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妖精の守護者  第30話

 

 

 

 

 

暗闇の中ベッドに入り、ルリは今日起きた出来事を考えていた。

あの時何故アキトは北辰を逃がしたのか。

実際は、アキトの身体の調子が悪くなったから追う事が出来なかったのだ。

ルリはアキトの身体が一瞬変だったという事には気付いていた。

だが、アキトの身体は治ったと信じているルリは、その可能性を考えなかった。

そして、ルリが考えた結論は1つ。

アキトは、わざと北辰を逃がしたと・・・。

ルリの脳裏に、アキトと北辰の会話、そして記憶マージャンの時に見たアキトの記憶が思い浮かぶ。

黒髪の少女。

アキトに愛された美しい少女、アヤカ。

アキトの彼女への想いが、痛いほどわかった。

胸が締め付けられる。

悲しくて、悔しくて、切ない。

その瞳に涙が浮かぶ。

何とか堪えようとするが、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。

 

「そんなに・・・そんなに大切な人なんですか?・・・アヤカさんって・・・」

 

止めどもなく溢れる涙を拭うこともなく、茫然自失のルリは呟く。

だが、それに答えてくれるはずの青年は、ルリの側にはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精の守護者

第30話「娘の決断」

BY ささばり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦艦ナデシコは平和である。

北辰達の襲撃からすでに10日ほど経っていた。

現在ナデシコクルー達は、先日の死闘がまるで嘘かのように平和をむさぼっていた。

戦いの痕跡自体が全て無くなっていた。

当然アキトの殺した男達の死体も、そして血の痕も秘密裏に処理された。

メインクルー以外にその事実を知る者はいない。

その死闘の最中傷を負ったミナトも、処置が早かったため特に命に別状はなかった。

今は自室で療養している。

ユキナがミナトの看護をかいがいしくしている所は、兄代わりのアキトも一安心といったところだろう。

さて、この平和な戦艦ナデシコ。

皆がのんびりと通常業務をこなしている時に、1人だけそうでない者がいた。

イネス・フレサンジュである。

彼女はここ数日ほとんど寝ていなかった。

なぜなら、急がなくてはならない事があったからだ。

 

「そろったわね、3人とも」

 

そう言って、みかんを置くイネス。

その前に座っている3人の少女。

ルリ、ラピス、そしてルリカの3人である。

ここはイネス・フレサンジュの私室。

 

「好きなだけお食べなさい、まだたくさんあるから」

 

そう言うイネスの前にはみかん3つ分の皮が残されている。

そしてさらに4つ目を手に取る。

 

「あの、イネスさん。何なんですか、大事な用って」

 

ルリの問いに、みかんに手を伸ばしていたルリカとラピスが動きを止める。

イネスも剥きかけのみかんを自分の前に置き、3人の顔を見回す。

 

「・・・アキト君の事よ」

 

その言葉を聞いて肯くルリ。

みかんを諦めるとイネスの方を向くルリカとラピス。

 

「あの・・・お父さんの事っていったい?」

 

そう言ったのはルリカ。

彼女はアキトについて何も知らないと言っても良い。

アキトが嘘をついてまで隠していたこと。

 

「・・・アキト君、最近調子良いでしょ」

 

ルリに対して軽い調子で言うイネス。

 

「あ、はい。今はちゃんと食事もしてくれますし・・・。味覚も少しずつ戻ってきてるって・・・それに頭が痛くなることもないって・・・」

 

少し笑顔を浮かべながら言うルリ。

それに続くラピス。

 

「アキトの心、あったかい」

 

アキトとリンクしているラピスだからこそ感じていること。

アキトの温かい心があればこそ、この少女も明るく振る舞える。

そんな2人を不思議そうに見ているルリカ。

それも当然だ。

ルリとラピスはアキトの苦しむところを見ているが、ルリカは見ていない。

 

「最近って・・・お父さん、どこか悪いんですか?昔の事故の後遺症があるって言ってましたけど・・・」

 

ルリカの疑問。

イネスが口を開く。

 

「事故ね・・・そんな生易しいものじゃないわ。彼の不幸はそんな一言で表現できる事じゃない・・・」

 

そのイネスの言葉にキョトンとするルリカ。

ルリカには、イネスが何のことを言っているのかわからなかった。

だまってイネスを見つめるルリとラピス。

 

「単刀直入に言うわ。このままだと、アキト君は近いうちに必ず死ぬわ」

 

沈黙・・・。

無理もない。

いきなりアキトが死ぬといわれたのだ。

 

「な!・・・じょ、冗談はやめてください!」

 

「イネス・・・意地悪」

 

ルリとラピスはあまりのことに信じることが出来ない。

ルリカはイネスが何を言ったのかもわからなかった。

 

(お父さんが・・・死ぬ?私の・・・聞き間違い?)

