このページでは横浜モダンジャズクラブで採り上げる新曲の紹介を行います。作曲者の紹介やその背景、音楽的手法などについてのコメントを掲載してあります。
このページを更新するのは久しぶりですが、これから頻繁に更新する予定ですのでご期待ください。
Starmaker
このところトランペットの築地さんからの譜面提供がたくさんあり、嬉しい悲鳴を上げています。これもその内の1曲でR・ハーグローブの作曲です。
リズムセクションが創りだす一定のリズムパターンをバックに美しく割と静かなテーマメロディーのあと、アドリブが繰り広げられます。
トランペットとアルトサックスあるいはテナーサックスのハーモニーで書かれていますが、今回はアルトサックスでお披露目したいと考えています。
Moment’s Notice
J・コルトレーンの曲の演奏は多くありませんが、Jazz Giantsの作品ということで、2012年2月に演奏しました。
Epsitrophy
T・モンクの作品ですが、彼独特のコード使いのムードを出すことが出来ればと思い選んだ曲です。トニックとドミナントコードを交互に繰り返すテーマメロディーが続きます。同じフレーズの繰り返しは高揚感を徐々に高めてゆくために使われる有効な手法ですが、サブドミナントマイナーのブリッジ部で単調なメロディーに変化を与えたA-A-B-A形式となっています。
ここに収録したものは、2012年2月に演奏されたもので築地孝のトランペットと西沢英世のバリトンサックスがユニゾンでテーマを演奏しています。1コーラスのドラムスソロを終えてテーマメロディに戻りますが、ドラムスソロのバックに入っているピアノの絡みもなかなか面白いと思います。
First light
F・ハバードの作曲で1971年録音の同名のアルバムに収められている曲です。トランペットの築地さんが提供してくれました。
メロディーテーマはロングトーンが美しく流れますが、J・ディジョネットが創り出す複雑なドラムスパターンとベースの2つのコードだけからなるリズムの対比に乗ってのアドリブがオリジナル演奏での聴かせどころとなっています。
横浜モダンジャズクラブの演奏はトランペットとアルトサックスのハーモニーに重きを置いた演奏になっています。
Frenesi
オリジナルはメキシコ南部のマリンバ奏者アルベルト・ドミンゲスが1932年に作ったラテン・ナンバーで「熱狂」という意味の曲です。
横浜モダンジャズクラブジェリー・マリガン・カルテットの演奏をカバーして、バリトンサックスとトランペットの2ラインソリが聴かせどころになっています。
Just friends
プロにもアマチュアにもよく採り上げられるスタンダードソングで、インターネットに曲名を入れるとヘレン・メリルとスタン・ゲッツのアルバムが出てきました。ライブハウス「フレンズ」での演奏のためにメンバーの築地孝から当バンドの編成向け譜面の提供をいただきました。
トランペットとアルトサックスのイントロに続いて西沢英世のアルトサックスソロ、築地孝のトランペットでオブリガートで始まり、テーマの後半部はメロディーとオブリガートが入れ替わって奏されます。
ここに録音されたものは4月に吉田町アート&ジャズフェスティバルで収録されたものです。
Jeru
ジェリー・マリガンが自らの愛称を曲名にしたワンコーラスが32小節の曲ですが、各部の小節数が均等では無いのでアドリブを構成するには気骨の折れる曲です。
太田町のNEWSハーバーで横浜モダンジャズクラブが演奏したものをアップロードしましたので聴いてみてください。
Jordu
新曲ということではありませんが、先日の横濱ジャズプロムナード「街角ライブ」クロスゲートでの演奏をアップロードしました。
テンポが少し早かったかなという気もしますが、その分スリル感のある演奏になっています。最後のフロントとドラムスのチェースは時間調整で急遽挿入されたもので、ここでも緊張感が感じられます。
Greensleeves
原曲はスコットランドのトラディッショナルです。ジョン・スコフィールドがマッコイ・タイナー・トリオをバックに演奏していますのでギターによく合う曲だとは思いますが、トランペット、アルトサックス、ギターのハーモニーで横浜モダンジャズクラブ向にアレンジをしてみました。
全員のリズムがかみ合うと聴き応えのある曲に仕上がると期待しています。
So near, so far
ジョン・スコフィールドのギターが加わったジョー・ヘンダーソン・カルテットの演奏をカバーしています。
8分の12拍子で書かれており、ギターのオブリガート、ベースとドラムスのバッキングも3連符で統一されていますので、リズムセクションとメロディーラインのコラボレーションが聴かせどころの内容になっています。
Jeaninne
作曲家でありピアニストでもあるDuke Pearson(1932−1980)が書いたA(16)-A(16)-B(8)-A(16)形式の56小節の曲です。
