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MTV Tokyo Cool Camp | 西の関脇と東の横綱の一番 |
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■ 東京有明レインボーステージ - 9/6/98
featuring thee michelle gun elephant + The Charlatans + Jaguar + Supercar
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Cool Camp at a glance |
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初めて乗る「ゆりかもめ」。そこから視界に入ってきたのは、今回使われる野外会場、有明レインボーステージであった。まあフジロックの会場ほどの大きさじゃないだろうなあ、という予想はあったが、「それにしてもなんか小さくない???」というのがゆりかもめに揺られながら見た初めての印象。しかし都市の吸引力というものに押され、あっという間に会場内に吸い込まれていく自分。空はどんより曇り空だし、なんかすっきりしないねえ。
会場内は細かくブロック分けされており、私の位置はステージ向かって右側のA3ブロック。全部でDブロックまであるようで、その中ではかなりいいポジションなようだ。実際、最前列で観るのもそう難しくはなさそう。でもまあ4時開演ということなので、とりあえずのんびりアスファルトの地面に腰を下ろす。
左右正面には巨大モニターが備え付けられてあり、そこではビデオクリップなどがひっきりなしに流されている。さすがMTV主催のイベントだなあという感じではあるが、協賛のある自動車会社のCMも頻繁に流され、ちょっと商業っぽさもちらほらと。テレビカメラも数台せわしなくその撮影の準備に追われている。
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Supercar |
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その開演予定時間を15分ほど回った頃、のそのそっとスーパーカーの4人のメンバーがステージ上に現れた。何の気なしに歓声が上がる。「こんにちは、スーパーカーで〜す」と言ったのは、個人的にお気に入りのミキちゃん。と彼女の姿をボーっと眺めていたら、カメラマンが頭上をなめ回すように接近、通過して行き、一瞬かなりビビる。しかし青色のベースが似合ってるねえキミはあ、いやミキはあ。
しかしスーパーカーに関してはシングル数曲ぐらいしか知らないので、なんとも言えないところなのだけれど、「Planet」「Am I Confusing You?」など10曲弱の演奏はまあ良くもなく悪くもなくという感じ。音は、オリンピックプールの最高に音が悪いときか、ひょっとしてドーム並の低クオリティ+大音量で、正直ガッカリしてしまったが、それはまああの彼らの30Wクラスのコンボアンプのせいなのだろうなあ、とも思ったりもした。しかし彼らの方は4人ともヘッドフォンで常にモニターチェックをしていたようだが。
ドラムのコウダイは、「今日は平日でしたっけ? あ、そうなんだ。いやあみなさんよく集まりましたね!」などと凄まじいボケをカマしてくれたまでは良かったが、その後、どうも個人的に気になったのがこの一言。「11月にワンマンでやりますんでみなさんよろしく〜」。俺が嫌いなのは、盛り上がっていないライヴの最中に次のライヴの告知をすること。それってすごい失礼じゃない? アマチュアならともかくキミらプロなんだから。それに今どんな状況で演奏してるか分かってる? 1万人近い人が観に来てるんだよ。それもこんな早い時間から来ているということは、みんなあんたらのステージを観にわざわざ時間を割いてきたんだよ。それなのに次のライヴの宣伝をしちゃうっていう神経を疑ってしまう。これをアマチュアっぽくて良い!と、全面的に支持する人と、自分みたいに、プロじゃない!と糾弾する人とに分かれるだろうけど、とにかくこんな大舞台で、それも前座扱いなんかじゃなくて、日英のトップバンドの共演、という設定なのにも関わらず、そんなことを言ってしまうところにすごい引っかかりを覚えた。例えば少年ナイフのライヴのMCのように、完全に作りこまれたプロフェッショナルなしゃべりの中にそのような言葉が入るのは理解できるが、まるで今日が何曜日なのか分からず、とても準備してきたとは思えないMCの中でそういう言葉を堂々と口にしてしまうところには、ほんとに首を傾げざるを得ない。そんなことよりも、この1万人の客を今モノにしてやる!というような、演奏は多少荒くなってもいいから、ガッツ溢れるプレーを展開して欲しかった。ギターをほっぽり投げて、フィードバックさせて帰るなんぞは、まだ10年は早いんじゃないかな君たちには。「ありがとうございました!」の一言もないなんて、やっぱこの場では失礼だと思うんだけど。
