[TOPPAGEに戻る]

(休憩後)

司会W:それでは休憩前のご質問にお答えいただく形で再開します。最初にSさんからあった、規制緩和に関する、土地利用の理念についてのご質問。あと、Muさんから佐々木さんと大村先生への質問。

大村:
Sさんのご指摘ですが、日本の都市計画制度上、都市計画法の理念が必ずしも明確ではない。私もそう思います。制度は改正を繰り返してきた。大改正は1968年のものが現行につながっている。ところがこの都市計画法の最初に理念とか目的が書いてあるが どうも お経の様ではっきりしない。

私が比較的知っているドイツの都市計画の基本法には1960年にできて以来、変わっているが そのつど最初の理念の部分に意味合いを付け加えている。
1987年には、今までの主体は郊外にいかに健康的で機能的な新しい都市を作るかだったが、これからは都市の過大な成長を目指さず、内部の市街地の再整備に重点を置くべきだ、そのための目的・理念の中に、土地や環境を出来るだけ節約して使う形で都市計画は形作られるべきだといった「土地節約の思想」が盛り込まれている。そして環境と生態の基盤の上にあって始めて都市は成り立つ、環境共生の理念を掲げている。
多くの欧米の都市計画の中でごく常識になっているのは、都市計画の目標なり、目的があって、そのための手段としてゾーニングや容積率の手法がある。それが目的と手法の関係です。

残念ながら日本では(先ほどSさんは容積率について錬金術という言い方をされていましたが、)規制緩和の一番のシンボリックな扱い方が容積率規制緩和で、ロジックを考えると納得できない。
1980年代後半地価が高騰して都心、都市部では普通に働いている人は年収の5倍で取得できる住宅はほとんどないと、当時言われていていました。アフォーダブル住宅をどうするのか、都市に住宅が供給しやすいように規制を緩和するべきだ、住宅難に対処するために容積率の大胆な見直し、住居系を緩和して増やせといって容積率緩和論がなされた。皆さんの中にもバブルの頃の論調として記憶に新しいと思います。
バブル崩壊後、地価が下がり、現実問題都心区ではものすごい勢いで超高層マンションが出来上がってきている。今はもう供給過剰になりつつあるくらいに、いろんな意味合いの施設整備がなされています。それでも景気が回復しないで地価が下がっている。
地価を上がるのを抑えるために容積率規制をして、今度は地価を上げるための容積率を緩和しろと、底なしに、どう考えても実証できていない論理で来ている。問題が解決されていないのは規制が緩和されていないからだ、さらにまた違う問題が解決出来ないと、まだ緩和が足りない・・、と実証できてないままの積み上げになってしまっている。

本来 容積率の使い方はこうあるべきだ、と思うのは、まずはその都市の持っている環境容量や資源を考えて、適切な土地の使い方が多分あるだろうと、同時に都市の空間をどうやって作り上げて行きたいのか、そのイメージがまずあるだろうと。つまり「こういう理念の下にこういう都市空間を実現して行く。そのためには現行の空間利用に比べ別の使われ方となり、結果的に算定してみると容積率がこれくらい上がる、それによって他の環境問題との軋轢が出てくることに対しては、ちゃんと慎重なチェックをする」というロジックが普通だろうと思うが、現実はまず容積率緩和議論が先行している。その高くなった容積率をいかに使うか、空間を供給するかといった逆立ちの論議になっている。

それも含めてまさにご指摘のように、われわれは自分達の町、都市をどういう形で実現したいというビジョンを、専門家だけの専門言葉ではなく、一般市民が共有できる言葉で作っていかなければならない。
全国の都市マスタープランをつくる動きがあるが、そこでもそれは専門家の責任でもあるとされ、そのために理念、イメージが出来てこないのかなと思います。

司会W:Muさんの「区民が一人一万円で警大等跡地を買う」話について・・・

大村:私なりに考えますと、今は日本の経済が悪化していますが、日本の格付けが下がって、国債にも不安感がでている。が、実はあまっているお金を金融機関は必要なところに貸付しないでそちらのほうに流れているという変な構造が出来てしまっている。
考えてみればわれわれ中野に住んでいる区民にとって身近な政府である自治体と組みながら本当に良い空間を将来の世代のための資産として築くというなら、呼びかけ方法とコンテンツに負うところ大だが、「お金を募って町を運営して行きましょうと、これがわれわれの将来の世代に対する資産のための債権です、」というふうになれば、心ある人はいくら募集するかということでもあれば、良い投資になるのではないかと思います。

