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「harvest rain   (豊穣の雨)」

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

CAUTION!!
このSSは一部ノンリミッターで書かれたバカ小説です。真面目に読まないでね。

 
 
 
 
 
 
 

また、この話には裏解説とも言うべき注釈が付いています。一度通して読んでから、次にこの注釈と併せて読むと、面白さが...倍増したら苦労しないよな。マジで。
 
 
 
 
 
 

 

 

(TV版弐拾弐話をベースとしています)

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 

 

 

「ねぇシンジ、テスト終わったら買い物に行かない?」(*1)

「え?でも、僕、また荷物持ちなんだろ?」

「...ダメ?」(上目遣い)

「...しょうがないなぁ」

その言葉を聞いてにっこりと微笑むアスカ。そんな表情を見てシンジは「奇麗だ」と思う。

「?...何ボーっと見てるのよ...恥ずかしいじゃない」

「あ、ご、ごめん...その、き、き、奇麗だな、って...思って」

「バ、バカ....」

うつむく二人。
 
 
 
 
 

フィーッ、フィーッ
 
 
 
 
 

その二人のいい雰囲気をぶち壊しにするかのように警報が鳴り響く。

一気に表情が険しくなるアスカ。

「使徒!?まだ来るの」

『弐号機、発進準備、繰り返す...』

「?シンジは出撃しないの!?どういうこと?」

「...あんな事があった後じゃね」

シンジはアスカに自分がエヴァに取り込まれてしまった事、その他諸々を全て話していた。アスカはその辛い事実を受け止め、シンジに心を開いたのだ。

「アスカ、頑張って」

「大丈夫....シンジが...見ていてくれるなら」

そう言って顔を真っ赤にするアスカ。シンジもそれを聞いて負けないくらい真っ赤になる。(*2)

 
 
 
 
 

「アスカ....」

そんなアスカをじっと見つめるシンジ。

突然、がばっと抱き寄せる。(*3)

「えっ!?ちょ、シ、シンジ!?」

「...アスカ...必ず、帰って来て」

「......うん」

「約束だよ...」

「うん」

名残惜しそうに離れる二人。
 
 
 
 
 
 

 
 

「現在使徒は高度2万の位置で停止。沈黙を守っています」

「迂闊に攻撃はできないわね...アスカの準備は?」

「第3新東京市の0エリアにてポジトロンライフルを装備。エネルギー充填まであと30秒です」

天候は最悪、雨天の為に視界も悪い。

ポジトロンライフルの先で高熱により蒸発する雨水。その水蒸気が周りを鬱蒼とした光景に変えている。

「なんか...いやだな、この雰囲気」

それは発令所の人間全てにあてはまる心境であった。
使徒は依然無気味な沈黙を守っている。

望遠用のゴーグルに映った使徒の姿も、あまりに遠いためボンヤリとしている。
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 
 
 

「アスカ....」

完全に拘束された初号機のエントリープラグの中でアスカの無事をひたすら祈るシンジ。この静寂が彼をますます不安にさせる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「シンジ....」

緊張の為か、唇をペロリと1回舐める。
無意識に口をついて出たのは一番愛しい人の名前。
 
 

早く帰ってシンジと買い物に行きたい
 
 

早く帰ってシンジの作った御飯が食べたい
 
 

早く帰ってシンジの温もりを感じたい
 
 

早く帰って....
 
 
 

刹那、
 
 

ぼんやりとした姿の使徒が一瞬光ったかと思うと、一筋の光が弐号機を包みこむように照射された。心をかき乱されるおぞましい感覚。

 
 

「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」
 
 
 
 
 
 

「使徒より謎のエネルギー波!ATフィールドに酷似した波長ですが、違います!」

「弐号機の状態は!?」

「危険です!このままでは、精神汚染が始まります!」
 
 
 
 
 
 
 

その発令所でのやりとりを無線で聞いていたシンジの顔が蒼白になる。

「......アスカ!」

弐号機との通信回線を慌てて開くシンジ。ノイズがひどく、なかなか聞き取れないが、アスカの叫び声がシンジの胸を貫いた。

「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」

「アスカ、アスカ、アスカぁっ!!」

「イヤ、シンジ、シンジ、シンジィっ!!!」

いくらここで声をかけても、事態は一向に改善されるはずがない。
 

歯がゆい、もどかしい、何もできない
 

そんな思いがシンジの中を交錯する。
 

「僕が初号機で出ます!!」

発令所との回線を開いて叫ぶ。

「駄目だ」

「やられなきゃいいんでしょ!!」

「その保証は無い」

「父さん....」
 

(*4)
 
 
 
 
 
 

シンジの腕がぶるぶると震え、右手は開いたり閉じたりを繰り返す。

逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目かな、逃げちゃ駄目だろう、逃げちゃ駄目かも、っていうか俺はキれたぞ!マジで!

