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![]() Original Release Date: November 1993 Producers: Rick Rubin, Jimmy Iovine, Dave Stewart, Mike Campbell and Jeff Lynne. Tom Petty & The Heartbreakers are: Tom Petty, Benmobt Tench, Howie Epstein, Stan Lynch, and Mike Campbell Guest Musicians: George Harrison, Dave Stewart and Jeff Lynne ■ Track Listing 1. American Girl 2. Breakdown 3. Listen To Her Heart 4. I Need To Know 5. Refugee 6. Don't Do Me Like That 7. Even The Losers 8. Here Comes My Girl 9. The Waiting 10. You Got Lucky 11. Don't Come Around Here No More 12. I Won't Back Down 13. Runnin' Down A Dream 14. Free Fallin' 15. Learning To Fly 16. Into The Great Wide Open 17. Mary Jane's Last Dance 18. Something In The Air ■ Review - The Waiting Is The Hardest Part - (text by しげやん) ある物事に対する見方が時間がたつとともに変わってくることは誰しも経験があることだろう.例えば,ちょっと前はどうでもよい存在だった異性がある日を境に突然素敵に見えてきたり... 自分にとって Tom Petty & the Heartbreakers とはそういう存在だった. 高校生の頃レッド・ツェッペリン, ディープ・パープルなどをはじめとする60年代〜70年代ロックにハマっていた当時の自分の日常は,数学の授業中に先生の目を盗みながらウォークマンでディープ・パープルの"Highway Star"(ライブ・ヴァージョン)を聴いて一人で取り乱していたり,出来もしないのにリッチーやエディーのようにギターを弾こうと試みるものの数秒で挫折したり,友達が家に遊びに来て飲めもしないお酒を飲みながらビートルズを皆で聴き入ったり....そのような毎日であった. そのような音楽三昧の高校生にとって Tom Petty & the Heartbreakers たちは刺激という意味では物足りなく,だからといってジックリと聴く,という意味ではクセが強すぎた.特にクセのある歌い回しがどうしても耳につき,それに抵抗感を感じていたのかもしれない.とある人はその歌い声を「ヤギさん声」とか「レロレロ声」と呼んでいたが,何とも適切な表現であろう.当時”ベストヒットUSA”や ”Sony Music TV”などのTV番組で流れていた音楽ビデオでもついつい派手な曲に目がいきがちで,デュラン・デュランやヴァン・ヘイレンなどの一挙一動に気をとられていた.当時行われたボブ・ディランとのジョイント・ツアーの来日公演も,高校生にとっては気軽に行けるようなものではなかったゆえにチケットを購入することはなかった. しかし,どういう訳だろう.いつの日か彼らの音楽が妙に聴きたくなり,それまで買おうともしなかった彼らのアルバムを買おうと至ったのは... 気がついたら,レコード屋さんで"Greatest Hits" を手にしていた.家に帰りそのアルバムを聴くと,今まで真剣に聴きこんでいなかったはずなのに,何故か全曲知っていた.そして,その昔それを聴いたときの情景,空気までが蘇ってきて,涙が出てきた.それ以降は言うまでもない.とりつかれたように彼らのアルバムを遡り,ボックスセットを買い,当時覚えたてのインターネットで検索をしまくり... このアルバムは1979年のデビューから1993年までの代表曲と新曲2曲が含まれているが,バンドの著しい成長ぶり,変わっていそうで変わっていない音楽性およびその普遍性が感じられる.若々しいもののすでに完成形に達しているデビュー当時の音楽性.不器用にエレクトロニクスを取り入れて試行錯誤した80年代初期.当時交流のあったジョージ・ハリソン,ジェフ・リンなどに影響されまくった80年代後期.一転して飾り気のないピュアな音を追求した90年代初期. "American Girl" にはアメリカの高速道路が見える."The Waiting" には未だ経験したことのない彼らのライブ会場の雰囲気が感じられる."I Won't Back Down" には言葉には出来ないような歌の重み,厚みが感じられる."Free Fallin'" ではまるで自分が鳥になったかのような錯覚が... 現在,自分はトム・ペティの来日公演実現キャンペーンページに編集スタッフとして関わっている.高校生の頃はまさか自分がこのようなことに関わるとは想像だにしていなかった.("The Waiting is the Hardest Part" Website: http://www1.plala.or.jp/tompetty/) このキャンペーンでどこまで彼らを動かさせるかどうかは分からない.ただ,動かしたい,と思っている人は自分以外にも沢山いると信じている.それを信じて1986年以来来日していない大物を見たい,と夢を現実に変えていきたく思う今日この頃である.
(Jun Shigemura)
■ Short Biography of Tom Petty & The Heartbreakers フロリダ州出身のトム・ペティが同郷のマイク・キャンベル (g),ベンモント・テンチ (k),スタン・リンチ (dr),ロン・ブレアー (b)とともにロサンゼルスで結成,1976年"Tom Petty & the Heartbreakers" でデビュー.その飾り気なく生々しいロックン・ロールは最初イギリスにて評価されるがその後アメリカでも徐々に評価を高める. 1985年,ボブ・ディランのバックバンドを努めジョイント・ツアーを行ったことをきっかけにミュージシャン間の評価が一気に高まり,その後ディラン,ジョージ・ハリソン,ロイ・オービソン,ジェフ・リンなどの大御所と変名バンド The Traveling Wilburys を結成したりバンド外の課外活動も盛んとなる.ソロ名義の "Full Moon Fever" (1989年)は300万枚,"Greatest Hits" (1993年)は400万枚の大ヒットアルバムとなる. 現在のメンバーはトム,マイク,ベンモント,ホウイー・エプスタイン (b).ドラマーは不在(一時期フー・ファイターズのデイブ・グロールが臨時でドラムを叩いたこともある).各メンバーはどちらが本業なのか分からないほどバンド外での活躍も盛んであり,最近ではイーグルス,ウォールフラワーズ,ローリング・ストーンズ,アラニス・モリセット,グー・グー・ドールズ などのレコーディング・セッションに参加している. 96年発表の映画"She's the One" のサウンドトラック以来のニューアルバム "Echo" (Tom Petty名義ではあるがメンバー全員が参加しているよう)は4月21日日本発売予定.
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or Katsuhiro Ishizaki. Last updated: 3/7/99 |