司会W:有難うございました。続いてMuさんから佐々木さんへ「もう少し突っ込んだ形で跡地をどうされるのかについて聞きたい」と言われた件、お願いします。

佐々木:
具体的には換地、他の住宅地で一番問題を抱えている地域の換地としての役割をメインにすえたいと具体的に言っているつもりですけれども。
移転の誘致地区として十分に考えなくてはいけないと思います。それは中野区の部長さんとも話したのですが、そういうものがないと、今の財政状況では何も出来ない、区の借金が700億と聞いていますが、1パーセントで借りても7億返していかなくてはいけない中でどう考えるのか。区民が一万円ずつ出せば、何人、何世帯が出せばいくらかという話は、ある意味で言うともう(債権として)やっているんですね。

小さな施設は中野区はどんどん作って来たほうです。地域に小さな公園、曲がりくねったこれでも公園なのかというようなものも区の財産なんです。それから地域センター、高齢者施設を各地域に作ってきた。一人一人館長や管理責任者がいる。その人たちの給料が職員3千人以上いて給料は800万円以上、それが管理に当たっている。そういう行政体になっている。「区全体的な考えでいかなきゃいけないんじゃないか」と会場のTさんが言われたのが一番ポイントなのではないかと私は思う。
跡地を緑の森にするにしても区全体のバランスを考えてすべきだ。たとえば野方に住んでいる人が1,2才の子供を連れてあそこまで行くのか地域ごとにそれなりの地域民生のための拠点を持つのか、これをどっちにしていくのか。

中野区は今、1歳から18歳までの年齢層の率というのが最低になってきている。15歳までの統計で23区中下から2番目です。ところが18歳から多分30歳の独身者および大学生は23区中2番目です。ということはどういうことでしょうか家庭を持って住居をどう考えるかなんですが、一時的住居かパーマネントに住むのか、これを誰が選んでいくのか、どういう地域を選んでいくのか。
僕が思っているのは何も家庭で子育てできるだけが住居ではない。シングルが好んで住むということも一つの町のあり方だ、特に現在の中野は現実上はそうなっているのではないかと思っています。一時的に住む18から30までの人たちが何で中野に住むのだろうと考えると、安いから。広い部屋はいらない。寝るだけですから。彼らにとって都心に近く通勤にも近いすばらしい住居を提供している。
若者の文化を大事にするのか、子供の声を聞きたい町するのか、全部いっしょに達成したいのか、まちづくりにとって大切ですよ。
大村先生からあった住宅の質と量と統計的に見るのではなく、質としてどういう住宅がどこにほしいのか、どういう形でほしいのかとイメージを考えて、その中で都市像が描かれなくてはいけないと思っています。特に
人口の問題、それから資産の所有の問題です。

皆さん議論から外していますが、警大等跡地は国有地です。区の財産として使うには区が買い取る必要がある。そのためにはいくらで買わしてくれるのかという問題と、それを運用するのに払う金というのは区税でまかなわれるのですね。
都立公園であればわれわれは負担しなくても良い、都税で払っている分で良いわけです。区税でやるとすると 今もう財政破綻している。
緑地を保護するのにどういう費用が掛かるか、都の緑地公園の面積あたりの運営費を聞いてみればわかりますが、区立にするとその辺もかかってくる。

僕が前から持っている議論ですが、民有地の持っている問題、これにこの跡地を生かしていくと考えなければ。
公有地だけの問題として考えると最後の可能性をなくしてしまいかねない。

最後に都市公団のKbさん、中野は良い物を持っているではないかとおっしゃいましたが、他の区と比較してみましょうかというと、これといってないんです。
昔はあったんです。小川もあったけれど、土手で遊んだこともあるけれど、氾濫もしましたが、今は柵がしてあってみんな民有地です。ところどころに神社があります。そういうものを残そうというのかあるいはもう一度取り戻そうとするのか。
新しい中野にとって、住民にとって良い文化のできる施設を作り出していこうと言った観点からすると、あるものを取り戻そうというのなら、もう失われたものが多すぎると思っております。

司会W:はい、有難うございます。

Mu:
今のお答えで、商工会議所の中野区産業活性化委員会の委員長だからその立場で考えられるのが判ってきました。都心居住と言うことではっきりしてきました。密集市街地の防災の問題と都心居住の問題をどう結び付けたか解りました。

