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妖精の守護者  第40話

 

 

 

 

 

「もう・・・復讐も・・・終わった・・・だから・・・」

 

アキトはすでに死を覚悟していた。

このまま死ぬことも、仕方がないと思っていた。

所詮運命からは逃れられない。

そう思っていた。

だが、その時。

 

(・・・お兄ちゃん・・・まだ駄目だよ・・・)

 

アキトの頭にハッキリと響いた、幼い少女の声。

少女の笑顔がアキトの脳裏に浮かぶ。

目を大きく見開いたアキト。

その瞳からゆっくりと涙が流れ落ちる。

 

「そうか・・・そうだね・・・まだ・・・死ねないね」

 

そう呟きながら、ゆっくりと右腕をルリの方に延ばすアキト。

その指先が、ルリの頬に触れる。

ルリは、その手を握るわけでもなく、呆然とアキトを見ていた。

アキトは止めどもなく涙を流している。

いずれ死ぬことはわかっている。

それも、普通の人よりもかなり早く。

だが、アキトはまだ死ねなかった。

まだ・・・愛する人を置いて逝くわけにはいかなかった。

 

「・・・だって、これからが・・・これからが本当の・・・」

 

そして、アキトの右腕が力無く地面に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精の守護者

第40話「幸せであるために」

BY ささばり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキトは辛うじて一命を取り留めたが、未だに意識が戻らない。

その為以前と同じ、地球のネルガル研究所付属病院に収容されていた。

ブラックサレナと夜天光の戦い。

その戦いで夜天光のボソンジャンプに巻き込まれたブラックサレナ。

だが、ブラックサレナと夜天光がユートピア・コロニーにジャンプアウトしたのは、その12時間も後の事だった。

何故時間的なズレが生じたのかはわからない。

ただわかっている事は、その時アキト捜索に出たユーチャリスとナデシコBがユートピア・コロニー周辺に居なかったら、アキトは間違いなく死んでいただろうということだけ。

ユートピア・コロニーを目指したのはルリの主張からだった。

戦後、何故そこを選んだのか聞いたハーリーに、ルリはニッコリ微笑んで、ただ『女の感』とだけ答えたらしい。

また、ナデシコBにイネスが乗っていたことも幸いした。

彼女の技術があったからこそ、アキトは助かったのだ。

それから2週間。

すでに一般病棟に移されているが、未だに眠り続けているアキト。

その病室に到る廊下を、2人の少女が歩いている。

瑠璃色の髪をした少女が花束をもって歩いている。

その横を、薄桃色の髪をした少女が同じように歩いている。

ルリカ、ラピスの両名である。

 

「あらルリカさん、ラピスさん。2人ともお父さんのお見舞い?」

 

そう声をかけてきたのは、アキト担当の看護婦だ。

 

「おはようございます」

 

そう言ってルリカがお辞儀をする。

黙ってお辞儀をするラピス。

 

「はい、おはよう。朝早くから偉いわね」

 

そう言ってニッコリ笑う看護婦。

 

「だって、普段は学校があって朝からこれないんだもん」

 

ブスッとしながら言うラピス。

そんな様まで可愛らしく見える、不思議な妖精。

 

「休日くらいは朝からお父さんの側にいたいんです」

 

そう言って微笑むルリカと、その横で頷いているラピス。

 

「あら?そう言えば今日ルリさんは来ていないのですか?いつもなら面会時間になるとすぐに来るのに?」

 

「ルリは・・・後で」

 

「ルリさんは、今日はお昼前に来ると思います」

 

そう言いながら、2人はチラリと看護婦の後ろ、アキトの病室の方を見ている。

一刻も早くアキトのもとに行きたいのだろう。

そんな2人に優しく微笑む看護婦。

 

「そう。お父さん、早く目を覚ますと良いわね」

 

「はい!」

 

「うん!」

 

2人は元気に返事をすると看護婦に会釈して、アキトの病室に向けて再び歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃ルリは、地球連合宇宙軍本部ビルに来ていた。

ルリの前に、デスクに座ったコウイチロウがいる。

彼は、ニコニコしながらルリに席を勧める。

 

「いや〜、よく来てくれたねルリ君。ささ、座りたまえ。おお、そうだ!ケーキも買ってあるぞ!!すぐに持ってこさせよう!」

 

そんなコウイチロウに微笑みで答えるルリ。

コウイチロウはルリのことをまるで自分の娘かの様に可愛がっている。

このことはルリカやラピスも同じだが。

アキトもよくルリ達を連れてコウイチロウの所の遊びに行っていた。

たったそれだけでも、アキトがいかにコウイチロウを信頼していたかがわかる。

歳の離れた親友、とでも表現した方が良いのだろうか。

それだけアキトが信頼しているコウイチロウを、ルリ達が信頼しないはずはなかった。

 

「お久しぶりです。ミスマル総司令」

 

