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褐色のシ者





「シンジ君、アスカいいわね?」

「はい、ミサトさん」

「こっちもOKよミサト」

「配置を確認します」
「アスカ、オフェンス10秒先行して」

「了〜解」

「シンジ君バックアップお願い」

「わかりました」

「戦闘開始!!」

まずアスカが敵性体に急襲をかける。
彼女の運動神経は、まさにこういった場面で遺憾なく発揮される。


しかし


ズガッツ

「はずれた〜」
「シンジ!」

「大丈夫、まだいけるよ」

ズガッツ
ズガッツ
ズガッツ

「くそ〜、ちょこまかと」

「アスカ、冷静に!!」

「そんなことわかってるわよ!」

ブワッ

「飛んだ〜、なんてインチキ」

「アスカ、上!」

「へっ、きゃ〜〜〜!!」
「イヤ〜、汚されちゃった、汚されちゃったよ〜、シンジ〜」

アスカは、顔を押さえ、蹲ってしまう

「よくも、よくもアスカを!!」

「シンジ君、武器を渡すわ、受け取って」

「はいっ!!」

シンジは、受け取った武器を手に敵性体を見据える。

「・・・・・・・・・」

そして、一呼吸の後に突撃する。

「そこだ〜!!」

ズガッ、メキョッ(敵性体への命中音)、ベシャッ(体液が飛び散る音)















「ふ〜、ミサトさん敵性体の殲滅完了しました。」
「アスカは?」
「アスカは大丈夫なんですか?」

「ごめん」
「シンちゃん、フォローまかせるわよ」

「はい」

シンジは、いまだ顔を押さえ蹲ったままのアスカに声をかける。

「アスカ・・・・敵はとったよ・・・」
「もう終わったんだ、・・・・だから・・・・」
「だから、お風呂入ってきたら?」
「今日の入浴剤は、アスカのお気に入りのにするから・・・」

「うん・・・・わかったわ・・・シンジ・・・」
「でも、もう・・・・こんな事・・・・無いよね・・・」

「断言は、出来ない・・・でも、そのときは僕がアスカを護ってみせる」

「シンジ、約束よ」

「うん」

「でも、その前に原因を除去する必要があるんじゃないの?」

「その事は、僕がやっておくから」
「アスカは、お風呂入ってきなよ」

「そうね、まかせたから」

「うん」













そして、シンジはミサトの方に顔を向ける

「ミサトさん!!」
「3日前にも言いましたよね」

「え、まあね〜」

「とぼけないで下さい、今月になって同じ事を言うの8回目ですよ」
「いい歳こいた大人の居室がゴキブリの培養槽になってるんですよ!」「恥ずかしく無いんですか?」
「とにかく、部屋の中にあるオツマミやお菓子の食べカスを撤去してください」
「食料があれば、彼らはいくらでもやってくるんですから」
「それに、リツコさんの作ったトラップも満タンになってますよ」
「ほんとに、なんでこんなにガサツでズボラなんだか」
「このままじゃ加持さんにも見捨てられてしまいますよ」