防災の問題は情報公開をまずしていくことが大切だと私は考えています。あなたのうちは火事になったら必ず燃えますよという話を先に出しておいて、具体的にはそれだけではいけないと、いろいろな手を尽くしましょうというのは当たり前のことです。
代替地を用意する具体的システムとして、では警大跡地にどれだけ住宅を用意すれば良いのか、どの程度のレベルの住宅の立替の費用が掛かるのか、決めるのは大変なことです。
中野区民の皆さんは自らの意思で密集を作ってきたわけだから、ある程度自分の家が危ないとか、周りの道が危ないとか、おのずからご存知だと私は思います。
ですからそのことをはっきりと情報公開する、それでは庭先に建てたアパートを壊せば結構ゆったりしてくる。自分の負担というわけではないけど、もとの状態に戻していく。今は我慢する時代だと思うので、失われた10年が20年になろうが30年になろうが、なるものはなると私は思っています。

佐々木:
いちいち反論をしていると大変なんで・・・ただ地主の方々が本当に昔旦那さんでいらした方が、アパートにしたり下宿にしている方が実際にいらしているわけで、確かに防災のためにアパートを壊すのも良いのですけれども、この問題と言うのはみんなで考えていかないと、行政も含めて考えないと、確かに住み込んだ人たちは危険な地域とわかって住んでいるという話もあります。
ではそれでよいのかという問題の中で考えていけば、一番その問題というのは本当にそれでよいのかという議論が尽くされたことがあるのかということに結びついてくる。
確かにおっしゃる通りで情報公開がされていません。たとえばどの地域にもほとんど消防車が入っていけない地域、道路に全部線を引いていくと防災会議にはちゃんと提出されているらしいのです。それも公開されていません。われわれ市民が本当に考えていく材料が提供されていないのが今までだったが、今度の区長さんは出来る限り、出していこうとしていますが、逆に地域を代表している方々が問題点をどのあたりでセンセイショナルにならずに出すのかというのが難しい問題らしいのでその辺を皆さんと出して話していかなければいけないとおもっています。

司会A:ちょっとこのまま議論を続けていく前に一点。
防災を軸に佐々木さんのような観点もあって、非常に説得力があり、一方憩いの空間がほしいと言う意見もあるのですが、元々、この跡地については防災公園という計画要素はあって、もう一つ病院というのは もう 行政にとっては与条件、もう一つはごみ焼却施設でしたが最近の状況ではこれはもう要らない、となると防災公園だけが跡地を国から譲り受ける大儀名分というか、防災公園であるならば安く譲り受けられるというように、議論したくてもシステムの側から「防災公園にするんだ」という枠にタガがはめられているところがあると思うんですね。
佐々木さんのような「防災と言うのはもっと総合的に考えるべきではないか」という議論をする余地をフレームそのものが与えていない。今日メモが来ている屋久さんの防災に関するメモにも、接道を確保しなければ絵に書いた餅ではないかという意見もある。
このフレームのタガをはずす方法をご存知の方があれば議論の種として発言していただきたい。突破口になるのではないかと思います。

K:
Aさんに答えられるわけではありませんが、その前にMさんの意見に対して言いたいです。
自らの意思で危険を作ってきたというのは確かにそうけれど、危険を作ろうとしたわけではなく、緩い容積率があって、経済性を考えて夫々が家を作ってきたら、なんと とても危険な状態になってしまった。
それだったらば容積率が緩い事が問題で、そういうものを建てさせる法律がおかしいのではないか、といつも思っています。
出来ればゾーニングをもっと厳しいものにすれば、その範囲で経済的なものを建てるようになるし、そういうことを主張して行きたい。
それから佐々木さんのご意見ですが、ただただ人を動かすということは難しいと思います。土地には夫々の人が愛情や愛着を持って思い出を持って住んできている。住み替えていく人にとってはかまわないかもしれないが、一つの土地に住んでいる人をここは危険だから向こうに行きなさいという形では動かないと思うんです。それをこれから警察大学の跡地にそういう土地があるから皆さん行きましょうよ、と言われてもその議論を始めたら、もしかしたら防災公園が出来るかもしれない土地が、このまま塀に閉ざされたままになってしまうのではないかという気がしました。