席に座ったルリが優雅に頭を下げる。

そんなルリを嬉しそうに見ているコウイチロウ。

しばらく世間話をする2人。

15分くらい話していただろうか、それまで笑顔だったコウイチロウがいきなり真面目な顔をする。

 

「アキト君の容態はどうかね。まだ目を覚まさないのかね?」

 

「はい」

 

そう答えるルリの表情は何も変わらない。

優しい微笑みをたたえながら、コウイチロウを見てる。

だがコウイチロウは、ルリの瞳の奥に深い悲しみの光りがあることを見抜いていた。

 

「肉体的な傷は酷かったそうですが、目が覚めないのはそのせいではないそうです」

 

「ふむ・・・もっと精神的な問題なのかね?」

 

「・・・医者の話では・・・アキトさんの心が目覚めようとしていないそうです」

 

そういったルリの表情が、初めて曇る。

 

「・・・彼自身が、死を望んでいるというのか」

 

「いえ、死を望んでいるというより、生に執着していないのだと思います」

 

「なるほど・・・」

 

コウイチロウがそういったとき、ルリの表情が見る見るうちに変わっていく。

その表情は、次第に険しくなっていく。

日頃、優しい笑顔を浮かべているルリからは想像もできない表情。

 

「『人は何時かは死ぬ』だなんて、そんなことを言っているから帰って来られないんですよ」

 

コウイチロウは、寒気を感じた。

部屋の気温が下がったように感じられた。

 

(ルリ君・・・怒っておるのか。・・・こ、怖い)

 

コウイチロウは、多くの死線を越えてきた猛者である。

その彼が今、目の前に座っているルリに恐怖を感じていた。

 

「ル、ルリ君?」

 

微妙に声が震えているコウイチロウ。

 

「あっ、すみません」

 

そういって頭を下げるルリ。

ふっと、部屋の空気が暖かくなった様な気がした。

 

「・・・まあいい。今日は君に伝えておかなくてはならない事がある」

 

気を取り直して、真面目な表情をするコウイチロウ。

 

「なんですか?」

 

「草壁春樹が、自殺した」

 

コウイチロウは、てっきりルリが驚くと思っていた。

だが、ルリはコウイチロウの言葉を受けても平然としていた。

 

「自殺・・・。仲間に謀殺された・・・の間違えですよね?」

 

冷たい声色でそう言うルリ。

そのルリの言葉にコウイチロウはしばし言葉を失った。

ルリは、まるで草壁が殺される事をすでに予想していたかのように言ったのだ。

事実、ルリは全てを見通していたのだ。

 

「・・・彼も思えば哀れな男よ。部下の安全のために降伏したのに、その部下に殺されるとはな」

 

コウイチロウは同じ軍を指揮する立場として草壁に同情していた。

木連軍では戦わずして敵に降伏するということはこの上ない恥だとされていた。

草壁は、ユーチャリスに全システムを掌握され為す術もなく降伏した。

それが、主戦派の部下達には許し難いことだったのだ。

結果、部下のためにと言い降伏した草壁が、その部下に殺害されてしまったのだ。

だが、ルリは草壁に対して冷徹だった。

 

「・・・でも極端に言えば、草壁春樹がいつまでも生きている必要はありませんよ。私達がユーチャリスで手に入れた情報さえあれば、火星の後継者の全容も完璧に把握できますから、草壁春樹から情報を手に入れる必要はない。そして彼はどうせ処刑される。だから生かしておく必要はありませんし、そんなのお金の無駄ですよ?」

 

そういったルリの瞳を見て、コウイチロウはルリの本質を知った。

彼はルリが、アキトの狂気のことで心を痛めていることを知っていた。

当然、ルリがアキトの狂気の被害者に対しても心を痛めているのだと思っていた。

だが、それは誤りであった。

ルリは、アキトに殺される人間のことなど全く考えていなかったのだ。

人殺しによりアキトの心が傷付くことは心配していたが、その被害者のことなど何とも思っていない。

 

「総司令が立場上、草壁に同情する事は理解できます。でも私は、アキトさんをあんなにした火星の後継者の人間達に何の感慨も持ちません。そして、私にとっては火星の後継者など何の価値もないもの。彼らが何人死のうが、どう死のうが私の心は痛みません」

 

平然とそう口にするルリに、コウイチロウはしばらく何も言えなくなる。

しばらく無言で居たルリの前にケーキが運ばれてくる。

彼女は先程の雰囲気とは対照的に、とても嬉しそうにそのケーキを食べはじめる。

 

(この娘もこうしてケーキを食べている所を見ると普通の女の子なのに・・・アキト君の事となると別人だな。それほど・・・この娘にはアキト君が大切だということか・・・)

 

ニコニコしながらケーキを食べているルリを見つめながら、コウイチロウはそんな事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やれやれ・・・ここは何処なんだ?』

 

