ブルースの真実

ジャズを演奏する上で重要な意味を持つブルース。非常に簡素ではありますが奥深いこのブルースに秘められる魅力は何であるのか?ということを音楽的に解剖する試みをしてみたいと思います。ジャズの発生と時期を同じくして生まれたであろうブルースの全貌を果たして、どこまで解明できるものなのかどうかはなはだ未知数ではありますが大いに意義のあることであると考えますのでこのホームページ上で検証を行います。

我々は主にモダンジャズとしてジャズが全盛を極めた時代、1950年代から60年代にかけてのジャズを演奏する場合が多いわけですが、これから述べることはブルースがジャズという音楽ジャンルの中でその形式を確立した以降のことです。ジャズ、ブルースの発生はそれより半世紀ほど遡ります。当時の時代背景も知っておく必要があると思いますのでページ下に記しました。

1.  リズム

ブルースのリズムは他の形式のジャズと同じく、その大部分を占める4分の4拍子(4ビート)が基本です。ジャズとクラシックや他の音楽との大きな違いはそれぞれのリズムに顕著に現れます。クラシックにおける4分の4拍子はその1拍目に強勢(強拍)が置かれ2拍目以降は弱拍となりますが、ジャズでは2拍目と4拍目に強勢(強拍)があり、1拍目と3拍目は弱拍になります。従って、同一のメロディを演奏する場合でも、クラシック奏者とジャズ奏者が演奏するのでは異なった奏法(聞こえ方)になります。強勢がどこに置かれるかというだけの理由によらず、ジャズにおける独特な8部音符の演奏法やシンコペーションによってもメロディの聞こえ方は大きく違ってきます。

リズムセクションにおける各パートの役割という観点からリズムを考えてみましょう。

1.   a.ドラムス

楽器の性格上、ドラムスが他のメンバーに与える影響は大きいので規則正しいビートを保つことがドラムスのリズムセクションおける基本的な役割となります。ジャズのリズムは不変ではないとも言われますが、正確なテンポをキープすることが第一に考えられるべきではないでしょうか。このことはいわゆるスイング感とも密接に関連のあることで非常にデリケートな意味合いがあります。まったく一人でのソロ演奏は別にして、ジャズではソロ演奏でも大体においてリズムセクションのバッキングと一緒に演奏されます。常に何人かのアンサンブルで演奏される訳でみんなが決められたテンポを意識し、一定のテンポで演奏できる技術を持たないとバラバラのアンサンブルとなり、聴くに耐えないものとなってしまいます。

ブルースにおけるドラムスの基本的な奏法は一般的な4ビートにおける奏法と違いはありません。

下の譜例で左と中はライドシンバルあるいはスネアドラムの奏法、右端はハイハットシンバルの足型の例です。この譜例でも2拍目、4拍目に強拍が置かれていることがわかります。

また、付点8分と16分音符あるいは3連音符で記されている部分は通常2つの8分音符で記譜されますが、指定された場合を除き1拍を3連音符の分割としてとらえて演奏されます。何人かのグループ演奏においてテンポをキープするためにはメンバーそれぞれが音符の長さに対して同じ認識を持つことが重要です。

 

1.b.ベース

リズムセクションの中でベースの担う役割を考えた場合ひとつには4ビートの鼓動、もうひとつにはハーモニーのベースラインを形成することにあります。ドラムスのバスドラムも4ビートの鼓動を創り出しますが、ベースと違う点はその音の伸びにあります。ベースの音質は一般的に重厚で伸びのある音が良いとされており、バスドラムの短く切れる音とは性質を異にします。ベースラインの形成にあたってはハーモニーの根音(ルート)と5度を提示するのが基本的役割となりますが、ジャズにおいてはより自由にベースラインが創り出されます。構成的には大きく分けて分散和音(ブロークンコード)型と音階(ウオーキングライン)型が考えられ、その構成音の選択には以下の可能性があります。以下に使用されている音はすべてコードトーンですがコードトーン以外でも経過音として使用されることがあります。