一人称「俺」になったのがその証拠。

アスカの命がかかっている事態だというのに、冷酷な反応しかできないゲンドウに対し、シンジは完全にキれた。エントリープラグを降り、一目散に発令所へダッシュする。
 
 
 
 

「司令、このままでは弐号機パイロットが!」

「かまわん。レイ、ドグマを降りて槍を...ううっ!?

ゲンドウが驚くのも無理はない。背後からいきなり首根っこ引っ掴まれて床に引き倒されたかと思うと、胸倉を今度は掴まれ、憤怒の表情のシンジが視界に飛び込んできたからだ。

「おいオヤジ、もう一度言ってみろ、な〜に〜が〜、駄目、だって?」

「シ、シンジ、その手を離せ」

「は〜な〜せ〜だぁ?口のお行儀が少し悪いようだな?」

地の底から沸き上がるようなシンジの声。
 

「あっ、すいません、離して下さい」
 

父親の威厳、地に落ちたり。

「もう一度聞くぞ、何でダメなんだ?このクソ親父が」

「計画の変更は認められんからだ」

「け〜い〜か〜く〜だぁ?アン?」
 

ぺちぺち
 

余った片方の手でゲンドウの頬を軽く叩き続けるシンジ。

「アスカの命よりも計画とやらの方が大事って事かぁ?コラ」

「そ、そうだ」
 

あ...言っちゃったよ...もう知らね。
 

「ンだと、この腐れ外道がぁ!!」
 

今までぺちぺち言わしていた右手が「グー」の形になったかと思うと、それが思いっきりゲンドウの顔に叩きつけられた。

「ぐぁはぁっ...」

「(無様だな、碇...)」

すでに冬月、見て見ぬフリ。発令所の面々も同様。
 
 

「もう許さねぇぞこの親父、ホラ立ちやがれ、このっ」

ふらふらと立ち上がるゲンドウの前で、奇妙な構えを取るシンジ。左手を「く」の字に曲げて、胸の前辺りでゆらゆらと揺らすこの構えは...

「(シ、シンジ、何時の間にフリッカーを...ていうか○柴?)」

なぜか「は○めの一歩」を愛読していたゲンドウ。下らない知識が初めて役に立った。
 

そしてシンジが、まさに○柴の如く「にたぁ」と笑ったかと思うと、いきなり豪快な右ストレートが炸裂する!
 

「(フリッカーの意味ないやん、それ)」
 

心でツっこむ発令所一同。
 
 

ボロきれと化したゲンドウ。それでもフラフラと立ち上がるゲンドウに対し、とどめとばかりに「裡門頂肘」をブチ込む。

「はうあっ」
 
 

「お、おい、その辺にしておかないと、碇が死んでしまうぞ、シンジ君」

「あ〜ん?てめえも邪魔をしようってのか?ぢぢい」

完全に殺気立ってる目。

「シンジ君!それよりも、早くアスカを助けないと!」

ミサトのナイスな助け船。

それを聞いて我にかえるシンジ。

「あぁっ、そうだ、早くしないと、アスカが...」

 

再び初号機に向けてダッシュするシンジ。彼の出撃を阻むものの末路を見てしまっただけに、誰も彼を止める事はできない。

ざんぶとエントリープラグに「飛び込む」シンジ。

「とっとと拘束具を除去しやがれこのクソ野郎どもがっ!!」

アスカの危機により、気性がかなり荒くなっているシンジ。今逆らったらお手製サードインパクトも夢ではない。慌ててロックボルトを外して行く。

何チンタラやってやがんだコラ!...アスカ、待ってて、必ず行くから」

えらい変貌ぶりに発令所の一同、唖然。
 
 

「初号機、射出、5番ルートから地上に出ます」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

そのころアスカは−
 
 
 

「いやぁぁぁぁぁ、私の心を覗かないでぇぇぇ」

相変わらずこの状態。LASな人には痛いからあんまり描写しません。
 
 
 
 
 
 
 

その一方で使徒は−
 
 
 

うんざりしていた (笑)
 
 

というのも、アスカの心を覗いてみたまではよかったのだが、その記憶の大半を占めていたのがシンジとのらぶらぶな日々だからたまらない(笑)
どうやら、シンジとの思い出の前には過去の辛い記憶も霞んでしまうらしい。

詳しい描写は敢えて避けるが、あんな事やこんな事まで...
 