見たことのない景色が広がっている。

とても殺伐としている景色。

そう、人が地獄をイメージしたらこういう景色なのだろうか。

アキトは1人、歩いている。

足は、不思議と治っていた。

死後の世界なら、それも有り得るかも知れない。

そう思うと、自然と口元に笑みが浮かぶ。

 

『死後の世界か・・・まあ、俺にはお似合いかも知れないがな』

 

長い長い道のりを、1人で歩いていく。

アキトは辺りの景色を楽しむ余裕まであった。

どれ程歩いただろうか。

ふと、気配を感じて足を止めるアキト。

 

『・・・誰だ?・・・』

 

そう呟きながら気配の方に目を向けるアキト。

そこで、驚愕に目を見開く。

 

『・・・ア、アヤカ・・・』

 

呆然と呟くアキトの視線の先に、1人の女性が立っていた。

長い黒髪を風になびかせた美しい女性が、そこには立っていた。

 

『久しぶりね、アキト』

 

そう言ってアヤカはウィンクした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院、アキトの病室。

 

「パパ、起きないね」

 

椅子に座りながら、ジッとアキトを見つめているラピス。

朝からずっとそうしている。

アキトは、未だ目を覚まさない。

 

「お父さん・・・」

 

心配そうにアキトを見つめるルリカ。

テンカワ家は、アキトが居なくなってから極端に暗くなっていた。

ユキナなどがよく遊びに来るが、それでもあまり変わらない。

ルリも明るく振る舞っているものの、内面から滲み出る悲しみはどうすることもできないでいた。

掛け替えのない存在が、側にいないからだろう。

 

「ねえお父さん・・・どうして起きてくれないんですか?」

 

アキトの右手を握りながら、ルリカが問いかける。

だが、アキトには届かない。

次第に、ルリカの瞳に涙が浮かんでくる。

いつもそうだった。

アキトの病室に来ると、いつも泣いてしまう。

 

「昨日・・・学校で友達に言われたんです」

 

ルリカとラピスは中学校に通っている。

そこで2人があの『黒い王子』の娘だということはあまり知られていない。

 

「最近暗いね・・・ですって。・・・ホント、馬鹿ばっかです」

 

呟くルリカ。

ラピスは黙ってルリカの言葉を聞いている。

 

「ねえお父さん・・・責任とってくださいね。私が最近暗いのは、全部お父さんのせいなんですから・・・」

 

ルリカの目から涙がこぼれ落ちる。

それを見たラピスが、ルリカに近寄りそっと彼女を抱きしめる。

 

「・・・うう・・・ラピス・・・」

 

「ルリカ、泣いちゃ駄目。パパはちゃんと起きてくれるから」

 

その言葉にハッとするルリカ。

ゆっくりとラピスから離れると、涙を堪える。

 

「・・・そうですね・・・」

 

「うん・・・ルリカが泣いたら、きっとパパ・・・アキトが悲しむから」

 

そういいながら、ラピスも目に涙をためていた。

ラピスも、ルリカと同じくらい悲しいのだ。

2人は、毎日同じやりとりを繰り返していた。

ルリカとラピス。

この2人にとって、アキトの居ない世界は余りにも辛すぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あら、どうしたのよアキト?そんな辛気くさい顔しちゃって』

 

そういって、周りの景色とはそぐわない笑顔を浮かべるアヤカ。

アキトはさすがに呆然としていた。

かつて愛していた女性が目の前にいるのだ。

しかも、自らが殺した相手である。

 

『ア、アヤカ・・・』

 

アキトは二の句が継げないでいた。

そんなアキトに、軽快に近寄っていくアヤカ。

もともと活発な女性のようだ。

 

『フフッ・・・久しぶりね、アキト』

 

そう言ってアキトの右腕に、自分の手を絡ませるアヤカ。

アキトも、やっと冷静さを取り戻したのか、落ち着いてアヤカを見つめる。

 

『ああ・・・そうだな、アヤカ』

 

『それよりどうしたの、こんな所で?』

 

『別に、ただの散歩だ』

 

アキトのぶっきらぼうな言い方で、何かを感じ取ったアヤカ。

 

『・・・あらアキト、あなた何時からそんなにひねくれたの?』

 

すこしからかう様に笑いながら言うアヤカ。

だが、アキトは寂しそうな顔をする。

 

『・・・君を・・・失ってからだ・・・』

 

アキトは、アヤカの瞳を見つめながら言う。

 

『俺はあの時・・・君を・・・』

 

『まってアキト!!』

 

大きな声でアキトの言葉を遮るアヤカ。

アキトの正面にまわり、その瞳を見つめる。

 

『もう・・・自分を責めるのは止めて』

 

『・・・アヤカ・・・』

 

先程までの笑顔が嘘のように消えていた。

悲しそうな瞳で、アキトのことを見つめるアヤカ。

 

『私のために、傷付かないで・・・』

 

そういって、アヤカはアキトに身体を預ける。

そんな彼女を愛おしそうにそっと抱きしめるアキト。

 

『でも・・・おれは・・・君を殺した』

 

