The Charlatans |
タンバリンはどこだ? |
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■ Trees, Dallas, TX - 10/ 7/97
with The Dandy Warhols
久々にDeep Ellumエリアでのライヴだ。なんかテキサス出身のミュージシャン達っていうページ作ったばっかりなもので、「おおここがあのテキサス・ブルースが生まれたところだあ」などと改めて感動したりしてしまった。しかし今ではすっかりロック系のライヴハウスがひしめきあうエリアと化してしまっている。でもそれはそれでいいことじゃないか、Charlatansが観れるんだもの。
今回の会場はTreesという小さいハコで、個人的に初めて足を踏み入れるところでもある。まず場内を見て驚いたこと。それはTreesという名前どおり、本物の木の幹がフロア内に何本も立っていること。それもステージのど真ん中にまで一本あって、大木の幹が天井にまで伸びている。ところがその木が邪魔などころか、それこそこのライヴハウス独特の雰囲気を作っている。それを見て、なかなかセンスがいいじゃないか、なんて思ったりもしてしまった。思えばCharlatansのヴォーカルのTimは、それをニコニコしながらペケペケ叩いていたっけ。
まずそのCharlatansのステージの模様を伝える前に、彼らの前座として出てきたオレゴン州ポートランド出身のThe Dandy Worholsというバンドの様子をお伝えしよう。
簡単に言ってしまえば、すげえーーーーーーいいバンドだった。同じリフを延々と繰り返すタイプの曲が多いのだけれど、メロディーが独特で、はっきりそれと分かるオリジナリティーを持っている。いい意味で今のアメリカらしくないバンドだ。ベース兼キーボードの女の子(Zia)も太めだけれどキュッキュ腰を振る姿がかわいい。胸も揺れるし、彼女のベースもこっちの腰を揺らすいいグルーヴを出していて気持ちよかった。
そして何といっても私が気に入ってしまったのが、ギターのPeter。ほとんどギター・カッティングばかりだのだけれど、ギブソンのSGを持つ姿がえらく決まっていて、ものすごくかっこいい。くわえ煙草もまったくいやらしさを感じさせない。まさにロック・ギタリスト、っていうのを絵に描いたような風貌で、なおかつ下から掻き上げるようなカッティングをしたときなんぞは、思わずこっちもゾワッとのけぞってしまうほど猛烈にかっこよかった。アメリカにもまだこういう存在感のあるギタリストがいたんだなあ、と非常に嬉しくなってしまった。10曲ぐらいのライヴだったけれども、全体的にもものすごく楽しめたし、これ観ただけでももう元取ったような、そんな気持ちにまでさせてくれた。
なあんて、これだけで満足していてはいけないのである。Charlatans様御一行のライヴは、いくらDandy Warholsがいいバンドだといっても、まだまだそんなものではないということは大体予測がついていたからだ。まずセットリストの方だが、そんなに鮮明には覚えていないのだけれど以下の通りでほぼ間違いないと思う。
- With No Shoes
- North Country Boy
- Toothache
- Here Comes a Soul Saver
- Just When You're Thinking
Things Over
- Just Lookin'
- One To Another
- Thank You
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- You're a Big Girl Now
- Weirdo
- Tellin' Stories
- Crashin' In
- Can't Get Out Of Bed
- How High
- Sprosten Green
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おそらく内容は約1ヶ月前の日本公演とそんなに変わりはないと思う。約1時間半弱のショーで、このときは終了が午前1時ちょっと前。私はステージのど真ん中から5列目ぐらいのところで踊り狂わせていただいたお陰で、サウナの後のようなそう快な気分にさせてもらった。こんなに気持ちのいいライヴは久しぶりのことだ。
まずヴォーカルのTim。申し訳ないけれども彼がステージに出てきた瞬間、「おやじ」って思ってしまった。アゴの辺りが少しあれかなあ、っていう感じ。そしてまずこの日チェックせねばならなかったことは、日本公演で誇らしげに見せていたという刺青。しかし結局それを見ることは出来なかった。一体どこに刺青を入れたのだろう。
そしてヴォーカリストとしてのTimはどうだったかといえば、残念ながらいまいち声の方はよく聞き取れなかったのだけれども、朗々と一曲一曲を歌い上げる姿が非常に印象的であった。そして時々見せる少年のような笑顔も微笑ましかったし、前の客とこまめに握手なんかしたりして、Timって結構いい人だなあ、なんても思ったりしたことも。握手してもらった人は、喜び勇んでフロア内駆け巡った上に、友達と抱き合っていたぞ。あと笑ったのがラストのSprosten Greenに入る前に、Timがタンバリン探しまくっていて、楽屋に戻ったり、ステージあちこち歩きまわったりした挙げ句、客に見つけてもらって赤っ恥掻いたってこと。この人、本当に人間味がありふれすぎ(笑)。
次にバンドの方だけれども、これはマジで素晴らしかった。想像以上にずっとプロフェッショナルな演奏だ。まずギターのMarkは、ギブソンのギターを操ってレコード以上にパワフルかつクリアーな音を出す。こぶしがきれいでうらやましい限りだ。多分ソロ弾かしたらすげえフレーズ繰り出すよ、きっとこの人。でもそれをやらないところが奥ゆかしくて好きだ。バンドのアンサンブルを最優先にしているような感じで非常に好感が持てる。ついでにYou're a Big Girl Nowのアコギではオープンチューニングを使っていてたりして、なかなかやるなといった印象ももった。
そして大健闘だったのが、キーボードの助っ人君。一番熱心にプレーしていて、文句なく花マル。ベースのMartinはキメのフレーズのところで、ドシっと重量感ある音を体から発散させている感じで、グルーヴの源たる役目を十分すぎるほど果たしてくれた。
オーディエンスの方も気持ちのいいグルーヴに身を任せているといった感じで、本当に楽しんでいる様子だ。モッシュやダイヴはおこらないけれども、みんなニコニコしてステージ上のメンバーと至福の時を共有しているといった感じ。服装もクールな人が多いし、Tシャツにショートパンツなんていう、いかにも典型的なアメリカ人なんていうカッコの人は1人も見かけなかった。でもアンコール前の拍手と歓声が少なくて、まさかアンコールなしで終わっちゃうんじゃないかとヒヤヒヤしたけれども......。
それはともかく、田舎テキサスにもしっかりとCharlatansファンはいるんだ、ってことを改めて確認してちょっと嬉しくなった。それもちゃんと彼らのライヴと音楽の楽しみ方を知ってる人達がたくさんいる。こういう人がいる限りまたCharlatansはまたテキサスに来てくれると思う。でもTimよ、次に来る時はタンバリンの置き場所ぐらいちゃんと覚えておこう。
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 10/ 7/ 97
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