Aerosmith Kicked my ass!!

日本武道館 - 5/7/94

--- FM Station誌94年第14号に私の投稿が掲載されています。


アルバム「Get A Grip」が爆発的に売れて、第2期黄金時代を迎えているエアロスミス。そんなさ中に行われた来日公演。もちろん全公演大入り満員。この日は武道館7日公演の初日のものである。

後で知ったことだが、来日中にギターのBrad Whitfordの父親が危篤状態に陥ったとかで急遽帰国。よってこの日の前の地方公演ではBrad抜きでのライヴを行っていたのである(場所によってはサポートのギタリストが参加)。その父親の病状も介抱に向かいギリギリでバンドに合流したBrad。やっぱり5人のエアロを見たいもんね。

ステージ上にはドラムセットの周辺に幕がかかっていて、まだその全貌はあらわしていない。予定開演時間をわずかにすぎた頃、あの「Get A Grip」の「Intro」が流れ出した。まだ場内は明るいままである。やがて客電が落ち、そのSEが止むとボーカルのSteven Tylerの声が...。するとギターのJoe Perryが「Eat the Rich」の太いイントロを弾き始める。そしていっせいに幕が下りるとエアロスミスの5人のメンバーが登場...という凝った演出になっており、当然のことながら客はもう狂喜乱舞状態だ。

Joeはギブソンのレスポールスタンダードをもっていて、やっぱりメンバーの中ではピカイチでかっこいい。「Eat the Rich」の後半部分ではギターの弦を巻いてあるペグをゆるめて、独特の音を出す。Bradは淡々とした感じである。続いて「Toys in the Attic」「Rag Doll」と新旧のヒット曲を演奏して、ニューアルバムから再び「Fever」だ。「Get a Grip」からの曲はものすごく受けがいい。この年代のミュージシャンにありがちな、昔のヒット曲しか受けない、などということはこのバンドに関しては全く心配無用な感じである(皮肉にも同時期に来日していたCheap Trickはエアロのせいで武道館を使うことが出来なかった)。「Amazing」でもみんなで大合唱。特に若い人の熱気がすさまじい。

するとJoeがちらちらと単音リフを弾き始めた。じらすようにしてなかなか始めようとしない。スティーブンは「What do you want to hear?」と尋ねてくる。どうにかドラムとベースが重なってくると、やっと曲の正体を現わし始めた。この日のサプライズ、「Milk Cow Blues」である。滅多にやらない曲であろうに、後半部分など驚くほどに息がぴったりだ。一体この人達何曲ぐらいリハーサルしているんだろう。

そしてこの「Milk Cow Blues」からメドレーで「Mama Kin」へとなだれ込むのだからもうたまらない。「Back in the Saddle」では大合唱とStevenのシャウトが続き、通訳まで出てきてのMC。「We gonna rock you, assholes!」という言葉を言った時の通訳の反応は...。(詳しくはSurvival English - 卑語特集・その3 -で。)

「Cryin'」に入る直前にスティーブンは客に向かって「I want to hear you scream, OK? One, two, three, go!! (みんなの叫び声を聞きたいんだけど、いいかい? ワン、ツー、スリー、さあ行け!)」と言ったにもかかわらず、当然何を言ってるのかわかった人は少なく、何とも言えない静かなときが流れた。そして「Now I want you to count. One, two, three, OK? (さあみんなに数を数えてほしいんだ。ワン、ツー、スリーって感じで。分かった?)」とのリクエストを出す。さすがに今度は分かったようで、みんなで数をカウントする。そうしてそのカウントにあわせて「Cryin'」のイントロに入るという、オーディエンスを巻き込んだこの演出。さすがベテランだね。心憎いよ。

「Joe Fuckin' Perry!!」と紹介されて恥ずかしげにフロントマイクの前に立つJoe Perry。ギターをまさぐりながらMCをする。一語何か言うたびに「チャラララ、キュイーーーン」とギターを弾いてしまうJoe。もうJoeのギター自体、なにか語っているようにも聞こえてならない。そして彼の一曲目はブルースナンバー「Stop Messin' Around」。シャッフルの曲で、リズムのタイトさが腰のあたりに響いてきて気持がいい。Stevenはステージの脇の方でハーモニカでオカズを入れている。Joeの2曲めはニューアルバムから「Walk on Down」。再び観衆を熱狂の渦へと落とし入れてしまう。

あとは「Janie's Got a Gun」「Love in an Elevator」「Dude」「Sweet Emotion」などのヒットパレードだ。Joeは左のせり出しのところでギターを弾きまくり、客を煽りまくる。アンコールも2回も出てきてくれて、「Dream On」「Living on the Edge」「Walk This Way」で締めくくった。Stevenはゲップはするわ、4文字言葉で客を煽るわ、バック転はするわで、相変わらず派手な動きが目立った。しかしながら俺はこんなにまだ若いんだぜえ、と無理しているように見えないところがなかなかのオヤジたるところでもある。


- Set List - 5/7/94

  1. Eat the Rich
  2. Toys in the Attic
  3. Rag Doll
  4. Fever
  5. Monkey on My Back
  6. Amazing
  7. Milk Cow Blues
  8. Mama Kin
  9. Back in the Saddle
  10. Cryin'
  1. Stop Messin' Around
  2. Walk on Down
  3. Janie's Got a Gun
  4. Love in an Elevator
  5. Dude (Looks Like a Lady)
  6. Sweet Emotion

  7. Dream on
  8. Living on the Edge

  9. Walk This Way


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Last updated: 12/31/97