次第に強くアヤカを抱きしめながら、アキトは辛そうに告白する。

 

『もう良いじゃない。過ぎたことは忘れようよ』

 

アキトに抱きしめられて、うっとりしていたアヤカが言う。

アキトは何も言わずに、アヤカを抱きしめている。

だが、決して離そうとはしない。

もし離したら、アヤカが泡のように消えてしまうような気がしたから。

 

『アキトはさ、こんな所にいていい人じゃないわよ』

 

『そんなことはない。俺はこのまま地獄に行くのが相応しい』

 

どれ程抱き合っていただろうか。

アヤカがゆっくりとアキトから離れる。

そして、アキトの手を取ると再び歩き出す。

 

『この先・・・分かれ道になっているわ』

 

『天国と地獄か』

 

『そんな所ね』

 

そのまましばらく無言で歩く2人。

ややあってから、アキトが口を開く。

 

『俺は地獄・・・君は天国か』

 

『いいえ、違うわ』

 

やけにキッパリとしたアヤカの声。

そんな声に、アキトも驚く。

いい加減な感じではない。

真剣な物言いである。

驚いてアヤカを見つめているアキトに、彼女が言う。

 

『あなたは、そのどちらにも行けないわ』

 

『どう言うことだ』

 

『あなたは、まだ死ぬべきではないからよ』

 

そう言って再び足を止めるアヤカ。

その真摯な眼差しは、アキトの心を捕らえて離さない。

 

『さあ、戻ってアキト。あなたの生きるべき所へ』

 

『だが、アヤカ・・・せっかく逢えたのに・・・』

 

『今はあなたのことを必要としている人達が居る。彼女たちの元に戻ってあげて?』

 

そういって、アヤカはニッコリ笑う。

その笑顔を見ているアキト。

ややあって、ゆっくりと頷く。

 

『そうだな・・・わかった』

 

そういってアヤカに歩み寄り、黙って抱きしめるアキト。

アヤカも、アキトに身をゆだねる。

別れの言葉は、2人には必要なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院、アキトの病室。

ルリカもラピスも、何をするわけでもなくアキトの側に居る。

遅れてきたルリも、黙ってアキトを見つめている。

すでに日は沈んでいる。

 

「今日も・・・パパ起きないね」

 

ラピスがポツリと呟く。

ルリカはその言葉に肩を震わすが、何も言わない。

いつもこれくらいの時間になると、そうなる。

今日こそは目を醒ます。

その期待を胸に、お見舞いに来る3人。

だが、日が沈むと同時にその期待は潰える。

 

「もう遅いですし・・・今日は帰りましょうか」

 

そう言ったのはルリ。

いつもは美しいその金色の瞳も、今は深い悲しみをたたえている。

だが、その時。

 

「「えっ!」」

 

急にルリカとラピスが声を上げる。

 

「どうしたんですか・・・2人とも?」

 

「今・・・声が・・・」

 

ルリの言葉に、震える声で答えるルリカ。

そしてその言葉を引き継ぐように、ラピスも言う。

 

「パパの声が・・・確かに聞こえた。今まで、こんな事無かった。パパが入院してから、初めて・・・」

 

そう言ってルリカとラピスはジッとアキトを見つめる。

ルリも、ジッとアキトを見つめる。

その時、アキトの唇が動いた。

 

「夢を・・・見ていたんだ」

 

ゆっくりと目を開けるとそのまま天井を見つめるアキト。

 

「あいつが、俺にまだ死ぬなとさ・・・」

 

そう言って、ゆっくりと首を動かしてルリカとラピスを見る。

美しい金色の瞳が、ルリカとラピスの心を捕らえる。

何かを悟った、そう思わせるその瞳の輝きにルリカとラピスはしばし呆然とする。

 

「2人とも・・・心配かけちゃったみたいだね」

 

そう言って、優しく微笑むアキト。

その微笑みに、ルリカとラピスはポロポロと涙をこぼす。

アキトはゆっくりと右手を伸ばすと、ルリカの頭を撫でる。

続いてラピスの頭も撫でる。

 

「ルリカ・・・ラピス・・・ただいま」

 

その言葉に、ルリカとラピスは同時にアキトに飛びついた。

点滴のパックが倒れたが、気にしなかった。

アキトに抱き付きながら泣きじゃくるルリカとラピス。

アキトは、そんな2人を優しい眼差しで見つめている。

 

「アキトさん・・・」

 

ルリがそう声をかける。

アキトは、いつの間にかベッドのすぐ横に立っていたルリに目を向ける。

2人ともしばらく無言で見つめ合っている。

まるで、お互いの想いを確認しあっているかのように。

ややあって、笑顔を浮かべるアキト。

 

「ルリちゃん・・・ただいま・・・」

 

ルリカとラピスを抱きしめながら言うアキト。

ルリはその言葉を心の中で反芻すると、アキトに対して笑顔と共に一言だけ言った。

 