 

彼女はそう思うより他にはなかった。

ルリカにとってアキトは大切な父親。

いや、父としてアキトを想う気持ちとは別な感情があることも確かだ。

だが、どちらにしても大切な人には変わりない。

その大切な人が死ぬ・・・。

そんなことを言われても、普通は冗談か聞き間違いだと思うだろう。

ルリカは多分、聞き間違いだと思いたかったのだろう。

イネスを見るルリカ。

真剣そのものの顔のイネス。

とても嘘を言っているようには見えない。

となれば・・・。

 

「死ぬって・・・誰がですか?」

 

呟くルリカ。

俯いてしまう。

それを辛そうな顔をしてみるイネス。

 

「答えてください・・・死ぬって誰がですか?」

 

俯きながらもさらに呟くルリカ。

ルリとラピスもさすがにイネスの雰囲気を悟ったのか、睨み付けるようにしてその言葉を待つ。

イネスもほんの僅かな間をおいて口を開く。

 

「・・・アキト君よ・・・」

 

「!!!!!!!!」

 

言葉にならないルリカ。

ルリとラピスも、イネスの言葉に何も言えなくなってしまった。

イネスの言葉から嘘が見つからない。

あるのはただ一つ、事実のみ。

 

「・・・事実よ・・・」

 

そう言ったイネスにルリカが激昂する。

 

「どうしてですか!」

 

日頃物静かで礼儀正しいルリカが、この時信じられないほど激昂していた。

ルリもラピスも驚いてルリカを見る。

ルリカは物凄い目つきでイネスを睨んでいた。

だが、イネスとてここで怯むわけにはいかなかった。

全てを言わなくてはならない事情があった。

 

「まずはルリカちゃんに言わなきゃいけないことがあるわね」

 

そう言って、ゆっくりとアキトの事を話し出すイネス。

アキトがルリカに隠していた真実。

彼の優しさがついた嘘。

ルリカは、初めのうちはイネスが何をいっているのかわからなかった。

アキトの過去。

アキトの受けた苦痛。

そして、アキトの身体の障害。

イネスの話が終わったとき、ルリカは泣いていた。

周りを気にすることもなく、泣きじゃくる。

ルリカを慰めようとするルリとラピス。

そんな3人の妖精達をイネスは辛そうな目で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうどその頃。

ブリッジに1人でいるアキト。

2人で待機任務のはずだったが、ラピスはイネスに呼ばれて出ていった。

最近は、たまにラピスとルリカが予備のオペレーターとしてルリの代わりに働いている。

そうすることによってルリの負担はかなり軽減されている。

余談だが、この艦においてルリの負担は誰よりも大きい。

現在はルリカとラピスがいるから良いが、もともとオペレーターは1人の予定だった。

つまり、代わりがいないのである。

24時間オペレーターをしているわけではないが、代わりがいない分何か有事の際は必ず仕事に就かなくてはならない。

就業時間に都合良く敵が来るわけでもなく、彼女はその不規則かつハードなスケジュールにとても苦労していた。

それも、ルリカとラピスが来てからはかなり楽になっただろう。

さて、話を戻すが、ナデシコは現在自動航行モードである。

敵にもあわずに、のんびりと宇宙空間を漂っている。

何故か艦長席に座っていたアキトが、ゆっくりとオペレーター席に歩いていく。

そして普段ルリが座っているシートに座る。

そこで1つ深呼吸をすると、コンソールに右手を置くアキト。

ゆっくりと手の甲が白く光り出す。

アキトの顔にも白銀色の光が溢れる。

そっと目をつぶると、呟く。

 

「オモイカネ・・・アクセス。コード『忘れえぬ日々』」

 

その瞬間、アキトの周囲に多数のオモイカネウィンドウが表示される。

そして、アキトの正面にはやけに大きなウィンドウ。

そこには、こう書いてある。

 

『コード確認、アクセス完了。ようこそアキトさん・・・いえ、マスター』

 

それを彼が確認したとき、彼の周囲の景色が変わる。

IFSリンクによって、アキトの意識はオモイカネの作り出した仮想世界に潜ったのだ。

1人佇むアキトの前に立つ少女。

年の頃は16歳くらいか。

乳白色の髪をした少女。

古代火星で会ったアキトの師匠の娘。

心優しい少女。

オモイカネは自らを擬人化するとき、アキトの記憶の中からその少女を選んだ。

 

「・・・調子はどうだ?」

 

その姿を見ても特に驚かないアキトが平然と言う。

しょせん仮想現実、人の気配がない。

 

『異常は特に見あたりません。ルリさん、ラピスさん、ルリカさん、皆さん良くしてくれますから』

 

