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DUAL MIND  第6話

 

 

 

 

 

「も、目標、完全に沈黙しました」

 

オペレーターの絞り出すような声。

皆がメインモニタの光景に目を奪われている。

そこにはコアを砕かれた使徒が転がっている。

そして傍らに佇むエヴァンゲリオン初号機。

その右腕からは使徒の体液らしき物が滴っている。

作戦開始から1分も経っていない。

エントリープラグ内を写すサブモニタには『SOUND ONLY』の文字。

 

『終わったよ。どうすれば良いの?』

 

だがその声に誰も答えられない。

ユイ、そしてゲンドウでさえ。

2人ともエヴァの能力を十分知っている。

だがそれでも今の戦いは2人の想像を遙かに超えていた。

皆、黙ってウィンドウを見ていた。

そこにいる破壊神を・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUAL MIND

第6話「力が呼ぶ疑惑」

BY ささばり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<懐かしいな・・・この感じ・・・>

 

そう呟くリュウヤ。

シンジの頭の中にその声が聞こえてくる。

ゆっくりと目を瞑るシンジ。

 

(そうか・・・エヴァの中には兄さんの魂があるんだっけ)

 

<そうだ、魂はどういう訳かコピーがなされている。お前の中の魂とエヴァの中の魂>

 

(どっちが本物なの?)

 

<さあな>

 

そういって、リュウヤはしばらく黙る。

シンジも、何も言わない。

ややあって、再びリュウヤの言葉がシンジの頭に響く。

 

<やはり・・・ここには別れてしまった俺の心がある。・・・俺の失われた半身が・・・>

 

(半身?)

 

<ああ・・・普通の人間には好ましくないものだろうけど・・・それでも自分の一部なんだ・・・自ら制御さえ出来ればそれも良いものだと思うが>

 

(・・・負の感情・・・そして狂気。兄さんは制御できるの?)

 

少し心配そうにするシンジ。

リュウヤとて完璧ではない。

彼の心の傷を知っているシンジは心配だった。

 

<さあな・・・制御できているつもりだっただけかも知れないな。まあ何にしても出来ることなら戻ってきて欲しいものだよ、どんな部分でも自分のものだからな>

 

(1つに戻れるの?)

 

<どうかな?>

 

(もし1つになったらどうなるの?)

 

<さあ・・・特には変わらないだろう>

 

リュウヤはそういったが、シンジは彼のことをよく知っていた。

昔、何をしていたかを。

狂気に身をゆだねる男。

 

(怖くなるって事はないの?今より凶暴になるとか)

 

<凶暴って・・・あのな。まあ、今みたいに甘くはなくなる・・・>

 

(今が甘いって?)

 

呆れてそれだけ言うのがやっとのシンジ。

どう考えてもリュウヤが甘いとは思えなかった。

彼は、シンジに対してもかなり厳しい。

シンジが逃げようとすれば、遠慮無く彼を見捨てる。

その、ある意味突き放すようなリュウヤの教育が、シンジを一人前に育てたと言っても良い。

 

<ああ、俺は甘くなった>

 

(まあ、実際兄さんが今より怖くなったら・・・兄さんの敵は可哀想だね)

 

本当に気の毒そうに言うシンジ。

 

<大丈夫だ、痛くしないから>

 

とても面白そうに言うリュウヤ。

少しだけ呆れるシンジ。

 

(即死だもんね)

 

そこで2人の会話が終わる。

ゆっくりと目を開けるシンジ。

 

「さてと、どうしようかな」

 

エントリープラグの中で呟く。

 

<とりあえず敵を倒す>

 

(敵?)

 

<立ちふさがるモノは全て敵だ>

 

その言葉に、ゆっくりと頷くシンジ。

射出口に移動されるエヴァ。

ポップアップウィンドゥにはミサトが映っている。

しきりに何かを言っているようだがシンジには関係なかった。

敵を倒す。

ただその事だけを考えている。

相手は謎の怪物。

弱点などの見当も付かない。

 

「ミサトさん、敵の弱点は?」

 

『わからないわ。なんせあなたが初めてなのよ、使徒と戦うの』

 

(なんていい加減な)

 

呆れてしまうシンジ。

だがリュウヤはそうではないようだ。

 

<何とかしろって事か、逆にやりやすいな>

 

(そんなこと言ったって・・・それに、僕に勝てるのかな?)