「おかえりなさい」

 

それは、とても優しい言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキトが入院してから、3週間が経った。

アキトが目を覚ましてから、病室は賑やかだった。

ルリ、ルリカ、ラピス、ユキナ、エリナ、イネス、ユリカ、ホウメイガールズ、メグミ、etc・・・。

ひたすら女性で溢れかえっていた。

特にホウメイガールズとメグミは芸能界で活躍する超人気アイドル。

サインを求める入院患者達がアキトの病室に押し掛け、物凄い騒ぎになったのをルリが一喝して全員黙らせ、無関係な入院患者達をアキトの病室から追い出したこともあった。

だが、現在アキトの病室は平穏さを取り戻していた。

アキトの身体も順調に回復しており、今では立ち上がることも出来る。

昼下がり。

ベッドから降り、椅子に座り本を読んでいるアキト。

アキトのベッドでは、学校をさぼってアキトのもとに来たルリカとラピスが可愛らしい寝息を立てている。

ルリは、ミナトに誘われて息抜きのショッピングに行っている。

毎日アキトの看病をしているルリを心配したミナトが、半ば強引にショッピングに連れ出したのだ。

ミナトの何気ない心遣いがアキトには嬉しかった。

その時、ドアがノックされた。

 

「開いてますよ」

 

そう言うと1人の男が入ってきた。

ミスマル・コウイチロウ。

 

「やあアキト君。元気そうで何よりだ」

 

そう言ってニッコリ笑うコウイチロウ。

 

「これはミスマルのおじさん・・・前もお見舞いに来てくれたそうで」

 

そう言って軽く頭を下げるアキトの前に、椅子を持ってきて座るコウイチロウ。

アキトは読んでいた本を閉じ側の棚に戻す。

 

「体の具合はいいのかね?」

 

「ええ。胸の傷も完全に治りましたし、今は立ち上がる程度なら出来ますよ」

 

「そうか・・・それは良かった」

 

そう言って安堵の表情を浮かべるコウイチロウ。

 

「もう少しだけ、生きようと思います」

 

そう言ったアキトは何かを悟ったかのような笑みを浮かべる。

アキトの言葉にコウイチロウは少しだけ悲しそうな顔をする。

コウイチロウもアキトの身体のことは知っている。

彼自身も方々の知人に声をかけ、何とかアキトの身体を治せないか藁にも縋る思いで聞いてまわったこともあった。

だが、医学、科学の知識がある人間ほどアキトの身体を治すのは不可能だと言う。

もはや、アキトの身体を治す術はないのだ。

 

「ところでテンカワ准将・・・」

 

「大佐・・・じゃなかったですか?でっち上げですが・・・」

 

「今回の火星の後継者との戦いの功績で、君は准将に昇進する」

 

その言葉を聞いてアキトがスッと目を細めてコウイチロウを睨む。

 

「俺は軍の階級など何の興味もない。昇進など無用だ」

 

「はっはっはっ、細かいことを気にするなアキト君」

 

笑って誤魔化すコウイチロウに、呆れたような顔をするアキト。

 

「まあ良いですが・・・ミスマルのおじさん、2人が起きてしまいますからもう少し小さな声で・・・」

 

「おっ、これはスマンね」

 

そう言ってアキトに頭を下げるコウイチロウ。

アキトは優しい目をして、自分のベッドに転がる2人の妖精を見ている。

ルリカとラピスがベッドの上で仲良く手を繋ぎながら寝ている。

 

「・・・・・・・う〜ん・・・・・・・・・・・・・ぱぱぁ〜・・・」

 

寝言を言いながらモソモソ動くラピス。

その拍子に彼女のスカートが大きく捲れて下着が見えてしまう。

 

「まったく・・・手の掛かる娘ですよ・・・」

 

アキトは苦笑いしながら、側にあった杖を手にして立ち上がる。

彼は、スカートの乱れを直して上げるつもりだった。

だが、アキトが立ち上がった瞬間、ルリカとラピスがガバッと起きあがる。

寝ぼけた目でキョロキョロした後、アキトのことをジッと見つめる。

 

「・・・お父さん・・・どこに行くんですか?」

 

「・・・パパ・・・置いていかないで・・・」

 

そう言って自分を見つめる2人の妖精達に、アキトは優しい微笑みを浮かべる。

 

「大丈夫、どこにも行かないよ。だから、ゆっくりお休み・・・」

 

アキトがそう言うと安心したのか、再びベッドに寝ころんですぐに寝息を立て始めるルリカとラピス。

アキトは未だ乱れているラピスのスカートの裾を直してあげると、そのままベッドのわきに腰をかける。

 

「ルリカもラピスも、俺が居なくならないように監視しているつもりなんですよ」

 

「・・・君がそれだけその子達に心配をかけたと言うことだ」

 

「ええ、わかっていますよ」

 

そう言ってルリカとラピスを見つめるアキト。

 