どうも語気が荒っぽくなってしまったけれども、つまりこれが今のスーパーカーの状態だということなのだろう。年寄り臭い言い方だけど、若いくせに変なところでまとまりすぎて、なおかつ変なところですごくアマチュア。こんなならば、フジロックでトップバッターを務めたミジェットのように、「僕ら、すごい緊張してます!!」と告白してくれた方がまだましだった。
そうは言ってもやっぱ個人的にこのバンドは、特にミキちゃんのヴォーカルにすごく期待しているので、これからも頑張って欲しい。やっぱ今のところは小さいクラブクラスのヴェニューで観るのが正解なのかもしれないな。
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Jaguar |
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その最初のスーパーカーもやばかったが、もっとやばかったのがこのジャグアー。とにかく客の反応がさむいさむい!! このバンドもクアトロクラスがまだ精一杯といった感じで、やっぱ正直大丈夫かなあ、などとも思ったりもしてたのだが、蓋を開けてみたらやっぱりその危惧はズバリ的中してしまった。5月の壮絶とも言える渋谷クラブクアトロでのライヴから3ヶ月余り。まさかバンドとしても、俺達は日本ではすごい人気があるんだ!!と勘違いしていたわけではなかろうが、とにかくやることなすことすべてから回り。イギリスのプレスからも見放され、なおかつ期待していたここ日本でも、あのような痛々しいとも言える客の反応を目の当たりにして、とてつもなく落胆したのは私よりもむしろ、ジャグアー、彼ら自身であっただろう。
とにかくビックリするほどの早いセットチェンジの後で、ステージ上に姿をあらわしたジャグアーのメンバー。マーシャルのギターアンプ、そして緑色のドラムセットといった機材に至っては前回のライヴと同じ。しかし違っていたのはボーカルとギター担当のマルコム、その人であった。なにせ全体的に痩せたような印象で、すごく締まって見えるのだ。黒のポロシャツに、ワンウォッシュのジーンズを身につけたその姿は一瞬、「ジョン・ボン・ジョヴィか?!」と勘違いさせられるほどでもあったが、なにせ黒のギブソン・レスポール・スタンダードもますます似合うようになり、出だしは極めて好印象。
しかし一曲目の「Coming Alive」が始まり、一応人気の高い「Up And Down」をやり終え、「コンニチハ、トウキヨー!!」と言った辺りですでに雲行きが怪しかった。なにせ客からの反応が何もない。半分ぐらいは地面にへたれ込み、歌うどころか、踊る人間ですらほんの少数。いや、少なくとも自分の周りでは一人もいなかった。
でも演奏内容はその前のスーパーカーとは比較にならないほどグルーヴィー。特にドラムのキレとテクニックが全然違う。そうなるといい加減しびれを切らせてしまった私は、途中で最前付近まで駆け出して行った。そうすると今度はマルコムの苦悩の表情が手に取るように分かってしまったのだ。「How are you?」と聞いても反応なし。ギターに自らカポをして弾きだした「But Tomorrow」が終わった頃などにはもはや完全にステージ上で孤立状態。それでもなお必死に「How's everybody doing? Sorry, my Japanese is terrible.(みんな調子はどう? ごめんよ、僕の日本語はひどいもんだからさ。)」などと両手を挙げ肩をすくめるようなポーズを取るも、それでも何ら反応なし。「アリガトウ」と「コンニチハ」の使い方を間違えても笑う者なし。「Everybody's very quiet today. You're not talking very much. Come on!!! (みんな今日はすごい静かだね。あんまりしゃべらないし。どうしたんだよう!!)」と言われるとなおさら静まる会場。
