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![]() Original Release Date: February 1999 ■ Track Listing 1. 正しい街 2. 歌舞伎町の女王 3. 丸の内サディスティック 4. 幸福論(悦楽編) 5. 茜さす 帰路照らされど・・・ 6. シドと白昼夢 7. 積木遊び 8. ここでキスして。 9. 同じ夜 10. 警告 11. モルヒネ ■ Review - 帰省モラトリアム - お盆休みを利用して福島の実家へ帰った。これは妹の不幸と重なった今年2月以来の帰省になる。その時は電車による実家近くまでのドアトゥドア帰省だったのだが、今回は実家から10キロ離れた大きな駅(=JR福島駅)までその妹に迎えに来てもらえたため、車中から慣れ親しんだ景色を見ながらの一時帰宅と相成った。 久しく通ってなかった道を通るとは言え、それもたった1年ほどのお話。 だから周りの景色はそんなに変わっているはずがないじゃないか・・・・・・・・・・・ と思っていた自分は浅はかだった。 まずJR福島駅前。そこには鈍い輝きを放つ老舗デパートがあるのだが、そのデパートの側壁には以前に目にしたこともなかったシンプルでひときわ大きい文字が見えた。 「無印良品」 その老舗デパートには、東北一の規模を持つ無印良品店が入っているという。 ちょっとおしゃれで特に10〜20代の若者を中心に人気の無印。 不可はないが可もなく、個性的な顔を持たない無難なデザインの商品がこの街でも大人気だという。 しかし身の回りの物ならなんでも揃ってしまうこのお店のお陰で、周辺の中小小売店は打撃を蒙っているという話を聞いた。なおかつ皮肉なことに、この老舗デパートの中で一定の集客を得ているのは無印だけで、他のフロアーは閑散としたままならしい。よって現在、デパート全体の規模を縮小せざるを得ないと状況だという。 というかこの駅前地域は、かつての繁華街の面影はまったくなく、相次ぐデパート、及び小売店の倒産・移転・撤退が続いている。 その主たる理由とは、まあこれは最近の中小都市にはありがちなことなのだけれども、郊外型大型店舗の進出と、市中心部の駐車場問題とである。 後者の問題の解決に市が考え出した策が、「大規模な地下駐車場建設」。 その名の通り、駅前に大規模な地下駐車場を作り、そこに車を止めてもらうことによりショッピング環境を改善しよう、という、まあ誰にでもできそうな発想のもとに動き出した一大プロジェクトなのである。 そしてその駐車場の建設工事は、すでに数年前から始められており、平成13年の完成を目指している。 しかしこれがまた皮肉なことに、工事が大規模なもので長期に渡っているため、市内の交通渋滞が慢性的なものになっており、道路の通行止めなどがさらに相次いだため、客足が以前より遠のき、ここ数年で小売店の撤退が加速度的に増えてしまったというのだ。 客足を呼び戻す計画が、さらに客足を遠のける結果になってしまったという、あまりにも呑気で皮肉な状態で進行しているこのプロジェクト。 そんな中で客を呼んでいるのは、顔を持たない没個ブランド=無印良品なのだ。 高校のとき、ほとんど毎日のように通った駅前商店街の姿は、もうない。 その高校へ通うため毎日自転車を漕いで走った細い川沿いの道。 ここはいつの間にか2車線になり、乗用車・トラックが猛スピードで走り抜ける幹線道路として生まれ変わっていた。 そこには「桜並木をセーラー服姿のガールフレンドと並んで自転車通学」などといった情緒・風情は全くなくなってしまっていた。 市内への交通の流れをスムーズにするという狙いなのだろうが、福島競馬時の交通渋滞と、郊外への客の流れとをさらに加速させているのも事実だ。 しかし自分がもっともショックを受けたのはそんなことではない。 福島市と我が保原町との境には、「高子沼(たかこぬま)」という伊達氏繁栄の時代より守られてきた大きな沼と、そこに隣接して建設された「高子沼グリーンランド」という大型レジャー施設とがある。 高子沼とは桜の名所で、幼稚園、小学校の遠足もそこだったし、なおかつ釣りのメッカでもあるため、休日にはよく竿を抱えてブラックバスを釣りに行ったものだった。 そしてグリーンランドは県北地方に唯一存在する、大観覧車やジェットコースターなどを擁した大型、とまでは言わないが、程よく中型のアミューズメントパークなのだ。 小さいころはよく連れていってもらっていたし、そこで開かれた写生大会で、もっとも難しい大観覧車を一生懸命に描き、優秀賞なる賞をもらって旧友達を驚かせた思い出深い施設だ。 というか両方ともあって当然、なくなるなんて信じられない、といった日常に存在する自然と人工の巨大オブジェであり、わが町を象徴する景色として、季節を問わず人の目と心と体を楽しませてきた。 だが、そんな大きな沼にはすでに水はなく、そんな大きな遊園地にはすでに人の姿はなかった。 さすがにこの光景が飛び込んできたときには我が目を疑い絶句した。 水のなくなった高子沼は住宅の造成地として埋め立てが進んでおり、人のいなくなったグリーンランドは営業停止により観覧車とジェットコースターとが無残な屍をさらしていた。 そんなに住宅に対する需要は大きいのか? 近くに新設された住宅団地において相次いで退去者が出ているというその状況から、建設業界に長くいる我が妹曰く、「高子沼を埋め立てて造る団地も、絶対に売れない」・・・・・・・・・ ![]()
Last updated: 8/15/00 |