■ Bronco Bowl, Dallas, TX - 10/ 1/97
with Reel Big Fish + Smash Mouth + MXPX
6時半開場。どうも早い店開きだと思ったら、なんとBlur含めて4つもバンドが出る予定だったのである。それも今ラジオのオンエア率が非常に高いカリフォルニアのバンド、 Reel Big Fishもラインナップされている。多分テキサスだけじゃないだろうか、この両バンドが同じ舞台に立つのは。お互いそれまで別々にツアーしてたわけだから。
しかしこの日の私の体調、気分とも最悪。学期が始まると週の間はなにせ時間が取れない。でもBlurだ。行かねばならぬ。
Reel Big Fishの今の人気を考えると、ひょっとしてBlurがその前に出ちゃうなんてこともありえる。よってあんまり遅い時間に着くのは危険だと思い、眠い目こすりながら7:30頃に会場に到着。場所は先週見たフーファイと同じ、ダラス郊外のBronco Bowl。椅子席と立ち見アリーナ付きの小さな会場だ。
駐車場に車を停めて外に出ると、もう場内からバンドの音が聞こえてきていた。やばいBlurか!? と勘ぐってしまった。けれども、最初のバンドMXPXだと確認して、ほっと溜め息。カリフォルニア出身のこの3人組トリオ、いやまたGreen Dayか、と思ったのだけれど、結構いい音だしている。まあ、メロコア、パンク系の音には違いないんだけれど、ステージ中を飛び回っている割りには、丹念なギターと、音数の多いベースだ。パワーコードかき鳴らし、ベースはルートをベケベケ年中弾いているってのとは違って、両者がしっかりしたリフを絡ませあいながら、なかなかのオリジナリティーをもっている。俺こういうバンドには弱い。客の乗りもよかったし、君らには丸々合格点を与えよう。
しかし憔悴しきっていた私は、まだアリーナに下りることが出来ない。誰もいない3階席でBlurに備え体力温存。しっかし子供が多いなあといった印象。どうみても客の90%以上は高校生以下である。意外にもむさ苦しい男子の方が多い。未成年が多いとあって、今日はホール内ではビールすら売っていない。
そんな様子をボーっと眺めていると、カリフォルニア出身のSmashboxの演奏が始まる(注:後にこのバンドはSmash Mouthだと判明)。そして終わる。同じカリフォルニア出身のReel Big Fish出て来る。終わる。あまり印象がよくなかったので省略。ただReel Big Fishの「Take On Me」(a-haの)は懐かしかった。あとファッションがTシャツ+短パン+白ソックス+ぺったらスニーカーで、見ててつらかった。
さあ、残るはお待ちかねBlurである。その前のReel Big Fishのステージが、爆発的に盛り上がっていた反動なのか、Blurのセッティングの頃には、立ち見のアリーナにやたら空間が目立つようになった。重い腰をあげて、ようやくそのアリーナに下りる私。若い子のモッシュに対抗する力はどうにもないような感じなので、ちょうどギターのGrahamを左目の端に、そしてベースのAlexを右目の端に置くような位置に陣取る。幸い、成長期前の子が大半のようで、ステージは非常に見やすい。ダレまくっていた体にちょっと気合いを入れる。
まずGraham登場。ブラウンのストライプのTシャツにテレキャスターを持っている彼。Alexはくわえ煙草でのっそり現れる。ドラムのDaveは.....普通。最後にヴォーカルのDamonがアコギを持って登場。結構な歓声だ。男が野太い声で「でぃもーん」と叫ぶのも聞こえる。Damonはボソっとまずこんな事を言う。「テキサスにちょっとしたエンターテイメントがやってきたぜ」。
Grahamが十分に間合いを取ってカッティングを始めた。予想通り「Beetlebum」でのスタートだ。曲が曲なので、いきなり大盛り上がり大会にはならない。頭をぼりぼり掻くGraham。ペットボトルの水を客席に向けてぶちまけるDamon。私も見事にかぶってしまった。そして空のペットボトルをマイクと間違えるDamon。わざとらしい演出だ。そして「M.O.R.」。前の上半身裸の男子が暴れ始めてちと恐ろしい。しかし人にぶつかると「すんません」と言いながらペコペコしている様が笑えた。
でもなんかいまいちだな、今日のBlurは(といっても今日観るのが始めてなんだけど)。そう思わせた一番の理由が客のノリが曲の最後まで続かないこと。イントロでは待ってましたとばかりに、タテノリ始めるアリーナの客なのだけれども、それが持続しない。多分その理由はまず、Damonの声があんまり聞こえないということ。加えてその前に出たカリフォルニアのバンド達に比べて、そんなにアグレッシブにステージを動きまわるという感じでもないということ。Damonの視線も焦点が定まらず遠くをいつも見つめている感じ。横にいるGrahamも口をへの字に曲げて、ギターアンプの前にじっとして動かない。結局1回も飛んでくれなかったな。
そんな感じだから、客の方も、特に2階、3階席の客はじっと座ったまんま。そんな中で少し意外だったのが「Parklife」からの曲の受けが非常に良かったということ。「Girls & Boys」や「Parklife」なんかみんなで大合唱。一方最新アルバム「Blur」の中で、みんな爆発していた曲が唯一「Song2」で、「うーふー」「うーふー」言いながらみんなピョンピョンとフロアを飛び跳ねる。
その「Song2」を最後にさっさとステージを下りていくBlurのメンバー達。こうなりゃアンコールだけは何とか頑張って前で見ようと、Damonのすぐ前に場所を確保する私。
しかし待てども待てども一向にメンバーはステージに戻ってこない。クルーが機材の 撤収を開始する。おいおい、まだ1時間しかやってねえぞお、はよ出てこんかい、と思っていたのは私だけではなかったようで、Blurコールが鳴り止まない。しかし、場内に明かりがつき、クルーの1人が、今日はもう終わり、とゼスチャーする。信じられず呆然とすること10分間、やっとみんなあきらめて帰り支度を始めた。み、短すぎる....。
外でもまだみんな「うーふー」「うーふー」叫んでいる。アンコールなしの約10曲ちょっとのセットに、ちょっと欲求不満状態。本当に「エンターテイメントはちょっとだけ」のBlurダラス公演だった。
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 10/ 4/ 97
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