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妖精の守護者  第17話

 

 

 

 

 

「アヤカ・・・か。君たちはそろって俺の心を助けてくれた・・・でも、俺には何もできなかった」

 

助けることの出来なかった少女。

壊れた心を癒してくれた少女。

だがアキトは彼女たちに対して、礼の1つすら言えなかった。

 

「・・・確かに未熟者だ・・・なあ北辰・・・」

 

そう呟くとアキトは目を瞑る。

ゆっくりと集中していく。

アキトの周囲が微かに輝き出す。

 

「北辰、ヤマサキ・・・」

 

左瞼から光が漏れる。

全身が輝き出す。

 

「貴様らの思い通りに世界が動くと思うな」

 

眩しいほどの光が辺りを包む。

アキトが正確に病室をイメージする。

 

「・・・ジャンプ・・・」

 

消えた。

淡い輝きを残して・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精の守護者

第17話「親子」

BY ささばり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院の玄関。

退院の手続きの終わったエリナが出てくる。

それを待っていたアキトとラピス。

アキトはエリナの用意したスーツを着てサングラスをかけている。

エリナが選んだだけあっておそらくは高級ブランドの物なのだろう。

先程から病院に入っていく女性たちがちらちらとアキトを見ていく。

その視線を敏感に感じ取っているアキト。

余裕なのか口元に笑みを浮かべている。

女性達が目を奪われるのも仕方がない。

上背もあり、鍛え抜かれたアキトの肉体がスーツを見事に着こなしている。

整った顔立ち。

そして真っ白な髪。

太陽の光を受けて幻想的とも言える輝きを放っている。

今アキトはサングラスをしている。

金色の右目は良いとしても、やはり左目を普段見せるつもりはないらしい。

 

「もうそろそろ来るはずよ」

 

エリナがそう言った時、ちょうど黒塗りの高級車が入り口を入ってくるのが見えた。

アキト達の前に止まるとドアが開き、そこから2人の男達が降りてくる。

そしてアキトの前に来て姿勢を正す。

 

「隊長、お久しぶりです」

 

「ああ、お前達も・・・元気だったか?」

 

「はい、あれ以来我が隊は死者を出しておりません。隊長にしごかれましたから」

 

「そうか」

 

そう言って微笑むアキト。

その笑顔に一瞬唖然とする男。

アキトの笑顔など見たことがなかった。

 

「お変わりになられましたね」

 

そういった男にキョトンとするアキト。

 

「・・・そうか?」

 

「ええ・・・それでは、急ぎますので乗ってください」

 

そんな男の声に少し考えるアキト。

 

「少し挨拶したい奴が居る。その間ラピスとエリナを頼む」

 

次の瞬間、アキトが跳んだ。

ふわり。

簡単に高級車を飛び越すと音もなく着地する。

そのまま少し歩いて行き、止まる。

ゆっくりとサングラスを外す。

 

「出てきたらどうだ、北辰」

 

アキトの口から出た言葉に驚くエリナ達。

エリナとラピスを護るように動くシークレットサービス。

 

「フフフ、さすがはテンカワアキト。我が気配と掴むとは」

 

そう言って木の陰から現れたのは編み笠の男。

北辰。

 

「少しは出来るようになったな・・・」

 

ニヤつきながら言い放つ北辰。

そんな北辰を前に爽やかな顔をしているアキト。

ゆっくりと口を開く。

 

「聞きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

「アヤカはどこだ?」

 

静かに言うアキト。

その声色に憎しみはない。

だがシークレットサービスの男達は、そんなアキトに何故か身震いする。

何かが・・・違う。

 

「フフフ・・・ヤマサキの言うこともあてにならんな。記憶は消したと言っておったが」

 

「・・・消されてたよ。ただ取り戻しただけだ・・・」

 

その言葉を聞いて嬉しそうに笑う北辰。

 

「さすがだ、テンカワアキト。汝は常に我らの想像を超えている・・・執念か・・・」

 

「違うな」

 

「何?・・・では何だと言うのだ」

 

北辰の言葉に胸のロザリオを触るアキト。

目を瞑る。

少女の笑顔を思い出す。

 

「貴様にはわからんよ、北辰」

 

