Everclear こんなのもありよ

Deep Ellum Live, Dallas, TX - 11/21/97

with Our Lady Peace + Letters To Cleo


今日のこの3バンド、ほとんど予備知識が無かった。それでもチケットを買ってしまったのは、ただ単に「Everclear」という名前が異常に気に入ってしまったということと、この前日、卒業のためのComprehensive Examというのがやっと終わって、ただこの夜はひたすら暴れまくりたいというのがあったからである。テレビも無ければ、ラジオも車の中で聞く程度の現在の私の生活、なおかつRolling StoneやSpinも含め、くそのような音楽雑誌しかないこのアメリカで、新しいバンドに触れるためにはCDをいきなり買うか、ライヴを見るしかないのである。70年代にでも逆戻りでもしたかのようなこの音楽ライフ、本物を自分の目で見極めるという点では、非常に気に入ってもいる。

さて最初のバンドは、紅一点のボーカルが艶やかで眩しいLetter To Cleoだ。とはいっても、彼らがLetters To Cleoであるということは後々分かったことではあるのだけれど...。とにもかくにもこのバンド、私は一聴して気に入ってしまった。ツインの轟音ギターに絡む、独特のヴォーカルスタイル。こう書いてしまって思い起こすバンドは数あると思うが、ヴォーカルのうぶっぽい素人っぽさが、他のファッショナブルなバンドとは居を異にしている。なんかうまく書ききれないのだけれど、とにかくいいのだ!!! みんなも早々とモッシュにダイブだ! 前座でこんなに盛り上るなんていうのは前代未聞だ。

次のバンドはOur Lady Peace。正直に告白しよう。わたくし、このバンドがEverclearだと思っていました。メインの割にセットチェンジに人手があんまりかかってないなあなどと思ってはいたが、何せ盛り上っているんだもの。客もほぼ満員。もうくそ暑いったらありゃしない。別に人に密着しているわけでもないのに、半袖になってもまだ汗が噴き出る。これぞライヴハウスだ!でもそれにしても暑い。

カナダはトロント出身のこのOur Lady Peace。ギターのMikeは比較的ずんぐりむっくりとしていて、スキニーな他のメンバーの中で少し浮いて見える。今のアメリカのバンドというよりは、ファッション、音などをとってみても、どちらかというとイギリスよりといった感じ。それを決定付けるナンバーはこれ。ビートルズの「Dear Prudence」。ああ、ライヴでやるとこんなにもロックしてるんだあこの曲は、としばし感心。ボーカルのRaineのこの曲での熱唱ぶりに、いかに彼らがビートルズフリークであるかを感じ取れた。

以前ラジオで聞いたことがあった「Clumsy」「Superman's Dead」などのヒットシングルも演奏してあっという間に彼らのライヴは終了。たったの6、7曲。いいライヴだったが、これがメインだと思っていた私は大いに拍子抜けする。

さてさてEverclearだ。なんかやたらにライトがいっぱいセットされたなあ、と思っていたらやっぱりやられた。無茶苦茶まぶしい。特にドラムの後ろにあるライトがまぶしすぎて、ステージを凝視していられない。他のライトもなんか赤、青、黄色、とやたらビカビカしているばかりでセンスのかけらも感じられない。音楽うんぬんよりもまずそのライティングに飽きれまくってしまった。最初の3曲ぐらいはあまりのまぶしさ故にずっと下を向いていたよ私は。

そんな様子を察したのかどうか知らないが、一番眩しかったライトの光が突然消えた。やっとまともにライヴが見れる、と思ったら椅子がステージに用意されて、アコースティック・コーナーに突入した。ここまで怒涛のパンクロックを聴かせていたEverclearであったが、このアンプラグドがなかなか良かったのである。まずヴォーカルのJohnの歌の上手いこと。メロコア系の歌い回しといってしまうとそれまでだが、そのメリハリのある発声方自体がもうバンドにすさまじいグルーブを与えているといった感じで、もうこのボーカルがこのバンドの命といってもいい。なおかつベースのCraigのコーラスも抜群に上手くて、ベケベケわけのわからないフレーズを弾いているにもかかわらず、きっちりやるところはやるぜといった感じ。このCraig、メキシコ人系の顔立ちで、1人バンドの中でも浮いている感じだが、もう走りまくるは、汗飛び散らしまくるは、モニタースピーカーに飛び乗るわで、七面六臂の大活躍。一方ニューメンバー(もしくはサポート)のギタリストは、なんか寝てるんだか起きてるんだか分からないような表情で、淡々とカッティングにいそしんでいる。しかしこのアコースティック・コーナー、4曲っていうのはちょっと長すぎたんじゃあないか? 最後の方はみんなだれてきているのがあからさまに分かって、ちょっと辛いものがあったぞ。

「We'll be right back」とJohnが言うと、すぐにセットチェンジ開始。もとのスタンディング形態に戻る。この後は比較的ミディアムな曲が続いた後、唯一私が知っている「Santa Monica」などのヒット曲を連発した。この「Santa Monica」では先ほど前座で出てきたLetters To Cleoの女性ボーカルがコーラスで飛び入り。言うまでもなく、この時客の盛り上がりは最高潮に達した。

アンコールではヴァン・ヘイレン、ブラック・サバスのカバーなどもちらっとやりつつも、最後まで張り詰めたテンションを落とすことなくひたすら爆走。もうこっちは汗でぐちゃぐちゃ、モッシュでもみくちゃ。もうみんなゆでダコ。

今日のバンドはみんな良かった。というかライヴ受けしやすくて分かりやすかった。これで15ドルというのはやはり日本の基準からすると安いとしか言いようがない。もっともっとこういうライヴに出会いたいものである。もちろん時間と金があればの話だけど。


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Last updated: 11/ 23/ 97