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![]() でもそんなことや〜めた! このジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの新作を聴くにつれ、そんなブルースがどうだとか、黒人音楽がどうだとか、それを白人がどうしたとか、もうどうでもよくなってきてしまった。頭の中でこねくり回した音楽ヒストリーなんて、このアルバムを目の前にしちゃ、ほんとどっかにすっ飛んじゃうよ! まあブルースとかもそうだったんだろうけど、とにかくこのビートを体で感じるしかないんだ。くだらん先人に対するリスペクトなんて、ドカドカバタバタ、あっちゃこっちゃそっちゃこっちゃ、蹴り飛ばしたくなる! まずラッセル・シミンズのドラム。もしレッド・ツェッペリンが再結成されるなら、太鼓にはぜひこの人を!!! 今、パソコンについてきた安っぽいスピーカーでこのアルバムを聴いてるのだけれども、もうそれでもスネアとバスドラの音がバカバカボコボコと、とんでもない勢いで突き刺さりまくってる。今やブレイクビーツだのビッグビートだのなんだかツコツコバタバタと大手を振って街中をかっ歩しているけど、そんなものこの人の生ドラムの前には、ガキの貧乏ゆすりも同然。ゆるい曲であろうが、シンプルな曲であろうが、ボガボガズカズカ叩きまくる、グルーヴしまくる、加速しまくる。踊らにゃそんそん阿波踊りに、だんじり祭りの屋台が時速100キロで突っ込んで来たような、そんなマゾヒスティックな爽快感まで加わってるぞ! アルバム発表前に、メディアを通してさんざん「ジョンスペのニューアルバムはゆるくなった」と聞かされていたので、ほんといい意味で拍子抜けした。いや、リズムだけを取ってみれば、確かにゆるくなったかもしれない。でも考えてみれば、そもそもジョンスペのアルバムにカントリーバラードが入るわけでもあるまいし、ジョンのピアノの弾き語りがあるわけでもあるまいし、ジュダが木琴を叩くはずもあるまい。(それはそれでウケるかもしれないが・・・・) ラッセルのバカバカ8ビートと、ジョンの張り裂けんばかりのローファイヴォーカルには、リズムの速さなど関係ない。あの耳の痛いスネアの音を聞きながら、「ブルースのことを語ろうぜ〜!! ベイベーーー!!! (Talk About The Blues)」とジョンに怒鳴られながら、彼とブルースの話ができる? 「これがブルースのパワーだあ!! (Calvin)」「さあブルースが復活したぞう!!! (Attack)」といったプライマルな叫びを聞いた後に、ブルースとジョンスペの関係性うんぬんなんて考えられる? それなのに「俺はブルースをやらねえ。ロックンロールをプレイするんだ! 気持ちいいぜおい! ブルースはナンバーワンだ!! (Talk About The Blues)」と言っちゃうような人の脳味噌のしわの数を数えて何が楽しい? とにかくこのグルーヴを聴いて、自分もグルーヴできなければおしまい。それだけだ。「イタリアの田舎トラック」のように、高速ギアに入れ、コントロールを失うほど何も考えないで突っ走る。それがジョンスペだ。ロバート・ジョンソンも道端に立ちつくすほどのスピードで、彼が悪魔と取引きをした魔の十字路を突っ走ってゆく。それが今のジョンスペなのである。
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Last updated: 10/7/98 ...... Thanks, Miho-san!! |