ゆっくりと目を開けるアキト。

その金色の瞳を見据える北辰。

 

「なるほど・・・以前の様にはいかんか」

 

そう言うと構えを取る北辰。

全くの自然体のアキト。

 

「・・・殺す前にもう一度聞いておこう。アヤカはどこだ?」

 

すこし表情を引き締めながら言うアキト。

相手を威圧するアキトの口調。

さすがの北辰にもいつもの余裕がない。

以前のアキトには精神的な弱さがあった。

北辰ほどの達人なら、そこに隙を見いだすことは簡単な事だった。

だが今のアキトにはそれがない。

いや、それだけではない。

今のアキトは明らかに以前のアキトとは違っていた。

異質な気配に汗がにじんでくる北辰。

 

「言ったはずだ・・・生き残ったのは汝だけだと」

 

「・・・」

 

黙って北辰を見ているアキト。

その金色の瞳は全てを見通す神の瞳。

圧倒的なプレッシャーが北辰を追い詰めていく。

 

「・・・大した気迫だ・・・よかろう・・・確かにあの女は生きておる」

 

北辰がそう口にした、まさにその時。

 

「チエエエエェェ!」

 

突然アキトの右から編み笠の男が駆けてくる。

その両手には小太刀を持っている。

 

「アキト!」

 

ラピスの叫び。

チラリと男の方を見るアキト。

この時エリナやラピスの位置からでは見えなかった。

アキトが微かに笑ったのを。

いや、笑みと言うには余りにも禍々しい。

男がアキトに肉薄する。

微かにアキトの上体が動く。

わずかな動きで小太刀をかわすと男の胸に軽く手を当てるアキト。

ドン!

男の動きが止まる。

 

「・・・俺は北辰と話している・・・邪魔をするな・・・」

 

男は小太刀を取り落とすとゆっくり倒れていく。

その様を呆然と見ているエリナ達。

彼女たちにはアキトが男に軽く触ったようにしか見えなかった。

だが、その男はすでに絶命していた。

 

「・・・フフフ、それでも隙を見せぬか」

 

ゆっくりと構えを解く北辰。

 

「まあ良い、汝とは再び戦う宿命にある。その時を楽しみにしていよう」

 

そう言うと身体が光り出す北辰。

そんな北辰を眺めているアキト。

 

「逃げるのか?」

 

「フフフ・・・そうとってもらっても構わぬ」

 

「ヤマサキに伝えておけ・・・必ず殺すと」

 

「承ろう・・・あの男もさぞ喜ぶだろう」

 

徐々に光が強くなっていく。

その光景を黙ってみているアキト。

 

「あの女ともいずれ逢えよう・・・汝がそれまで生きられればだがな・・・ではまた逢おう・・・跳躍」

 

北辰は消えた。

男を残して。

そこに連絡を受けたシークレットサービスの増援が来る。

そして編み笠の男の死体を回収する。

 

「アキト君大丈夫?」

 

エリナが駆け寄ってくる。

そんなエリナに微笑みを向けるアキト。

 

「ああ、大丈夫だ・・・」

 

そんなアキトを見てホッとするエリナだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アキト君、ナデシコに行く前に仕事があるわ」

 

車の中でアキトに話しかけるエリナ。

一緒に書類も渡す。

 

「俺はすぐにでもナデシコに行きたいんだが・・・」

 

書類には目もくれず、ラピスの頭を撫でているアキトが言う。

気持ちよさそうにしているラピス。

何となく羨ましそうなエリナが口を開く。

 

「駄目よ、ナデシコは今作戦行動中で帰ってくるは1ヶ月も先」

 

「俺に行けない場所など無い」

 

「それはそうでしょうけど、これはあなたに是非やってほしいのよ」

 

そう言って真剣な顔をするエリナ。

エリナの言葉に初めて書類に目を通すアキト。

 

「クリムゾン・・・なぜだ?この程度の施設、俺無しでも十分制圧できるだろう」

 

そう言って同乗している男を見る。

 

「隊長が居た方が確実ですし、何より安心できます」

 

シークレットサービスの男は苦笑いしながら言う。

 