キープし辛いテンポの曲ですが、リズムセクションがしっかりとタイムキープすることができれば仕上がりの良い曲となります。
聴いたことはありませんが、C・アダレィも採り上げているようです。(Riverside-RLP 9416)
11月16日のYCA秋のコンサートで収録した横浜モダンジャズクラブの演奏を紹介します。
Moonlight Serenade
G・ミラーオーケストラの代表作品です。音楽に興味のない人でもいつか、どこかで聴いたことがあると感じるのはそれほどG・ミラー・オーケストラの作品が我々の日常に入り込んでいる表れではないでしょうか。年代的にはモダンジャズ全盛の時代より前になりますが、スイング時代を代表するポピュラーな曲です。モダンジャズでも大切な要素であるスゥイング感、ドライブ感はこの時代のリズムが継承され発展したものであるということができます。横浜モダンジャズクラブのアレンジは、オリジナル・ハーモニーを大切にG・ミラー・サウンドを維持しつつ、より早いテンポでリズムも変えて演奏します。
Carioca
オリジナルはTea
for twoなども作曲している1920年から30年代にかけて活躍した、ブロードウエイミュージカルの作曲家、V・ユーマンズ作曲のものですが、D・ガレスピー楽団でピアノのM・L・ウイリアムズが演奏しているものが気に入り、これをカバーすることにしてみました。ラテンナンバーとしてはC・キャバレロのピアノ、J・イグレシアスのボーカルなどもありますが、ここではジャズの常套手段であるラテンのリズムとフォービートのリズムをミックスして仕上げてあります。横浜モダンジャズクラブの演奏もこれをカバーしたものでピアノのソロにブラスを加えてアレンジしました。
Line for
バリトンサックスのG・マリガンの作曲になるものですが、西沢さんのバリトンとのアンサンブルのためにトランペットの築地さんが譜面を書いてくれました。トランペットのC・ベーカーと共演しているものからWakin’Shoesを先に取り上げましたが西沢さんのお陰でG・マリガンのハーモニーを楽しむことができます。ここではアルトサックスですがリハーサルで録音したものの出来映えを聴いてみて下さい。
Crystal Silence
ピアニストのC・コリアが書いて、ヴィブラフォンのG・バートンとのデュオで有名な曲です。ここに掲載したサンプル・チューンはギターとピアノでの演奏を意図したもので、ギターをフィーチャーしたものが少ない横浜モダンジャズクラブのレパートリーの中での貴重なひとつにしたいと考えて選びました。
Joshua
Joshua は、当時16歳のTony WilliamsをむかえたMiles Davis Quintet初期(1963~1965)の代表的なレパートリーです。名盤「Four & More」や「in Europe」「in Berlin」などのライブで数多く取り上げられました。Tonyのプレイの印象があまりにも強いために、演奏するには(特にドラマーにとっては)かなり勇気のいる曲です。
横浜モダンジャズクラブの譜面はギターにJohn Scofieldが加わったJoe Hendersonのグループのものを参考に書かれています。
Woodyn' you
D・ガレスピーのオリジナルで広くジャズアーティストが演奏している曲です。タイトルは”ウッディとあなた”という意味でウッディ・ハーマンを意識して書かれたものですが、ウッディ・ハーマンは演奏せず黒人アーティストによって取り上げられてきました。B・パウエルの影響が感じられる一曲です。採譜はJ・スミスが2トランペットを採用して演奏しているものから採譜したものです。
My little suede shoes
C・パーカーの作曲ですが、マチートとの競演ではラテンリズムでのパーカーのソロを聴くことができます。横浜モダンジャズクラブで
はアルト・サックスのソロでCha-Cha-Cha のムードでやってみたいと思います。
John neely
beautiful people
E・アレキサンダーカルテットの「ザ・セカンド・マイルストーン」というCDアルバムに収められているモード曲です。ドラムスの石井さんのコレクションからのコピーです。E・アレキサンダーは1968年にイリノイ州で生まれ、J・コルトレーンの影響を引くテナーサックス奏者です。ピアニストのH・メイバーンが作曲したものですが、この曲についての情報はあまりありません。
An Oscar for Oscar
この曲が演奏されているのを聴いたことはありませんが、K・ドーハムの作曲ということで譜面に目が止まりました。ブルースですが7小節からと最後のトニックコード部でサブコードが使われちょっとスリルがあります。テーマの出だしのダブルタンギングがうまくできると演奏が締まります。
Out of the Past
