![]()
|
![]() Original Release Date: September 1991 Producer: Rick Rubin Red Hot Chili Peppers: Anthony Kiedis, Flea, John Frusciante, Chad Smith ■ Track Listing 1. The Power Of Equality 2. If You Have To Ask 3. Breaking The Girl 4. Funky Monks 5. Suck My Kiss 6. I Could Have Lied 7. Mellowship Slinky In B Major 8. The Righteous & The Wicked 9. Give It Away 10. Blood Sugar Sex Magik 11. Under The Bridge 12. Naked In The Rain 13. Apache Rose Peacock 14. The Greeting Song 15. My Lovely Man 16. Sir Psycho Sexy 17. They're Red Hot ■ Review - ロックン・ロール新時代への踏み絵チリ・ペッパー - 『今の』音楽に自分の目を向けさせたアルバム。それは間違いなくこのレッド・ホット・チリ・ペッパーズのレコードであった。ニルヴァーナとスマッシング・パンプキンズがメジャーデビューを果たし、ガンズ&ローゼズとメタリカがモンスターアルバムをそれぞれ怪物のように売りまくっていた91年に発表されたこの作品。すなわちアメリカのロック界において非常に重要な節目となったこの年に、レッチリはこのアルバムで自分の心だけでなく、アメリカ全土の若者の心も捕らえ、翌年の92年にはロラパルーザ・ツアーのヘッドライナーを務めるほどの人気を獲得することになる。 80年代半ばにロックにハマった自分だが、とにかく80年代後半、その中でもとりわけ88年あたりからのロック界はとにかくつまらなかった。聴くものがなかった。どのバンドもかっこよくなかった。はっきり言ってプリンセス・プリンセスや渡辺美里の方がかっこよかった。スミスもストーン・ローゼズもシャーラタンズも、当時は自分の心と体を捕らえるほどまだクールなバンドではなかった。その反動で私はビートルズ、ストーンズ、レッド・ツェッペリンなどへのバック・トゥー・ザ・ルーツ、そして挙げ句の果てにはチャック・ベリー、ロバート・ジョンソンなどのルーツ音楽まで聴きあさっていた。そしてそんな状態が91年の秋にこのアルバムに出会うまで続いたのだ。 ある日のこと。渋谷陽一のラジオ番組かなんかでその名前を耳にしたことのあるバンドの新譜をレンタルCD屋で見つける。まだ洋楽CDの新譜レンタルが禁止になる以前のことだ。そのアルバムが、このレッド・ホット・チリ・ペッパーズの「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」。 『ミクスチャー・ロック』なる言葉がちらほらと音楽雑誌に登場し始めた頃で、ストーンズ経由で何の気になしに聴いていた「リヴィング・カラー(・・・のちに解散。)」みたいなごちゃごちゃしたわけわからん感じを想像していたが、その破天荒なバンド名と、やはりタイトルの「セックス・マジック」という言葉に惹かれて、とにかくレンタルして聴いてみることにした。 最初、自分の部屋で聴いてみたがとりあえずピンと来なかった。でも何とも言えない引っかかりを耳の奥で覚え、なんとなく大きな音で聴いてみたくなった私は、ダビングしたカセットテープをカーステレオにセットし、ボリュームノブを最大付近まで持ってきてみた。そして大音量でレッチリを聴きながら田舎道を走ってみる。もうこの後のことは想像がつくであろう。なにせレッチリなのだ。あのレッチリの大傑作アルバムなのだ。それを爆音で聴く。するとアルバムの印象は驚くほど変わる。フリーのベースはうねる。フルシャンテのギターに背筋が伸びる。チャドのドラムはビシビシつぼにはまる。アンソニーの変幻自在のヘンテコボーカルが病みつきになる・・・・・・・・・・・・・。爆音で音楽を聴くことの重要性を初めて実感したのはこの時だ。そしてこの日以来、レッチリのこのアルバムが入った90分テープはいつまでもいつまでも自分のカーステの中で回り続けることになる。 そんな状態が半年以上続き、レッチリの人気は世界中で鰻登りになり、ニルヴァーナやネッズ・アトミック・ダストピン、ダイナソーJRなどの新しい音にも次々と感化されてゆく自分。そしてそうなると今度私はこの素晴らしい音楽を他の人にも知ってほしくなるのは万人共通の節理。やがてそんなある日、音楽サークルに所属していた友人数名が自分の車に同乗した時、このレッチリのテープを大音量で彼らに聴かせてあげることにした。しかしそのアルバムに対する反応は散々たるものであった。「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」という名前を知らないだけならまだしも、「うるさい」「わからん」「気持ち悪い」「ノれない」「すぐ廃れる」「ただのアホだ」「もうやめろ」等々・・・・・・・・・・。 ストーン・ローゼズの音に反応できるか否かが90年代の音をつかむことができるか否かの分岐点だったなどとも言われるが、自分としては90年代の音楽への適応はこのレッチリのアルバムをしてなされたような気がしている。私の車の中でレッチリをこき下ろした連中は、今、フジロックのメンツですらほとんど識別することができない。そして自分もこのレッチリの「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」と出会わなければ、リアルタイムとしてのロックンロール生活は80年代後半に終わってしまっていたかもしれない。そして友達を失うこともなかっただろうな。
■ Short Biography of Red Hot Chili Peppers ともに1962年生まれのアンソニー・キーディス(vo)とフリー(b)を中心として結成され、80年代前半にメジャーデビュー。ジョージ・クリントンのプロデュースによりセカンドアルバムを発表したあと、かの有名な、性器に靴下をはめてビートルズのジャケ写真を模した「アビーロードEP」が世間を爆笑の渦に巻き込む。しかしオリジナルドラマーのドラッグによるオーヴァードース死、ギタリストの脱退などを受けて、ジョン・フルシャンテ(g)、チャド・スミス(drs)が新メンバーとして加入。そしてこの「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」への布石となる傑作アルバム「Mother's Milk」を89年に発表。94年にフルシャンテが脱退し、元ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロが後任ギタリストとして加入。しかしナヴァロは、チリペッパーズと1枚のアルバムを残した後フジロックフェスティバル'97のステージを最後に脱退。再びフルシャンテが後任ギタリストとして加入して現在も活動中。
![]()
Last updated: 1/3/99 |