「とにかくアキト君、これは会長命令よ。もし拒否するのならあなたはナデシコに乗ることは出来ないわ」

 

そう言ってじっとアキトを見つめるエリナ。

そんなエリナを見るアキト。

しばらくしてフッと笑う。

 

「アカツキの奴また何か企んでいるのか。・・・まあ良い、そう言うことなら仕事をするか」

 

そして、さらに書類を読み進んでいくアキト。

だがそこには書かれていない事実があった。

 

(ごめんなさい、アキト君)

 

心の中で謝るエリナ。

そんなエリナを見るアキト。

 

「あまり自分を責めるな」

 

書類を読みながら優しく言うアキト。

 

「え!」

 

驚きに声を上げるエリナ。

見透かされたと思った。

 

「どうせあいつの事だ。ろくでもない事があるんだろが、お前のせいじゃないだろ。だからそんなに自分を責めるな」

 

洞察力と観察力に長けた人間ならばその様な事も可能だろう。

だがここ最近のアキトは何か普通ではない、神ががり的な所を見せている。

だからこそエリナは自分の心を読まれたと思った。

そんなエリナとアキトの事を見ているラピス。

ラピスは機嫌が良い。

なぜならアキトから流れ込んでくる感情が、以前の冷たいものから温かいものに変わったからだ。

北辰と対峙した時も今までの様な憎悪を感じなかった。

その事にラピスは安心できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けたたましく警報が鳴っている。

クリムゾングループの研究所。

秘密裏に建造された研究施設。

非合法の実験も行われていた。

現在その内部で戦いが行われていた。

 

「どうだ?」

 

そう訊いたのはアキト。

いつもの黒いコンバットスーツに身を包んでいる。

 

「はい、ここより上のフロアはすでに制圧完了しました。しかしターゲットの大半はすでに居なかったようです」

 

「そうか・・・まあいい。そいつらはおまけだからな。・・・ここからメインターゲットの距離は?」

 

「正面約20mにあるドアの中です」

 

部下がそう報告したときに三叉路になっている正面に敵兵が現れる。

ドドン!

こちらを向く暇もなくアキトに撃ち殺される敵兵。

 

「迂闊だな・・・まるで素人だ」

 

ゆっくりとドアの側まで歩いていく。

その時三叉路の両側からシークレットサービスが現れる。

 

「隊長、このフロアの制圧もほぼ完了したようです。後はこの部屋だけです」

 

その言葉に室内の気配を探るアキト。

 

「この中には・・・気配が1つ。敵は居ないようだから、スタングレネードは使うな」

 

そう言いながらアキトは用意してあったカードをスロットに通す。

プシュ!

開くドア。

その中にゆっくり入っていくアキト。

その後に続く部下。

 

「・・・な、なんだと!」

 

不意に足を止めると叫ぶアキト。

顔には出さないが驚いている部下達。

普段冷静沈着なアキトが驚く所など滅多に見られない。

アキトがゆっくりと目の前の巨大な水槽に近付いていく。

 

「・・・どうして・・・どういう事なんだ?・・・」

 

水槽の前に立つアキト。

その中に入っているモノを見る。

12歳くらいの少女。

自らの身体を抱きしめながら、巨大な試験水槽の中でしゃがみ込んでいる。

アキトを見上げながら震えている少女。

アキトは知っていた。

その少女の事を。

まだアキトが火星にいた頃。

そのころアキトを慕ってくれていた少女。

少女の名は、ホシノ・ルリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰還する車の中で少女を抱いているアキト。

少女はバスタオルの様な物にくるまれ、アキトの腕の中で可愛らしい寝顔を見せている。

 

(ルリちゃん・・・だがなぜこんなに幼い・・・クローンか?)

 

少女を見つめるアキト。

幼い頃のルリにそっくりな少女。

昔はよく、同じように抱いてあげていた事を思い出す。

 

「あの頃のルリちゃん・・・だが、俺は・・・」

 

濡れている髪をそっと梳いてやるアキト。

 

「隊長、そうしていると親子の様ですよ」

 

同乗している部下が言う。

確かにその通りだ。

今のアキトは髪の色素が抜けてしまっている。

そして瞳の色は同じ。

この2人が親子だと聞いたら信じてしまうだろう。

ずいぶん若い父親だが。

 

「俺にこの仕事をさせたのはこの子がいたからか」

 

そう言ったアキトの腕の中で少女が微かに動く。

 

「・・・う〜ん・・・」

 

ギュッ!