 

どこか弱気になっているシンジ。

この不敵な少年も、未知の存在との戦闘となると不安になるらしい。

それは当然。

少年はまだ14歳なのだから。

だがそんなシンジを突き放すように言うのはリュウヤ

 

<嫌ならやめろ。ただし、レイちゃんやリツコちゃんが死んでも良いならな>

 

ハッとするシンジ。

自分を「お兄ちゃん」と慕ってくれるレイ。

少し変わっている自分を本当の弟のように可愛がってくれたリツコ。

二人が死ぬ。

自分のせいで。

 

(・・・わかった。奴を倒す)

 

シンジの瞳に決意の光が宿る。

 

<そうか。ところでシンジ>

 

(なに?)

 

<エヴァには俺の魂が込められている・・・つまりエヴァは俺と同じだ>

 

(うん・・・知っているよ)

 

<それじゃあ・・・少しエヴァの使い方をレクチャーしてやろう>

 

(え?)

 

<シンジ・・・力を貸してほしいか?>

 

昔と同じ質問。

昔は一瞬躊躇した。

だが今のシンジは迷わなかった。

絶対に護りたいモノがあったから。

 

(うん、お願いするよ)

 

シンジの瞳が淡い光を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、何で映像でないのよ」

 

そこにあるのは『SOUND ONLY』の文字。

ミサトの疑問にリツコが答える。

 

「わからないわ、おそらくシンジ君が切っているのよ」

 

「先輩、駄目です。こちらからはどうすることも出来ません」

 

ショートカットのオペレーターがキーボードを叩きながら言う。

伊吹マヤ。

それを聞き諦めたのかゲンドウの方に向き直るミサト。

 

「構いませんね?」

 

「ああ。使徒に勝たねば我々に未来はない」

 

ユイはとても辛そうだったが何も言わない。

たしかに使徒を倒さなければ人類は滅んでしまう。

だが実の息子を戦いに駆り立てる。

しかもシンジは自分たちを恨んでいるのかもしれない。

仕事のためとはいえシンジを構ってやれなかったのだ。

ユイには何も言えなかった。

 

「エヴァ初号機、発進!」

 

ミサトの声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グゥ」

 

凄まじいGに苦痛の声を漏らすシンジ。

だがそれも初めだけ、後はいつもの冷静な顔に戻るシンジ。

 

<シンジ、先手必勝だ。5秒で片を付ける>

 

(わかったよ)

 

シンジの瞳が強い光を放つ。

ドン!

衝撃と共に初号機が地上にでる。

その正面に使徒の姿が見える。

 

「変な形だね」

 

<ああ・・・ネルフの馬鹿もそうだが爺さん達もセンスがないな>

 

「さてと・・・リツコ姉さん、これからどうすればいいの?」

 

そう聞いたシンジにリツコが答える前にミサトが口を出す。

 

『今は赤木博士ではなくて作戦担当の私の指示に従いなさい』

 

ポップアップウィンドウにミサトが表示される。

少し怒っているようだ。

その顔を見て少し笑うシンジ。

ちなみにこちらの映像は発令所に届いてはいない。

 

「怒るとしわが増えますよ。それにあなたの指示に従って、さっき迷子になりましたけど・・・あっ、でも楽しかったですよ?迷路で遊んでるみたいでワクワクしたのも事実です」

 

『良いから従いなさい!それに、戦闘中の私語は慎みなさい!』

 

そう怒鳴りつけるミサト。

 

(なんか・・・凄く怒ってるね・・・)

 

<きっとカルシウムが足りてないんだな。炭酸で骨が溶けてたりしてな>

 

(兄さん・・・そのネタ古いよ。でもあり得るね・・・ビールとか)

 

<ああ。ストレスがたまってそうだからやけ酒か。恐怖、ビア樽女ミサト・・・。いや、それはないか。なかなかいい身体してたからな>

 

(兄さん・・・その言い方やらしいよ)

 

