さいたま新都心&埼玉スタジアム2002
(2001/Mar/20)


1. 間抜けな旅立ち

 春分の日、ふじもとは浦和方面へと車を走らせていた。理由は2つもある。その1、ヤフオクで落札した浦和レッズ対FC東京のチケットを受け取りに浦和駅へ行く。その2、川越への転居に際し、運べるものを先に運んでおく。何と明確な目的なのだろう。ブラブラだのフラフラだのといった要素がどこにも無い、ように思われた。

 真新しい首都高埼玉大宮線(下り線は死ぬほどすいている)を浦和南で降り、昼過ぎに浦和駅西口でチケットを受け取る。目的その1はすんなり完了し、さて後は17号線を北上し16号を曲がってまっすぐ行けば川越だ、腹ごしらえにカツカレーでも食うか……などと思っていた瞬間、なぜか知らないが重大なミスに気が付いてしまった。

「新しいアパートの鍵、持ってくるの忘れた……」

 その瞬間からすっかりブルーだ。車内には朝方急いで詰め込んだ引越し荷物が満載。しかし今から東京まで戻るにしろ、上り線は結構な渋滞なので1時間ではとても戻れない。目的その2は道半ばにして断念せざるを得なくなったわけだ。しかしここまで来てチケットだけで帰るのかおい、と悩むふじもとの目に、いささかシュールな光景が飛び込んできた。

 さいたま新都心の高層ビル群である。浦和から(新大宮バイパスでなく元来の)17号線を北上すると、ちょうどさいたま新都心の西側を通るのだ。郊外のごく普通の町並みに突然現れる巨大ビル、このシュールさに惹かれたふじもとは、車を右折させたのだった。


2. ジョン・レノンに1,500円払うべきか?

 さいたま新都心は、幕張メッセを二回りばかり小さくしたような雰囲気。JR京浜東北線の新駅が出来たり、国の出先機関が移転したりしてそれなりに街として動き始めたということは聞いていたが、まだまだ道路も建物も工事中の部分が多いようである。街中の広い道路をぐるっと回ると、さいたまスーパーアリーナに地下駐車場の入り口を発見。1時間400円、以降30分ごとに200円という値段だが、まあたまには良いかと思い車を入れる。

 案内板に従い、エレベータで地下1階から地上2階へ。2階のエレベータホールは出るときこそ問題ないが、逆に外からは見つけにくいデザインでやや問題を感じる。ホールを出ると正面にインフォメーション、右手側に「GOLD'S GYM」という看板があるが、その前でハンドマイクを持った女性が「ジョン・レノン・ミュージアムの入り口はこちらでーす」と叫んでいる。そうそう、ここにはジョン・レノン・ミュージアムなるものがあったのだった。しかしなぜ埼玉の大宮にジョン・レノン……オノ・ヨーコの出身地だったりするのだろうか?入り口を覗いてみると、大人1,500円との表示。うーむ、ジョン・レノンのアルバムに3,000円を払う価値はあるかも知れないが、写真だのゆかりの品といったものに1,500円ってのはちょっと引いてしまう。ということでミュージアムには入らない。

 しょうがないので周辺をプラプラする。今いる2階レベルは新都心の各建物や駅を徒歩で移動するダブルデッキ状態になっており、人と車を分離するという意味では良い構造だと思う。しかし、その中心になる「けやきひろば」。2階の人工地盤に多数のケヤキを植えているのだが、何もそこまで……と思ってしまう。この「けやきひろば」からエスカレータないしエレベータで1階レベルに降りるとレストラン街があるが、まだ開店前のテナントや未完成のスペースも目立つ。エスカレータ乗り場付近にはビデオクリップなどを映すスペースがあり、そこにコンクリートで盛り上がりが形成されていて、そこがガキどもの格好の遊び場になっていた。ここのレストランでカツカレーオムライスを食す。


3. スタジアムは工事中だった

 さいたま新都心にあまり見るべき場所がなく、じゃあこの際埼玉のもう一つの「ハコ物」である埼玉スタジアム2002も見ようということで、車を東へ走らせる。沿道に自治医大や日大法学部があり、ここまで通う学生も大変だなあと同情する(が、ふじもとの新しい職場は同じ埼玉県内でもさらに山がちなところだ)。この辺の土地鑑はゼロに等しいのでカーナビ頼りの走行だが、道が細い上に道路工事で片側通行の場所が幾つかあり、渋滞が激しい。それでも何とか県道からスタジアムへ向かう角を無事発見し、トロトロ走るふじもとの目の前に、またもシュールな光景。

 写真では何度か見たことのある、埼玉スタジアム2002の特徴的な屋根だ。東北自動車道沿いだと聞いていたが、なるほどこちらの道路が東北道の上を超える少し前から屋根が見えている。これなら道をまっすぐ行けば……と思っていたが、道はじわじわ東南方向へと曲がっていき、スタジアムは左手に見えたまま視界から消えていく。そうこうしているうちに、まるで民家の私道のように道が細くなり、すれ違いにも苦労するようになる。その道が別の細い道とぶつかると、眼前にはまたも周囲に不釣合いな構造物。スタジアムへの主要な足となる、埼玉高速鉄道の車庫だった。

 車庫の脇にある道を結構走ると、埼玉高速鉄道の終点でスタジアムの最寄駅ともなる「浦和美園」駅が現れる。ずいぶん遠いなあ。本当に徒歩15分か?駅前道路はかなり整備されていて、スタジアムに直結すると思われる広い通りもあるのだが、とにかくそこらじゅう車止めだらけで進める道がほとんどなく、迷う車多数(ふじもと含む)。工事関係らしき男性に「スタジアムへの道はありますか?」と聞くと、親切に教えてくれた。だがこれがまた狭く、しかも結局さっきの車庫の外れに戻る。どうも車庫の先、っき走ってきた道のすぐ隣にある砂利道が、スタジアムへの当面のルートらしい。よく見ると一般車も通ってよいようだし、5km/h制限(笑)との注意書きもある。そこを注意深く走ると、ようやく埼玉スタジアム2002の工事現場に到着。もちろん現場内部には入れないので、通り過ぎながらスタジアムを観察する。先日完成した東京スタジアムも綺麗だったが、こちらはサッカー専用にしてこの規模か!と思わせるほどに物凄い大きさで、思わず圧倒されてしまう。ちなみに4月1日(エイプリルフール)にはスタジアム見学会がある(冗談でなく)らしいが、さすがに忙しくていけないだろうなあ。


 てなわけで、出だしが相当間抜けではあったが、思いがけず2箇所も見て回ることになった春の休日だった。


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