Beastie Boys もっと働けアダム・ヤウチ

横浜アリーナ - 2/6/99

with Sean Lennon


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いきなり超ショック

まず会場入りして自分のテンションは半分に下がった。フロアー真ん中にあるべきものがそこにはない! 去年の北米ツアーで使用されていた円形ステージ。これがないのだ。もうてっきりこれがアリーナど真ん中にあるものとばかり思っていた私は、代わりに広がるブロック分けのための鉄柵の嵐が視界に入った瞬間、かなり、というかいい知れないほどの大ショックを受ける。「なんだ、やっぱりウドーの仕事じゃん・・・・」。いや、考えてみればクリエイティブマンのMTV Tokyo Cool Campもそうだったし、ミッシェル・ガンの横アリライブもそうだったな。

フロアー上に見事に区画されたブロックはその数およそ20。そしてさらに各ブロック内においてもブロック分けがなされている。「What the fuck is this!!??」・・・・・はっきり言ってこれほど区分けする必要性はまったくと言っていいほど感じない。少なくとも横の柵はあってもなくても変わらないだろうに・・・・・。

そんな中での私の位置は、2−Lという前から2番目の左側のブロック。まあ檻は檻でもこの会場の中では比較的いい位置かもしれない。そしてそのブロックへの入場の際に黄色いリストバンドを手渡され、それを右手首にはめながら開演を待つ。


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まずはちょっとショーン・レノン

ウドーのホームページ等で予告されていたとおり、この日の前座(・・・いや、ウドー風に言えば「第一部」(爆))はビースティーズと同じレーベルに属しているショーン・レノン。その彼の演奏が開演時間を数分回った頃から始まった。キーボードはもちろんラブラブ本田ユカ。パーカッショニストとショーンを含めたバンドメンバーは計6人か。ショーンのギターはレスポールのゴールドトップのようなもので、アンプはマーシャルのスタック。 暖かい拍手に包まれながら曲が始まった。

しかし自分はショーン・レノンの曲はほとんど聴いたことがないので詳しいことは言えない。まあ覚えていることを書くと、まずショーンは1曲目のアウトロでオーヴァードライヴのかかった激しいギターソロを、まるで何かに取り憑かれたように弾きまくっていたってことがひとつ。そしてボトムはジーンズで、かなりラフな格好をしていたということ。さらにサポートギタリストのうまさが光っていたということ。「ここにこれて嬉しいよ。そしてうちらを選んでくれたビースティー・ボーイズに感謝します。」ってなことを言いながら、「ビースティーズが自分の音楽活動のスタートを促してくれました。」と言って黒人パーカッショニストとヒップホップ調の曲を披露したショーン。でもやっぱり本家本元にはかなわないかなあ・・・・。でも終始ニコニコの本田ユカがギターを運ぶのを手伝ったりして、それはそれでいいなあ(笑)。

「Into The Sunっていうアルバムを出してるんですけど、聴きました? 聴いてないなら、早く買いに行ってください。」ってなことを言うのを聞きながら、客もまばらながら暖かい拍手でブーイングなし。「これはHomeという曲です」なんて言って歌い出したのが唯一分かるタイトル。そしてそんなこんなで30分強ぐらいのステージを終了。「これにて第一部が終了しました」というトホホなアナウンスを聞きながら、ビースティーズのショーに向けてセットチェンジが行われる。そしてこれまたうざったい日本語と英語による諸注意が主催者側から促された後、ビースティーズと同じ衣装を着たスタッフがステージ上を走り回り、再び客電が落ちるまでおよそ30分・・・。 


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そしてやっぱりビースティー・ボーイズ

まずマニー・マークことマーク西田さんかなあ・・・・・と思ったが、最初に躍り出てきたのはミックス・マスター・マイクさん。モニタースクリーン上にあるDJ卓にいる彼は、極度に難しいに違いない技を次々と繰り出している。マニー・マークのライヴの時のように、これだけで30分とか時間を取るのかなあ、などと思いつつ眺めること1,2分。 ステージ左側から出てきましたビースティーズ!! 朱色っぽいつなぎに身を包んだ3人の男が走り回っています! そして1曲目はなんと「Sure Shot」!! 結構意表をついた選曲で、なんだか楽しい。