1小節を下のコードトーンを使用して4ビートで弾く場合、可能性としては5の4乗、625通りの組み合わせが考えられますが実際にはコードと調性を考えた音が撰ばれることになります。例えばFのコードで1拍目から順にA−C−A−Cと弾いた場合にはFと言うよりはAmの響きになってしまいます。

c.ピアノ

ジャズバンドでのリズムセクションはほとんどがピアノ、ベース、ドラムス、たまにギターが加わった編成ですが、ピアノの場合ドラムスやベースと違う点は、そのリズム型に決まったパターンを持たないことと、コードを鳴らして全音符、2分音符、4分音符、シンコペーションリズムなどでリズムセクションに彩りを添えるといったところでしょうか。

ギターの場合にも言えることですが、コードを弾く場合にどの音をどのように組み合わせるかがピアニストとしての技量がうかがわれるところです。ギターとピアノが驕傲する場合には音域を違えることで解決できることですが、問題となるのはピアノの左手とベースが驕傲する場合です。そうした場合、ほとんどのピアニストがその左手に根音や5度の音を含まない組み合わせで解決しているようです。逆に、その効果をねらったピアノとベースのオクターブユニゾン奏法は良く使用されます。

次の譜例はブルース進行における左手のヴォイシング例です。

2.ハーモニー

2.a.コード進行

 ブルースにおいても伝統的和声法にそったハーモニーが使用されます。ジャズ発祥のその初期に生まれた12小節形式のブルースは主和音、下属和音、属和音の主要3和音を使用した簡単なものであったろうと思われますが、その基礎的コード進行と構成をみてみます。

 上のコード進行において1小節目のCM7と4小節目に現れるC7とはその機能が異なります。ルート(根音)はC(ド)で同じですが和声的機能を較べた場合、1小節目のCM7は主和音(トニック)であり、4小節目のC7は属和音(ドミナント)です。また、2小節目と5,6小節目にあらわれるF7の和声的機能は下属和音(サブドミナント)であり、9小節目のDm7も同じサブドミナントとしての機能を持ちます。

 最初の4小節はC、次の2小節はF、後半の6小節はおおよそCの雰囲気で構成された上のブルースでそれぞれのコードの持つ和声的機能は上に述べたとおりですが、10小節目のG7について少し考えてみます。

 まず、G7はこのブルースのキーCに対するドミナント7thコードでGを根音としてその上に長3度、短3度、短3度の音程で和音が構成されています。ドミナント7thコードの第2音と第4音に注目した時、3全音(Tritone)を構成し非常に和声的に不安定で第2音Bはトニックコードの主音Cに、第4音Fはトニックコードの第2音Eに解決して安定します。4小節目のC7も次のF7をトニックコードと考えた場合にはそのドミナント7thコードとしての機能を持つことになります。   

 ジャズのコード進行においてはこのドミナント7thコードが非常に大きな影響を与えます。ちなみに、ドミナントという言葉には支配するという意味があります。ダイアトニックコードをコード進行の方向という意味合いから考えた場合、トニック、ドミナント、サブドミナントコードの位置関係は次のようになります。

 

Subdominant

Dominant

Tonic

IIm7

IVM7 or IVM6

V7

VIIm7-5

IM7 or IM6

IIIm7

VIm7

 

3.メロディー

3.a.主旋律

 音楽の3要素のひとつであるメロディーは厳密には音の高低のみを指しますが、現実的にリズムのないメロディーはありません。ある曲のテーマにあたる主旋律、主旋律に対応するカウンターメロディー(対旋律)、主旋律を発展させたヴァリエーション等々ありますが、ジャズの場合、ブルースも含めて曲の冒頭あるいはイントロダクションの後と終曲部に演奏されるテーマを指す場合と、インプロヴィゼーションにおけるアドリブメロディーがあります。ジャズがクラシック音楽と大きく異なる点はこのインプロヴィゼーションにあります。

