■ 名古屋ドーム - 1/2/00 Set List
「名古屋城を観光して、美味いもの食って・・・」などと悠長なことを考えていた自分を恥じなければならない。この日の開演が6時であることを名古屋駅に着いた直後に知る。だからゆっくりする余裕もなく、きしめんを胃に流し込んで即座に会場の名古屋ドームへと向かう(今思えばこれが後の後悔へとつながったのかも…)。最寄の駅からの道程がやたら遠く感じる。フジロック'98を思い出す。独りで当日券を買う。
初めて来た名古屋ドームは大阪のそれとそんなに印象は変わらないが、やっぱり、という感じで客席はかなりまばらだ。いわゆる2階スタンドはまったくの空席で、1階スタンドの入りも約半分かな、といった印象。もう少し早く到着していれば当日でアリーナ席をゲットできたかな、という感じで、座席は先日とほぼ同じ1階スタンドのジョー・ペリー側。
しかしがっかりしたのが1階スタンド席の最前に、大阪ドームには無かった野球用のネットが張りっぱなしになっていたこと。これが前方の視界を遮っていてとてつもなく邪魔でしょうがない。イベント用にもこの球場の使用を考えているならば、建設の段階でこのネットが可動できるように考えておくべきだ。大阪でできてなぜ名古屋でできない。(ついでに言えば、東京でもなぜできない。)
と今頃文句を言ってもしょうがないので、ここで英断を下すに至る。この席をすっぱりと諦め、客のまったくいないスタンド席後方へ移動することを勝手に決心する。チケットの座席ナンバーを確認しながらまるで席を探しているフリをしながら後方へ・・・・という結構手の込んだ演技も含めて、球場全体を広く見渡せるエリアへの移動を完了。いやあ、最高である。ステージからの距離はそんなに変わらないのに、周りに人はいないし、邪魔なネットもない。何よりも嬉しいのが、これで思う存分暴れまわれるということである。なんだか去年のフジロックを思い出すような自由な空間がここにはある。
大晦日の大阪と違い、みんなの酒の量が足りないのか、客席にウェーブも起こらず、ちょっと冷え切った雰囲気の中、前回同様に曲名不明のロックナンバーが突然大音量で鳴り出し、これがショーのスタートの合図と知るお客はここでスタンディングし始める。すると場内が暗転して「ごわー、ごわー、ごわー」というドラゴン=竜が5つのスクリーン上を暴れまわり、最後に火を吹き、どアップのスティーヴン・タイラーの顔が映るという仕掛けに場内普通に大盛り上がり。曲はやっぱり「Eat The Rich」。
前回の大阪カウントダウンでは舞い上がってさっぱり分からなかった詳細もじっくり見ようと思っていたのだが、やっぱり始まってみるとそういうわけにもいかなかったのだが、とりあえずピンクっぽいインナーを着たジョー・ペリーのギターはワインレッドっぽいギブソン・レスポール・スタンダード、そしてひとり王子様っぽいブラッド・ウィットフォードのギターはフェンダー・テレキャスター。スティーヴンは大阪よりもお洒落チックで、意味不明の「安」Tシャツではなく、ドラゴンをあしらったようなちょっとかっちょいい、いわばスティーヴンっぽい派手目のインナーである。ドラムのジョーイは相変わらずの金髪でマッチョである。ベースのトムは、背はでっかいのに地味である。
「Eat The Rich」のソロのところでは、フィードバック音とともにギターを振り上げるジョー。それに「わきゃきゃ」と応えるスティーヴン。WOWOWの入っていた大晦日カウントダウンと違い、なんか今日は2人ともカメラを余り意識することなく、より演奏に集中している感じだ。スティーヴンのカメラ目線がやたらと少ない。でもジョー、スティーヴンともに動きはシャープで無駄がない。テレビが入っていようが入っていまいが手を抜くことなく演奏するエアロはやっぱりすばらしい。
今日も曲後のゲップから「Falling In Love」へ。スティーヴンがステージサイドの花道を通って我が方へやってきたかと思えば、ジョーは反対側の花道を歩いていったのだが、ジョーはギターソロをちょっとトチってなかなか笑えた。続く「Same Old Song And Dance」でのジョーのギターはやっぱりES-355。ここで早速スティーヴンは着ていたコートを脱ぐ。