<以後気をつけましょう、シンジ様>

 

そう言って戯けてみせるリュウヤ。

シンジの緊張をほぐそうとしているのだ。

そして、それがわかっているからシンジも彼とのやりとりを楽しむ。

 

<さて・・・そろそろ行こうか?>

 

(そうだね)

 

『エヴァ初号機、リフトオフ』

 

ミサトが宣言する。

肩のを止めていたジョイントがはずれる。

それを見た使徒が、ゆっくりと近付いてくる。

初号機が顔を上に向ける。

 

(綺麗な星空だね)

 

<ああ・・・ずっと見ていたい気分だ>

 

(でも・・・邪魔者がいる)

 

<なら・・・壊すだけだ。狙うのは胸の赤い球体・・・良いか・・・体で覚えろよ?>

 

(身体が反応できる程度にしてね?そうじゃないと意味がないから・・・)

 

そう言って使徒に目を向けるシンジ。

そして、シンジの瞳が強い光を放つ。

その色は、赤。

 

『シンジ君、まずは歩くことだけを・・・』

 

「死ね!」

 

ミサトの声をシンジの叫びがかき消す。

次の瞬間、使徒に向かって飛び込む初号機。

あまりの早さに反応できない使徒。

初号機は、瞬きする間に使徒の懐に飛び込んでいた。

そして。

ドス!

右腕による一撃だった。

たった一撃で、いとも簡単に使徒のコアを貫く。

使徒の背中から初号機の腕が突き出ている。

その腕を使徒の体液が濡らしている。

腕を引き抜くとゆっくりと崩れ落ちる使徒。

 

<ふん、弱すぎるな>

 

(兄さん・・・あんな動き僕に出来ると思う?)

 

<出来ないはずはない。それに、一度身体を通しておけばいずれ役に立つ>

 

(・・・まあ、とにかく終わりだね・・・)

 

<ああ、ご苦労さん>

 

「・・・これでゆっくり星を見られる・・・」

 

シンジがそう口にした後、しばらく辺りを沈黙が包む。

シンジは黙って星空を見ていたし、発令所の人間は誰もが声を出せずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その沈黙を破ったのはミサト。

 

「す、すごい・・・」

 

それを聞いて我に返った長髪の男性オペレーター報告する。

 

「も、目標、完全に沈黙しました」

 

「敵ATフィールドはどうしたの?」

 

当然の質問をするリツコ。

ATフィールド。

それがあるから通常兵器では使徒を倒せない。

エヴァだけそれを可能にする。

そう信じられている。

 

「それが、初号機が接近すると同時に消失してしまったんです」

 

そう言ってマヤの出したデータにリツコは驚愕した。

 

「ち、違う!浸食されたのよ、エヴァに!」

 

「ですが、初号機からのATフィールドも観測されたのはわずか0.5秒間だけです。その後は観測されていません」

 

不思議そうにデータを見直すマヤ。

だがリツコの顔は青ざめていた。

 

「その一瞬で事足りたんだわ。その一瞬で、あの使徒のATフィールドを中和した・・・」

 

そう言いながらリツコは考えていた。

エヴァンゲリオン初号機が自分たちの考えているほど甘いものではないということを。

 

(これが初号機なの?・・・私たちはとんでもない物を作ってしまったのかもしれない・・・)

 

リツコはそう考えていたが、ミサトは初号機よりシンジのことを考えていた。

 

(血圧、脈拍正常。脳波に乱れもない。あれほど緊迫した、しかも自分の命のかかっている戦いで、あそこまで冷静さを保てる。それにあの動き。エヴァの能力はパイロットの能力に依存する。と言うことはあの動きは間違いなくシンジ君自身の動き。ただ者じゃない。彼は一体何者?・・・本当に・・・味方なの?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使徒戦が終了した後、更衣室でシャワーを浴びているシンジ。

洗濯した服も、今は乾燥機の中で踊っている

シャワーを浴びているシンジの背後から、女性の声がかかる。

 

「大したものね、シンジ君」

 

そう言ってきたのはミサトだった。

だが、その声は穏やかではない。

さらに、黒光りする銃が、ミサトの右手には握られていた。

 

