とにかくプロとの差が歴然としているのがこの行程です。かく言う私も未だ暗中模索の段階ですが現時点でベストと思われる方法を紹介します。
賃貸マンションの一室ではギャリソン先生のようなモーター式のディップシステムは使えませんので以前はドブ浸けをあきらめブランクを回しながら刷毛で塗っていました。ですが塗料のむらが出るのに我慢できず現在では半ば強引にドブ浸けをしています。やはりこの方が仕上がりが綺麗ですしとにかく楽です。

ディッピング用のパイプです。垂直には立てられないので斜めにセッティングしています。塗料はワニスでテレピン油でかなり薄めています。テレピン油は刺激臭が少ないので助かります。近所の人は油絵でも描いているのかと思っているはず・・・です。

塗装の前にブランクの先端に塗料が流れ落ちやすいように糸などを垂れ下げておきます。ここではリリアン糸を差し込んで瞬間接着剤で固定しています。これをしないとディッピングを重ねる度にブランクの先端に塗料がたまって団子のようになってしまいます。必然的に塗料のはけが悪くなりぶら下げた下側の塗装ばかりが厚くなってしまいます。もしもグリップを接着していなければ上下を入れ替えながらディッピングすれば良いのでしょうが、どちらをとるかは難しいところです。気休めかもしれませんがある程度効果もあるようですし、まさに気が休まるのでこうしています。

やり方は簡単です。ドブンと浸けて引き上げ、吊して乾かすだけです。薄目の塗料を使えばカラスの行水でも問題ないように思います。ギャリソン先生のようにモーターも使えなくはないですが何しろ斜めにブランクが上がってきますので意味が無いでしょう。逆にさっさと上げた方が斜めに塗料が垂れなくて良いように思います。
グリップにはマスキングをして実はチェックもこの時点で装着しています。理由はグリップの時と同じく塗装後にブランクに傷をつけたくないからです。
写真ではよく分かりませんがゴム手袋の指を切ってチェック側からかぶせてチェックのマスキングとしています。

乾燥中です。6回くらいは塗装を重ねます。塗料の粘度はパイプから引き出した瞬間からボタボタ垂れ落ちるくらいゆるめです。その分回数が必要という事ですね。
刷毛で塗っていた時は6角の面の部分に塗料がたまって丸に近い形状に塗装されていましたが、この方法ですと今度は角の部分に塗料がたまり易くなります。様子をみながら途中で一回くらい耐水ペーパーで余分な塗料を落としてやると良いでしょう。

完全に塗料が乾いたらもう一度耐水ペーパーでちゃんと面を出します。使い古しの1500番で塗料だけを削るようにします。
その後コンパウンドで根気よく磨きます。細目から極細目で仕上がりです。

最近は垂直引き上げ式のディッピングができるようになりました。何の事はない7Feetくらいのショートロッドならば天井につっかえる事なく垂直に引き上げが可能な事が判明しただけです。物事とりあえずは試してみるものですね。そこで問題となったのが引き上げ方式です。駆動はラッピング用のモーターを使うとして・・・・。

最初は木片に木ねじを打ってラッピングモーターにくわえ、ネジ部分に糸を巻き付けていましたが、糸を伸ばす時にくるくると手で糸をほどかなければなりません。糸はよれるし時間はかかるし大変でした。

そこでこんな道具を作ってみました。アルミ6角棒にスプールを通したネジを打ち込み蝶ネジで固定したものです。蝶ネジをゆるめるとスプールがフリーになり糸がするすると繰り出されます。一度に何本もディッピングする時にはとても便利です。

糸はPEラインの0.8号を使っています。細くて巻きぐせがつかず、おまけに伸びない・・・こういう用途にはもってこいの糸だと思います。