「ところでアキト君。その子達、学校は良いのかい?」

 

今日は平日で、当然学校はある。

それなのに中学校に通っているはずのルリカとラピスが昼間からアキトの病室にいる。

 

「構いませんよ。今日はこの子達の好きなようにさせます。もともと私のわがままで学校に通ってもらっているんです。この子達に中学の授業は簡単すぎて退屈でしょうに・・・」

 

アキトはゆっくり手を伸ばし、ルリカとラピスの頭を軽く撫でてあげる。

その行為に、2人とも眠っているにもかかわらずとても嬉しそうな顔をする。

 

「あと何年この子達の側に居られるかわかりません。だから・・・」

 

そう言って、2人の妖精に優しい、そして少し悲しそうな視線を向けるアキト。

コウイチロウは同じ父親として、アキトの気持ちが痛いほどわかった。

 

(家族の団らんか・・・邪魔してはいかんな・・・)

 

そう思い、コウイチロウは何も言わずに部屋を出ていった。

アキトもそんなコウイチロウには何も言わず、黙って愛しい娘達を見つめている。

静かになった病室の中を、時間だけがゆっくりと過ぎ去っていく。

 

「・・・お父さん・・・・・・・・・・・・・・・・・大好き・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・大好き・・・・・・・パパ・・・」

 

愛しい妖精達の寝言を聞きながら、アキトは優しい微笑を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルリカとラピス。

この2人の妖精は数年後アキトがこの世を去った時、まるでその後を追うかのように自らの命を絶つことを選択してしまう。

アキトに対する、その過剰な愛情ゆえ・・・。

だが、それでも2人は幸せだったのかも知れない。

何故なら2人はアキトが死ぬまでの間ずっとアキトの側に居て、ずっとアキトに愛され続けていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コウイチロウが病室を訪れたその一週間後、アキトは初の外出許可をもらった。

タクシーから降り、杖をつきながらしばらく歩いているアキト。

すると、目の前に長く続く石段が見える。

杖をつきながら、何とか石段を登るアキト。

その石段をのぼりきったところに、1人の女性が佇んでいた。

ホシノ・ルリ。

彼女はアキトが来るのを待っていたようだ。

アキトは、彼女に対しては軽く視線を合わせただけに、無言で門をくぐり寺の中に入っていく。

ルリも何も言わずにアキトの後ろをついていく。

2人とも無言でしばらく歩く。

そして、墓地。

アキトはルリには目もくれず、杖をつきながらゆっくりと目的の墓の前まで進む。

そして、アキトが足を止めて初めてルリが口を開く。

 

「アキトさん・・・どなたのお墓ですか?」

 

そう言って2人の前にある墓石を見るルリ。

『水原家之墓』と彫ってある。

それを見つめているアキト。

 

「俺の恩人の墓だ」

 

優しい声でアキトが答える。

ゆっくりとサングラスを外すとポケットにしまう。

 

「え?」

 

アキトの言っている意味がわからないルリ。

アキトは手に持っている花を墓に供えると墓石に水をかける。

そして、少女の好きだったアニメのお菓子をそこに供える。

手を合わせじっとしているアキト。

黙ってそれを見ているルリ。

しばらくして手を解いて顔を上げる。

 

「行こうか・・・」

 

そう言って歩き出すアキト。

コツ、コツ、と杖をついている。

すぐにアキトに肩を貸すようにして歩いていくルリ。

風が・・・そよいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院に戻る途中、海の見える公園に車を止めて少し休むルリとアキト。

ルリは車で来ていたのだ。

沈みゆく夕日を2人で並んで見ている。

すると、不意にアキトが口を開く。

 

「今日はごめんね。いきなり呼び出しちゃって」

 

「いいえ、気にしないでください。それより・・・」

 

「さっきの墓・・・あそこにはミズハラ・アヤカ、俺に生きることを教えてくれた少女が眠っている」

 

「アヤカさんって・・・」

 

そう呟くルリの脳裏にある光景が浮かぶ。

アキトが、1人の女性を斬り殺している光景が。

だが、アキトはまるでルリが想像していることがわかるかのように頭を振る。

 

「君の考えている女性のことじゃない。君は、会ったことがないよ」

 

そう言って遠い目をするアキトを黙って見つめているルリ。

アキトは言葉を続ける。

 

「以前に入院したときに知り合ったんだ」

 

アキトはそう言ってルリの方を向くと、自分の胸に下がっているロザリオを手にしてニッコリと笑う。

 

「このロザリオの持ち主・・・黒髪の綺麗な、笑顔の可愛い女の子だったよ・・・。まだ9歳だった・・・その子が俺を立ち直らせてくれたんだ」

 

ルリはハッとする。

以前ナデシコで皆の記憶が繋がったとき。

その時に幽霊騒ぎがあったとき、ルリは小さな女の子を見た。

綺麗な黒髪をした、女の子。

アキトに寄り添うように立っていた、可愛い女の子。

 

