心の離脱

      2度の離脱を終え、秋から冬にかけて皮膚の状態はだいぶ落ち着いてきた。
     所々まだ皮膚のうすいところが残り、赤みがあるけれど、かゆみや炎症はひとつも
     なくなっていた。あとは、春先に毎年起こる杉花粉によるかゆみが怖かった。
     ちょうどその頃、なんの因果か妹が、とある皮膚科に勤めだしていた。
     そこで抗ヒスタミンの飲み薬と、調合された非ステロイドの塗り薬を処方
     してもらうことにした。

      5月頃、花粉が少なくなってきたので、それらを止めることにした。
     ところが、また離脱症状に陥ってしまった。
     なぜだろう?ステロイドは入っていないはずなのに・・・。
     またしても どん底に突き落とされてしまった。
     今度ばかりはなにがなんだか、本当に分からなくなって、パニくってしまった。


      以前、何の気なしに読んだ本を なぜだかもう一度サウナの中でじっくりと読み
     返そうと思った。その本を読んでいくうちに、なぜ今回またしてもこんな体験をした
     のか、なんとなく分かった気がした。その本は、アトピーとは全く関係ない本だ
     と思っていたのに、そこには、私へのメッセージがたくさん書かれていることに
     気付いた。私は、愕然とした。
     「薬物離脱は、誰でも終わる。問題なのは、心の離脱がとても難しいこと。」
     という意味がやっとわかった。
     薬物離脱は、長い短いや苦しみの程度の差はあっても、自然とその時期がくるのだ。
     しかし、ステロイドに限らず恐怖のあまり、もう自己の力で治せるということを
     忘れて、薬に頼ってしまった。このことが、問題だったのだ。


      何かに頼る、何かにすがろうとするその依頼心を克服できなければ、この病気
     に終わりが無い事を知った。極端に歪められた自分の心で世間を見たり、物事を
     考えたりしていたのでは、克服できないと感じた。


      それからそのひどい炎症も数週間で消す事ができた。
     何も使わずに・・・。
     そしてそれ以来、その本は妹と私の宝物になった。私たちは暇さえあれば、その本の
     ことを話し、自分は何者か?なぜ産まれてきたのか?なぜ今生きているのか?
     なぜこんな体験をしたのか?などとゲームをするかのように考え、話しあった。