その後マルコムのワウをかけたギターで始まった「Sweet Soul Music」では、客もバンドも少し勢いが出てきたかなあ、とも思ったりしたが、そこで場の雰囲気を盛り下げるかのようにマルコムのアコギでの弾き語りナンバーの「Together」では、もはやその沈静さは極まってしまった感じであった。とにかくマルコムが客に「カモ〜ン!!」とやけくそとも思える叫びを投げかけたかと思えば、四文字単語を入れて早口で皮肉とも文句ともつかないフレーズをまくし立てる。「おっと、ゆっくり話さなくちゃ。」と持ち直したかと思えば、「僕らのアルバム、Visionはみんな持ってる?」という質問に挙手した者はほんのわずか。ここでも「カモ〜ン!!」と叫ぶマルコム。まさに泥沼である。そして「話してるより、もっと曲をやった方がいいね。」と言ってしまう始末。
それでもステージ上を動き回り、時に空中に蹴りを入れるようなポーズを取ったり、ステージ前方に出てきて吠えるような素振りをしたり、カメラを取り出して「Say cheese!!」などと言って客席の模様を写真におさめたりと、それなりの努力はなされた。実際「Now we got to go. This is the last song. We'll see all of you very soon.(もう行かなくちゃなんだ。これが最後の曲。またみんなに近いうちに会えるよ。)」と言って始まった最後の「Mantra」は、それまでのうっぷんを晴らすが如く素晴らしかったし、客のノリも一番良かった。
でもステージを降りるときにマルコムが怒りを込めてスタンドに投げ込もうとしたギターピックは、無情にも客席に到達する前にひらひらと地面に落ちてしまった。思わず客席から失笑の声が漏れ聞こえる中で、そのまま憮然とした表情でステージを降りてしまったマルコム。これが今日のジャグアーのすべてを表していた出来事だったように思う。
そのライヴ直後にモニタースクリーンで流れた、ベックの「Devil's Haircut」、そしてグリーン・デイの「Hitchin' A Ride」のビデオクリップの方が、客ははるかに盛り上がっていた。
- Coming Alive
- Up And Down
- But Tomorrow
- I Quit
- Sweet Soul Music
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- Together
- Nothing
- A Vision
- Mantra
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thee michelle gun elephant |
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もう間違いなく今日の事実上のトリは彼らだった。それは最初から誰もが分かっていた。もう会場が混乱状態になっちゃうんじゃないかとすら思っていた。でもそうはならなかった。ジャグアーを観ていた所とほぼ同じ場所で彼らのステージを観、踊り、楽しむことが出来た。まあそうは言ってもミッシェル目当ての邦楽ファンというのは大勢いた。しかしそれでも、前方に強烈な圧力でもって詰めよせ、モッシュで身動きがとれない、ということは全くなかった。フジロックでのあの狂乱ぶりを目の当たりにしている我々にとって、それはほんと意外とも言えることで、皆が皆、あの狭いブロック、ブロックの中で理路整然とミッシェルのロックンロールに身を委ねている姿は、やや異様な光景ですらあった。
やっと暗くなったレインボーステージに、ブラックスーツに身を包んだ4人の男達が現れた。ギターのアベはいきなりガッツポーズである。ベースのウエノもなんか言葉にならない言葉を叫んでいる。そんな訳の分からない状態でいきなり「G.W.D」である。盛り上がらないはずがない。なんかのタガが外れたかのように踊りまくる、騒ぎまくる。でもそれ以上に音が「がなる、割れる、駄目だ、聞こえない」。なおかつステージ上はピンライトがほとんど当たらないため無茶苦茶暗い。自分はかなりステージから近いところにいたのでそれでも何も問題がなかったが、Bブロックより後方の客にはほとんどメンバーの姿は見えていなかったことであろう。そして肝心の左右のモニタースクリーンだが(・・・ってほとんど見てなかったけど。)、何かライヴ映像のその上に、わざわざ特殊加工をその場で施しているようで、恐らくこれも色々意見が分かれるだろうけど、自分の目にはただ単に邪魔なようにしか見えなかった。もし自分が後方の席で、かつあのモニターを頼りにしなければならないような状況であったなら、とてつもないフラストレーションで、途中で帰ってしまっていたかもしれない。それほどあのモニター画面には苛立ちを覚えた。後方でご覧になっていた方々はいかが思っていただろうか?
