すぺいんぢん、煮詰まる

すぺいんぢんは、関西生まれの関西育ち。人と会話するときは、ボケとつっこみが基本。

一人でしゃべる時は必ずオチを付ける。それがしゃべるときの関西人のマナーである。

だから学生時代の友人、おしゃべりY君は、しゃべりたいだけしゃべって、いつも

話にオチがなかったので、みんなから、オチはどこじゃー!オチわー?

と、さんざんからかわれていた。

そういうわたしも、あまり話が得意な方ではなく、いつもコテコテのギャグを言っていた。

例えば、夏子さんという女の子がいて、みんなからなっちゃんなんて呼ばれてたりすると

その子の前で

 なっちゃんはね なつこってゆうんだ ホントはね
 だけど ○○だから じぶんのこと なっちゃんて よぶんだよ
 かわいいね なっちゃん

 なっちゃんはね バナナが好きなんだ とってもね
 だけど ダイエット中だから バナナは半分しか 食べないんだよ
 かわいそうだね なっちゃん


などと、必ず2番まで歌っていた。

そんなこんなで、いろいろ苦労し自分の芸風ボケなんだと悟り始めた頃

悲しいことに、就職で東京へ行くことになってしまった。

初めての東京はそれはそれは、不安で不安で仕方がなかった。

一番不安だったのは

ボケた時に、ちゃんとつっこんでくれる人いるのか?

という事だった。不安な中、新入社員研修は超つまらない。

与えられた課題を短時間で、しなければならなかったのだが、難しいのでみんな考え込む

あんまりみんな考え込むので、ついつい昔の癖でちょっとボケてみたくなった。

「ぐつ、ぐつぐつ、ぐつ、ぐつ、ぐつ、ぐつ独り言を言うと

「煮詰まってんの?」N君の見事なつっこみが入ったのであった。

このつっこみを待ってたんや。このつっこみを・・・・・・

東京にもこんな見事な突っ込みを入れてくれる人がいるんや。おまけに周りは大爆笑!

私の不安はN君によって完全に解決したのであった。

それ以来N君と私は大の仲良しである。

がしかし、わたしは暫くの間ぐつぐつと呼ばれるようになってしまった。