DOS/Vマガジンのヨタ記事

インターネットサービスプロバイダの乱立、高速通信ハードウェアの低価格化、 Windows95の発売などで、インターネットやUNIXを扱う雑誌以外でもインターネット関連の特集が多く組まれるようになったみたいだが、中にはひどいのもある。 今回目に付いたのがソフトバンク発行「DOS/Vマガジン」2/1号のインターネット特集。どのへんがひどいのか、ちょっと見てみよう。なお、ここで指摘したもの「だけ」がまずいとは限らないので、より詳しく知りたい人はfj.net.miscなどの関連ニュースグループも読んでみよう。

  1. NetNewsのマナー
    fj.test
    いきなり「おかしくないか、 fj.testで十分にチェックをせよ」と来たもんだ。私のスタンスとしては、一般ユーザーがfj.testでテストをすることを全面的に否定するものではないけれど、個々のユーザーが心行くまでfj.testなんかでテストをした日には、全国のニュースサーバのスプールが破裂してしまわないもんだろうか。そもそもこれは、fj.news.usageなどで何度も論議されている深い問題である。そういうのを全然踏まえずに「テストはfj.testで」とだけしか言わないのは混乱を助長しかねないんじゃあるまいか。
    半角カナ
    「使ってはだめ」というのはいいとしても、その理由が「ゴミ扱いされるから」というのはねえ、、、インターネットの標準では半角カナ(っつーかJIS-X0201カナ)は定義されていないので、対応していない環境(があって当然)では当然読めないし、場合によってはハングアップしてしまうという「実際的な問題」を指摘するべきではないか。
    ニュースグループの選択
    「自分で判断しかねるときは、冒頭に『ここでいいのかどうかわかりませんが』などの前置きを付けよ」だってさ。そういやこういう人、最近多いなあ。こういう書き方をするから、「自分なりの判断を全然しないで」とりあえず腰の低そうな前置きを書けばいいと思う人が出てくるんではなかろうか?この記事には、各ニュースグループに憲章(Charter、たまに fj.news.listsに一覧が流れる)が存在することに一切言及していない。これでどうやって判断しろっつーのさ。
    クロスポスト
    「複数のニュースグループに同じ記事をばらまく」行為を「クロスポスト」として紹介しているが、これってマルチポストと区別するべきでないかい?
    これさえ守れば…?
    「これさえ守ればNetNewsを有意義に楽しめるはずだ」なんて書いてるけど、あまりに無責任。本来、普通の社会と同じように「利益はあるけど、当然責任も発生する」だけの話であって、自分の出した記事の責任は全部自分にかぶってくるよ、ということをきっちり認識しておく必要があるという点を念押しすべきじゃないのかなあ。
  2. メールの 漢字コードについて
    これが一番ひどいと思えるので、当該部分をまんま引用してみよう。
     「パソコン通信では一般に使用されるコードはシフトJISだ。このため、文字のコード体系などを特別に意識する必要はなかった。
     だが、インターネットでは数年前まで7ビットコードしか通らなかったという事情があり、英文のメールが一般的に使われていた。数年前に日本語化されたときもにも、一般にはJISコードが使われていたが、インターネットのメインマシンがUNIXだったため、EUCというUNIX漢字も存在した。 '95年後半になってから、PCからの利用者が多くなり、シフトJISもようやくある程度の地位を獲得してきた。しかし'95年の前半でさえ、シフトJISを使っただけで「JISを使いなさい」と怒られることがあったのだ。
     インターネットを古くから利用しているユーザーのなかには、今でもJISやEUCに固執する人がいるので、相手がどういう人か考えてからコードを選ぼう。コード選びを間違えると、相手側では文字化けしてしまい読めないことがある。」
    大バカ。こんな文章を原稿料払って掲載する雑誌があるのだから、恐ろしいものである。細かく見ていってみよう。
    「コード体系を特別に意識する必要はなかった」
    パソコン通信では確かに、俗に「シフトJIS」と呼ばれるコードが使われている。しかし、シフトJISにはメーカーごとに個別に定義した文字が含まれていたりして、これがBBSなどでよく問題となっていた。要するに、「他人の記事が読めない」という問題は、インターネット以前からちゃんと存在していたのである。
    「インターネットは数年前まで7ビットが、、、」
    数年前ってのが何年前だか知らないが、10年前ではインターネットという概念すらあやふやだったはず。5年前なら、国内ではかなりの確度で8ビットが通っていたはず。ちなみに、『現在でも』インターネットの中には8ビットを通さない環境が厳として存在する。英語圏の人間は7ビットあれば十分なんだもん。
    「EUCというUNIX漢字も存在した」
    確かにEUCコードは存在したけど、それがネットワーク上での情報交換に使われることはあまりなかった。漢字はJUNET漢字→ISO-2022-JPが過去および現在において、事実上の標準であると言えるだろう。
    「シフトJISもようやくある程度の地位を獲得、、、」
    WWWや、ソース配布パッケージの中にシフトJISコードで書かれたファイルが含まれることは確かに増えたが、メールではいまだにゼロに近いと言っていいし、そもそもメールで送ろうにも、確たる標準がない以上、相手が読めるという保証はまったくない。
    「今でもJISやEUCに固執する人がいる、、、」
    ド阿呆。JISコードをベースにインターネットでの日本語環境を構築し、あるいは ISO-2022-JPという規約を作って啓蒙につとめた先人の努力を何だと思ってるんだ。だいたい、「EUCに固執する」人は私は見たことがない。
    「相手側では文字化けしてしまい、、、」
    前述したとおり、化けずに読める保証がある(少なくとも、読めないのは読み手の責任である)と言えるのは、現在のところISO-2022-JPだけであろう。

読者を引き付けるという都合上、インターネット関連記事を出したくなるのもわかるけど、それならそれでこんなヨタ記事は書かんで欲しいものである。

その後の話に続く!


fujimoto@eva.hi-ho.ne.jp

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