司会W:とりあえずご発言を頂いていない方からお願いします。

S:知恵とかではないのですが・・・野方に、危険な地域に住んでおりますSです。(笑)
今回の議論を聞いていて思うのですが安全とか快適はマッチする言葉だと思います。
神戸以来、安全というと大震災みたいなことを想定する。ですけれども私は中野に住み始めて10年目になりますけど、中野の町を選んだのは、良いところがないという意見もありましたが、良いところがいっぱいあるので引っ越して来ました。子育てをして小学校、中学校に入っておりますが、それに対して非常に満足している。現在の生活にも満足している。ただ日々、周りの家が一軒壊されて2,3軒に増えるのを見るとKさんが言うように規制をかけてほしいなと思います。
だから住み続ける中野に愛着を持つのは何かと言うとヒューマンスケールというのですか、自分が日々暮らして喜怒哀楽を持った人間が買い物をしたり子供を育てたり、そういう観点からすると住宅都市、都市と言う言葉は嫌いで21世紀にもっと違う言葉を使ったほうが良いとは思うが、住宅地としては野方は快適です。
うちの周りは消防車が入れません。ではどうするのかは考えました。住民として考えていると思う。危険を承知で住んでいる。どんどん危険になっていったのではなくて土地の所有の問題とあると思うが、いま現在愛着を持ってまちづくりをしている中野のよさを保っていくような方向を考えていかなければいけないと思う。
跡地は先ほどから区になると大変だということなら国立公園とか、都立公園とか知恵を出し合って活動をしている人は沢山いると思いますし、私も支援をしていきたいので、そういう知恵をだしたほうが良いと思います。

司会W:ありがとうございます。ご発言いただいていない方どうぞ。

F:
東中野のFです。
防災公園にするというお話ですけれども、あそこは杉並区が囲んで入るようなところで、実際には杉並の住民のためのものになって区民が利用することは出来ないと思う。それをわざわざ中野区が区民のためという名目で防災公園を作るのは現実問題としてどうかと思う。
タガをはずすという意味では、エゴといったわけではないが、中野区と言うよりは中央線沿線の住民にとって魅力のある場所にしたほうが面白のではないか。杉並区とか三鷹武蔵野くらいまでの人をひきつける魅力のあるまちにしていくべきではないかと思うんですが。

司会W:はいありがとうございます。一番奥の方。

Ma:大和町のMaと申します。大和の住区協議会をやっているのですけれども、いろいろとどうしてこんなに大変な町なんだろうと思っているんですが、理想郷というの1Ha、一万平米当たり100人住んでいれば良いと、それが中野の場合は240人住んでいるんですよ。
それで一番問題になっているのはアパートです。中野の宿命と言うか、便利で学生時代を中野で暮らしたという人が多い。それをそのまま受け継いできているというか。私としては大変なところに引っ越してきてしまったという気がしています。とにかく一番大事な事は人口を減らすことだと思うので、警大跡地については公園にでもなれば一番良いとおもっています。

司会W:他にございませんか時間も迫ってきていますが・・・

佐々木:
あの、ごちゃごちゃした町でも好きだと言うことで そこでの知恵を育てていこう、中野で人口過密な町でいいじゃないか、その中でちょっとアメニティのある町にしたらいいんじゃないかという意見。
Maさんの方は人口がやっぱり多すぎていろんなところでまずくなるんで普通の人口密度にしていく上で跡地にまた、家が出来ちゃったんじゃたまったものじゃないということで公園かなんかにしたほうがいいんじゃない
・・と若干違う。
そして実を言いますと、あそこの地域の前の中野通り沿いは中野の経済活力の中心地域、都市計画マスタープランでは賑わいの心という風に位置づけた場所の近くなんですねえ。
何で賑わいの心にしたのというと、再開発で賑わいの心に出来るのはあのあたりしか無いじゃないですかという意見があったそうです。
しかし今あそこには商業集積があまりないんですね。そうすると非常に難しい都市計画マスタープランを作ったなあというとおもうんですけれど、やっぱり中野駅というまったくの中心市街地、ここを産業として他の区の方々が来て消費をするような市街地に育てたいという意見は事業者、大きな経営者という意味ではなく、商工を支えている町の事業者の方々には非常に大きいです。
このままで中野区の周りが(いろんなキャバレーとか言うのじゃなくて)ちゃんとした商業地として いったい栄えていくのだろうか、どうにかしてくれという要望もあります。
住民の方々からはどちらかと言うと防災、防災という言葉を変えてゆとりのある緑の町にしてほしいという要望。
どっちも大切なことだと思うんですよ。どっちかじゃなきゃいけないという考えで行くのか、どっちもなのかという考え方をまとめていかなきゃいけないと思います。
中野駅の周辺というのは非常に、というかあそこだけの問題じゃないんですね。本当に大きな問題をかかえています。その辺を解決をしていくにはあの大きな土地をどう生かすかという観念も含めながら是非考えていただきたい。あそこが公園になるだけで言いということになると中野駅周辺の意味合いを変えていくという事にはもう手がなくなる、という状況もあるんじゃないかという風に思います。