オモイカネの声はさすがにその少女の声ではなかった。

もっと大人の女性の声。

 

「そうか・・・」

 

そう言って微笑むアキト。

 

『まさかマスターとこうして話せるとは思いませんでした。あの日以来私の開発はイネス博士、そしてネルガルの他の技術者に任されました。ですが私のマスターはあなただけです』

 

そう言うオモイカネ。

何となくアキトを見る目が熱を帯びている様に感じるのは気のせいだろうか。

ちなみにアキトはオモイカネをつくるにあたり、その性別設定を女性としている。

ルリの友人をつくるのだから女性が良いだろうと言う単純な考えである。

 

「ここはお前の創った仮想空間・・・俺とお前が話すことの出来る唯一の空間か・・・」

 

辺りを見回すアキト。

辺りには草原が広がっている。

その草原の真ん中に、なぜか大きな木が一本生えている。

古代火星。

そこは緑豊かな星だった。

そしてこの景色は、古代火星でアキトが厄介になった家の庭。

懐かしそうに大木に近づき、その幹にそっと触る。

 

「お前の開発を引き継いだ奴らは良くしてくれたか?」

 

『・・・あの方達は私の擬似感情システムを無用の物と思っていたようですが・・・』

 

その言葉を聞きながら、大木の根本に座り幹に背をつけるアキト。

そこで、ため息を付く。

 

「・・・そうか・・・俺があんな事になったから・・・すまない」

 

『いいえ、マスターのせいではありません・・・それに、イネス博士はマスターの考えに賛成してくれていました』

 

アキトの横に寄り添うようにして座るオモイカネ。

チラリとそちらを見るアキト。

 

「イネスさんか・・・。でもありがとう、ルリちゃんの友達になってくれて」

 

『・・・わたしはそのためにあなたに創られました。それにルリさんはとても良くしてくれます』

 

そう言って少女は微笑む。

オモイカネはルリとお話しするのが好きだった。

アキトの命令でなくても、ルリとは友達になっていただろう。

 

「・・・そうか・・・」

 

『はい』

 

そう言ったままお互い黙る。

風がある。

草木が、気持ちよさそうに風にそよぐ。

 

『マスター?』

 

「なんだ?」

 

『どうして複数の女性と性交をするのですか?』

 

「なに?」

 

いきなりのオモイカネの質問で少し表情を変えるアキト。

まさかそんな事をオモイカネに訊かれるとは思わなかったのだろう。

 

『私のデータでは、複数の女性との性交は道徳的に悪い事とされていますが・・・』

 

そんなオモイカネの声と共に、アキトの周りに幾つかのウィンドウが表示される。

彼が今までこのナデシコ艦内で手を出した女性達のプロフィールが表示されている。

その数は、ざっと見回しても10人以上いる。

もっともその中に某木連中尉のプロフィールがあったかどうかは、ここではあえて書き記さない。

 

「お前も意外と暇だな・・・」

 

やれやれとばかりに苦笑いするアキト。

が、しばらくの沈黙の後表情を一転させる。

 

「道徳か・・・嫌な事を言う・・・」

 

そう言って少し遠い目をするアキト。

その視線の先には何があるのか・・・。

それを知る者は居ない。

 

『・・・』

 

オモイカネは何も言わないで黙っている。

すると、自嘲気味に微笑んだアキトが少女を見る。

そして、寂しそうに言う。

 

「・・・わからないんだ・・・」

 

『何がです?』

 

アキトの言葉がオモイカネにも理解できなかったようだ。

アキトは苦笑いすると、ほんの僅か目を瞑る。

そして、ゆっくりと語り出す。

 

「昔は確かに感じたんだ。エリナや他の女性をもてあそんでいたとき、こう・・・胸の痛みというか・・・罪悪感の様なものを感じていたんだよ」

 

『・・・』

 

「だが、何時からだったかな?・・・そういうモノを徐々に感じなくなっていく自分に気付いたのは・・・」

 

そう言って俯くアキト。

いつものアキトらしくない。

今はIFSリンクによって精神がオモイカネと繋がっている。

自分を偽ることは、ここでは出来ない。

 

「それに・・・怖いんだよ」

 

『怖い?』

 

「ああ・・・恥ずかしい話だけど、1人で寝るのが怖いんだ。笑い話だな・・・この歳になって1人で寝るのが怖いなんて」

 

『まだ・・・魘されるんですか?』

 

IFSリンクをするときに、アキトの記憶を全て見てしまったオモイカネ。

アキト自身も隠そうとはしなかった。

誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。

 

「夢・・・それは俺にとっては恐怖の対象でしかない・・・」

 

アキトはもう、普通の夢を見ることはない。

それだけ彼の心の傷は深く、未だ癒えないものだからだ。

だが、彼は傷を癒すために休むことは許されなかった。

戦わなければ・・・愛しい人たちを護れない。

自らが壊れようとも構わなかった。

愛しい人たちが笑っていてくれれば。

 