いきなり余談だが、この日の朝にビースティーズのチベタンフリーダムコンサートの映像を観て個人的に無茶苦茶盛り上がっていたので、「あのステージに立っていた人達が、今、この目の前のステージに立っている!!」というレベルでかなり感動していた・・・・・・・・・・というのがつまりちょっとした余談。

続いてこれが1曲目だとばかり思っていた「Super Disco Breakin'」で、客もこっちの方が盛り上がっている。「まにまにめいきん〜まにめいきん」ってところはとりあえず歌ってみる。やっぱり楽しい。アドロックことアダム・ホロヴィッツはちょっとおどけながら、「は〜い!! アリガットウ。 ゲンキ〜? でもちょっとこのブロック分けはごめんよぅー。」ってなことをいいながら、さらに嬉しい「Skills To Pay The Bill」!! いいんですかこんな選曲で。いやいいのだ。いい曲だ。

でもこんな嬉しい選曲の後あたりに、MCAことアダム・ヤウチがちょっと水を差すようなことを言う。それは、数あるブロックの中でも一番盛り上がっていたという1−L、すなわち最前列左側のブロックに歩み寄り、丁寧に指をさしながらのこのお言葉。 「お願いがあるんだけどさ。小さい女の子の上にダイヴして乗っかるのは危ないからやめてくれないか・・・・」。

いや確かに正論。だがしかしトーンダウンしたのは客の方じゃなくて、実はその後に思いっきり盛り下がったのはそれを言ったMCA本人。なにせヒップホップナンバーでは余った左手をズボンのポケットに突っ込んだまま出そうともしない。もちろんステージ上を動き回る、なんてこともしないし、前の方にさえ出てこようとしない。自分のボーカルのところになるととりあえず歌うがそれ以外はなんだか上の空状態。とにかくやる気のなさが見え見え。自分は彼の歌い手としては最悪の声が実は最高に好きだったりするので、MCAの精細のなさにはちょっとがっかりさせられた。

そしてそんなMCA(ヤウチ)がベースを手に取り、アドロック(ホロヴィッツ)の方がギターを手にし、ヘッドフォンをしたサポートメンバーがドラムセットに腰を下ろして始まったバンドセットでの演奏。 ビースティーズはこれがないとただのヒップホップグループになってしまうからねえ。そしてこれがなきゃ自分はこの場所に来ていないかもしれない。もちろんマニー・マークさんもステージ右側にさりげなく登場! 今夜の彼は黒のニット帽のようなものを被って、やっぱり服は朱色のつなぎ(・・・作業服と言った方がいいかも。)を来ている。だが全然違和感なし。いや、あなたにはそれが似合いすぎ。

ぐわーっときてまずは「Time For Living」。思いっきりハードコアであるが故にフロアーに活気が戻る。そして次は自分の大好きな「Believe Me」。始まった瞬間「やったー!」って感じであのテンポのいい枯れたギターリフにちょっと鳥肌が立つ。でもあっと言う間に終わってしまう(泣)。なにせ音がいいんだよね。「ここは本当に横浜アリーナなのか??」っていうぐらいの音圧と音像。すべてにおいてまったくクリアー。さすがにアリーナショーを重ねてきたグループだけはある。スタッフも有能なのに違いない。

MCAのウッドベースとマイクDがドラムとをフィーチャーしたインストナンバーが続き、ちょっと活気がなくなったオーディエンスに渇を入れたのが「Remote Control」。 でも曲を紹介してちょっとはご機嫌に見えるアドロックに較べて、MCAは相変わらずかったるそうだなあ。自分の心の中では、「ちゃんと仕事しろヤウチ!! じゃねえとチベタン観に行ってやんねえぞ!! いや今年のチベタンはちと怪しいぞ!」、などと叫んでいた。「The Move」とか「Flute Loop」でのミックス・マスター・マイクのDJプレーもかっこよかったのにな。