S:
今、佐々木さんがどっちかなのか、どっちもなのかという話で、私自身はどっちも出来ると思っています。
パークを作りながら、屋根がパークで下が商業施設とか、行政用語では防災公園かも知れないけれども市民公園、生活広場、ないしは私の言葉で言うとパーク、いわゆる公園ではなくて美しく楽しい場所、だから、昔アルハンブラという話をしたことがあるのですけれども、ここに綺麗な場所を作っていつも息づいているような施設を入れてすれば、きっと世界から人が来るというような施設を私は作りたいと。
それから自然というときにも、危険な自然も入れてみたい、アイガーの北壁、上る人がいて死ぬ人がいて、文化に対して何がしかのショックをあたえる。綺麗だと、上りたくなると。
今都市が病んでいるけれどもそれ以上にいわつる人間が病んでいる文化が病んでいるなら、それに対するインパクトのある何物かを持ってくるべきではないか。
ちょっと財政とかこれをどう可能にするかとかを考えるより、もうちょっと中野の可能性をみんなで夢を広げて、それを実現する方策は何かあるかというような話に持っていけると面白いと思うんですけれども。

佐々木:
まったくその通りだと思います。消防署跡地で僕、やっていたんですが、そのとき青少年委員の人たちが言ったことがあります。
「青少年のシアター作ってほしいんだろうとか練習所を作ってほしいんだろう」とかアンケートで聞いたら「僕らが
誰にも注意されないでそこでじっとして、たとえば空を見ててもいいとか、とにかく家以外で入れるところがほしい」という意見が多く、委員全員で驚いたことがあるんです。
そのくらい空間に飢えている若者達がいるということです。

Mu:
防災について言わせてほしいんですが、防災公園について、佐々木さんはそこまで災害時にみんなたどり着けないだろうという意見だったけれど、私は防災公園は復興の拠点にという面を考えるべきだと思っています。
なにか災害が起きたときには仮設市街地が当然必要になってくるわけだから、当然そのくらいの広さのあるものが必要で、学校とかを利用するのは当たり前のことで、それだけでは十分ではないです。たとえば小さ
な広場が神戸の時にもあったら大分一時避難の役に立ったんじゃないかという統計もあるみたいなんで、小さな広場をたとえば建物が壊れたときに区が仮設して進めていくとかは当然のことです。
道路に関して言えばすべての道路を4メーターにすることは100年、200年、かかってしまう。だから大きな街区といいましょうか、100メーターピッチで6メーター以上の道路を8メーターとかの道路を一つ作って、しっかりとした街区を作っていくことで、防災ブロックを作っていくとか、そういう方法論もあるんじゃないか、無理を推し進めていくのではなくって、様々なストックを利用していくというのは当たり前のことです。
わたし自身はそう思っています。

佐々木:あの私もまったく同じ意見です。
あと、もう一つだけ、練馬区では小学校を防災の拠点にしようしていると申しあけましたけど、外が火事でいっぱいになっていても、そこに逃げ込めば大丈夫なように小学校の防災化を強く進める、地域ごとにやっているということで広域非難所とぜんぜん違った議論をし始めています。