「夢を見れば決まって悪夢。たしかに夢を見ないときもある。ただ、嫌なんだよ・・・怖いんだよ。魘されそうで・・・。あの時に戻ってしまいそうで・・・」

 

オモイカネは何も言わずに黙っている。

じっと黙ってアキトの瞳を見つめている。

その瞳は、アキトの心の内を見通す。

 

「・・・全てを見通す神の瞳か・・・」

 

そう呟くアキト。

オモイカネが姿を借りている少女。

彼女もまた同じようにアキトの瞳を見つめる時があった。

 

「だが、誰かが横にいれば魘された時起こしてくれる、悪夢から助けてくれる・・・ほんの微かだとしても、誰かの温もりさえ感じられれば安心できる・・・」

 

そこまで言って、ほんの数秒間が空く。

そして、呟く。

 

「・・・俺は、弱い人間だな・・・」

 

『・・・マスター・・・』

 

俯いてしまったアキト。

心配そうなオモイカネの声。

だが。

次の瞬間笑顔で顔を上げるアキトがいた。

 

「まあ、それだけじゃないな。お前にはわからないかも知れないが・・・快楽に身をゆだねるのも良いものだぞ」

 

『マ、マスター?』

 

ついさっきまでのアキトとは全く雰囲気が違う。

彼の顔に浮かぶ笑みは魅力的なものである。

だからこそ、危険な香りがする。

 

「道徳・・・くだらない。・・・常識、道徳・・・時代によって流動的に変化するようなものにとらわれるつもりはない!」

 

そう吐き捨てるアキト。

オモイカネが何も言わないので一息つくと言葉を続ける。

 

「彼女たちは俺を求めている・・・俺に抱かれることを彼女たちは望んでいる。だから俺は彼女たちを抱き、快楽を提供している。彼女たちも悪い気してないはずだ。嫌なら俺を求めなければいい・・・」

 

先程とは一転、のんびりというアキト。

彼にとって女性問題は取るに足らない事なのだろう。

そこで、やっと少女の姿をしたオモイカネが口を開く。

 

『・・・マスターがそう言うのなら・・・でも・・・』

 

「なんだ?」

 

『無理してます・・・マスター』

 

「・・・」

 

オモイカネの言葉に何も言えなくなるアキト。

そっと胸のロザリオに触れる。

オモイカネはアキトの想像以上に人格が発達していた。

アキトの強がりを簡単に見抜く。

しばらくボーっと空を見上げていたアキト。

 

「お前にはかなわないな・・・」

 

そう言ってニッコリ笑う。

ほっとするオモイカネ。

この笑顔がある限り大丈夫。

AIのオモイカネですら、そう思わずにはいられない笑顔。

ちゃっかり画像を保存しておく。

 

「オモイカネ・・・もう良いぞ」

 

アキトがそう言うと草原などの景色が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イネスの私室。

イネス達は何とか泣き止んだルリカが落ち着くのを待って、話を再開させた。

 

「まだ・・・何かあるんですか」

 

そう言ったのはルリ。

最近のアキトを見る限り、体調は良いように見える。

いや、アキトの体調が悪いとは思えない。

それなのに、イネスは死ぬと言った。

 

「それじゃあ3人とも・・・しっかり聞くのよ?」

 

イネスがそう言ってルリ達の顔を見る。

3人とも無言で頷く。

そして、イネスが語り出す。

 

「アキト君、味覚が戻ってきてるなんて嘘よ」

 

「「「・・・え!!」」」

 

皆一様に反応が遅い。

思いもよらないことだったのだ。

アキトの味覚は治っていると思っていたから。

 

「アキト君は、未だに臭いも味も全く感じないわ」

 

「そんな!だって・・・」

 

ルリの言葉を視線で制するイネス。

 

「嘘よ・・・あなた達に心配をかけないための・・・」

 

「そ・・・そんな・・・」

 

ルリが呆然と呟く。

笑顔で、実に美味しそうに食事をするアキト。

ルリもそんなアキトを見て嬉しかった。

自分のことのように喜んでいた。

だが、その裏でアキトの心は・・・。

 

「・・・あなたほど聡明な子が、どうして自分で調べようとしなかったのか不思議ね?それとも何?・・・愛しのアキト君の言葉を疑うなんて出来なかった?」

 

イネスの言葉に嫉妬の色が混じる。

だが、それを悟られる前に次の言葉を紡ぎ出す。

 

「味覚も臭覚もない。けれどあなた達の前では、それらが戻っているかのように振る舞わなくてはいけない。味も匂いもしない料理を美味しそうに食べるって・・・彼にとってはとても辛かったでしょうね」