というわけで、「そろそろ飽きたから帰ろうかな」とも思っていた。
 
 
 

そんな時−
 

「くぉらぁ、待ちやがれこの腐れ使徒野郎!!」

突如として地上に現われる初号機。

弐号機の所まで猛ダッシュ。前に立ちはだかり、ガードの体制を取る。
 

「あ、あれは、肉のカーテン!?(ピーカブースタイルでも可)

「使徒の発する、熱、電磁波、粒子、全て遮断しています!」

「まさに結界か」(笑)
 
 
 
 
 
 
 

「いやぁぁ!....あれ?.....シンジ!!」

「アスカ、大丈夫?」

「シンジ、助けに来てくれたの!!」

「ごめん、アスカ、遅くなって...」

「シンジ、恐かったの、とっても恐かったの...ふぇぇぇん」
 

この泣き方は「つよシン」かはたまた「めそアス」か(笑)
 

「もう大丈夫。安心して」

「うん。シンジが居れば、大丈夫だから...」

「さ・て・と....」

シンジは鋭い視線を上空の使徒に向ける。
 
 

使徒はビビった。マジで引いた。

距離の概念があまり無いだけに、その殺気も距離間0で感じられた。常人だったら間違いなく発狂しているだろう。

「よくもアスカを苦しめてくれたな...絶対に許さない...っていうか、死ぬまで殺す!!!!」

よくわからない事を叫ぶシンジ。だがその迫力は発令所に居た全ての人間を硬直させる。中には使徒に同情した者まで居たくらいだ。

(*5)
 
 
 
 

「うあああああああああああああっ!!!」

シンジが叫ぶと同時に、初号機の背中に12枚の羽根が生える!
 
 

「初号機、シンクロ率100%!」

「まさか、覚醒したとでもいうの!?」
 

そう言ってる間にも、初号機はその力を使って跳躍する。速い!

「初号機、5秒で成層圏を突破!使徒に急接近!」(*6)

「そんなマンガみたいな話が...」

あるんだってば。
 

「食らえええええぇぇっ!!」

左の拳を突き出したまま、初号機が宇宙空間の使徒に向かって突進して行く。
 
 
 

しかし使徒は紙一重の差でそれをかわした。至近距離のため、ATフィールド同士が派手な火花のようなものを散らす。
 
 
 

「外したっ!?」

絶望的な表情のミサト、マヤ、リツコ。
 
 
 

が、しかし−
 
 
 

初号機は少し起動を修正すると、そのまま直進、月面を利用してUターン、同じスピードで今度は反対方向に向かって突進する。

使徒は完全に虚を突かれた形となった。すでに初号機は目前にまで迫っていた。

使徒と同じく驚愕する発令所一同。

「まさか、これがあの...」
 
 
 
 
 

「国電パアアアァァァァンチ!!!!!!」(*7)
 
 
 
 
 

使徒、あっさり消滅。
 
 
 

「使徒の反応、消滅しました。初号機のエネルギー反応、通常値に戻ります」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

場所は変わってケイジ内。
 
 

だっだっだっだっ、がばっ
 
 

「シンジぃっ!!!!」

シンジに走りより、そのまま抱きつくアスカ。

「わっ、アスカ....」

「シンジ、助けてくれて有り難う、恐かったよぉ、ふぇぇぇぇぇん」

「アスカ...ごめん、僕が遅れたばっかりに、ひどい目にあわせちゃって」

「いいの!ちゃんとシンジは助けに来てくれたんだから」

「それでも...本当にゴメン」

「シンジ....」

「あの...さ、まだ開いてるお店もあるだろうし、買い物に...行こうか?」

「え?.....うん!!!」
 
 
 
 
 

最上の笑顔で応えるアスカだった。(*8)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

手なんか繋ぎつつ街を歩く二人。シンジは慣れたとはいえ、まだ照れている。アスカは「至極当然」といった表情。戦闘直後なので人が居なかったのはシンジにとって幸いと言えよう。
 

「で、アスカ、何買うの?」

「ふふ〜ん、秘密」

「ふぅん...」

そして、二人が第3新東京市の商店街(そんなのあるのか?)に着くと・・・
 
 

「「あっ!!」」
 
 

ありとあらゆる店のシャッターが降り、閉店している。
 
 