司会W:そろそろ予定の時刻ですが・・・

N:
冒頭、熟さないうちに話してしまったので・・・
あの、警大跡地でやらなくてもいいことは、公社住宅の30年くらい経ったのがありますね、南口再開発の中で出来るもの、他で出来ることは良いじゃないかと。
広場は作れないので強い行政意思がほしいと。
それも皆さん納得していただけるんじゃないかと思うんです
が、ぜひ広場を確保しようと、できれば連担した広場がほしいと、そこで祭りもしようと、ザルツブルクじゃないですけれど広場があって、その後ろに広場があって・・・。
防災というのは緊急時のことですから、毎日防災じゃないんですよ。
そこに意味があるんでそれがイベント広場なのか、という話なんだと思うんですよ。
折角あそこに建物が無い空間というのが、再開発の公開空地くらいでしか取れないので、今ある広場はぜひ何とか確保するという意思を持ってやらないと。
それで公園は10haで、区の権限はは10haまでと喜んでいるんですが、区は10haの公園を都心部に作る実力なんて全然ないですよね。喜んじゃいけないんですよ。
逆に都の義務、公園を作る責務って言うのかな、それをはずしちゃっているんですから。
区の責務になった、は10haで分けているので留保がない、それ以下の公園を都が手伝ってくださいというのが頼みにくいということもあって、いざというときヘリコプターが来るような場所という攻め口じゃないと。
防災防災というのはもちろん本当の意味もありますがお金の出所としては防災というのがあるんじゃないかとひそかに考えているわけです。
江戸川に行きますと、水辺に物資を送るときに船で送れるような港が出来ているんです。中野は空しかないじゃないかとか言いながら都に手伝わせると、公園だとうちの責任じゃありませんよ、ということも含めて作戦上の話で、その前にもっと夢を語りましょうというのがありますが。
防災というのは常に防災訓練をやっているわけではないので、そこを承知しておいていただいたほうがいいんじゃないかと思います。

司会W:他にありませんでしょうかご質問ご意見が出揃ったということであれば、時間も無くなってきておりますので、お二人のゲストにそれぞれのお立場でまとめていただく、そのためにはちょっとお時間が必要かと思いますが、少し延長になりますが。

T:
さっきお茶の時間に公団のOさんとお話ししていたのですが、国の土地ですとかを公園にするにはどういう風にして私達のものに出来るかしらと思うのですが、Kbさんは全国的にいろいろな例を知っていらっしゃると思うので、Kbさんお願いいたします。

Kb:先ほどの佐々木さんやNさんがおっしゃったような、作戦と言うのは大切かと思います。作戦に住民の方も一緒に乗っかることも大切かと思います。
たとえばトラスト運動というのがあって、住民の方が少し買うというお話がありましたが全部を買うというのは無理ですがそういう一部を買う、という意気込みを示すことで都とか国とかが乗ってくる。
そのためには活性化するような施設を入れても良いのではないか、たとえば民間ベースでもいいよというゾーンも余地も残して行くことで海老で鯛を釣るというかそういう作戦を一緒になって考えられると実現が早いんじゃないか、確かに区のほうも自分で買っても後の維持費も掛かる、そこら辺も踏まえて何が区民にとって得なのかと言うことを打算的かもしれませんが住民が良く議論したうえで考えておけばよかったなということになると思うんですね。
ですから今日のような議論が大事で、大村先生のような専門家にまとめていただく、しかもどこかで妥協とか戦術的なことを使っていくことも必要なのかなということを考えながら聞いておりました。

Mn:すみません、Mnでございますが、今の募金の話でございますけれど、実は龍ヶ崎の旧家の保存問題で動いていまして。大きなお宅が競売に掛かると、まちの人はこれを残したいという意思を強く持っていまして、昨日住民で募金をして意思を行政に示そうと、全部買うわけではありませんが基金として残そうということにしました。
住民の意思が現れると行政はじっとしていられない。何らかの反応をしなくちゃならないということになり、たとえば上野の奏楽堂の修理でパイプオルガンの修理に3000万かかるところ1000万寄付が集まって修理も出来た、行政はそれに対してお金をつけたということで、大村先生のご提案良いのではないか、夢のある提案ではないかと聞いておりまして賛成いたします。

防災のことで、先ほど佐々木さんの言うように車が動かないということもあるのですが、私はかつて消防庁の仕事をしたことがあるのですが、各家庭でノズルをつけ20メーターよりも長い自家用消化栓を持つ、私のうちは持っているのですが、初期消火には非常に有効で、小型消火器は30秒くらいしか持たないが、これならホースをもってご近所まで走り回れる。
特に密集地帯はそれが良いんです。そういう自家消火栓を各家庭に出来るだけ持つことを薦めることもある。
中野区は消火栓の数が少ないので、地域で対策を整えておくことが大切で、道路だけの問題ではないんです。

それから緑の問題で、「緑の循環型社会作り」云々、と「警察大学校移転跡地土地利用転換計画案」に出ております。今日の資料9ページにありますが、緑と広場のある公園にすれば当然防災公園としての問題もクリアできると理解します。

司会W:では、最後にゲストお二方にまとめを伺いたいと思います。最初に佐々木さんからお願いします。

佐々木:今日はゲストということですが、皆さんと同じ視線で、私は先生と呼ばれる筋合いではない、中野のワンセクターを代表して来ているつもりです。ただ勝手に自分達だけのことを言ってたのではまとまらないわけですね。
それぞれのセクターが真剣に求めていることがあるわけでして、話し合いで、一つの土地をどう活かして行くかに結び付けていかなくてはいけないと思います。