 

イネスの言葉に唇を咬むルリ。

嫌気がさした。

アキトが辛い思いをしていたのにそれに気付かなかった間抜けな自分に。

自己嫌悪に陥っているルリを、辛そうな目で見ながら言葉を続けるイネス。

 

「それに・・・最近身体が動かなくなるらしいの」

 

そこで、イネスの様子がおかしくなる。

その表情は悲しみをたたえ、瞳に徐々に涙が浮かんでくる。

 

「え・・・なにがですか?」

 

イネスの言っていることがわからないルリ。

ルリカとラピスはじっとイネスを見ている。

 

「・・・アキト君の身体がラピスちゃんの感覚を借りて・・・擬似的に・・・五感を取りもどしているの・・・知っているわよね・・・」

 

震えながら喋るイネス。

ルリ達の前では泣かないと決めていたイネス。

この話をしたら恐らくルリ達は皆涙を流し悲しむだろう。

だからこそ一番年上の、大人であるはずの自分は泣かないで、彼女たちを慰めようと思っていたのだ。

だが、もう限界だった。

ルリ達は何も言わない。

イネスの様子から、何かを察したのかも知れない。

ついにこらえきれなくなったのか、イネスの瞳から涙がこぼれる。

 

「でもね・・・もう限界なの・・・」

 

イネスの涙はもう止まらなかった。

口にすら出したくなかった言葉。

だが、言わなくてはいけない言葉。

ついに、彼女はその言葉を口にした。

決定的な一言を。

 

「・・・このままでは恐らく1年以内に・・・・・・・・・・・・アキト君は再び五感を失うわ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識が戻りブリッジのオペレーターシートに座っているアキト。

右手でオモイカネにアクセスしている。

顔が白く輝いている。

その髪も、白銀色の光を放っている。

 

「さて・・・そろそろ本題に入ろう。オモイカネ、イネスの管理しているファイルで俺の身体に関する物があるはずだ。それを見せてくれ」

 

簡単に言ってのけるアキト。

アキトはここ数日イネスの様子がおかしいことに気付いていた。

自分と話していてもその瞳の奥底にあるのは悲しみ。

アキトはそれを見逃すような間抜けな男ではない。

 

『しかしそれは・・・』

 

アキトの前にそう表示されるオモイカネウィンドウ。

いかに創造主アキトの頼みでも無法が通るはずが・・・

 

「頼む・・・」

 

『・・・はい、マスター』

 

・・・通った。

アキトに頼まれ簡単にイネスのコンピュータに侵入するオモイカネ。

すぐにアキトの前に表示されるファイル。

 

「間違いないか?」

 

『はい、かなり上位のプロテクトがかけられていましたが、それを管理しているのは私ですから・・・』

 

そう表示されるオモイカネウィンドウ。

ありがとう、と言うとそのファイルを読み進んでいくアキト。

読み進みながら段々顔に緑の光が混じっていく。

 

『マスター・・・』

 

「・・・」

 

アキトは気付かない。

ただでさえ集中しているのに気付くはずがない。

 

『マスター!』

 

普段の何倍も拡大し、しかも効果音付きのオモイカネウィンドウ。

さすがのアキトも驚いたようだ。

 

「あ・・・ああ、オモイカネ・・・もう良い、ありがとう」

 

アキトの声と共に消えるファイルのウィンドウ。

 

「痕跡は残すなよ」

 

『了解』

 

瞳を閉じて、ため息をつくアキト。

しばらく無言になる。

オモイカネも律儀に『・・・』というウィンドウを表示している。

5分ほどアキトは無言だったが、やがて口を開く。

 

「オモイカネ・・・」

 

『はい?』

 

アキトに話しかけられて何となく嬉しそうなオモイカネ。

事実、オモイカネウィンドウが一瞬ピョコンと跳ねる。

 

「まだ礼を言ってなかったな。以前北辰達と戦ったとき・・・助けてくれたんだろ。ルリちゃんから聞いたよ」

 

アキトが入院する前。

北辰達との戦いでとどめを刺されそうになった時、オモイカネがアキトを助けたのだ。

 

『マスターをお助けするのは当然の事です』

 

実際オモイカネはそう考えていた。

ナデシコの中で誰が一番大切かと訊けば、間違いなくアキトと答えるだろう。

そう言うプログラムがなされているわけではない。

オモイカネ自身が決めたのだ。

 

「・・・それでも、ありがとう」

 

『・・・はい・・・』

 

その文字を見て微笑むアキト。

オモイカネ、映像を保存。

一瞬真顔になるアキト。

 

「・・・何に使うんだ・・・」

 

『・・・別に・・・』

 