 ジャズの主役はインプロヴィゼーションということもあり、いきおいテーマメロディーがおろそかにされる場合があります。しかし、メロディーは依然音楽の主役でありますので十分な注意を払って演奏されなければなりません。テーマメロディーはコード進行とともに作曲家の意図を顕わすものであり、その意図を十分聴衆に伝える義務をジャズプレイヤーは果たさなければなりません。インプロヴィゼーションは作家の書いた文章、画家の描いた絵など他の芸術と同様、プレイヤー個人の様式が顕著に顕れますがプレイヤー個人の様式をもって作曲家の意図を伝える必要があります。

 下の譜例は横浜モダンジャズクラブでも取り上げている、C・ブラウンのブルース「Sandu」の最初のテーマ部です。ハイスクール時代に創った曲が元になっているということですが、まさに天才という名に相応しい出来映えのブルースではありませんか?コードトーンを主体に、9thや11thはせいぜい経過音。効果的なブルーノート、と決して難しい音使いではありませんが絶妙なリズム(譜割り)と相まって楽しい曲に仕上がっています。オリジナルは最後のトニック前のII―Vの部分のみにハーモーニーが付けられているのを除きトランペットとテナーサックスの2ホーンユニゾンで演奏されています。

 この曲は最初のAuftaktから2小節目の4拍目までをひとつの動機と捉えると、以降は2小節単位で前の動機の変奏(ヴァリエーション)と発展と考えることができます。このようにメロディは一つの動機から様々な変奏に展開されて創られていることが普通です。アドリブのためのメロディを創る際にも、一つの動機をコード進行に合わせて発展させていく方法はひとつの手法として考えられます。メロディーフェイクもテーマメロディーのムードをキープするために効果的な場合もあります。また、そのコードあるいはルート(根音)に響きの良い音を撰ぶことが大切です。どの音の響きが良いかはたくさん良い音楽を聴いて耳と音楽センスを養うことがアドリブプレーヤーには必要なことです。

 演奏をする際の注意として、動機やフレーズの切れ目に合わせて息継ぎやスラーを入れることが必要になります。特に何人かで合奏する場合には必ず演奏前の打ち合わせをしなくてはなりません。

4.ブルースに使用されるスケール

 ここまで音楽の3要素であるメロディー、ハーモニー、リズムをブルースの関連から考察してきましたが、次にスケール(音階)との関連を考えてみたいと思います。あるスケール上にできるダイアトニックコードひとつを時間的な流れの中で考える時、それぞれのコードは垂直的な静止したものであると言えますが、アドリブの中でコード(和音)を考える場合には垂直というより、むしろ水平的な音の連なりとして捉える必要が出てきます。和音を構成するコードトーンだけでアドリブは成り立ちませんのでアドリブを組み立てるためにはノン・コードトーンを加えたスケールを基本に考えなくてはなりません。

 ブルースは本質的に声楽的音楽であると言われます。ブルースを唱い、演奏するものが素材に加える個人的処理がその本質です。発生当時のジャズの録音というものはありませんし、もちろん楽譜なども存在していませんのでブルースがその発生初期にどのような形式を持っていたのか確かめるすべはありません。しかし、現在に12小節のコード進行、楽譜では表現できない歌手のいろいろな発声技術、自由なアプローチと音程に対する柔軟性の点からも南部プランテーションで働く黒人奴隷がアフリカ的な発声法を取り入れて唱ったニグロ・スピリチュアル、ゴスペル、ワークソングなどから生まれた形式が唱い継がれたというのが妥当な見解であるように思います。声楽性はジャズの基本的概念であり、楽器を使う場合も唱うように演奏するということが理想とされています。