「あの子が・・・」

 

そう言うルリに、アキトは何も言わない。

しばらく沈黙が流れる。

やがてゆっくりと口を開くアキト。

 

「あの子が居なかったら俺はあのまま壊れていただろう・・・。あの子が居たから今の俺がある」

 

そう言って目を瞑るアキト。

しばらくその横顔をじっと見ていたルリが、ゆっくりと口を開く。

 

「・・・その子は、アキトさんにとって特別な人なんですね」

 

「ああ、あの子は特別だよ。あの子は今でも俺のことを護ってくれている」

 

何の躊躇もなく「特別」だと言ったアキトが少しだけ恨めしいルリ。

だが、すぐに気を取り直す。

 

「でも、どうして私に?」

 

「・・・もうやめるんだ・・・」

 

「やめる?」

 

「隠し事・・・もうやめにするよ」

 

そう言って目を開けるとルリを見つめるアキト。

ルリはその視線から目をそらせない。

アキトの美しい金色の瞳が、ルリの心を掴んで離さない。

 

「君には知っていて欲しかったんだ・・・アヤカちゃんの事も」

 

「ア・・・アキトさん」

 

少し瞳が潤んでいるルリ。

頬も赤い。

そんな彼女に優しい視線を向けながら、アキトがそっと囁く。

 

「ルリちゃん・・・」

 

「は、はい!」

 

ルリはそう言ったまましばらく黙ってしまう。

アキトが何を話すでもなくルリを見つめているから、ルリとしては頬を赤らめ上目遣いでアキトの言葉を待つしかない。

日頃ルリカ達の前では落ち着いて振る舞っているルリだが、アキトと2人きりだとどうしても昔の様な、少女のような初々しさが表に現れてしまう。

ややあって、アキトが口を開く。

 

「君も知っている通り俺の身体はボロボロだ。あと5年も経たずに俺は死ぬ」

 

「アキトさん!!」

 

いきなりの事で思わず声を上げるルリ。

アキトの言っていることは事実で、彼は恐らく後5年も生きられないだろう。

信用できる医者、それにイネスまでそう言っている。

逃れることの出来ない運命。

 

「君は・・・知っているんだろ?」

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

アキトは自分の寿命についてルリ達に言ったことはない。

何度も言おうとしたが、結局は言えなかった。

だが、ルリは知っていたのだ。

彼女はイネスに詰め寄り、アキトの寿命のことを聞いていた。

アキトはもう長くない。

本当のことだからこそ辛いルリ。

本当の事だからこそ言って欲しくなかった。

 

「ルリちゃん、聞いてくれ」

 

そう言ってルリの肩を掴む。

 

「アキトさん・・・」

 

「俺に残された時間はもうわずかだ・・・・・・・・・・・・・・・それは自分でわかっている」

 

そう語るアキトの瞳には全てを悟ったかの様な落ち着きがあった。

 

「・・・どうしようもないんですか?」

 

今にも泣きそうになりながら訊くルリに、アキトは何も答えられない。

それで、ルリもアキトの答えを察した。

 

「そう・・・ですか」

 

そう言って俯いてしまったルリをただ黙って見つめているアキト。

やがてルリが顔を上げると、再びアキトが口を開く。

 

「ルリちゃん・・・俺と一緒にいてくれないか?」

 

「・・・えっ?」

 

アキトの言葉に顔を赤らめるルリを、眩しそうに見つめているアキト。

 

「もし許されるのなら・・・俺は、残された時間の全てを君達のために使いたい」

 

そう言ってルリを見つめるアキト。

 

「えっ?」

 

一瞬何のことかわからないルリ。

だが少しずつ頭が働いてくる。

アキトの言葉が、じわりとルリの心に広がっていく。

 

「俺の残された時間をルリカとラピス・・・そしてなにより・・・君に」

 

ルリはもう何も言えなかった。

ただ黙って潤んだ瞳でアキトのことを見つめている。

 

「俺は・・・俺の残された時間全てをかけて君を護りたい」

 

アキトの視線。

金色の瞳。

そこにアキトの想いを感じる。

段々涙がにじんでくるルリ。

 

「ア・・・アキトさん・・・」

 

そう言ってポロポロ涙をこぼす。

 

「・・・ルリちゃん・・・」

 

「アキトさん!」

 

そう言ってアキトに飛びつくようにして抱き付くルリ。

優しく受け止めるアキト。

手放した杖が、からんと音を立てて転がる。

 

「アキトさん・・・アキトさん!」

 

アキトに抱き付きながら泣くルリ。

しきりにアキトの名前を呼びながら。

アキトが居なくならないように、きつく抱きしめながら。

 

「私も!・・・私もずっとアキトさんを護ります!ずっとアキトさんと一緒にいます!!私の時間全てをアキトさんに捧げます!!!」

 

