赤瀬川原平『新解さんの謎』

『新解さん』とは、三省堂の『新明解国語辞典』のこと。この本の前半部分は、この『新解さん』を深く解析する文章であるが、これがはっきり言って超面白い。そんじょそこらの『サザエさんの謎』の二番煎じ本など及びもつかない、素晴らしい考察である。詳しい内容は書かないが、これを読むと『新明解』を買いたくなってしまう衝動にかられるし、山手線の中で笑いをこらえるのに苦労してしまった。

ただ、前半があまりに面白かったので、後半（新解さんとは関係無い話）は今ひとつであった。赤瀬川原平の文体や視点は結構好きなので、別の本だったらそれなりに面白く読めたかも知れないので残念。やはりこの本は、最後まで『新解さんネタ』でつっ走って欲しかった。

文芸春秋刊、1,600円。

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