- June 1999 -


夏のぬけがら 真島昌利

画像ないです。すいません。 Notes

Original Release Date: November 1989
Producer: Masatoshi Mashima

Track Listing

1.夏が来て僕等 2.クレヨン 3.さよならビリー・ザ・キッド 4.風のオートバイ 5.小犬のプルー 6.地球の一番はげた場所 7.オートバイ 8.アンダルシアに憧れて 9.花小金井ブレイクダウン 10.カローラに乗って 11.夕焼け多摩川 12.ルーレット

Review  - 思い入れが激しすぎてうまく書けませんでした -

(text by れいく)

ブルーハーツは、3枚目のアルバム『TRAIN-TRAIN』を出した後、長期 の活動停止期間に入った。そしてその時に作られたのが、このマーシーの1stソロアルバムである。

マーシーは常に何かに対して怒っている人だ、というのがこの頃の彼に対する自分のイメージであった。その時までに発表されていた彼の楽曲が、自分にそんなイメージを自分の中に植え付けていたのだ。


‘満員電車の中 / くだびれた顔をして / 夕刊フジを読みながら / 老いぼれて行くのはゴメンだ’
「ラインを超えて」


‘終わらない歌を歌おう / 一人ぼっちで泣い た夜 / 終わらない歌を歌おう / キチガイ扱いされた日に’
「終わらない歌」


‘生ま れた所や皮膚や目の色で / 一体この僕の何がわかると言うのだろう’
「青空」


‘仮面をつけて生きるのは息苦しくてしょうがない / どこでもいつも誰とでも/ 笑顔でなんかいられない’
「チェインギャング」


なんかがそうである。

特に、彼がヴォーカルをとる曲に関しては、独特のしゃがれ声で怒鳴るように歌っているのがほとんどなので、強烈な印象が残っていた。

だからソロアルバムについてもこんな世界が繰り広げられるんだろう、とタカをくくっていた。

ファンのクセに。

がっ、自分の予想は全く外れてしまった。

マーシーの声が、なんとも言えないやさしさに包まれている感じであった。訴えるように、しぼり出すように、ギター1本抱えて淡々と歌っている様な曲がほとんどであった。

初めて聞いた時には正直驚いてしまった。
肩透かしを食らったような感があった。
だが、そこにはこれまで隠されていたようなマーシーがいた。
そう、ブルハでは出さなかった世界だ。

‘夏が来て僕等/アイスクリーム食べて笑った’なんていうフレーズで始まる「夏が来て僕等」、漠然とした不自由さを歌う「クレヨン」、自分なんかには涙なしでは聞けない「さよならビリー・ザ・キッド」、NHKみんなのうたのカヴァー「子犬のプルー」、マッチも歌った「アンダルシアに憧れて」、日常の風景の中に埋もれている孤独感を淡々と歌う「花小金井ブレイクダウン」、そして別れをテーマにした「ルーレット」。

彼の音楽に触れてから、今年で13年になる。
とてつもない時間だ。
自分の人生の中での重要な局面でも、彼の音楽は存在してきた。
ただ、真島昌利というアーティストと真正面から向き合っていこう、と決めたのはこのアルバムからであった。

人気バンドのメンバーのソロ、と言ってもほとんど同じ印象を受ける物が多い中、ここまで違う色を出してきたアーティストはめずらしいと思う。


この6月、ハイロウズとしての新譜を発売するマーシー。
今度はどんな物を出してくるか、非常に楽しみである。

あっ、当時のインタビューで、「俺はユーミンを超える」なんて言ってたのは、この際忘れて(爆)。



| Back to Menu |




Short Biography of Masatoshi Mashima

ご存知「マーシー」こと真島昌利は、元ブルーハーツ、現ハイロウズのギタリストだ。 遡ること85年、甲本ヒロトらとブルーハーツを結成し、87年に「リンダリンダ」でメジャーシングルデビュー。 同年にファーストメジャーアルバム「The Blue Hearts」を発売し、翌年に2月には武道館公演を成功させる。 シングル「Train Train」はメジャーチャートに居座り続け、89年には代々木競技場3デイズ公演を成し遂げた。 そしてそんなバンドの絶頂期に発表されたのが真島昌利のソロアルバム「夏のぬけがら」。 翌90年には初のアメリカツアーを敢行するなどその活躍の場は世界へと向けられつつも、不定期ながら独自に着実にソロライヴを展開していくマーシー。 その後もバンド活動と平行して、「Happy Songs」「Raw Life」といったソロアルバムで彼はブルーハーツのマーシーとはまた違った側面を見せてきた。 そしてそのブルーハーツは「Stick Out」「Dug Out」などの傑作アルバムを発表した後、95年にNHKのFM生番組で突然の解散を発表する。 そしてその後間もなくして真島は、ボーカルの甲本を誘って「ザ・ハイロウズ」を結成。精力的なライヴ活動を続けながら、今年6月、ニューアルバム「バームクーヘン」を発表する。 


| Back to Menu |




Send comments to: Hisao Mizukai.

Last updated: 6/8/99