 そこで先ず理解しなければならないスケールにジャズ特有のブルーノートを加えたスケールがあります。3rd、5th、7thのピッチが半音程下がった以下に示すスケールですがブルーノートの実際はブルース歌手が唱う音であり、ピアノで表現出来る音とは少し異なります。スケールについて述べるとスケールを構成する音そのものの性質についても説明を加えなければなりません。というのは現代のピアノの音階は平均律という調整された音でオクターブが12の半音に平均等分されています。平均律は何調で演奏しても同じ響きが得られるので利点があります。このピアノで弾くフラット3rd、5th、7thの音とブルース歌手が唱うブルーノートは正確には同音ではないことを認識しなければなりません。実際のブルースにおいてどのような使われ方をしているかについても譜面上で見てみましょう。

  ブルーノートスケール(矢印の音がブルーノート)

5.ブルーノートのアドリブでの使用例

  下に掲げた譜例はチャーリー・パーカーのビリーズバウンスでのアドリブで1コーラス目12小節を記したものです。1945年11月から1948年9月までの間の何時か定かでありませんが、録音されたものでトランペットを加えたクインテット編成での演奏です。

 このソロにおけるブルーノートの使われ方をアナリーゼしてみたいと思います。コンサートキーはF(アルトサックスの場合はキーDとなり、記譜は6度高くなります。)、テンポは160位でゆっくり目、それほど難しいフレーズではありません。1小節目にフラット3rd(G#)とフラット5th(Bナチュラル=Cフラット)が出てきますが、この2音は連続した上行音の中で使用されていますのでクロマティックスケールの使用(あるいは経過音)と解釈したほうが理解し易いと思います。同様に6小節目の2拍裏のGから始まるパッセージもクロマティックスケールと解釈します。

 3小節目に戻りまして、2拍目のEフラットと5小節目2拍目のAフラットに注目します。F、Bフラットとそれぞれコードは変わりますがコードの基音から始まるスケール上でみた場合、コードF、コードBフラットのスケールトーンに当てはまらずそれぞれの第7音(7th)が半音程低いブルーノートとして使用されています。このブルーノートを半音高く元のスケールトーンに戻して演奏し、聴き較べてみるとブルーノートの効果がより分かりやすくなります。そして、このムードの違いを聴くとブルース歌手の微妙なピッチをいかに楽器で表現できるかということを考えずにはおられません。

 また次に続く音を考えた時、3小節目のブルーノートは長2度高い音、6小節目のブルーノートは短3度低い音につながっています。ブルーノートに続く音とブルーノートから続く音、つまりブルーノートの前後の音もそのムードを確かなものにするために重要ですのでソロフレーズを創作する際にはその点にも留意することが必要になります。特に4小節目4拍裏から5小節目にかけたフレーズはチャーリー・パーカーの演奏に頻出しますがこの例のような音程のフレーズはブルーノートの典型的な使用例といって差し支えないと思います。

6.アベイラブル・ノート・スケール

 ブルースで繰り返される12小節のコード進行にはその基本的、かつが見られます。いわゆるトニック、サブドミナント、トニック、ドミナント、トニックと解決するコード進行はコードを水平的な音の連なりとして捉える必要が出てきます。それぞれのコードの機能においてはブルースに限らず適用可能なスケールがあります。ジャズでは一般的にアベイラブル・ノート・スケール(Avaialble Note Scale)と呼ばれ、それぞれのコードの機能に合ったスケール(音階)がアドリブやハーモニーを創るために使い分けされます。

 以下のブルースのコード進行において、それぞれのコードの機能に当てはまるスケールには以下のようなものがあります。 

ブルースコード進行例

 1小節目のCM7はトニックコードでアベイラブル・ノート・スケールにはイオニアン・スケールが使用されます。その他の可能性として、リディアンスケールがあります。
 2小節目のF7はサブドミナントコードで一般的にはリディアンスケールが適当ですがコードの構成からはドミナント7thの機能を持っていますのでミクソリディアンやリディアンスケールの第7音を半音下げたリディアン7thスケールが考えられます。
 9小節目のDm7はドリアンスケール、10小節目のG7はミクソリディアンスケールが一般的です。トニックコードに解決するこのドミナントモーション部(リズミックアタック)はサブスティテュートコードで置換えられたりして、コード進行も豊富で多彩なアベイラブル・ノート・スケールが考えられます。詳細はページを改めて考えてみたいと思います。 