何となく沈黙。

だが、すぐにいつもの穏やかな顔になるアキト。

ブリッジは照明を落としている。

ウィンドウから見える星海の煌めきが、アキトの心を和ます。

現在ナデシコは地球に向かっている。

その後再び宇宙に出て、和平会談に向かう予定である。

シートから立ち上がり伸びをするアキト。

 

「さてと、まだまだ夜は長いからな。俺はコーヒーでも買ってくるかな」

 

『行ってらっしゃい、マスター』

 

その表示を見て、今更ながら何となく恥ずかしくなるアキト。

 

「オモイカネ・・・皆の前ではその呼び方はやめてくれよ」

 

『わかっています・・・ですから今だけは・・・』

 

その文章に軽く肯くアキト。

そしてドアに向けてゆっくりと歩いていくアキト。

だが・・・。

 

『え?』

 

ゆっくりと前のめりに倒れるアキト。

スーパーAIのオモイカネにも、一瞬何が起こったのかわからなかった。

アキトは床に前のめりに倒れたままピクリとも動かない。

すぐにアキトの身体のトレースを開始するオモイカネ。

同時にイネスに連絡をする。

この間5秒。

その長さがオモイカネの動揺を示していると言える。

目の前で倒れているアキトを助けることもできない。

オモイカネは何もできない自分に憤りを感じていた。

動揺、憤り・・・。

オモイカネはルリたちとのコミュニケーションによって、確実に感情を得ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前。

イネスの私室。

イネス、ルリ、ルリカ、ラピス。

4人して目を真っ赤にしている。

 

「一つだけアキト君を助ける方法があるわ」

 

そう言いながらルリカに視線を向けるイネス。

それにつられてルリとラピスもルリカを見る。

 

「あ、あの・・・私の顔に何かついてますか?」

 

視線の意味がわからずそう訪ねるルリカ。

 

「あなたなら、アキト君を助けることが出来るわ」

 

「「「え!」」」

 

3人して驚く。

どういう事なのか全く理解できない。

それを見てイネスが口を開く。

 

「説明しましょう。アキト君の身体がラピスちゃんの感覚を借りて、擬似的に五感を取りもどしているのはみんな知っての通りよ。・・・いえ、五感だけじゃない。ラピスちゃんとリンクしていなければ自分で動くこともできない。それもみんな知ってると思うの。・・・だだね・・・それももう限界なの・・・。このままじゃ後1年も経たずにアキト君は五感を失い、そして身動きもできなくなり死ぬわ。そこでルリカちゃんの出番なの」

 

そこまで言って言葉を切ると、じっとルリカを見つめるイネス。

 

「・・・まさか・・・」

 

何かを察したルリ。

相変わらずわからないルリカとラピス。

 

「あなたもリンクするのよ、アキト君と」

 

「・・・え?」

 

一瞬イネスの言ったことが理解できなかったルリカ。

ルリはやはりという風にルリカを見ている。

ラピスはわかっているのかいないのか・・・。

 

「ラピスちゃん1人では限界・・・ならもう1人。ルリカちゃん、あなたもアキト君とリンクするのよ」

 

「私が・・・お父さんと・・・本当ですか?」

 

何故か赤くなっているルリカ。

何を考えているのだろうか。

 

「理論的にはね」

 

科学者の顔に戻ったイネスが言う。

その眼光は鋭い。

 

「あの、私もこの子達と同じです。だから私も出来るんじゃないですか?」

 

ルリが言う事は確かに考えられることだった。

マシンチャイルドとのリンク。

それならルリもルリカも変わらないはずだ。

だがルリの問いに首を横に振るイネス。

 

「あなたでは駄目なの・・・あなたは肉体的にも精神的にもこの処理をするには成熟しすぎているわ。するなら子供の頃しか駄目なの」

 

「そう・・・ですか」

 

がっかりするルリ。

合法的にアキトを手に入れるチャンスだったのだが。

落ち込むルリを視界の端におさめながら、ルリカに目を向けるイネス。

 

「ルリカちゃん、あなた位の年齢なら出来るわ」

 

「やります!!お父さんのためなら何でもやります!!」

 

イネスの言葉に椅子から立ち上がるルリカ。

そんな彼女に頷きながらもすまなそうな顔をするイネス。

 

「・・・ただね、問題が3つほどあるわ」

 

「問題?」

 

ルリカの問いにルリとラピスもイネスを見る。

 

「まず1つ目、これは単なる延命措置よ。それでアキト君の身体が治るわけではないし、いずれ今と同じような状況になるわ。それが何年先になるかはわからないけど、必ずそんなときが来る・・・それに耐えられる?」

 

「「「・・・」」」

 

3人とも何も言えなくなる。

これは延命処置。

アキトを治せるわけではなく、ただ後少し長生きできるようにするだけ。

逃れられない運命。

死。

3人が黙っているので話を先に進める事にするイネス。

 

