NEXT





父親たちの星条旗
Flags of Our Fathers
★★★★★★★★☆☆
2006年 アメリカ
監督/製作:クリント・イーストウッド
出演:ライアン・フィリップ / ジェシー・ブラッドフォード / アダム・ビーチ

硫黄島からの手紙
Letters from Iwo Jima
★★★★★★★★☆☆
2006年 アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙 / 二宮和也 / 中村獅童 / 伊原剛志 / 加瀬亮


☆こう観た☆
 当初は批評を別々に書こうとしていたのですが、両方観た結果、私が言いたいことは同じであることが
わかったので、ひとまとめにさせていただきました。

 監督・イーストウッドに製作・スピルバーグ。ハリウッド映画監督の最強タッグがあの硫黄島の戦いを撮
る。しかもアメリカと日本、双方の視点から見た2部作の構成です。出口の見えないイラク情勢や各地で
絶えぬ内戦、身近なところでは北朝鮮問題など、日本が再び戦火に巻き込まれる可能性を強く意識せざ
るを得ない近年において、ふたりがいかにして映像を持ってヒトが殺し合うことの無意味さを訴えてくれる
かに期待しました。本作が歴史的に大きいと思えるのは、両方をアメリカ人が作ったということです。今も
なお、アメリカ人にとっては“真珠湾”の遺恨が色濃く残っているようですが、60年以上経ってようやく当時
を冷静に振り返られるようになってきたのかなという気がします。双方を語った上で反戦を謳おうと。
 一作目はアメリカ側の視点。生還し英雄扱いされた3人の米兵のその後の真実を辿ります。二作目は
日本側の視点。負け戦と承知していながらそれでも戦って散らねばならない宿命を背負った男たちの最
後の抵抗が描かれています。
 偶然にもかの有名な星条旗を掲げる写真に写っていたというだけで英雄に祭り上げられた生き残りの3
人の米兵。ですが実際は、国債買い取りを国民に促す広告塔に使われていたにすぎず、その後も一時の
華やかさとは一変して細々と余生を過ごしたという事実は意外で、生まれて来た人間の役割って一体何
なんだろと考えさせられます。
 一方、事情は違えど日本側においても思うところは同じ。当時は栗林(渡辺謙)のような人情派の上官
もいたのでしょうが、大半はムチを振り回しながらただ一本調子に「お国のために死ね!」と言っている上
官が大半だったイメージです。その下で家族を思いながら志半ばで死んでいった多くの若者のことを思う
と、何のために彼らは生まれて来たのかと思ってしまいます。新しい命のため、と言ってしまうとキレイに
まとめすぎでしょうか。
 戦場においては勝者も敗者もなく常に死と隣り合わせの状況で、ただ生き延びるために何をすべきか、
なんてことを考えなければならない現実なんて、ヒトの人生の中で本来あるべきではないんじゃないかと
思います。同じ過ちは繰り返すまい、そんな教訓を得たから憲法九条ができたのではないでしょうか。とこ
ろが、日米のお偉いさん方は協力を強めている一方で、“身を守るために”武器を作り合ったり自衛隊を軍
隊化していったりしています。これってなんか違う気がするのですが…。
 凄惨な映像は比較的控えめ(これはあくまで『プライベート・ライアン』を観たときの衝撃と比較してのとこ
ろですが)ですが、『星条旗』のエンドロールで写し出される数十枚の当時の写真が、映像以上に痛烈な
余韻を残します。日本人はどうしても『手紙』だけを観る傾向がありますが、やはり2作で1作品という気が
します。両方観て今一度、平和でありつづけることのシンプルさと難しさを感じ取ってもらいたいです。
written on December 21, 2006


▽オフィシャルwebサイト:こちらから



▽ここで観た:ワーナーマイカルシネマズ大日(大阪) 



NEXT