■ 恵比寿ガーデンホール - 4/25/98
ライヴ当日の早朝、「ブライダル・センター」なるところからの電話で叩き起こされる。「・・・さんは26歳の独身でらっしゃいますよね。以前お電話差し上げたのですが、決して怪しいセールス等ではございませんのでお話を・・・」。まったくもって唐突に言われてしまって、ブルーにこんがらがった頭で考えるも、よく分からないので何度も聞き返す。しかしやがて次第に状況が飲み込めてくると、例の卑語シリーズにあったF**kな言葉でもぶちかましたろか、とも思ったが、そこは小心者の私だ。「だ、大体どのようなものかお察ししますので・・・け、結構です・・・・」「(間髪入れず)あ、そうですか。失礼しました!! (ブチッ!)」......。こっちがぶちかますどころか、逆にぶちかまされてしまった。もう朝から気分は最悪。胸くそ悪くて全身ブルートーン。そんでもって朝からこってりしたうどんを2杯も食べてしまったものだからなお最悪。
暑さを予想し、Tシャツ姿で東京行きの新幹線に飛び乗る。しかし車内は冷房が効きまくっていて私は完全に病気寸前。よく考えてみればまだ4月なのである。3週間前までは地元じゃ雪が降っていたのだ。ぶるぶる震えながらブルートーンズのCDを聞き、せっせとライヴの予習に励んで気を紛らせる。しかしそれも徒労だったようで、なんだか頭も痛い。
手持ちのCDウォークマンがセカンドアルバムの半ばにさしかかった頃、目的地であるJR恵比寿駅に到着。地元のあばあさんが近所の人と会話をしているのが聞こえる。「今日は暑いね〜」「暑いと言うより蒸すね今日は」。そう、今日の東京は折からの季節はずれの暑さと、雨模様の天気によってかなり蒸し暑いのだ。寒さからようやく解放されたと思ったら、今度はねっとりとした水分が身体にまとわりつく。気分は当然すぐれぬまま。エルニーニョのばかやろう。もう倒れそうだ。
しばししてライヴ会場の恵比寿ガーデンホールに到着。開演時間の5時の鐘の鳴る音を聞きながら会場入りする。私の位置はオールスタンディング席の後方、Bブロック。時間が時間だから当然その中でもさらに後方にしか陣取れない。がっかりする。なおかつ場内は熱気でもはや飽和水蒸点寸前の蒸し暑さ。私もかなり急いで入場したから、内と外との熱気に挟み撃ちされお手上げ状態。でも手を挙げたって誰も助けに来てくれやしまいと思い、いい加減あきらめる。
一見してまじめなかりあげくんオーディエンス達を目の前にして、プロディジーがかかっていてちょっと気が紛れたかなと思っていたら場内暗転。ブルートーンズのセカンドアルバムの1曲目、「Tone Blooze」がスピーカーから流れ始めた。しかしメンバーはまだステージ上には出てこない。曲が佳境に入ったところでドラムのエズがぼこぼこ太鼓を叩き始めた。ギターのアダムはサンバーストのテレキャスターを持って登場。モーリス弟はセミアコだかフルアコだかわからないが、そんな感じのベースを抱えてステージ左側に陣取る。そしてボーカルのモーリス兄がマイクをぐわしと握りしめた。さあ、「Unpainted Arizona」のスタートだ。もう暑いだの寒いだの気分悪いだの言ってられないぞ。
音はラウドじゃないけど、楽器の分離がはっきり聞こえてまずまずクリアー。気分やや回復。特にモーリス兄、マークのボーカルがレコードよりも格段に力強くてシャープだ。いいねいいね。ますます気分がいいよ。
2曲目は「Solomon Bites The Worm」。もうレコードを聴いて予想していたとおり、アダムのギターはレスポールのゴールドトップ!!! (正確に言うとゴールドトップっぽいセミアコか。この辺は周囲でも意見が分かれた。)バキバキしていながらネバネバしたしつっこいギターだ。キース・リチャーズタイプのテレキャスも持ってたもんね。サポートのキーボードもなかなかファンキーじゃないかあ。いいねいいね。さらに気分はいいよ。
......そんなこんなで今日一日の気分の悪さが一掃されていく。まあ目の前にいた兄ちゃんがガム噛みながら退屈そうにしていたのが、唯一胸くそ悪かったが、それもこの際ブルートーンズに免じて許そう。他のお客さんはまずまずの盛り上がりだったし(でも曲間の静けさは何だったのだ。まあ自分もその一人だけれど。)。まあ何と言っても自分が盛り上がってたのが一番だ。
ライヴ全体の流れとしては、緩いの早いのを絡ませながらマーク兄さんの一言コメントに引き続き曲に入っていくというパターンで終始一貫していた。レコードの再現性に重きを置かれていたような印象は拭えないが、それも徹頭徹尾やってもらうとなかなか気持ちのいいものである。ステージングも派手さはないものの、マークは一箇所にじっとしていることはまれで、常にオーディエンスとコミュニケーションを取ろうと必死だったように見えた。その中でも特に私の目を引いたのは、ステージ後方からメンバーにライトが当てられた時だ。そのとき(もちろん意図的ではないが)マークのシルエットが会場の白い側壁に映し出され、それがやたらとリアルに見えてしまったのである。どうしてだかわからないが、その瞬間が私のまぶたの奥に焼き付いてしまっている。不思議だ。
結局1時間ちょっとのギグは6時30分に終了。こんなに早い時間にコンサート会場を離れるのは生まれて初めてだ。外はまだ夕闇に包まれ始めたばかりである。しかし気分は晴れやかで、1時間半前の胸くその悪さはどこへ行ってしまったのだろうか......とまあありがちなオチではあるが、一応下がこの日のセットリストである。しかし後半はまるで自信がない。曲が抜けていたり、順番が異なっていたりするかもしれないので、あらかじめご容赦を。
- Tone Blooze
- Unpainted Arizona
- Solomon Bites The Worm
- Bluetonic
- Carnt Be Trusted
- Simple Things
- 4-Day Weekend
- Sleazy Bed Track
- The Jub Jub Bird
|
- Cut Some Rug
- UTA
- Ames
- Slight Return
- Time & Again
- Putting Out Fire
- Down At The Reservoir
- If
|
| Back | Home |
Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 4/ 26/ 98
|