そう言ってさらに強くアキトを抱きしめるルリ。

そんなルリを優しい表情で抱き留めているアキト。

何よりも掛け替えもない、優しい時間。

少しずつルリが泣き止んでくる。

アキトはゆっくりとルリをはなすと、そっと涙を拭ってあげる。

すると真っ赤になって俯いてしまうルリ。

そんなルリを、アキトは優しい眼差しで見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと辺りはすっかり暗くなっていた。

月明かりが2人を優しく照らしている。

 

「さて・・・行こうかルリちゃん・・・」

 

そう言って2人で並んで歩いていく。

 

「アキトさん・・・」

 

「ん?」

 

「さっきのあれ・・・プ・・・プロポーズですか?・・・」

 

真っ赤になりながら訊ねるルリに、何も言わずに微笑むアキト。

その笑顔に今まで以上に真っ赤になってしまうルリ。

風がそよぐ。

優しい想いを込めて。

その風を受け、アキトがそっと胸のロザリオを触る。

温かい、ずっとアキトを護ってくれる想いを感じる。

アキトは幸せだった。

ルリがいる。

そして、ルリカもラピスもいる。

彼女たちとの生活。

たとえそれが、ほんの僅かな時間だったとしても、アキトはそんな時間がもてることを嬉しく思っていた。

ルリカ、ラピス、そして何よりルリと共に居ること。

それが、アキトにとっての幸せ。

そう考えると、アキトの顔に自然と笑みが浮かんでくる。

 

「ルリちゃん」

 

「はい、なんですか?」

 

「俺、幸せだよ」

 

そのアキトの言葉に再び真っ赤になるルリ。

アキトは再び視線を前に戻し、片手で杖をつきながらゆっくりと歩いていく。

ルリもあわててその横に並び、歩く。

そんなルリに、女の子の声が聞こえた。

 

『・・・良かったね・・・』

 

足を止めルリが後ろを振り返ると、そこには1人の少女が立っていた。

黒髪の綺麗な、可愛らしい少女。

アキトとルリの2人を優しく、そして少し寂しそうに見ている少女。

ミズハラ・アヤカ。

 

「!!」

 

『・・・お兄ちゃんをよろしくね・・・お姉ちゃん』

 

風が強く吹き付ける。

髪を押さえ、ほんの一瞬少女から目をそらすルリが再び視線を戻したとき、少女の姿は何処にもなかった。

 

「どうしたルリちゃん?」

 

少し離れたところから、足を止めたアキトが声をかける。

その問い掛けにしばらく黙っていたルリだったが、ゆっくりと優しい笑顔を浮かべる。

 

「・・・いえ・・・何でもありません!」

 

そう言って振り返ると、アキトのもとに駆け寄っていくルリ。

軽やかに踊る瑠璃色の髪が、月明かりを受けて美しく輝いていた。

 

 

 

 

 

おわり

 

 

 

 

 

<あとがき>

どうも、ささばりです。

皆様、いつもご愛読ありがとうございます。

1999年の10月から連載を開始した妖精の守護者も、ついに完結いたしました。

今回は最終話のあとがきという事で、「妖精の守護者」というタイトルの事を少し書きたいと思います。

お気付きの方もおられると思いますが、「守護者」とはアキトの事だけを表しているわけではありません。

アキトは妖精を護る守護者ですが、彼自身も多くの人たちの想いに護られています。

ルリ、ルリカ、ラピス、ユキナ、そしてアヤカちゃん。

彼女たちがアキトの心をいつもギリギリの所で護ってくれていました。

アキトの事を護ってくれる妖精達・・・それが「妖精の守護者」です。

つまり、アキトと、そして彼を護る妖精達にちなんで「妖精の守護者」というタイトルを付けました。

さて、長らくご愛読いただいた妖精の守護者も今回で終了です。

今回のお話、または全話通しての感想等ございましたらお送りください。

返事はちゃんと書かせていただきます。

今後は、外伝として何話か書こうと思います。

本編では書かれなかった出来事からアフターストーリーまで、何かリクエスト等あればあわせてお送りください。

それでは皆様、今まで本当にありがとうございました。

 

 

 

<謝辞>

本作品を読んで感想、意見をくださった方々、そして全ての読者の方々に御礼申し上げます。

また、本作品を書くにあたり私に多くの名言を授けてくれた友人のDJ.A氏、そして多くの友人達に感謝いたします。

 

本作品の投稿を快諾してくださり、さらにはお忙しいなかでも掲載してくださった艦長P−31様に心より御礼申し上げます。

 

最後に、この世に多くのすばらしい作品を残してくださいました故・司馬遼太郎先生に深く感謝し、そのご冥福を心よりお祈りいたします。

 



艦長からのあれこれ

Happyend for all people

とうとう終わりを迎えました。
ささばりさん、お疲れさま。
40話に及ぶ大長編、読んだ貴方はどんな感想をお持ちですか?

今まで感想を出したことがない人も、最後ですから出してみましょう。
貴方が感じたことを正直に。

メールはここへ


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