Eric Clapton ミーハー連中ざまあみろ

代々木第一体育館 - 10/2/95


ブルースコンサートをやるとの触れ込み通り、ヒット曲まったくなしのブルース一本でのライヴ。たまげたというか、ミーハー客無視というか、やりたいことやっているというか、まあ良くも悪くもクラプトンだ。前売券は早々に売り切れ、私の席も最後部といっていいほどのところだ。とてつもない人気のほどをうかがわせる。

「Good Evening」と穏やかに挨拶をして、椅子に腰を下ろしたクラプトン。例のブルースアルバムからのシングル「Motherless Child」でショーは幕を開けた。ザクザクとオープンチューニングのアコギをカッティングするクラプトン。まあ、昔じゃあこんなアコギをじゃんじゃんかき鳴らす姿は想像できなかったなあ。

「Malted Milk」「Four Until Late」などのアコースティックナンバーが続くと、今度はギブソン335、もしくはフェンダー・ストラトをもって、スライドやら、フィンガーピッキングやらでブルースナンバーを聞かせる。曲は「Forty Four」「Standin' Round Cryin'」「Hoochie Coochie Man」「Third Degree」などなど。「Tears In Heaven」でクラプトンを知ったなどという人達はいかにも退屈そうだ。そんなわけでみんな立つわけでもなく、踊るわけでもなく、ただステージをボーっと眺めているといった感じである。

しかしこの音の良さは何なのだ。日本でも最悪と言われているこのオリンピックプールでこのクリアーな音を出すとはまったく持って信じられない。特にクラプトンのギターは一つの曇りもなく聞こえて来る。本当に一流のミュージシャンがやることは何もかも違うのである。

鳥肌もんだったのがスローブルース「Early in the Morning」。イントロではまったく気がつかず、歌詞を聴いてやっと分かったぐらいだ。この曲は70年代にもカバーしているが、その時とはまったく違ったアレンジで我々を驚かせてくれた。そしてシャッフルブルースの「Before You Accuse Me」である。「Unplugged」に収録される以前から彼の重要なレパートリーとなっていて、何度もエレクトリックバージョンのそれを聞いてきているが、この日のそれはその中でも特に良かった。ホーンセクションが大活躍で、ショーの一番のハイライトだったのではないかと思う。

「Have You Ever Loved a Woman」「Five Long Years」などを演奏して幕を閉じたコンサート。ソロは相変わらず全快で、衰えどころか、ますます凄みを見せているクラプトンのギター。しかしながら私は、そのすごいギターを彼のポップソングの中で聴きたいというのが正直な感想である。何といってもこの人、90年代に入ってから、オリジナルアルバムを一枚もだしていないのである。早いところ本当の「今」のクラプトンを聴かせてもらいたいものだ。


- Set List - 10/02/95

  1. Motherless Child
  2. Malted Milk
  3. Four Until Late
  4. How Long
  5. Kid Man Blues
  6. I Cut Your Head
  7. Forty Four
  8. Blues Leave Me Alone
  9. Standin' Round Cryin'
  10. Hoochie Coochie Man
  11. It Hurts Me Too
  12. Third Degree
  1. Reconsider Baby
  2. Sinner's Prayer
  3. Everyday I Have The Blues
  4. Early In The Morning
  5. Before Your Accuse Me
  6. Someday After A While
  7. I'm Tore Down
  8. Have You Ever Loved A Woman
  9. Crossroads
  10. Five Long Years

  11. Ain't Nobody's Business


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Last updated: 12/31/97