日テレの言う2000年問題。

マスメディアってのはどうしてこう物事をセンセーショナルに、しかも一方向からしか見れないのかねえ、と常々思っているのだが、今日も日テレがやってくれた。いわゆる「2000年問題」というのは、コンピュータをちょっと知っている人ならば新聞等で見たこともあると思う。比較的初期に作られたコンピュータプログラムが西暦を2桁で表現・処理しているため、2000年に入るとこれらのプログラムが比較などの判断を過ってしまうという問題である。

日テレが2000年問題と取り上げたのは「特命リサーチ200X!」という番組で、これは世の中の謎とか問題とかを半分ドラマ・半分ドキュメンタリー的な感じで扱うものだ。佐野史郎、稲垣吾郎などがドラマ部分にレギュラーで登場し、日テレもそれなりに金掛けてるのかな〜、って感じはする。しかし、2000年問題の取り上げ方はあまりにひどすぎた。

まず、で出しから「2000年にすべてのコンピュータが狂う!」と来たもんだ。狂うのはコンピュータそのものではなく、その上で動作するプログラムであり、しかも対処済みのプログラムでは別段の問題は起こらない(バグが無いとは限らないけどね)。この部分のVTRを見た佐野史郎演じるチーフが「センセーショナル過ぎない?」と言うのも実にうなずける。現在のコンピュータは、少なくとも21世紀中盤くらいまでの時間は表現できるようになっており、元からこの機能を利用しているプログラムなら本来問題になるようなことではない。

で、問題は当然「わかっていたのに手を打たなかった」ところで発生するのだけれど、この番組では何と

「システム・エンジニア(SE)たちはわかっていたのだけど、『これは簡単な問題だから、そのうち何とかすればいい』と思って手を付けていなかった。SEたちの甘えがこの問題を招いた」

などと言っているのだ。おそらく、腕の立つSEたちなら実際にこの問題を予測していただろう。特に日本では、2000年問題以前に「元号問題」が存在していたので、年に関わる問題はずっとよく知られていたはずなのである。問題を軽く考えた(どうせこのプログラムがあと何年も使われるはずがない、とか) SEもいただろうが、これを是正することを念頭においた改良を提案していたSEもいる。これに応じて対策を施した企業もあれば、納期や人員確保の問題から対策を講じなかった企業もある。言うなれば、「わかっていたのに出費を渋った、先見の明の無い顧客(=企業)」の自業自得の結果なのだ。それをSEだけのせいにするというのは、何たることか。

たぶん、これって取材対象が少なくて、で取材対象としては企業を悪者に出来ないので、こういうことを言っちゃったんじゃないだろうか。やたらと問題を大きく見せたがるあたりも、「2000年問題で一発稼いだれ」的な思惑がチラホラしてるかも知れない。こういうことは、メディアが複数の(可能な限りいろいろな立場から)取材を行って、きちんと裏を取るべきことである。ところが、ことコンピュータだのインターネットだのの報道になると、大抵の場合「どう見てもこいつら2,3人に聞いて済ませてるな」としか思えないようなズサンなものになっている。これは日テレ(=読売)に限らず、朝日にも毎日にも産経にも言えることだ。何とかして欲しいなあと思う今日この頃である。


fujimoto@eva.hi-ho.ne.jp

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