大阪にはなかったちょっとしたジャムを披露(・・・なんとなくエアロの曲の一部だったような気もしたけど・・・)した後、そのままメドレーで「Love In An Elevator」へ。カウントダウンではES-355を持ったままこの曲に入ってしまったジョーだったけれども、今夜はきちんとジョーペリーモデルに持ち替えての演奏となった。そして「ドーモアリガトウゴザイマース」「コンバンワー」 by スティーヴン・タイラー。
しかし困った。この辺から困り出した。ライヴ前に食いすぎていたもんで、お腹が痛い(笑)。「Livin' On The Edge」でのジョーイのバスドラ音が下腹部にダイレクトでくる。列車をひらリとかわし、ソロで手元がどアップになるジョーの姿も笑えない。まさに「Living On The Edge」(爆)。
次の曲があまり好きではない「Rag Doll」だと知り、後ろ髪引かれる思いでトイレへとかけ込む。こんな風にライヴ中にトイレに入るなんていうことは生まれて初めてのことである。しかしよりによって便器に座ってうんこしながらRag Dollを聴くことになろうとは・・・・。ジョーのペダルスティールが鳴り出した頃には、下腹部の動揺も収束へと向かっていてとりあえず良かったのだけれど。
トイレを出た頃に始まったのが「Dream On」。「みんなライターを灯してるのかな?」などと想像しつつ、さっき来た道とは逆方向へと歩ってみる。そして今度はブラッド側、すなわちステージ向かって左側へと移動してみた。そしてやっぱり人のいないエリアにちょこんと座ってみる。いやあ、こんな風に座席付きのコンサート中に席を移動したのも生まれて初めてのことである。野球観戦ではよくやったことがあったけれど。
そしてそんな逆方向から見下ろす「Dream On」では、ステージ後方に黄金の滝が流れた後、万事滞り無く終了。 そんでもって「ジェニガラ」こと「Janie's Got A Gun」というなんとなく退屈なヒットパレードが続く。
しかしここで、「昔のやつ(=old shit)が聴きたいの? それとも新しいやつ?(=new shit)」とスティーブンが聞くので、「おーるどしっとー!」と言ってやると、メンバーが集まり出した。するとジョーがドラムセットの方を向きながら、ぴろぴろぴろ〜となんだかあまり馴染みの無いアルペジオを弾き始めて一旦止めてみる。「うそーーー!」という俺の驚愕の叫びとともに演奏され始めたのが3rdアルバム「Toys In The Attic」収録の「No More No More」。すさまじくマイナーな選曲に正直あせる。ジョーとスティーブンが同じマイクで「のーもー、のもーーーー」とハモっているのを聴いて鳥肌が立つ。なにげにトムもコーラスしていて微笑ましい。さすがにメンバーも弾きなれていないのか動きはほとんどなく、じっと演奏に集中している感じだ。まあ客席はちょっと冷めちゃったけど、言うまでもなく自分としてはかなり嬉しい。
だがお楽しみはそれだけじゃなくて、これまたマニアな「Night In The Ruts」収録の「Remember (Walking In The Sand)」を挟んで、ブギのリズムとともにスティーヴンのハーモニカが鳴り出したのだが、結構長く続いたので一体なんの曲だろう、と思っていたら、「Give her my big ten inch〜♪」といういやらしい歌詞が聞こえて、「おおおおおお! Big Ten Inch Recordだ!!」となったわけである。ピアノがブギならばジョーのソロも思いっきりロックンロールで
、いやあこんな選曲はかなり楽しい。周りに誰もいないので、ちょっと軽く横にダックウォークをしてみたワタクシ。
「Do you know what I wear?」という声とともにやはりピンクの帽子をかぶって「Pink」へ。ハーモニカを客席に投げた後、31日同様、ジョーイの速いビートからオープンチューニングのジョーのアンペグに引き継がれて「Let The Music Do The Talking」へ。やはりコーラスはスティーブン&ジョーがひとつのマイクで歌っていて、途中にはまるで「Draw The Line」的なギターラインも挟み込まれていたけれども、さすがにメジャーじゃないのかなんだかで客席の盛り上がりは最低に達した。