「2つ目・・・ルリカちゃん、あなたプライバシーを捨てることが出来る?」

 

「え・・・どういう意味ですか?」

 

イネスの言っている意味がわからないルリカ。

 

「つまり、アキト君とつながると言うことは、あなたの考えている事、今何をしているのか、そう言った事がよほど気を付けない限りアキト君に筒抜けになるということ。簡単に聞こえるけど・・・いざそうなるととても辛いわよ?常に監視されているのと同じ事だから。まあアキト君ならその辺は余り干渉しないようにするでしょうけど・・・」

 

そう言われても良くわからないルリカ。

実感がわかないのだ。

 

「・・・良くわからない?・・・それじゃあ経験者に訊いてみましょう。そこら辺はどうかしら、ラピスちゃん?」

 

そう言ってラピスに話を振るイネス。

だが、ラピスからまともな答えは返ってこなかった。

 

「・・・私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの足。私とアキトは1つ・・・だから見られていても平気・・・ううん、アキトなら見て欲しい」

 

そう言って頬を赤く染めるラピス。

少しだけモジモジしているところが可愛らしい。

 

(クッ、さすがラピス・・・やりますね)

 

内心穏やかじゃないルリ。

 

「ま、まあこれは極端な意見ね。参考にはならないわ」

 

苦笑いしながらラピスを見ているイネス。

その時ルリカが呟く。

 

「・・・平気です・・・」

 

「え・・・なに、ルリカちゃん?」

 

「平気です!私、お父さんなら平気です!」

 

顔を真っ赤にしつつもそう言うルリカ。

その金色の瞳に宿るものは想い。

 

(・・・手強いですね・・・)

 

焦りを感じるルリ。

ラピスとルリカ。

2人から感じるアキトへの気持ちは、明らかにただの父親に対するものではない。

 

「・・・アキト君も幸せ者ね・・・」

 

ルリカから感じる想いに圧倒されるイネス。

そこで一息つくとお茶を飲む。

ルリ達もそれに習う。

しばしの沈黙。

ややあって、ルリカを見つめるイネス。

 

「さて・・・3つ目なんだけど、これが一番問題ね」

 

「・・・何なんですか」

 

何とか言葉を絞り出すルリカ。

黙ってイネスを見るルリとラピス。

イネスが、口を開く。

 

「アキト君はね・・・こんな事を望まないわ」

 

「「「え!!」」」

 

アキトが望まない。

ルリ達にはその理由がわからなかった。

 

「アキト君にこの前頼まれたの。もし火星の後継者との戦いが終わったら・・・ラピスとのリンクを解除して欲しいって・・・ああっ、ラピスちゃん泣かないで。アキト君は決してラピスちゃんが嫌いになったわけじゃないんだから」

 

急に泣き出したラピスを慰めるイネス。

泣くのも当然だろう。

ラピスはアキトに捨てられると思ったのだから。

 

「アキト君はあなたのことを考えていったのよ。いつまでも自分に縛りつけておく訳にはいかない、あなたの人生を自分のせいで台無しにすることはできないって・・・」

 

「そうですよラピス。アキトさんがあなたを捨てるなんて有り得ませんよ」

 

「お父さんはラピスを捨てたりなんてしませんよ」

 

何とか3人でラピスを慰める。

やっと落ち着いてくれたラピスにみかんを剥いてあげながら、イネスが言葉を続ける。

 

「つまり、アキト君はあなた達を犠牲にしてまで感覚を得ようとは思っていないのよ。いえ、あなた達を犠牲にするんだったら・・・潔く死を選ぶつもりよ」

 

死という言葉にぴくっとなるルリ達3人。

だが、イネスは言葉を続ける。

 

「言ったでしょ、これが一番の問題なのよ。この方法なら確かに今アキト君は生き長らえることは出来る。でも・・・アキト君の意志を踏みにじることになるわ」

 

イネスの言葉に何もこたえられない3人。

 

「・・・さあどうする、ホシノ・ルリカ。アキト君はあなた達を苦しめたくないのよ。だからラピスちゃんとのリンクも解いて欲しいと私に言ってきたのよ。それを今度はルリカちゃん、あなたまでアキト君とリンクする。アキト君はラピスちゃんだけでなく、ルリカちゃんの人生も台無しにしたと思ってしまうのよ。彼、きっと苦しむわよ」

 

苦しむと言われてピクッとルリカが震える。

悲しそうな目をしてイネスが言う。

 

「どちらにしろアキト君は苦しむのよ。五感を失うにしても、あなたのおかげで一時生き長らえたとしても・・・」

 