あそこをいろんな人に聞いて見ますと、ギャンブルのセンターにしたら中野区に税金が入って、人が集まっていいと言う人もいますし、ラスベガスにすれば良いと真剣に言っているわけです。
サンプラザも売りに出ていて、中野のモニュメントですが、あそこの土地は500万円で3000坪、150億円集めなきゃ買えない。それを中野区民が買うとなると一人いくら集めることになるのかな。
(だから)財務というのは大変なことです、理想論(を言うの)は簡単なことですが。
どこにやらせるかは別として(我々が買わないで済む)仕組みを作って、その後の運営費を我々区民の税金で、他の区よりも高いような税金でまかなって、帰ってこないようにするのか、そういった知恵も含めて。

また、こういうことばっかり言う人もいるんですね。いつも区の職員は年報800万だ800万だと言い続けている人もいます、そんなに要らないとかね。区議を少なくしろとかね。区長換えろとかね。でもそういうこと(節約だけ)じゃまかなっていけない、みんなでとにかく、この区作りを、区の状態を作っていくこと、そして総合的なプランを作っていくこと。
それも「ヤなところ」も見ながらやっていかないと、とても無理ですねという気がします。

そういうことで経済界はこの2月から初めて活性化委員会を作って「ヤな話」もやっています。
じゃ、経済界も負担するの?そのお金を出さなきゃいけないの?いま、不況でみんなほとんどお金出せないんですね、でも出せない中でもどうにかしていかないと杉並に負けちゃうんじゃないかと。アニメフェアとかいろいろやっていますね。新宿もどんどん繁栄しています。中野区の人はみんな(そっちに)行っちゃって商工業の人はみんな落っこっちゃっうのかな?
そういうことでどうにか中野区の事業者がなんかやっていかなきゃいけないということでみんな動き始めています。

そういった意味も含めてみんなで作り上げていくのが本当のまちづくりかなと。
(その上で)こうもしたいというとき、外部の知恵を借りていくんですよと。
外部の知恵にはいろいろと「先生」とかいろいろありますけれども、われわれにどんなまちづくりにしたいのかというのが、基本的にない限りは、先生達の頭は使えないと言うことだと思います。

あるいは国や都の助けも、こういう風にしたいから金を出せという話だったらいいんですけれども、それがまとまっていかないと、やっぱり言っているだけに終わってしまって、今まで、中野区にお金が来たことないんですね、やっぱり。そういったことになっちゃうんで。
そこで、案作りをしようという、こういう会が一番大事になってくる、これから大事になってくるんだなあと考えてますんで、これに終わらず、コンクールとかもあるそうですが、いろいろな発想を区民から吸い上げてどういうまちづくりにしていくのか皆さんの活動を僕らも一緒になって、頑張って行きたいなと思います。よろしくお願いします。

大村:はい、私も今日参加して、いろんな人のご意見を伺って改めて考えさせられるところが沢山ありました。
そのことについて 2、3申し上げたいと思います。

今回の警察大学校等跡地の問題に関しては、一つは防災の問題をどう考えるかという話があって、佐々木さんのご意見なんかでは、たとえばそういう種地受け皿という考え方もあるのか、なかなか魅力的なアイディアなんですけれども、ただ、今までこういうやり方は提案されてきたんですが、なかなか実は動いていないんです。
一回目は動くんですが順次それで、プランナーのアイディアではそういうので行ってっていうんで、公団のKbさんは良くご存知だと思いますが、墨田区の橘町であるとか、あるいは新宿の百人町なんかでもですね、国の官舎があって、建築研究所というのがそこにあったんです。建築研究所の跡地を住宅を作って、そこで密集したところの人に移っていただきましょうとやったんですが、なかなか動かないというのが実態です。
そういうのは先ほどKさんがおっしゃっていたような、人々の思い入れというかいろいろな形になっている。

で、やっぱり基本は僕はオンサイトって言いますか、その現場現場でいろんな改善をしていくって言う話でやっていかないと、もちろん、うまくつなげられる部分に関してはできる限りやっていくけれども、それは一朝一夕にはうまくいかないと、まずはある身近な地区レベルのケースの中で、小さな外科手術みたいなことを少しずつ組み替えながら時間かけて改善していくって言う作業が、やっぱりこれ、50年かけて出来上がった市街地ですから、5年10年で全部改造できるっていうのは難しい話ではないかな、って気がします。

