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![]() そしてその丸井の10階にある外資系レコードショップに入ると、並んでる並んでる、レイジのニューアルバムが。なんとなくこのグレーのジャケットが店の半分ぐらいを占領してしまったかのようでもある。どうしようもなく洋楽が売れないこのご時世にあって、当のレコード屋も「売るぞ!」という戦闘モードに入っているかのようだ。 CDジャケットとにらめっこしながらってのが普通の試聴コーナーにも、今日はヘッドバンギングをしている男子諸君が目立つ。うん、間違いなくレイジを爆音で聴いているに違いない。そんな彼の目の前にあった平積みのCDを1枚手に取ると、「お、お前も買うのか!」ってな面持ちでジロっと睨まれた。というか自分の世界に浸りきっているときに突然目の前にぬぅっと手が伸びてきてちょっとビックリしたのか。 もうとにもかくにも、これしか判断材料がないのに勝手に決め付けると、地元神奈川県川崎市溝口周辺は、売り手から買い手までみんながみんな戦闘モードである。JRの改札口にて超大声で駅員とやりあっていた女性を含め、個人的判断によりみんなバトルである。The Battle Of Mizonokuchiである。そしてそのまま会社に行ってみる。いわばここは自分にとっての戦場と言ってもいい。しかし今日は祝日なので誰もいないし、なおかつビルの上下のフロアにも人がいないから、パソコン横のスピーカーをフルスロットル状態にしてレイジのこのニューアルバムを聴く・・・・・。 日本のナンバーガールというバンドが、ライヴの始まりに必ず「我々は福岡市博多区から参りましたナンバーガールでございます」と言うように、レイジの場合も必ず「我々はカリフォルニア州ロサンゼルスから参りましたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンでございます」と言う。ライヴの度にこの言葉を発するバンドを、自分は他にヒューイ・ルイス&ザ・ニュースぐらいしかしらないのだが、まあそのバンドはさて置き、この「The Battle Of Los Angeles」を聴き進めるにつれ思ったのがやっぱり「ロサンゼルス」という場所へのこだわりというか、やっぱりまた名前を出すと、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが「我々はカリフォルニア州サンフランシスコ出身っす!」と言うのとでは意味が全然違うよなあと思ったりしたんっす。 ロサンゼルスと言えばユニバーサルスタジオがあったりビーチがあったりディズニーランドがあったりするそんなきらびやかな印象よりも、最近では、うちのかーちゃんがせっかくお土産に買った金品を強奪された街でもあり、レンタカーの鍵をぶち壊された街でもあるということで、LAといやあすなわちそのまま犯罪をイメージしてしまうぐらいにダークな側面を持つ街である。一度だけちらっと旅行をしたことがある ぐらいな自分には大したことを言えないし、現地在住の人もひょっとしてこれを読んでくださっているかもしれないのでかなり恥ずかしいのだけれど、そんなダークな街からシーンに登場してきたロックバンドはやっぱりどこかネジがぶっ飛んでいるというか、ラウドでノイジーでクレイジーで目立ちたがり屋ですぐに中指を立てたがる連中ばかりに感じる。ビースティー・ボーイズ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ジェーンズ・アディクション、ゼブラヘッド、リール・ビッグ・フィッシュ、トゥール、コーン・・・・・。レイジも含めてこれらLA出身のバンドに共通することとは、それは彼らの顔とか髪とかを思い浮かべてもらえば分かる事なのだけれど、さらさらのブロンドヘアーにきらきらした青い瞳に透き通ったような白い肌・・・・なんていう典型的イメージ下にあるアメリカ人がこの中にほとんどいないということだ。同じLA出身のガンズ&ローゼズがあそこまでウケたのも、完全に他とは趣を異にするギターのスラッシュのイメージに拠るところが大きい。結局アジア系、アフリカ系、アラブ系、とありとあらゆる人種のるつぼでもあるというところはニューヨークあたりと変わらないが、ロサンゼルスはそれ自体モロにメキシコに近いことと、そこにやってくるメキシコ系人種は未だに国内での社会的地位がムチャクチャ低いこと、そしてメキシコ人特有の大家族意識を持っていることなどから、そんなメキちゃんを含むどの家族=バンドにも必ず「アメリカ=音楽業界=プレス=まざふぁか」的なメンタリティー and/or アティテュードがある。砂漠、麻薬、銃、殺人、虐待、レイプ、人種差別・・・・アメリカの病理、いや言ってみれば世界中の病理が宿っていると言ってもこの街出身のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは、「我々はカリフォルニア州ロサンゼルス出身です」と宣言することで彼らの歌をよりリアルなものにし、世界の矛盾をすべて背負って木っ端微塵に破壊して行くような、そんな決意と体力と勇気とを持っているようにさえ感じる。そんでもってステレオタイプなアメリカ人像から完全にかけ離れたザック・デ・ラ・ロッチャとトム・モレロの姿を見て安心し(・・・恐らくメキシコ系人種とアフリカ系人種がフロントに立つメジャーなロックバンドは彼らしかいないと思う。)、僕に似て精悍な顔つきにさらに磨きがかかったドラムのブラッド・ウィルクの姿にそのストイックさを見て自分の自堕落ぶりをちょっと反省したりするわけである。 自分が仮にバンドを組んで、「我々は神奈川県川崎市出身のバンドです!」と言ったところでなんのリアリティーも持たないし、ナンバーガールぐらいの気合がなければ、せいぜい排気ガスとか公害とかそんなことを訴えたいバンドなのかな、と思われるのが関の山。「川崎市の戦い」と銘打ったアルバムを出しても全然バトルじゃないし、笑えもしない。しかしロサンゼルス出身のこのバンドの音によって、自分たちの街=ロサンゼルスのリアリティーが、アメリカ国内だけでなく、海を越えて何千マイルも離れた川崎市溝口の駅前にまで伝えられている。それは売り手側の販売意欲と買い手側の購入意欲とを尋常ならないほどに増大させているのだが、もちろんその中のほとんどの人達はただ単に自分の暴力的欲求オンリーを満たしたいがために買うのかもしれないが、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンはそんなことは百も承知。むしろファンが100人いてその中で彼らのメッセージを真剣に受け取ってくれる人が10人しかいないとしても、それはレコードを100万人が買えば10万人が本当の理解者になってくれるし、10億人が買えば1億人が、というやり方でマスなファン中にマスな理解者の獲得を求めているのだと思う。だからマスな現場=フジロックフェスにも出る。そしてその後で11/3などというエアポケット的な日付でレコードも出す。そしてそのレコードの内ジャケの最後にこんなリンク集があった。とりあえずインターネットというメディアによることなので、ここに記しておけばそれなりに役に立つかもしれない。・・・・・・Action! Friends And Family of Murnia Abu-Jamal International Office of the Leonard Peltier Defense Committee Fairness & Accuracy In Reporting The National Committee for Democracy In Mexico Women Alive Rock & Rap Confidential Amnesty International Refuse & Resist Mass Mic ![]()
Last updated: 11/03/99 |