B・ゴルソンのオリジナルで、彼の「モダン・タッチ」(1957年録音)というアルバムで発表されました。D・ガレスピー、A・ファーマー、A・ブレーキーらが取り上げており、哀感をたたえた旋律はB・ゴルソンのもので同じく彼の作品、ウイスパー・ノットに通じるゴルソン節を聴くことができます。
Autumn Serenade
横浜モダンジャズクラブのライブハウス、ハートマンへの初出演に際しハートマンにゆかりのある曲をというリクエストがありました。ハートマンの由来はJ・ハートマンであるというこことから彼とJ・コルトレーンの共演アルバムからこの曲を取り上げることになりました。J・ハートマンのボーカルのムードを楽器で表わすのは難しいですが、出きる限りそのムードを出せるようにリズム、フレーズなどのパッセージを採り入れアレンジをしてみました。アルバムのライナーノートには「Light-headed RUMBA」とあり、軽いノリのルンバ、ほどの意味なのでしょうがルンバという言葉から受ける印象とは大分違っています。
Delilah
V・ヤングの作品です。双頭バンドといって良いかと思います。C・ブラウン、M・ローチが残した数々の名演奏の中でこの曲も外せない1曲です。1954年8月に録音されたこの曲の入ったアルバムからM・ローチのドラミングについてのライナーノートを紹介します。
マックスのドラミングは基本的にはバップスタイルです。つまり、ビートを創り出すために使われていたバスドラムで不規則なアクセントを伴なう独立した声部を形成し、シンバルがビートを創っています。ドラムスはメロディやハーモニーを創る楽器ではありませんが、激しい感情に走るスイング・ドラマーと違ってマックスの場合、よく構成されたフレーズでC・パーカーのソロとの融合には彼の感情が込められています。
Walkin' Shoes
G・マリガンのオリジナル。1952年10月に録音されたC・ベーカーとの共演のものからのコピーです。横浜モダンジャズクラブの今年の予定にあるウエストコースト・ジャズをということで選んだ曲です。ピアノレスですがバリトンサックスをアルトサックスに置き換え、ピアノとギターを加えてどこまでオリジナルのムードに迫れるかある意味、横浜モダンジャズクラブにとっての試金石となる曲であり、難しいGフラットのキーですがグループのマイルストーンとしたいものです。G・マリガンのピアノレスカルテットのアイデアはR・ニコルスやF・ペニーズのディキシーからヒントを得ているそうです。
Spain
チック・コリアの作品です。デビッド・マシューズがロドリーゴのアランフェス協奏曲をイントロに使ってアレンジをしているものがあります。オーケストラをバックにアート・ファーマーとユゼフ・ラティーフをフューチャーした構成になっています。以前からこのアランフェス協奏曲とスペインの組み合わせたものをできないかと考えていたところで、同じように横浜モダンジャズクラブの演奏をしたいと思い選んでみました。アドリブコーラスはテーマの一部から24小節のコード進行を使っており比較的インプロバイズし易いかと思います。ドミナント7thのコード部ではリィディアン7th、オルタード、ハーモニックマイナー5thビロー、コンビネーションディミニッシュ等色々なスケールが考えられます。テーマの曲想を生かした音選びが必要です。
Con Alma
チャーリー・パーカーと並びバップの元祖でもあるディジー・ガレスピーの傑作のひとつです。1965年11月24日、ディジー・ガレスピー・クインテットのパリ、オリンピア劇場コンサートでの演奏を参考に横浜モダンジャズクラブ向きにアレンジしました。基本リズムはマンボでジャズ・マンボという言葉があるかどうか分かりませんが、ペレス・プラードのようなラテン・マンボとは大分趣が異なります。スタン・ゲッツはアルバム、スイート・レインの中でこの曲を6拍子で演奏していますが、これも傑作です。是非聴いてみてください。
Freedom
Jazz Dance
エディ・ハリスの作曲になるこのフリーダム・ジャズ・ダンスのオリジナルを聴いたことはありませんが、ジャズロックだそうです。M・デビス、P・ウッズ、M・ヴィトスなどの演奏があってそろぞれの仕上げ方を聴き比べてみると興味深いものがあります。横浜モダンジャズクラブの編成からはM・ヴィトスのものが近いのですが、フリーに過ぎてまとまらないと思います。4度音程で展開するメロディ、リズムセクションのフィルインを強調したP・ウッズとヨーロピアン・リズム・マシーンの演奏を参考にやってみたいと思います。
Red
Clay
築地さんからリクエストがありました。フレディ・ハバードのCTI時代の曲には当時のジャズの流行といいますか、ロックビートや16ビートのリズムで書かれたものが多くありました。このレッド・クレイはフリーフォームで始まるイントロから終曲までの間、ドラムスとベースのロン・カーターの4度音程のオスティナートが延々と同じリズムパターンを繰り返すこととで雰囲気を創っています。インプロビゼーションのアイデアはこのベースラインとその1音程下をルートにしたコード進行からヒントを得ることが出来ますが、アドリブコーラスのためのコード進行も加えてあります。