ただ、西山さんがご指摘されていたように、ここの種地のところでやっぱり、実現できる空間としてスケールの大きな広場っていうのを是非実現して
いただきたいんですが、広場って言うものの魅力をかもし出すには実は周辺の建物といいますか、どういう施設が存在するかによって広場の魅力って言うのが出てくるんですね。ザルツブルクにいらしたっておっしゃってますが、オーストリアの19世紀から20世紀にかけて活躍した有名なジッテという人が広場についていろんなデザインのことを勉強してこれをだした本がありまして、都市のデザインを考える人にとって古典的な作品になっているんですが、彼がヨーロッパのいろんな広場を見て調べた限りでは、やっぱり広場になぜ魅力があるかって言うとその周りの建物と一体感のなかで広場としての魅力が出てくる。
ちょっとこれを商業空間に置き換えて見ますと、いかに商業施設が儲かるからといって、全部商業空間で埋めてしまったら、その商業空間は魅力がなくなってしまう。むしろ非常に良い広場があって、そこに適切な魅力を持った商業施設だったり、文化施設だったり交流施設だったりすることで広場の魅力と建物の関係が出てくるんだって、多分考えていかなくてはいけないんだろうなと考えています。
これはやや一般論で、ここに即してどういう風に考えていくかは多分これから皆さん方のアイディアをいろんな形で集積させていく必要があるのではないかなと考えています。

で、もう一つ、今日の話を伺っていていろんなご意見があって、中野は魅力がないという方、いや、そうではないという方・・・。
私は思うに日本のまちづくりの比較優位性は他の国々にとって言えば、Kbさんも指摘されていましたように比較的ヒューマンスケールの空間がいくつかの所で残っているとかですね、それから今までの所は夜遅く女性の方が街中歩いても安心して歩ける空間が沢山あったとか、それから幸いいろんな人々のケアがあって、いったん物理的には災害時に危険なところでも、その人たちの注意によって安全が保たれている。そういう物的環境の改善と同時に、そこに住む人たちとか活動する人たちがどうやってその空間に対して配慮するかとか一体化するかにって、実は空間の魅力が生み出されていくんですね。そういう日本の今までまちづくりの持っていた比較的特色で諸外国に比べても誇れる美点はできる限り継承して行きたいと。

でこういうところで大空間を作るにしてもですね。小空間とかヒューマンスケールを持った空間をこの中でもどうやって埋め込んでいけるのかってことを実はわれわれは考えていかなければいけない課題なんじゃないかなと思います。

で、この企画のなかでも、いろんな市民レベルの方々でのアイディアなり、コンクールをするという、これを契機にですね、できる限り、あのさっきAさんが指摘されたように、もう警察病院が来るとかこういう形のことは決まっていて多分受け入れざるを得ないと思うんですが、この空間構成に関してもでき得る限り 市民の要望を入れていただいて。ひょっとしたら警察病院は閉鎖的にしないで頂いておいて。もっと こんなかに たとえば広場みたいのを組み込んでいただく。
こういうことが実現できるかどうかは多分区が相当ですね、プランニングパワーを発揮してですね、協議していくってことだって考えられないことではないと思います。

折角の一体的なまちづくりをどうやってつなげていくかってことをやらないと、まあ、街区毎にゾーニングしてしまって夫々毎に考えていくのでは折角の空間が生きてこないような気が僕はしています。

そのあたりが私の今日の感想でございます。

司会:はい、お二人のゲストの方、本当に有難うございます。最後になりますが、私どものティーチインの専門委員会の副委員長でもあります I さんのほうから、閉会に当たってのご挨拶といいますかお話を頂きたいと思います。

I :本日は中野まつりのティーチインにご参加いただきましてありがとうございます。警大につきましては皆さん いろいろなご意見があると思いますけれども、やはり 今 そこを持っているのが国で、ゴミ焼却場なんかの問題で言えば決定権があるのが都を受け継いだ23区一部事務組合で、区は金もないし、まあ知恵もないとは思いたくないんですけれども、そういう状況の中でこういう会議とかこういったものを通じてですね、議論を続けていく、関心を持ち続けることが、これから区が少し主体的に都や国に交渉をしていける後押しなればと思っております。その意味で今後もこういう会を続けて行きたいと思っておりますのでぜひ またご参加いただければと思っております。どうも有難うございました。

[TOPPAGEに戻る]