++ March 1998 ++


Pilgrim Eric Clapton

う〜ん.....。困ってしまった。もしこれがクラプトンのアルバムじゃなかったら、一回聴いただけで即中古屋に売り飛ばしていたであろう、そんなアルバムである。オリジナルアルバムを最後に発表したのが89年。何せ9年も待ったんだよ、9年も。89年と言えばローゼズがファーストアルバムを出した年なのだよ。そのローゼズでさえも、待った待ったと言いながら3年前にはアルバムを出している。あのストーンズだってこの間に2枚もアルバムを出しているし。何せアンプラグドとブルースアルバムなんていう企画ものが売れてしまったものだから、延び延びになってしまったこのニューアルバム。その間にクラプトンを取り囲む状況は激変したとはいえ、あのベビーフェイスのアンプラグドで披露したクラプトンの超絶ギターを聴いて涙して以来、もうこのニューアルバムへの期待っていうのは並のものじゃなかった。それがこれだもんなあ....。

まずドラムの音がいけない。時代をあまりにも意識したようなすかすかの打ち込み音が延々と続く。これが非常にきつい。特に「Circus」のドラムは余計だ。バックで常に流れるストリングス音もはっきり言って耳障り。無くてもよかった。ボーカルは結構いい。堂々とした歌いっぷりはあっぱれ合格。そして問題はギターだ。確かにスタジオアルバムだと音数の少ないプレーが多いこの人だが、このアルバムではそれにもましてギターの登場場面が少ない。これは「ギターの神様」と呼ばれた頃からずっとクラプトンファンやっている人を、とてつもない欲求不満に陥いらせているのではなかろうか。

結局、この恐ろしいまでにコンテンポラリーな曲群を、クラプトンがやらなくちゃならないという必然性が全く見えないままアルバムを聴き終えてしまう。誉め言葉を必死に探そうとしているのだけれども、どうにもうまい表現が見つからない。かといって「あんたそりゃ間違ってるよ」と言う勇気もない。だからもう「困った」とため息をつくしかないのだ。やっぱ9年は長いよ。はやいとこ次のアルバムを出しておくれ。

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Last updated: 3/9/98