アキトの服を縋り付くように握りしめる少女。

それを見てククッと笑う部下。

 

「何がおかしい」

 

「いえ。似合ってますよ、隊長」

 

笑いを堪えている部下に何も言わないアキト。

ただ黙って少女を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あなたは誰ですか?)

 

(僕?僕はテンカワアキト、よろしくねルリちゃん)

 

(はい、よろしくお願いします)

 

感情のない声。

昔を思いだしているアキト。

ルリが幼く、自分もまだ子供だった頃。

火星で両親がルリを引き取ったときのことを思い出していた。

 

『どうしたんだい、テンカワ君』

 

ディスプレイに映っているのはアカツキ・ナガレ。

ネルガルの会長だ。

現在作戦行動中のナデシコと、密かに通信している。

 

「いや・・・しかしルリ、いやNO.03をこれからどうするつもりなんだ?」

 

『僕の父さんがやったことだから僕が責任をとるべきなんだろうけど・・・』

 

そう言ってまっすぐにアキトを見るアカツキ。

今回のルリのクローン。

実は彼の父親、前ネルガル会長が仕組んだ事だった。

前会長は特殊な遺伝子操作を施した人間を作り出しそれを研究することにかなりの力を注いでいた。

マシンチャイルド。

そしてその中でもすばらしい結果を示した少女がホシノルリ。

成功例No.01。

その結果に大いに喜んだ会長は当時5歳だった彼女の遺伝子から2つのモノを作らせたのだ。

1つはルリと全く同じ遺伝子を持っている少女、No.03。

そしてもう1つはルリの遺伝子の優れた所だけを受け継いでいる少女、No.02。

もっともNo.03の方はルリの予備だったのでまだ多少ましな扱いを受けていたそうだ。

その後当時の会長の失脚と共に、クリムゾングループの手に落ちてしまったのだ。

No.01ことホシノ・ルリはテンカワ夫妻、そして何よりアキトが居たおかげで何とか人として生きることが出来た。

No.02ラピス・ラズリは火星の後継者に拉致され、苛酷な人体実験を施されていたがそこでアキトに出会い、木連に助けられ今に至る。

 

『どうだい、テンカワ君。彼女を引き取らないかい?』

 

アカツキが言う。

 

「・・・本気か?」

 

そう言いながら何かを考えているようなアキト。

 

『君はこれまでにホシノルリ、ラピスラズリと2人のマシンチャイルドを育てている。それに彼女はホシノルリと同じだよ。彼女だけ捨てるのは可哀想じゃないか。報告では彼女は君だけには懐いているようだしね』

 

アカツキの言う通りだった。

実際彼女はアキトに懐いていて、アキトは右にラピス左に彼女といった様に少女2人を連れて歩いている。

 

『ここまでしておいて引き取らない訳にはいかないだろ』

 

そう言ってアキトを見るアカツキ。

アキトの金色の瞳もアカツキを見つめる。

男の真意を見抜くために。

いつものヘラヘラしている印象が全くない。

本気のようだ。

 

「・・・わかった。ただしナデシコが戻ってくるまでだ・・・」

 

『テンカワ君・・・それは・・・』

 

「アカツキ、それだけは譲れない」

 

真剣なアキトの物言いに何も言えなくなるアカツキ。

ため息をつく。

 

『・・・わかった、それで良いよ・・・』

 

そう言って通信を切るアカツキ。

ゆっくりと椅子の背もたれによりかかり目を瞑るアキト。

ふうっと息を吐く。

目を閉じると何かを考える。

しばらく静かな時間が流れる。

 

(・・・家族・・・か・・・)

 

その時誰かの気配を感じた。

プシュウ!

