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「遅くなっちゃったね。」
「そうねぇ。あんたがぐずぐず…」

といいかけたアスカに、僕はRVの車のラゲッジスペースを指差した。

「アスカの荷物が大半なんだけどね。」
「男の癖に細かいこといちいち言わないの!」

ただいま愛の逃避行中…でなくても、二人のあいだには良い雰囲気が流れている。
ただ、アスカは夕方から呼び出されて(とはいえ、伝えたのは三日前だったが「そんな
こと覚えてないわよ」だそうだ。)ぶーたれているが。

「にしても、いったいこんな夜中からどこへ行こうって言うのよ?」
「知りたい?」

ちょっといたずらっけを出して僕はアスカに問い掛ける。
実は三日前にすでに言ってるよ、とは殴られるのがわかっているので言わない。
もっとも、その時は二人ともお酒が入っていたから…

「馬鹿シンジの癖にあたしに隠し事?いい度胸してるじゃないの!」

ぽかっ、と結局頭を殴られた。
アスカぁ、ハンドル持ってるの僕なんだけど…

郊外の空いた道に出たところで、僕はすぅ、と片手を伸ばしてアスカの頭をなでてやる

時間は夜11:00対向車もくる気配が無い。
ごろごろと、アスカはその手に擦り寄っている。

「甘えん坊だなぁ、アスカは。」
「甘えるのはあんただけよ。」

うわ、恥ずかしい台詞なのにすんなりと返してきた…顔が赤いからそうでもないのかな

アスカは僕の手をなでていたその白磁のような手を、カーラジオのスイッチに持ってい
く。
僕はアスカとの時間に別の音を入れるのがいやだったが、まぁ、アスカだから仕方が無
い。

〜この放送はT3dBC(The Third of neo Tokyo Broad Cast(T3d = T cubed(3乗))です。

今夜のGoodNightDrivin'目玉のコーナー。
ラスクのBefore 2nd Impact … 2nd Impact以前の名曲、懐かしの曲のコーナーでぇす。
ラスクさん、今日はどんな曲を選んできたんでしょうかぁ?
いやいや、コイちゃん。実はセカンドインパクト以前には日本の柔道ってよく流行って
たんですよ。まぁ、柔道の発祥が日本だったこともあってね。それで柔道アニメっての
もあったんですよ。
柔道アニメねぇ…って、ひょっとしてぇ今夜はアニソンっ??
まぁ、そうなんですけど、それでもアニソンに聞こえない…というか、このころもう普
通の歌手を起用するようなことしてたから聞いててハズカシーってなことはないと思う
よ。
でぇ、曲名は、ラスクさん?
曲名は…あっ、イントロがながれはじめましたね。
辛島美登里で「笑顔を探して」…
 



黄昏に舞い下りた 心のラビリンス
ときめきとせつなさが まわり始めてる
人波の交差点 背中押されながら
坂道をどこまでも あなたと歩いた
なぜ 欲しいものを“大好き”と声に出して言えないの?
今あなたがいる ただそれだけで安らぐ気持ち
“つないでる その指をはなさないで…”
笑顔を探して


 



〜うわぁぁぁ、めっちゃいい声が流れてきましたねぇ
でしょ?十分普通に聞いて聞けるんですよ。ほら、大昔みたく「なになにっ」ってアニ
メの名前の入った曲じゃないから…
それに、この歌詞もいいじゃなぁい?
ほんと、そう思ってこれを選んだんだけどね。
 



夕暮れと街の灯が重なる空の色
星くずのまたたきを瞳に映して
ひとつわかりかけたの 振りむけばあなたが
いつの日も変わらずに そばにいてくれた
なぜ 欲しいものを“大好き”と声に出して言えないの?
今あなたがいる このぬくもりを育ててゆこう
“アリガトウ あしたまた会えるのかな?”
笑顔を探して

なぜ 欲しいものを“大好き”と声に出して言えないの?
今あなたがいる ただそれだけで安らぐ気持ち
“つないでる その指をはなさないで…”
笑顔を探して


 





その後ペチャクチャとしゃべる、うるさいアナウンサーの声に僕はボリュームを絞った。
アスカも黙り込んでいる、まっ、少し考えるところがあるからね。

「あのさ…あたし…」

最近のアスカは何にでも流されちゃう。
アスカもレイも本来の女の子の持つ感受性ってやつが一遍に押し寄せたからよ、とはリ
ツコさんの言葉だ。
昔は独りで生きていくんだって、そういった感情のたぐいをあまり受け入れなかったか
らその反動だって…

「大好きよ…シンジのことが」

言葉に改めて出されると、こっちも赤面してしまう。
でも、僕もきちんと答えてあげなきゃいけない。
アスカがじっとこっちを見てるから。

「僕も好きだよ、そういうアスカが…」

と。
アスカはなりふりかまわず僕に抱き着いてきた…
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

だから、ハンドル握ってるの僕だってば!!

 


GoodNightDrivin'

No.2 〜Ver.ASUKA@


はじめまして、鮭と申します。
皆様にはお初にお目にかかる事と思います。
P-31艦長さんのHPには、初登場となります。
メインで投稿させていただいているのはP-31艦長さんのところよりリンクして
いらっしゃる「夜雷光」さんのHP「夜雷書架」ですので、ひょっとすると僕
の拙作を読んでいただけていらっしゃられるかもしれません。(暗に、読ん
でいない人は読んで欲しいなぁって…(笑))
えっと、今回のこれは「自分も小説かいてます」というPR巡業版です(笑)
これはシリーズ第二作目です。
第一作目は、COCHMAさんのHPの方にUPさせていただきました。
巡業版と言う事で、いろいろなHPにお願いをしておかせてもらおうと図々しくも
考えております。
ごたごたと書きましたが、要は楽しんでいただけたらなぁと思うだけです。
こんなところまで読んでいただき、ありがとうございます。
また、皆様とお会いできる事を…

'99 / 7 / 3 12:40up
written by 鮭


艦長からの攻勢支援砲撃(謎)

鮭さんから初投稿を頂きました。

ちょっとオトナのシンジとアスカですね。
なんとなくジーンとくるのは私だけでしょうか?(笑)

最初は投稿先がバラバラということで、大意が掴めるかなと心配したんですが、杞憂でした。

さて、鮭さん、これからもよろしく。

そんなわけで鮭さんに任官していただきます。
規定通り、海軍少尉です。
目指せ大将!(爆)
 
 

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