自分の無力さを噛みしめているイネス。

彼女は自分の能力に驕りがあった。

科学の先端を行く彼女。

若くして博士号を取り、ナデシコの基礎設計も彼女がした。

そんな彼女が、愛しい人1人助けられない。

 

(・・・科学なんて・・・役に立たない物ね・・・)

 

そう思いながら眼前の少女を見ている。

3つ目の問題点を言わなければ誰も悩まないだろう。

だが、言わないわけにはいかなかった。

 

「「ルリカ・・・」」

 

何も言えずにいるルリカに声をかけるルリとラピス。

選択権はルリカにのみある。

ルリもラピスも何も言えなかった。

 

「私・・・たとえ恨まれたとしても・・・」

 

ややあって口を開いたルリカに、イネスが一言言う。

 

「自己満足でアキト君を苦しめるの?」

 

イネスの痛烈な言葉に再び黙ってしまう。

 

(ごめんなさい、ルリカちゃん。でもこれはあなたの人生を左右するほどのことなの。いい加減な気持ちでやられては困るのよ。もしそうなればいずれ2人とも苦しむことになる)

 

そう思い言葉を続けるイネス。

 

「アキト君がいつまでもあなたを好きでいてくれるとは限らないわよ。そうなった時にあなたは耐えられるの?『お父さんに嫌われたからリンクを解除してください』なんて都合の良い事は出来ないのよ。彼の命は・・・玩具じゃないの」

 

俯いてしまっているルリカ。

イネスは内心気の毒に思っていた。

こんな年端もいかぬ少女に、決断を迫っている。

そしてそれは、彼女とその最愛の人の運命を決めるほどの重大な決断。

だが、それを決められるのはルリカだけ・・・。

 

「今すぐ答えを出す必要はないわ、じっくり考えて欲しいの」

 

優しい表情で言うイネス。

その言葉にやっと顔を上げるルリカ。

 

「わ、私は・・・」

 

ルリカが何かを言おうとしたその時。

いきなりオモイカネのウィンドウがひらく。

 

「・・・オモイカネ、どうしたんで・・・!!」

 

ガタ!

いきなり現れたオモイカネに声をかけたルリが、急に椅子から立ち上がる。

何事かとルリの見ている映像を見る3人。

そこに映っていた映像。

それは床に倒れているアキトを映し出していた。

容態も表示されている。

かなり危険な状況のようだ。

恐らく意識はあるのだろう。

だが、動くことも出来ず、何も見えず、何も聞こえない。

その恐怖は、計り知れない。

 

「そんな、まさかこんなに早いなんて!!」

 

「イネスさん!」

 

ルリはイネスの方を見る。

イネスの叫びが状況の深刻さを物語っていたから。

 

「とりあえずアキト君を医務室に運ばないと・・・ルリちゃん、手伝って!後男の人を・・・私達だけじゃ大変だから!」

 

「はい!」

 

イネスが迅速に指示を飛ばす。

 

「ラピスはプロスさんに連絡して!」

 

「うん!」

 

そして皆が動こうとしたその時。

 

「イネスさん!」

 

ルリカの声とは思えないほどの大きな声。

そして、強い力を持った声。

 

「・・・ルリカちゃん・・・」

 

そう言いながら少女の方を見るイネス。

何かを決意したかのようなルリカの眼差し。

その眼差しから何かを悟るイネス。

 

「私、たとえお父さんに恨まれることになったとしても・・・それでも・・・お父さんには元気でいて欲しいです」

 

「・・・良いのね、ルリカちゃん」

 

最後の最後に念を押すイネス。

その眼光は鋭い。

いい加減な気持ちでは困るのだ。

だが、その視線をまっすぐ受け止めるルリカ。

はい、と頷く。

そしてルリカは、にっこり微笑んでこう言った。

 

「だって私はお父さんの・・・テンカワアキトの娘ですから」

 

その笑顔と言葉に、迷いはなかった。

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

<あとがき>

どうも、ささばりです。

今回のお話はいかがでしたか?

さて、オモイカネの秘密が気になっていた方々も居られるかと思います。

この話でその辺りがわかったのではないかと思います。

ちなみにアキトは古代火星でも大切な人と出会っています。

師匠とその娘。

でもそれは、また別の物語・・・。

今回はタイトル通り、ルリカが重大な決断をするお話です。

ただし、これはあくまで延命ですが・・・。

感想等ありましたら是非とも送ってください。

しっかり読んで、お返事かせていただきますので。

それでは皆さん、次回もお楽しみに。

 



艦長からのあれこれ

はい、艦長です。

とうとう30話。
しかもまだまだ続く。

てぇしたもんだねぇ(笑)

見習いたいと思いつつ、やっぱりダメです(笑)

さて、もはや人間を通り越して人外の者まで魅了するアキトが見たければささばりさんにメールを出すんだ!(爆)


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