とりあえずスティーヴンが「Joe Fuckin' Perry!」とだけ短く紹介していつものジョーコーナーになったのだけれど、いきなりジミヘンカバーの「Red House」のイントロを弾き出して「おおお!」とまた思わせたが、MCなしのままやっぱりこの日も「Stop Messin' Around」だった。ダックウォークしながら階段を降り、ステージサイドの花道まで到達したジョーはさすがだったが。
ジェームス・ブラウンのファンクチューン「Mother Popcorn」で完全に殺られる。そしてエアロ最大のファンクチューン「Walk This Way」で大歓声が上がる。「Just gimme some ki----ss♪」のところでは身体を130度ぐらい傾けるスティーヴン。
「Cryin'」のイントロが鳴り響くやいなや、またしても席を立つKats(笑)。人のまばらな会場外側の通路を「I was cry---in' when I get you〜♪」と唄いながら歩き、今度はステージ向かって右側正面付近へと移動を果たす。ますます全体が広く見渡せるところで、「What do you wanna hear?」と聞いているのに「うぉー!」とだけ答える聴衆にちょっと困ったスティーヴンが、「Do it!!」と声を掛けたのもつかの間、一瞬遅れて「Dude」のイントロになったのにはちょっとだけ笑った。そして見事に「I Don't Want To Miss A Thing」が飛ばされた。(・・・ちょっと嬉しい。) ジョーはギターソロのためにステージ左側の花道へ移動。もちろんギターはギブソン・ファイアーバード。
そして「Mama Kin」の大爆発であっけなくメンバーはステージを後にした。あれれ〜〜、これで終わり? と思ったが、ここからいよいよ大阪カウントダウンでは観られなかったアンコールが始まる。やっとこさっとこステージ上に吊るしてあったエアロのロゴ入り白幕がステージセット中央に降りてアンコールの時を待っていたが、速いドラムビートとスティーヴンのハーモニカとが鳴り出し、ドカーンという爆発とともに幕が降ろされ「Train Kept A Rollin'」へ。なんだかベタな選曲だがとりあえずカウントダウンと違って最後まで聴けて良かった。
またしても「もう??」という声が聞こえてきそうな感じだが、ドラム用の高台(?)に上がったトムのベースから「Sweet Emotion」に。・・・・しかしなんと今日は大阪では演奏されたレッド・ツェッペリンの「Heartbreaker」がカットされていたのだ!! 悲しみに打ちひしがれる中、今夜のステージは1時間45分程度で終了。思いっきり尻切れトンボなライヴにちょっとツッコミのひとつやふたつ入れたいところだったが、「No More No More」と「Big Ten Inch Record」に免じて許したい、そんな名古屋ドーム初体験ナイトでした。
- Eat The Rich
- Falling In Love
- Same Old Song And Dance
- Love In An Elevator
- Livin' On The Edge
- Rag Doll
- Dream On
- Janie's Got A Gun
- No More No More
- Remember (Walking In The Sand)
- Big Ten Inch Record
- Pink
|
- Let The Music Do The Talking
- Stop Messin' Around (v: Joe)
- Mother Popcorn
- Walk This Way
- Cryin'
- Dude
- Mama Kin
- Train Kept A Rollin'
- Sweet Emotion
|
| Back | Home |
Page maintained by: Katsuhiro IshizakiLast updated: 1/ 4/ 00
|