"The English Patient"

ヒジョーに渋い、、、というか、淡々とした映画だ。しかし、長尺であるにも関わらず、その淡々さが「飽き」に繋がらない。

戦場で酷い火傷を負って救出された主人公(?)は、名前も判らず単に「イギリス人傷病者(English Patient)」として扱われる。その主人公の男が少しずつ記憶を紐解いていく、その回想録、、、というのが話の大きな筋なのだが、一方で現在という時間における何人かのドラマが微妙に絡み合う。

回想シーンはほとんどがサハラ砂漠とその辺縁の街で、全般にベージュの色合いが続き、それがいっそう「淡々さ」を引き立てる。回想の中ではいくつもの事件が起きるのだが、それさえも単なる風景のようにしか見えない。

最後に "English Patient" という言葉の意味合いが主人公から語られる。脇役として登場するインド人将校なども絡めて考えると、ある意味ではここがこの映画の主題と言えるのかも知れないが、そんな主題などどうでもいいかなあと思えるほどに淡々として美しい、水彩画 --- いや、砂絵のような映画だった。


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