「な〜によ〜、そこまで言う事無いじゃないの」
「それに、加持なんて、ま〜ったく関係ないじゃないの」

「関係ありますよ」
「まったく、ミサトさんが片づいてくれないとこっちが困るんですよ」

「なによそれ〜、あっ、ひょっとしてシンちゃんアスカと・・・」

「そっ、それとコレとは話が違います」
「そんなこと言うんだったら、こちらにも考えがあります」
「今後は、ゴキブリ一匹につきエビチュ1本減らします、いいですね?」

「え”っ、それは・・・・ちょっち酷いんじゃないの〜?」

「そんな事無いわよ」

アスカは着替えを持って部屋から出てきたようだ
シンジの方に顔を向け一回うなずくと、ミサトに向かって怒りだした

「アタシなんて顔面ダイブかまされたのよ」
「それに、ミサトの場合、体に覚えさせていかないと効果無いんだモノ」
「一匹あたり1ダース減らしても足りないくらいよ」

「ええ〜っ、そんな〜」

「じゃあ〜、アタシとシンジはNERVの宿舎に移るわ」
「残念ね〜、もうシンジのご飯が食べられないなんて」

「あら、そんな許可が降りると思っているの?」

「大丈夫よ、そこにあるトラップをマヤかリツコの所へ持っていったら・・・」

「ダメだよアスカ、マヤさんだったら見た瞬間に気絶しちゃうよ・・・」

「それもそうね」
「は〜、それにしても、こっちまでガサツやズボラが伝染しそうだわ」

(シンジの心の声:もう手遅れだよ)

ビシッ(アスカのツッコミが入る音)

「バカシンジ、アンタ今なんか変なこと考えたでしょう」
「アタシにはわかるんだからね」

「えっ、・・・いや・・・その・・・・」
「とにかく、ミサトさん住環境の改善さっさとやって下さいよ」
「じゃないとアスカと一緒に出て行っちゃいますからね」

「ううう〜、わかったわよ、でも・・・・」

「でも、なんですか?」

「シンちゃんもアスカも何で”一緒に”出ていくのかな〜と思って」
いつの間にか神妙な表情から、いつものミサトに戻っているようだ

そしてこのセリフを聞いてシンジとアスカの二人は顔を真っ赤にしてしまった

「バカ」

そう言い残すとアスカは、風呂場に逃げ込んだ。

「えっ、あの・・・とにかく早くやって下さいよ」

シンジも、真っ赤な顔のままそう言い残して部屋に戻った。

どうやら、口喧嘩では、最後の最後でミサトが勝ったようだ。
しかし、実際にシンジたちが出て行かれると今後の信用に関わるので
子供達の目に触れるといけないモノを隠してからシンジを呼びに行き
深夜までかけて部屋の掃除を行った。
ちなみに作業は、1:4=M:Sの割合で行われた

シンジは、先程解放されたばかりだった、もう時計は午前2時を指していた。

「そうだ、明日のお弁当の仕込みをしとかなきゃな」

そう呟いて寝静まった葛城家の台所に向かった。

しばらく作業をしていると、ふと人の気配を感じて振り返るシンジ
そうするとそこには、後ろを向いて立っているアスカがいた。

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・アリガト・・・・」

「?・・なにが?」

「良いじゃないの、それより明日のお弁当おいしくないとコロスわよ」

「うん」

「じゃ、おやすみ」

「おやすみアスカ」

部屋に戻ったアスカ、まだシンジの作業音が台所より聞こえる。

「・・・護る・・・か」
「まあ、アタシの背中を任せられるのは・・・・・」

今夜は良い夢が見れそうだなと思いながら床につくアスカ

台所で作業中のシンジ

「アリガトっか・・・うん・・今日は良い日になりそうだ」

そう呟くとうれしそうにお弁当の仕込みをこなしていく

一方ミサトは、狭い場所でネバネバとしたモノにより身動きできなくなったり、
ふりかかる鉄骨や丸太のようなモノを回避しつつ逃げ回る夢を見て魘されていた。

まあこの辺は、自業自得の範囲であろう

今日も葛城家はおおむね平和なようだ

以上おわり



補足1:戦闘シーンで使用されていた武器は、新聞紙を巻き締めたものである。

補足2:バックアップとは、梱包用粘着テープによる捕獲を意味する。



艦長からのお礼コメント。

T- AI 1 Ver7.0さんが投稿してくれました!
ありがとうございます!

まずは感想。

・・・・・・だ、だまされたぁ!(爆)

ってなもんでしょうか?(笑)
いやー・・・まさかこーゆー風に落とされるとは思っていませんでしたよ、ホントに。

さあ、コレを読んだあなた!感想メールを出すのです!

感想メールは作者にとってシャブ・・・・もとい!カンフル剤なんですからね!

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