「うちらの手伝いをしてくれよな。俺が数をカウントすっからよう。」とアドロックが言って、「1,2,3,4・・・What's the time?」と叫べば、そりゃあ「It's time to get ill !!」と叫び返すしかない。マニー・マーク先生の美しいキーボードプレイが聴けた「Ricky's Theme」ではため息を付くばかりだったけど、「Some For The Man」ではちょっとダレてしまったかな。そのダレを察知したのか、アドロックが手を目の上にかざしながら、「むこうの君らは見えないよ。そっちのあんたらも見えないねえ。でもあんたらがいるっては感じるよ。そっちはどう? オッケー? ああそうかい〜。」といった具合に指を指しながら表情豊かに客の様子をうかがう。でもそんなに騒ぎにはならず、外人のでかい声が会場をこだまするのみ・・・。ハードコアな「Tough Guy」ではまた盛り上がりを取り戻したけど。

「Root Down」「Body Movin'」なんかは気持ちのいいライムもあってやっぱり踊ってしまう。「Three MCs and One DJ」では、「Mr. Mike, what you got to say〜♪」と歌うと、その質問通りミックス・マスター・マイクがかっちょいいプレイを聴かせる。でもそのマイク氏の下にあるモニタースクリーンの映りが反対、すなわち両アダムが左利きに映っちゃってるとこがつらかったなあ。あと、小さいライトがステージ上からフロアー側に移動して照らしてたりもしたのだけれども、そんなに効果的なものにも見えなかった。これも円形ステージだったらまた違って見えたのかもしれないけれど。

トーキングモジュレイターを通してのアドロックの声とマーク西田さんのコーラスとが重なり合う「Something's Got To Give」なんかを聴いた後、「Everybody OK?」なんてMCもあったりしていよいよ「So Wha'Cha Want?」へ。 もちろんサビは合唱してみる。そしてこの曲で本編は終わり。みんなとりあえず拍手してフロアーを踏み鳴らしてみる。

もちろん数分後にメンバーは戻ってくる。そして「いんたぎゃらくてぃっく、いんたぎゃらくてぃっく・・・・」というお馴染みのイントロに乗って、例のビデオクリップさながらのポーズを取ってみるビースティーズ。ちょっと笑える。でもついでだから衣装もあのクリップのような感じに変えて欲しかったなあ。スタンドにはそういうコスプレの人達がいたのに。 もっと笑かせて欲しかったぞビースティーズ!!(・・・・あ、でもステージの後ろの方に置いてあった植木をMCAがステージ前方に持ってきて、それをマイクDが元の場所に戻したのには笑った。) でもこの辺でまたダイヴ&モッシュが各方面で起きる。それはそれで怪我さえしなければ悪いことではないけど。

そしてまたバンドセットに戻り、「さよならを言わなくちゃだねえ、ごめんよー。ぐっない!」と言われちゃあこちらとしても、「ノー!!」と言うしかないだろう。でもオーディエンスから「さぼたーじゅ!!」という声がガンガン挙がれば、やっぱりやるしかないだろう「Sabotage」。 MCAのギンギンに歪んだベースラインを聴いただけでダイヴにモッシュだ! マニー・マーク・西田さんもピョンピョン飛び跳ねて気持ちよさそう! もちろんミドルのブレイク後にもみんなで「うわーーーーーーーー!!!!」と叫んでみる。やっぱりここがハイライト。そしてやっぱりみんなが待ち望んでいたんだと分かったのが「Sabotage」。




メンバーが去った後あっと言う間に客電が上がってしまい、さらなるアンコールの期待は簡単に打ちひしがれてしまった。あまりの思い出深さゆえ、「Fight For Your Right」を聴いたら涙が出る〜!! という私の願いはたやすく却下されてしまったのだが、どうやらこの曲はもうやらないらしいということで反省して納得する。 しかし1時間半強の時間内に25曲以上もプレイしたビースティー・ボーイズは、確かにテレビでの映像同様にかっこよかった。 でもかっこいいんだけど返す返すもMCA!!アダム・ヤウチ!!! やっぱり彼の今日のステージングにだけは納得いかないよー。そういえばマイクDもなんだか普通だった。しかしビースティー・ボーイズは普通じゃいけないような気がするなあ。狭い檻の中に閉じこめられたのは自分たちだけじゃなくて、ビースティーズもそうだったのかもしれないな。いや、そう思わないとちょっと納得いかないぞ! 返す返すもアダム・ヤウチ!! 客に無理言う前に、やっぱ招致側に無理言って円形ステージ持って来いって!! 世界を変える前にまだやることはあるぞ!

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Last updated: 2/ 9/ 99