ブルースの発生とその時代背景

  ブルースは本質的に声楽的音楽です。ブルースを唱い、演奏するものが素材に加える個人的処理がその本質です。発生当時のジャズの録音というものはありませんし、もちろん楽譜なども存在していませんのでブルースがその発生初期にどのような形式を持っていたのか確かめるすべはありません。しかし、現在に続く原始的ともいえる12小節のコード進行、楽譜では表現できない歌手のいろいろな発声技術、自由なアプローチと音程に対する柔軟性の点からも南部プランテーションで働く黒人奴隷がアフリカ的な発声法を取り入れて唱ったニグロ・スピリチュアル、ゴスペル、ワークソングなどから生まれた形式が唱い継がれたというのが妥当な見解であるように思います。声楽性はジャズの基本的概念であり、楽器を使う場合も唱うように演奏するということが理想とされています。

 ジャズは19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ南部のニューオリンズもしくはその周辺を含む地域で生まれました。ニューオリンズという町はもっとも複雑な人種構成と歴史的背景をもっていたところでその社会環境から生まれるべくして生まれた音楽であったのです。

 1803年にナポレオンが1300万ドルで合衆国にルイジアナ地方を売却するまでこの地はフランスが支配する土地でした。また、スペイン人が初めて訪れた地でもあり、ドイツ人や大西洋岸から移り住んだイギリス系移民も混在していました。さらに、1619年以来西アフリカから安価な労働力として輸入された黒人奴隷の子孫たちの存在が社会的環境を特殊なものにしていました。19世紀に入り、南部綿花プランテーションが急激に発展する頃にニューオリンズの黒人奴隷の数は急増しました。他の地域と違い、フランスの統治下にあったニューオリンズにおいて黒人はアフリカからの奴隷の末裔であるアメリカン・ニグロと黒人奴隷の女性が白人の主人との間に生んだ混血児やその子孫であるクリオールに区別されていました。

 フランス人やスペイン人の血を引くクリオールは白人としての身分を保証され、クリオール語を使い、白人同様の教育を受け子供たちにも正規の音楽教育をほどこすなど、文化や技術を愛する一種のエリート階級を構成してアメリカン・ニグロに対し優越感をもって見下しておりました。このような社会環境は19世紀半ばの南北戦争が終わるまで(1865年)続き、その後の奴隷解放令によりクリオールは没落してアメリカン・ニグロと同等の扱いを受けるようになります。ここで注目したいのはこのクリオール没落の背景には南部の白人による北部人に対すると同様の敵対視があったということです。

 ここで、アメリカン・ニグロ特有の音楽的感覚とクリオールの持つ西洋音楽の教養が混じり合うことになります。彼等は南軍が敗戦により放出した楽器を手に取り、白人ブラスバンドを見よう見まねで演奏するようになりますが、読譜力もなく独学で楽器を操り独特のフィーリングで吹きまくるアメリカン・ニグロとクリオールが一緒になってブラスバンドを演奏した時、白人ブラスバンドとは異質の音楽表現が生まれたのでした。白人ブラスバンドにない独特のシンコペーテッド・リズムやスイング感、それと共に読譜力の不足からアドリブも部分的に加えられました。

 このような自由な演奏の中からラグタイム、パレード、ミンストレル・ショーなどの音楽と明確に区別されたジャズと呼ばれる音楽が1900年前後から1910年の間にニューオリンズで形成されました。メンフィス、セントルイス、ダラス、カンザス・シチーなど南部や中西部の他の地域でも同様の傾向をもった新しい音楽が生まれつつありましたが、もっとも明確な形となって現れたのがニューオリンズの音楽でした。これは白人と同等の権利を与えられたクリオールの存在がニューオリンズ周辺のルイジアナ以外では見られなかったことからジャズ発生に関わるクリオールの存在が浮かび上がってきます。