それはともかくとして、その「G.W.D」、そして「ジャブ」と、まるでメドレーのように立て続けに4曲。その締めが「バードメン」だ。まるでフジロックを思い出してしまう。ギターのアベはあのときと同じように、自分のソロのところでまたガッツポーズ。よくよく見ると、アンプはフェンダーの50W程度のコンボのようで、う〜ん、やっぱりまだまだいい意味でクラブバンド!! それもそこから渦巻き状のカールコードでテレキャスターにダイレクトでプラグイン!! う〜ん、古き良きロックンロール。でもかっこいいんだこれが。
「こんばんわ〜、ミッシェル・ガン・エレファントです・・・・・・うん、みんな遠いとこよく来た!!」とボーカルのチバ。「あのう、そんなに雨もふらないし、あのう、ええと・・・・、晴れて暑くもなんなくて・・・・、とにかくよがったまあ今日はよー。」とさらにボーカルのチバ。その横で演奏中に何度も何度もマイクスタンドを倒していたのがベースのウエノだ。彼らは3曲目辺りでそのブラックスーツを脱ぎ捨てたが、その下に着ていたのがさらに長袖のブラックシャツ。恐れ入った。ウエノとアベはさっさとネクタイをはずしていたけれど。
「ゲット・アップ・ルーシー」もやり、「Out Blues」も凄まじく盛り上がり、そしてチバのぴよぴよなブルースハープで幕を落とした「ハイ!チャイナ」!!。個人的にミッシェルの中でももっとも好きなこの曲。その中でもとりわけ好きなベースのソロ。しかし今日はアベのギターのせいで肝心のベースソロ前半部分が聞こえなかった。どうでもいいことかもしれないけどすごい残念(笑)。
そこからは最後まで怒濤のラストスパート。「カルチャー」に「キャンディ・ハウス」に「Cisco」。そしてラストはまるどアルバムを聴いているかのような「アイブ・ネバー・ビーン・ユー」。チバのピック投げもビシっと決まった!
音質の方も後半はほんのちょっと盛り返し、どうにかこうにか体裁は整った。でもそんなことは全然気にならないほどの、全13曲の圧倒的なステージング。いつまでも耳鳴りが止むことはなかった。
- G.W.D
- JAB
- Free Devil Jam
- The Birdmen
- Give The Gallon
- Get Up Lucy
- Out Blues
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- Satanic Boom Boom Head
- Hi! China!
- Culture
- Candy House
- Cisco
- I've Never Been You
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The Charlatans |
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ジャグアーじゃないけど、正直シャーラタンズもやばいと思っていた。何せ去年来日したばっかりだし、新しいオリジナルアルバム出したわけじゃないし、何はともあれまだホールクラスの会場ですら満員に出来るかどうか怪しい人達である。それが今をときめくミッシェル・ガン・エレファントを差し置いてのこのイヴェントのトリだもんな。やっぱそれはやばいって。みんな始まる前に帰っちゃうって。そしてやる気なくして、シャーラタンズも帰っちゃうって!
しかし確かにミッシェルのステージが終わって家路についた人は結構いたけれども、でもそんな心配はどうやら杞憂に終わったようにも思う。「まあここまで来たら最後まで観てやるか」的な人もいなかったとは言えないけれど、それでも大部分の人をステージ上の演奏に釘づけにさせ、さらに多くの人を踊らせてしまったことはこれまた驚きと同時に、喜びに値する出来事であった。
ジェーンズ・アディクション、グー・グー・ドールズ、そしてミジェットのクリップが終わり、やや休憩タイムといった時が流れる。セットチェンジも前2バンドの時に較べて時間がかかっているようだ。ドラム、ギターなどのモニターチェックも通常通りに行われている。モニタースクリーンの「Coming Up Soon - The Charlatans」の文字をボーっと眺めながら、アスファルトの上にあぐらをかいていた。
やがて場内暗転。ちらほらと小雨がぱらつく暗いステージに、さらに暗い黒のポロシャツとパンツを着こなし、タバコを右手の指に挟んだボーカルのティムの姿が見えた。そして4台のVOXアンプを背にして立つギターのマークの姿ももちろんそこにはある。今回はかつてのギブソン・レスポール・ゴールドトップではなく、同じくギブソンのカスタムかなんかを手に持っているようだ。そしてかつてはロブが座っていたハモンドオルガンとキーボードが私の正面に備え付けられており、現在は彼の死後、サポートキーボーディストとして活躍してきたトニーがその大役を仰せつかっている。ベースのマーティンは緑のパーカーを着込んでいるが、ちょっと暑苦しく見えないこともない。