背後のドアが開き人が入ってくる。

 

「あの、テンカワさん」

 

アキトの背後から声がかかる。

少女。

No.03。

ホシノ・ルリ。

椅子から立ち上がるとゆっくりとルリに向き直るアキト。

 

「どうした?」

 

「あの・・・今、エリナさんからお話を伺いました」

 

「・・・そうか・・・」

 

「私、自分がクローンだと言うことも理解しました」

 

淡々としゃべるルリ。

そんな彼女をじっと見つめるアキト。

ルリと同じ金色の瞳で。

そしてその心の目で。

 

「ですから気にしないでください。テンカワさんも無理しないで良いです」

 

黙って聞いているアキト。

 

「・・・本物のルリさんに悪いです・・・だって私は本来生まれるべきではなかった存在ですから・・・」

 

アキトは見逃さなかった。

彼女の心が一瞬揺れたのを。

彼女の瞳が悲しそうだったのを。

 

「だからテンカワさんは私のことは・・・」

 

「ルリちゃん」

 

ルリの言葉を遮るように言うアキト。

 

「・・・はい、何ですか」

 

「君は俺と一緒に居るのはイヤかい?」

 

優しい言葉。

そしてずいぶん昔にアキトがルリに対して言った言葉。

もっとも今目の前にいる彼女ではないが。

その言葉に必死にかぶりを振るルリ。

それに合わせて彼女の髪が揺れる。

 

「イヤじゃないです・・・イヤじゃ。でもご迷惑になるんじゃ・・・」

 

そんなルリの頭に手を乗せて撫でるアキト。

心なしか頬を染めているルリ。

 

「心配してくれてありがとう。でも、もしルリちゃんがイヤじゃなかったら俺と一緒に居ようよ、ね?」

 

とどめとばかりに微笑むアキト。

その笑顔に真っ赤になる少女。

 

「・・・はい・・・」

 

そう答えるルリ。

 

「じゃあ行こうか」

 

「はい、父」

 

「・・・は?」

 

いきなりアキトを父と呼んだルリに驚くアキト。

そんなアキトを見ているルリ。

 

「・・・どうしました、父?」

 

「い、いや。その父って?」

 

「テンカワさんは身よりのない私を引き取ってくださいます。その事実と私たちの年齢差を考えると父、または兄と呼ぶのが適当だと思います。ただテンカワさんの給料で私を養うという点から見て父が適当だと思いました・・・いけませんか?」

 

(うーん、さすがルリちゃんだ。頭良いな)

 

何故か感心してしまうアキト。

ルリは心配そうにアキトを見ている。

その視線に気付き笑顔を浮かべるアキト。

 

「まあ、そう言うことならルリちゃんの好きに呼んだらいいよ。ただ、父ってのはすこしな。せめてお父さんとかパパとか・・・」

 

一瞬ルリにパパと呼ばれている姿を想像するアキト。

顔がだらしなくゆるむ。

 

「そうですか。私の年齢から考えてパパでは幼すぎますので、お父さんと呼ぶのが妥当だと思います」

 

ルリの言葉に心なしかガックリするアキト。

そんなアキトを見てキョトンとする。

 

「どうしたんですか、お父さん」

 

それでもお父さんと呼ばれる事がかなり嬉しいアキト。

 

「いや、何でもないよ。じゃあ行こうか」

 

そう言ってルリの手を取るアキト。

 

「あ!・・・」

 

声を上げるルリ。

温かい。

今までだれもくれなかった温かさがそこにあった。

アキトは気にしない。

ニコニコしながらルリを引っ張って歩いていく。

そんなアキトを見ながらルリはいつしかその手を強く握りしめていた。

初めて感じた温かさを、失いたくなかったのだ。

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

<あとがき>

どうも、ささばりです。

今回はいかがでしたでしょうか。

ルリ・クローンなんて人が出てきました。

年齢的、外見的にTV版のホシノ・ルリです。

アキト君、お父さんになりました。

次回、アキトパパはどうするのか・・・。

感想待ってますので、よろしくお願いします。

それでは、続きをお楽しみに。

 



艦長からのあれこれ

はい、艦長です。

やっぱアキトはこーでなくちゃ(笑)
優しくて、クールなアキト。
主人公ぱわふる主義の私としては嬉しい限りっす(笑)



さあ、2児の父親になりつつあるアキトが見たければささばりさんにメールを出すんだ!(爆)


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