合する器はヘラブナの餌用のものが気に入ってます。接着剤は今回ユーロイドという物を使いました。いつも使っていたAUタイプに比べて硬化が早くやや固めの硬化になる感じです。通常100gで4本分ですが実は3〜4番ロッドで6本接着した記録があります。たくさん塗っても殆どはバインディング時にはみ出てしまうだけですので要は必要にして十分な量を塗ってあげれば良いわけです。バインディングしてわずかにはみ出す程度が目安だと思います。AUの場合接着中は氷をはったバットの中に蓋をして置いておおけばかなり硬化を遅らせる事ができましたが、ユーロイドにはそれ程の効果はないように思います。それでも50gで3本分の接着には問題ありません。ですがやはり気があせってしまうので残念ながら接着中の写真を撮る余裕はありませんでした。悪しからず。
この他にバインダーやバケツ一杯の水、スポンジ等も準備しておきます。

歯ブラシで接着剤を丁寧に塗り、再び束ね直してバインディングした後、濡らしたスポンジで表面の接着剤をふき取ります。その後机の上でごろごろ回してブランクを真っ直ぐに修正して完了です。これをティップとバット合わせて計6回繰り返すわけですがだんだん集中力がとぎれてくるのでご注意を!。今回もティップが机の端に引っかかっているのに気づかずバインダーを景気良く回していたら突然「バキッ!」驚いた時には後の祭りです。時間が5秒戻ってくれないかと本気で思います。

ギャリソン式のバインダーですとティップをバインディングした時にどうしてもねじれが生じます。昔なんとかねじれないようにとかなり軽いテンションで巻いた事がありましたがそのロッドは使用中にティップが裂けてしまいました。やはり接着が甘かったようです。それ以来ティップがねじれて一回転するくらいじゃないと安心できなくなりました。ねじれは後から修正できますし気にしない事にしています。ただ曲がりはこの段階でかなり修正しておいた方が良いようです。それも手で曲げて直そうとしてもジグザグに曲がってしまうばかりです。やはり机の上でゴロゴロが一番効果的な気がします。

乾燥後、糸をほどいたブランクです。まだ糸の跡が残っています。残念ながらティップが1本おしゃかになりました。

ドライヤーで熱を加えながらねじれを修正します。アルコールランプは焦げてしまうので使えません。以外と簡単に修正できますが端から順に直していかないと逆のねじれが発生したりする事があります。気をつけましょう。

再び皮スキの登場です。表面に残っている接着剤を削り取っています。これをサンドペーパーで行うとすると粗めのペーパーを使う事になりますが、接着剤がなくなる頃には6角形の角が削れて丸くなってしまうのが嫌でこの方法になりました。皮スキでかなりシャープな面に仕上げておき、最後の研磨だけサンドペーパーを使います。

研磨です。皮スキでかなり綺麗な面が出来ていますが240番から始め、400番、最後に1000番の耐水ペーパーで艶を出して完了です。

この後予定の対面幅になっているかをチェックしますが、あくまで今後の参考のためのチェックにとどめます。程度にもよりますがたとえ誤差があってもそれを表皮を削る事での調整はしません。ロッドのテーパーは仕上げ削りが終わった段階で確定しているものだと考えるからです。大切な竹の繊維を削り取って対面幅を合わせたところでそれは本来テーパー設計によって期待されていたアクションとは別物になってしまうのではないかと思います。誤差があったらあったでそれもまたオリジナルテーパーと考えてしまいましょう。精度を上げるためのあくなき探求と努力はまた次の一本にそそぎ込む事にします。