「え〜〜〜、閉店?」

「そ、そうか....非常事態宣言のせいで....」

「あっ、そうか...」

「ごめんアスカ、僕が買い物に行こうなんて言ったから...」

「....シンジは悪くない」

「でも...ほんと、ゴメンね」

「...よしっ!じゃぁ、まだ街は誰もいないから、堂々と腕組んで歩けるわね」

「ええっ!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

こうして、シンジ君は人目を気にすることもなく、存分にアスカとイチャつきつつ、帰路につきましたとさ(笑)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
めでたし、めでたし
(は?綾波?誰だっけ?それ)

(*1)
−さて、まず舞台設定である。TVの設定、26話Bパートの設定、使徒を全て倒してから数年後、等色々あるが、今回はTV版22話付近を利用した。

次に、アスカの性格設定であるが、LASの王道として「普段は強気だがシンジの前でのみ時折見せるその弱さ」がベストと言えよう。これ以外の例として「常にシンジを心の支えとするかなり甘えん坊アスカ」を描くLAS突撃隊隊長K-tarow師匠の「つよいぞ!シンジ君」等がある。本作品はこれをベースとしている。なぜなら筆者がファンだからだ(ぉぃ)
 

(*2)
−こういうさりげないセリフ、描写は「ごろごろ感」を増幅させる。ゲロ甘な作品を書くには欠かせないものだ。どんどん書いていくべきであろう。ちなみにゲロ甘な作品ほど感想のメールが来たりするのは気のせいだろうか。ま、いいや。こういうの好きだし。
 

(*3)
基本。
 

(*4)
シリアスはここまで。イカ...もとい、以下、ノンリミッタ。
 

(*5)
さぁ決着です。格好良くorマニアックに行きましょう。悩み所です。
「シャイニングフィンガー」でも「イデ発動」でも「技北スパーク」でも「靴マシンガン」でも何でもいいんですが、やはりここは超長距離の相手なので、それ相応の技で対抗するべきかも。
 

(*6)
最後は宇宙規模の話になるのはガイナのお約束、ということで。
 

(*7)
で、結局こうなりました。作者のボキャブラリーの少なさが伺えますね(切腹)
 

(*8)
最後は必ずこうなるもんなんですよ。これが正義だ(笑)


 特別付録   「国電パンチ」とは?

作中に出てきた「国電パンチ」。これは島本和彦の名作「炎の転校生」に出てくる「必殺技」である。同作品を読んだことの無い人のために、以下に詳しい解説を書くことにする。君もマスターして炸裂させよう!(笑)
 

(1)まず相手の顔面を左ストレートでかすめる! (上り)
(2)それによって相手の体勢がうしろに崩れた瞬間に壁などでターン!
(3)まさか反対から電車が来るとは思わず、安心して後ろに倒れてくる相手にカウンターを見舞う!(下り)
 

「上り」と「下り」が一体となっている事に御注目頂きたい。この技は「踏み切りを渡るときには、今電車が通った方だけでなく、反対側も気を付けよう」という教訓を我々に与えてくれているのだ。

実際の重力下で行うのは非常に難しい技なので、普段はプール等で炸裂させるのがおすすめである(笑)


あとがき(のようなもの)
 

「サルでも書ける漫画教室(通称「サルまん」)」のLAS版を目指してみた作品でしたが、いかがでしたでしょうか。いや、全然そんな域にまで達してませんが...

とにかく、キれたシンジが書きたかった、ってのと、ただLASが書きたかったってのがあります(笑)ますますdust of human(人間のクズ)化が進んでイイ感じです。

K−tarow師匠のページには、これで初投稿となります。
この間某オフにて初めてお会いしたんですが、素晴らしいインパクトでした(笑)

いや、まぁそれはよしとして(笑)
 

本当は「買い物に行こうか?」にアスカが笑顔で応える所で終わっていたんですが、これだけじゃなんなんで書き足しました。なんつーか、王道だな、これ(笑)書いててテレ臭くなってきました。テレはLAS書きの最大の敵です(笑)ついでに恥も(爆)
 

それでは、またお会いしましょう(←ってまだ書く気かコイツは)
 
 

さんごでした。


艦長より。

えーと、この作品は元々さんごさんがK−tarow爆裂師匠(笑)のところに投稿されたモノです。

んでもってKさんのサイトが閉鎖されることにともない、本艦でお預かりすることになりました。

どうです、この軽妙な落とし具合(笑)

シンちゃんのキレ方もぶっ飛んでてグゥです(爆)


あ、そーだ・・・
さんごさんは今回の投稿により
海軍中尉
に任命しますのでよろしく(笑)

さんごさんへの感想はsango@mb.kcom.ne.jpにどうぞ!

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