Dat
Dare
ボビー・ティモンズの作曲で、これまでにピアノトリオの演奏しか聴いたことがありませんでした。石井さんからリクエストをいただいてから、最近アート・ブレーキーとジャズメッセンジャーズのパリでのライブCDを聴くことができました。トランペットにリー・モーガン、テナーサックスに当時新鋭のウエイン・ショーターを迎えての演奏です。大変ダイナミック、かつ繊細なパーフォーマンスで気に入りました。A−A’−B−A’の形式で、キーCmの曲です。
A Chant for Bu
アート・ブレーキーとジャズメッセンジャーズのBUHAINA(Prestige PR 10067)というレコーディングがあるそうですが聴いたことのある方がいらいしゃいましたら教えて下さい。
4分の6拍子のベースソロで始まる変形のA-B-A-B形式のハード・バップ曲です。B部の後半に8分の12拍子で4ビートフィーリングとなりブレークで4分の6拍子に戻る構成になっています。
Tune Up
諸説ありますが、M・デビスの作曲とされているアップテンポのA-B-A-B形式の曲です。IIm7-V7-Iのコード進行例題曲としてジャズライフ誌で以前採り上げられていた曲です。M・デビスクインテットでJ・コルトレーンが演奏しているオブリガートをテナーサックス用に採譜してみました。
Soul Food
ピアニストのC・チェスナットのオリジナルで同名のCDアルバムに納められている曲です。C・チェスナットはゴスペルピアニストとして評価されていますが、ゴスペル及びスピリチュアルズはジャズの源流とでも言うべき音楽ですのでC・チェスナットの曲を演奏する意味は大いにあると思います。
The
Eye of The Hurricane
H・ハンコックの初期作品でモード手法を採り入れた当時としては斬新なアイデアに溢れた曲です。アップテンポの4ビートで始まったテーマが7小節目から11小節目にかけて変拍子に替わり11小節目の4分の6拍子でリズムのリリースがあり、アテンポに続くインスピレーションを想起させる構成が見事です。アドリブコーラスはマイナーブルースの形式を整えております。オリジナル編成は3リズムにトランペットとテナーサックスのクインテットです。出来る限りオリジナルに近いサウンドを再現する予定です。藤村さんからのリクエスト曲です。
Two
Part Invention #4
J・S・バッハの2声インヴェンションは1番から15番まであります。インヴェンションの音楽的意味は対位法的な器楽の小品を指すこともありますが、作曲上新しい試みをした場合の曲名としても使われます。インヴェンションに限らずJ・S・バッハのプレリュードやフーガもたくさんのジャズ・アーティストによって演奏されております。横浜モダンジャズクラブでもジャズに通じるバロックの研究と新しいものの創造といういう意味合いから演奏してみたいと思います。アレンジ譜は筑地さんからの提供です。
Mox
Nix
"Meet the Jazztet"というアルバムに納められているA・ファーマー作曲のマイナーブルースです。藤村さんからリクエストのあった曲で最後に残った曲です。リズムセクションで始まるバックビートのイントロは古めかしくも感じられますが、後半のリフから4ビートに変わりA・ファーマーの流麗なソロが滔々と続いてくるともう時代を感じさせません。マイナーブルースのコード進行ですが、12小節のリフを繰り返すことなく最初と最後のテーマともすべて12小節づつ異なるリフで構成されているのもアイディア溢れる作曲者の才能が感じられます。
Blue Rondo A la Turk
Take Fiveに続き変拍子シリーズ第2弾、リズムアンサンブルの練習にD・ブルーベックのこの曲を撰びました。8分の9拍子は8分音符で3+3+3となれば普通ですがここでは2+2+2+3の変拍子を4ビートにみたてているところが基本のリズムとなります。またアドリブはFのブルースで演奏されますが、4分の4拍子と8分の9拍子の2バースが聴かせどころとなっています。テーマ全体は曲名どおりにクラシック音楽でのロンド形式をとっています。
Jive Samba
Im7とIV7のトニック系の簡単なコードだけで曲を仕上げてしまうことも驚きですが、単調に陥りやすいメロディーをラテン系のリズムと後半のブレークで補い技術的手法という点でも良く考えられた曲であると思います。作曲家としてのN・アダレイには親しみやすいメロディーの佳作が多く、特にC・アダレイのオリジナルクインテット当時の演奏には数多くの名曲が生まれています。コード進行らしい進行がありませんので、いかにテーマメロディのムードを損なわずに音撰びをするかがインプロビゼーションのキーでしょうか。曲のムードとしては「カーニバルの喧噪」とでも言えるでしょう。ちなみに、Jiveは強いビート音楽という意味があります。