「ミサトさん・・・ここは男子更衣室ですよ?」

 

振り向くこともなく言うシンジ。

その声は非常に冷静だった。

いくらシンジでも、普段なら女性に裸を見られれば動揺するだろう。

だが、今のシンジは異常なほど冷静だった。

 

「そう・・・ごめんね。気付かなかったわ」

 

そう言って銃をゆっくりとシンジの後頭部に向け、殺気を放つミサト。

常人ならば、腰を抜かしてしまう程の強烈な殺意。

だが、シンジは何とも思わない。

その程度の殺気など、今まで嫌と言うほど味わってきた。

 

「ずいぶん傷だらけの身体しているのね?」

 

シンジの身体を舐めるように見るミサト。

無駄な肉がなく、細身と言っていいほど引き締まった身体。

シンジの身体は、確かに傷痕が多い。

それは、彼が今まで多くの修羅場をくぐってきたことを示している。

 

「・・・旅先で山賊とかに会いましたから・・・」

 

声は柔らかいシンジ。

だが、ミサトは言い知れぬ恐怖を感じる。

それでも、何とか気合いを入れてさらにシンジに問いかける。

 

「あなた、何者なの?」

 

「碇シンジ。少し変わった中学生ですよ?」

 

「少し変わった・・・なるほどね」

 

「それで、いつまで銃を向けているつもりですか?」

 

そう言って、ゆっくりとシンジが振り向く。

その振り返り方が堂々としていたので、ミサトが生唾を飲み込む。

チラリとシンジの股間に目が行くのは、まだまだミサトが若い証拠だろうか。

 

「後10秒だけ待ちます。今のうちに銃をしまってください」

 

「何、たかが中学生が脅しのつもり?」

 

自らの肉体を惜しげもなくさらすシンジを、殺気のこもった目で睨み付けるミサト。

だが、シンジはその瞳を平然と見返す。

そして、口を開く。

 

「脅し・・・と言うより、警告です。僕は今、気が立っているんです。こんな茶番に付き合っている気分じゃないんですよ」

 

そう言ったシンジの瞳が一瞬赤く光るが、ミサトはその事に気付かない。

だが、彼女の頭には先程から警鐘が鳴っていた。

この少年は危険だ。

彼女の本能が、そう言っているのだ。

 

(なっ、なんて目をするの。ホントに・・・ホントに中学生なの?)

 

ゴクリ。

生唾を飲み込むミサト。

そして、ゆっくりと銃をしまう。

 

「わかったわ。ごめんねシンジ君」

 

「いいえ」

 

シンジはそう言ってにっこり笑うと、再びミサトに背を向けてシャワーを顔に受ける。

ミサトはそんなシンジに背を向けて、シャワールームから出ていこうとする。

そんなミサトに、シンジが声をかける。

 

「自分の理解できない存在を、全て排除しようと思わない方が良いですよ?まあ、人の心理としては、ごく当たり前だとは思いますが・・・」

 

その声にハッとして振り向くミサト。

そして、ミサトは動けなくなる。

そこにはどこから取り出したのか、銃を構えているシンジがいた。

銃口が、ミサトの眉間を正確に捉えている。

そしてシンジの視線が、ミサトの心を刺し貫いている。

 

(・・・殺される・・・)

 

ミサトは正直そう思った。

シンジはそれ程の殺意を、ミサトに叩き付けていた。

ミサトは足が震えていた。

腰を抜かさなかったのは、訓練のおかげだろうか。

 

「すみません。少し悪戯が過ぎましたね」

 

そう言って銃を側にある棚の上に置くと、身体を洗い出すシンジ。

ミサトは、逃げるように更衣室から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男子更衣室から少し離れた通路。

ミサトは壁に寄り掛かりながら、自分の身体を抱きしめて震えていた。

怖かったのだ。

 

「何なのよ・・・あの子・・・」

 

よろよろと立ち上がるミサト。

震える足で懸命に、更衣室から離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはネルフ施設にほど近い広場。

 

「こんな所にいたの、シンジ君」

 

