「アスカ」
 笑顔と共に差し出される、手。
 いつからだろう?
 この手に、素直に応じられるようになったのは。
 いつからだろう?
 この手を、愛おしいと思うようになったのは。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 

さしのべられた手


 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 一番最初に、その手に触れたのは、初めて出逢った時。
 弐号機輸送中の太平洋艦隊へ、突然の使徒襲来。
 私は、それを好機だと思った。
 私が「サエない」と評した、だが私以上の『戦果』を示していた彼に、自分の実力を見せつけるチャンスだと。
 だから私は、彼を無理矢理、弐号機へと乗せて、出撃した。
 今思えば、彼を同乗させたのは、あの当時の私の存在意義である『自己顕示』だけではなく、初陣への怯えがあったのだろう。
 もっとも、あの時は、自分自身ではそのことを、決して認めなかっただろうけれど。
 そして、戦闘が始まった。
 B型装備の弐号機は、海中に引きずり込まれ、為す術もなく使徒に呑み込まれた。
 その状況を打破し、使徒を殲滅させるために、私達は手を重ね、心を一つにした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 その手を力強く感じたのは、マグマの中。
 使徒は斃したものの、命綱を失った弐号機は、ゆっくりと沈んでいった。
 その時彼は、装備もつけずに、マグマの中に飛び込んできてくれた。
 私を助けるために。
 初号機の手に支えられ、無事に、地上へと戻ることができた。
 意地っ張りな私は、素直に「ありがとう」と言えなかったけれど、とてもうれしかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

でも、それは私を穢した手。
心を閉ざし、薬で眠らされていた私に、欲情した手。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
私の首を絞めた手。
サードインパクトの中で、生きることを選択した彼。
その時、ともにあることを願ってくれたのは私だった。
なのに、彼は私の首を絞めた。
彼がどんな想いで居るか、少しだけ判っていた。
 だから、彼の頬を撫でた。
彼が何を考えているか、判らなかった。
だから私は、言った。
「気持ち悪い」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、すべてが終わり、再び始まった後。
もう一度、私が心を閉ざしたとき。
彼は、ずっと傍にいてくれた。
心の闇から、私を引き上げてくれた。

 
 
その手で。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 私は、さしのべられた手のすべてを知ってる。
 すべてを赦し、すべてを愛している。
 だから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「シンジ」
差しのべられた手に、笑顔で、自分の手を重ねる。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 伝わってくるぬくもり。
 いつでも、私を支えてくれる、手。
 私を愛おしんでくれる、手。
 私の大好きな、手。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「シ〜ンジ!」
 不意にアスカは、つないだ手もそのままに、一歩前を歩くシンジの腕に飛びつく。
「うわ! 何?!」
 驚いたようにシンジは、アスカを振り返る。
 アスカは、ぎゅっと、シンジの腕にしがみついた。
「んふふふふ〜」
「・・・・・・何? 突然笑い出したりして」
 満面の笑みを浮かべるアスカに、シンジは優しい目を向ける。
 アスカは、その顔を見上げた。
「ねえ、知ってる?」
 その表情は、宝物を発見した幼女のそれ。
「何を?」
 シンジは微笑んで問う。
 アスカは、指先を絡めるように、手をつなぎ直した。
「この手はね、一生、離れないんだよ?」
 シンジは、ゆっくりと笑みを深めると、つないだ手にそっと力をこめた。
「うん」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

<fin>

 
 
 
 
 
 
 


ども、玲@裏二人羽織です。

戦艦P−31の再就役、まことにおめでとうございます、あ〜んど、10万ヒット万歳\(^0^)/

それにしても、短〜っ!

最近、らぶらぶを書いていないモノで、書き方を忘れてしまったようです(笑)

ウチのほうが一段落したら、またきちんとしたのを書かせていただきたいな、と・・・・・・(>よわよわ)

まあ、よろしくお願いします(>何が?)

あ、そうすを見ていただけると、何かあるかもしれません。


艦長からの対地支援砲撃(謎)
 

うーむ・・・らぶらぶだ(笑)

私が久しく書いてないモンだから・・・・なんかこっぱずかしいですね(笑)

私も気合いを入れて・・・・でも別方面も始めちゃったしなぁ(笑)

ま、がんばりますです。

ぶらざー玲中佐!ありがとうございました!

でも、今回は昇進無しです(爆)

特別職就任を前向きに考えさせていただきます(笑)