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新しいレーザープリンタの開発・評価・支援の段階で、アプリケーション印刷試験の項目のひとつとして、IE、NNといったウェブブラウザを用いた印刷機能確認試験を行わなければならない。よってこの日もその素材探しのためにネット上をさまよっていた・・・・・・・・・・といった名目を付けて仕事中にウェブをふらふら見ていたら、アメリカのSonicNetのトップページに面白い記事を見つけた。なんでもRATMオフィシャルサイトに彼らのライヴヴァージョンやレネゲイズ・カラオケヴァージョンなどがアップしてあるとのこと。 その記事に大いなる興味をそそられた自分は、もちろんすぐにそのリンク先ページに飛んだわけだが、当然のことながらその理由は、SonicNetのサイトにも、RATMオフィシャルサイトにも、アニメーションGIF、テーブルBGCOLOR、Flashコンテンツなどが複雑なレイアウトの中で多様に用いられ、なおかつ複数のフォントが使用されているために、ウェブという素材の総合的な印刷機能確認を行うために大変適しているから、ではない。早い話、これほどスピーカーがないことを、そしてこんな静かな環境で仕事をしていることを悔やんだ日もない。 上記オフィシャルサイトにMP3形式で収録されているのが、「Guerilla Radio」「Killing In The Name」「Kick Out The Jams」「Sleep Now In The Fire」、そしてニューアルバム「Renegades」のインストバージョンが12曲。RealPlayer、Windows Media Playerで鑑賞可能なストリーミング方式の映像が、「Wake Up」「Testify」「Guerilla Radio」「Killing In The Name」「Bulls On Parade」「Calm Like A Bomb」「Know Your Enemy」「War Within A Breath」の8曲である。そしてこの8つのライヴ映像の中で特にみなさんが注目したいであろうところは、今年の福岡公演から「Wake Up」が、大阪公演から「Testify」がそれぞれ選ばれていることであろう。 よってまずは大阪公演から!ということになったのだが、スピーカーなしという悲しい現実(でなおかつ仕事中。)がある故に、楽しめるのは映像だけということになるのだが、回線状況に恵まれていることもあるのだろうけど、Media Playerの映像の美しさにまずビックリしてしまう。普通のビデオにまったく見劣りしていないクリアでスムーズな映像は、ウェブ上での映像配信技術の格段なる進歩を実感させてくれた。そして(それはどうでもいいことなのだけど、)次にビックリしたのが、このライヴ映像すべてに言える事なのだけれど、基本的にまるでブートビデオみたいに、1曲に対してビデオカメラがたった1台しか回っていないことだ。各公演によってアングルは全然違うものの、例えばこの大阪公演の映像の場合には、トムモレロの左側からカメラを回しているだけで、つまりそのカメラはメンバーの体の横半分しか捕らえていない。 しかし!! 「ライヴビデオにもの申す!」の中で吠えたように、ワタシはカメラがコロコロ頻繁に切り替わるライヴビデオを毛嫌いするタイプの人間であり、逆にいえば、カメラなんて1台がしっかりとステージを見据えていてくれればそれで満足して音と映像に集中できる人間なのである。つまり実際のライヴ鑑賞環境に近ければ近いほどそこにライヴ映像の臨場感を感じるのがワタシという生き物なのである。よってこのトムモレロかぶりつきのカメラワークは、まるでステージの横からライヴを観ているようなそんな錯覚に陥るほど、自分にとって超鳥肌モノの映像になってしまったのだ!!! ハイジャンプを繰り返すザックが、エフェクターに蹴りを入れるトムが、微妙なステップで小躍りを続けるティムが、腕を高々と上げてスネアドラムにビンタを食らわすブラッドが、真横にいる、俺の真横で「Testify」をプレイしている!!!! ほんと、いくら「!」を加えても足りないぐらいに興奮してしまった俺は、「こりゃやべえよぉ〜。うわぁもんのすげえやべぇよぉ〜。」と声にならない声を上げてしまう。(・・・しかし自分はよく仕事中に独り言を発してしまうタイプなので、周りはさして気にも留めていなかったようだったが。) 念のためくどいようだけどもう一度言っておくと、自分はそのライヴ映像の、「映像部分」しか見ていないのである。肝心要の「音」は一切聞こえていないのだが、しかしそれでも体内のアドレナリン成分が全身の毛穴から煙を噴きそうなぐらい興奮してしまうのは、オフィスでの秘め事は普段の情事よりも燃える、といったこともその実としてあるのかもしれない。しかしまずは彼らの圧倒的なビジュアル的かっこよさをその興奮の理由として挙げたいところなのだが、実際のところは、その1台のカメラが、レイジのライヴの全体的な雰囲気を完璧に映し出しているところが、この映像をアドレナリン分泌マシーンとして機能させている最大のポイントだと思う。 例えばまるでスタジアムの2階席から撮ったような「Bulls On Parade」の映像の中では、豆粒ほどのザックがステージ上を動くたびに偶然にも会場横の内壁に彼のシルエットが大きく映し出され、見渡す限りのオーディエンスの波の中にうごめく火の玉のような怪しげな物体が、会場の温度の高さを克明に映し出している。そして来日公演直前の韓国・ソウル公演を捕らえた「War Within A Breath」は、およそベースの真後ろあたりからメンバーの背中越しに観客の姿を追った映像なのだが、最前列付近で完全に興奮状態にあるオーディエンス1人1人を克明に捕らえていて素晴らしい。去年、フジロック99直後に開催が予定されていた韓国初のロックフェスが、大型台風によって中止になっていたこともあり、出演キャンセルの日からさらに約1年も待ったそのレイジに対する渇望の想いと、その飢えを満たさんとするオーディエンスの食いつきぶりとが、痛いほど伝わってくる。 そんな感じで、とにかく素晴らしい映像ばかりなのである。 しかしその後のザック脱退という現実を体内でまだまったく消化しきれていない自分には、この映像の意味を、そして彼のレイジにおける存在の大きさを、それぞれ語ることは不可能に近い。しかしそれでも仕事帰りの電車の中でそのことについてじーっと考えてはみたのだが、結論めいたものは何も浮かんでこなかったし、その映像をオフにしたその後の自分が、他人の目から見てもあからさまに不機嫌だったその理由も、現時点においては全く明確ではない。今年の幕張メッセでの公演、そしてレディングフェスでのプレイそれぞれを間近で観たその記憶が自分の脳裏を鮮やかに駆け巡っているという事実のみが自分の中ではっきりしているだけだ。 そして、昨日のBurps忘年会前に西新宿のブート屋で探そうとしていたレディングフェスの音源も、全く偶然にその翌日にオフィシャルサイトで聴くことができようとは想像だにしていなかった。「顔が似ている」というだけでドラムスクールへの通学を決意させるほど強靭に鳴らされたそのビートは、20世紀最後にして最大のロックンロールバンドからの贈り物と信じて、日々の生活にさらなる怒りと活力とをぶち込んで行きたいと思っている。 | Back to Menu | ![]()
Last updated: 12/18/00 |