シンジにそう声をかけてきたのはリツコだった。

この広場はなぜかほとんど外灯が無い。

星がとても綺麗に見えるため、3年前もシンジのお気に入りだった場所。

ゆっくりと振り向くシンジ。

月明かりに照らされたその顔には、複雑な表情が浮かんでいた。

 

「リツコ姉さん・・・」

 

そう呟くシンジをリツコはそっと抱きしめる。

まるで実の弟を慰めるかのように。

 

「二度とあんな奴には乗りたくなかったんだ・・・。でも・・・でも・・・」

 

非常に弱々しいシンジの声。

これが先程ミサトに銃を突き付けていた少年だとは思えない。

 

<・・・シンジ・・・>

 

(兄さんのせいじゃないよ。自分で選んだんだ。でも・・・)

 

労りの声をかけるリュウヤにそう答えるシンジ。

 

「シンジ君。あなたは良くやったわ。私にはわかってるわ」

 

シンジに優しく声をかけるリツコ。

そんなリツコに身体を預けるシンジ。

 

「・・・ありがとう、リツコ姉さん」

 

しばらくシンジを抱きしめていたリツコが、そっとシンジを離すと再び口を開く。

 

「司令達と一緒に住むことを断ったんですって?ユイさんが泣いていたわよ」

 

「ええ、家族ごっこはご免です・・・」

 

そう言ったシンジの顔が少し寂しそうだったのを、リツコは見逃さない。

 

「あなた、これからどうするの?」

 

「どこかにアパートでも借りて、独りで住もうと思います」

 

「1人・・・寂しいわよ?」

 

「慣れてますから」

 

そう言ってぎこちなく笑うシンジ。

だが、この少年も実の姉のように慕っている女性に嘘をつくことは出来ないようだ。

 

「・・・ねえ、シンジ君。良かったら私達と住まない?」

 

「え?」

 

いきなりの提案にびっくりするシンジ。

目をぱちくりさせてリツコを見る。

シンジのその仕草は、いつものような大人びたものではなく、年相応の少年のものだった。

 

「独りで住むなんて寂しすぎるわよ。それに、そうすればマナも喜ぶから・・・」

 

「・・・」

 

「あなたにこれ以上寂しい思いをさせたくないのよ」

 

その言葉に俯いてしまうシンジ。

シンジには嬉しかった。

愛情に飢えている少年だから。

 

(リツコ姉さん・・・)

 

<シンジ・・・お前の好きなようにすると良い。ただ、誰かが側に居るのは良いと思うぞ>

 

(そうだね・・・リツコ姉さんならいいかな)

 

<年上だからな。上手いぞ?>

 

からかうように言うリュウヤ。

だが、それを快く思わないシンジ。

 

(・・・兄さん。冗談でもそういうことは言わないでよ。リツコ姉さんは今でも兄さんのことを・・・)

 

<・・・すまん・・・>

 

そして顔を上げるシンジ。

そこにはいつもの微笑みが浮かんでいた。

 

「お願いします、リツコ姉さん」

 

「こちらこそよろしくね。シンジ君」

 

「そうだ・・・先に買い物に行きましょう」

 

「そうね・・・少し車で行けば24時間営業のショッピングモールがあるわ」

 

そうして二人は仲良く歩き出した。

誰が見ても仲の良い姉弟のよう見えただろう。

そして、そんな二人を見守っている想い。

 

<ありがとう、リツコちゃん>

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

<あとがき>

どうも、ささばりです。

いつもご愛読ありがとうございます。

使徒、簡単に倒してしまいました。

ミサトはミサトでチルドレンに銃を向けるという暴挙に出てます。

シンジはTVとは違いリツコと同居することになりました。

まあ、ミサトと同居したら毎日銃を突き付け合っているかも知れませんし。

世界は波乱に満ちています。

皆様、感想等ありましたら是非お寄せください。

しっかり読んで、ちゃんとお返事いたしますので。

それでは、次回をお楽しみに。

 




艦長からのお礼


ひとつ目の感想。
うーん、リッちゃん良いトコ持っていき過ぎ(笑)

ふたつ目の感想。
私だったら躊躇無く引き金引きます(爆)

さあ、アットホームになる(かもしれない)次回が見たけりゃここにメールを出すんだ!(爆)

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