曲の方はいきなりアルバム「Tellin' Stories」から3連発。「With No Shoes」「North Country Boy」、そしてタイトルトラック「Tellin' Stories」だ。お気付きとは思うが、まんまアルバムの1曲目から3曲目までである。でもティムのボーカルが思いの外しっかりしており、個人的なイメージではあるが、時にボブ・ディランのような表情や声をのぞかせることもあった。
「This is called Toothache.」と紹介して始まった「Toothache」。そして恐らく新曲であろうか、これも曲紹介をしてからのスタートとなった「House Is Not A Home」。まあ、ミッシェルの時のように無茶苦茶暴れまくるといった感じではないけれども、まあ楽しむ人は楽しみ、踊る人は踊り、観る人は観るといった感じだ。でも次のバンドを目当てにしているからとか、仕方なく、とかいった雰囲気はこれっぽっちもなく、なんかいいあんばいにピースフル。そんな雰囲気がステージ上にも伝わったのか、ティムも終始にこにこである。マークを言葉でからかってみたり、ギターを弾く真似をしてみたり、後の「Area 51」では出番がないにも関わらず、ドラムセットの前に座り、太鼓を叩くような素振りも見せたり、意味もなくボーカルマイクを握ってみたり、ステージ袖に下がろうとしてみたり・・・・。でも時々、曲の終わりでベースのマーティンがそこはかとなくポーズを決めて、そして恥ずかしげに「てへへ笑い」をしてたのだけれど、それが分かった人はどのぐらいいたかなあ・・・・・。
あいだに新曲やシングルのカップリングを挟んでみたりして、とりあえず俄然盛り上がったのが「Weirdo」。ロブはいなかろうとも、十分に聴き応えと踊り応えのあるナンバーだ。あのハモンドのラインが突然スピーカーからはじき出されたとき、この日もっとも大きい歓声が上がったのではないだろうか。
本編最後は「How High」。そしてすぐにアンコールの拍手で再び呼び戻されたシャーラタンズ。まあ、メンバーが下がった後すぐに、クルーがギター、ベースのチューニングをはじめたから、こりゃあアンコールあるな、ってみんな思ったんだろうけどね(笑)。とにかく手を振って戻ってきてくれたメンバー。でもその中で一人、手を振っていなかったのがキーボードのトニー。いやいやあなた、自信を持って手を振って下さいよ! もう完全にシャーラタンズの一部のあなたなのですから!
アンコール1曲目はちょっと意外な選曲だった「Then」。そして最後の最後は、思わずこれしかねえ! とばかりに始まる前にそのベースラインを口ずさんでしまった「Sproston Green」。無茶苦茶な量のスモークが焚かれる中で、出だしのリズムはゆったりと。そしてドラムの音を合図にしてオリジナルに近い速いテンポで。もうストーンズのような「味」の域に達しているかのような演奏と業である。そして最後の最後に、キーボードのトニーが客席に向けて手を振ってくれた。
日本語で挨拶するわけでもなく、突拍子もないハプニングがあるわけでもなく、なおかつ何かスペシャルなものを用意しているわけでもなく、なにか思想的なことを求めているわけでもない。ドラッグ漬けの日々が続いたにも関わらず、それでも、今が楽しけりゃそれでいい、といったような刹那的な感情も抱かせない。彼らがこれらが歩んできた道や、今の彼らの立ち位置など、まったく持って不思議が多いバンドであるけれども、何はともあれ今回の一見すると不思議とも思えるラインナップ、そしてその中でのトリの重責を不思議と全うしてしまったシャーラタンズ。これからものらりくらりと不思議な顔を持つバンドとして生き続けてくれることだろう。
- With No Shoes
- North Country Boy
- Tellin' Stories
- Toothache
- House Is Not A Home
- Just Lookin'
- Here Comes A Soul Saver
- One To Another
- Area 51
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- Clean Up Kid
- The Blonde Waltz
- Just When You're Thinkin' Things Over
- Weirdo
- How High
- Then
- Sproston Green
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 9/ 7/ 98
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