Fuji Rock Festival '00 in Naeba
![]() この写真で分かるかもしれないが、今年のグリーンステージ両サイドには森林の模様をあしらった幕がかけられていた。(去年は単色緑の幕。) そしてこのエリアから向かって左側に、Burpsの待ち合わせ場所となっていた「橋のたもと」が、そして向かって右側にはホワイトステージへの小道の入り口がある。(と同時にオフィシャルグッズ売り場にもなっていて、終日混雑していたけど。) ■ FISHBONE (1日目) 降りしきる雨の中、このバンドの演奏中にグリーンステージ到着。テントを張りながら、フィッシュボーンの演奏を聴くいた・・・・というぐらいの印象しかない。期待していたんだけど。 ■ THE KILLER BARBIES (1日目) 雨にもようやく慣れてきたその時、フェス気分を大いに盛り上げてくれたのがこのfrom スペイン、キラー・バービーズ。 カッコはイマイチダサくて、ポップロックな曲調もトレンド無視だが、とにかく女性ボーカルのブリブリボディにTURN ON ! 相撲やったら負けそうだ。 ステージで映える動きと音は、完全フェス向き、一発勝負! ■ ELLIOT SMITH (1日目) レコードではいまいちピンとこなくて、広がる評判とは裏腹に、かなり期待薄だったエリオット・スミス。 しかしステージとなると話は別だったようで、バンドサウンドはしっかりしたロックンロールを奏でていた。グローブのような顔を覆い隠さんとする帽子はおしゃれっちぃだったが、「静かだねえ」と言われてしまうほど聞き入っていたのは自分だけじゃなくて周りのオーディエンスもそうだったらしい。フーファイのギタリストとボーカリストとそのガールフレンドがステージ袖から仲良くエリオットスミスの歌に聴き入っていたのも印象的だった・・・・というかそれで盛り上がっていた俺(爆)。 ■ FOO FIGHTERS (1日目) エリオットスミスをまったり観ていたその人とは思えないほど、体をガックンガックン震わせながらギターを掻き鳴らし始めたデイヴ・グロール。そしてその1曲目は「Monkey Wrench」。あれよあれよという間にモッシュピットは人で一杯に。テンポを若干落としたアレンジは逆に曲のヘヴィネスを強調していたが、次の「Learn To Fly」ではオーディエンスの体をゆったりと軽やかに宙に飛ばす。「雨だねえ。でもまだ大丈夫そうだ。」・・・・ファーストアルバムから「I'll Stick Around」「This Is A Call」「Big Me(=超スローヴァージョン)」「For All The Cows」などが演奏されたことからも分かるように、選曲は古いものが中心。でも「Stacked Actors」ではデイヴ自身、ステージ右側からフィールドに飛び込み、オーディエンスに揉みくちゃになりながら、グリーンステージのモッシュピットを縦横無尽に駆け回った。(その間、ステージにいた残りのメンバーがブルースっぽいジャムをしていたのがさらに印象的。)とにかく気合と気迫とが指の先まで行き渡っていたデイヴ・グロールに圧倒されながら、「Everlong」でステージは終了。雨の中という逆境を、オプティミスティックなステージングに転化できたのはこのフーファイだけだったように思う。 ■ THE CHEMICAL BROTHERS (1日目) ワールドレストランから聴いていたが、内容は去年と同じだったのでパス。 ■ THE BLANKEY JET CITY (1日目) 言わずと知れたこれがBJCのラストギグ。横浜アリーナでのお別れギグを経たこともあって、この日のライヴはおまけ的要素を大きく含んだショーを想像していたら、あれまビックリ。 メンバーはバリバリに気合い入ってるじゃん。 「赤いタンバリン」を早めに持ってきて、「絶望という名の地下鉄」「ぼくはヤンキー」「Skunk」「D.I.Jのピストル」「Saturday Night」「サリンジャー」など新旧の名曲を次から次へと息つかせぬまま繰り出していく。途中でベンジーのギタートラブルなどもあったが、聴衆にはそんなことも気付かせないほど密度の濃い内容で、BJCはこのままどこまで暴走するのか、加速度が増すその一瞬一瞬に目が離せなくなってくる。ステージの前と後ろとを行き来しながら、ブランキーの一挙手一投足を心に刻もうとする自分。猛烈なアンコールに応えた「Baby Baby」で本当にBJCのステージは終了したが、まさかここまでのステージをフジロックで観られるとは・・・。個人的な印象では横浜アリーナでのステージよりも素晴らしくかった。 ADFを蹴ったのは正解だったと思う。 ■ ROLLINS BAND (2日目) ゴリゴリのヘヴィメタルが、マッチョでストイックなヘンリー・ロリンズによって細かく切り刻まれている。こってりビーフステーキに見えて、実はその下にあるキャベツの千切りがロリンズ・バンドの正体か? 鬼のような形相でシン・リジィを歌うヘンリー・ロリンズ。 この日のグリーンステージ2バンド目の登場だが、各日とも2バンド目は大変に良かった。 ■ THE ANIMALHOUSE (2日目) マーク・ガードナーとサム・ウィリアムスのハーモニーが心地よいが、想像以上にロックバンド的な佇まいを兼ね備えたバンド。 しかし今回のフジロック、及びサマーソニック出場のほとんどのイギリスのバンドに言えることだが、ボーっとまったりしている客を叩き起こし、フィールドにおける人の輪を曲毎に増やすような、そんなパワフルなバンドはほとんどいなかった。どうしても内に篭ってしまうような、冷めた仲間内ノリ的なステージが多かったのは残念だ。というかこれがイギリスのギターロックバンドの勢いのなさを表しているのか? このアニマルハウスも然り。 ガムシャラに客を呼び込むオゾンホールのような求心力がこのステージには欠けていた。 ■ ラフィータフィー (2日目) この日において最もロックしていたのは、文句なく忌野清志郎。「去年、このフジロックでデビューしたラフィータフィーです。」という清志郎のあいさつから、フリーターの歌から、君が代から、かなりヤバくてファニーな北朝鮮の歌から、彼の言葉選びのセンスだけでもかなり圧倒的。清志郎のことは良く知らないので多くは書けないが、3年連続出場の意味あり。来年も出て欲しい。モリッシーと清志郎なら、迷わず清志郎を選ぼう。 ■ SONIC YOUTH (2日目) 曲名は知らないけど、とにかくアップな有名どころでツカミはオッケー(・・・ふるっ!)。 「キム、リー、ジム・・・」と紹介するサーストン・ムーアの声を右耳で、「あ、やっぱりジム・オルークも来てるんですね。」というsuzukiくんの声を左耳で、それぞれうなずきながら聞く。 本日最高の盛り上がりを肌で感じ、そそくさと前方エリアへと歩いていくと、いよいよ吹き荒れ始めました、フリーキーなノイズの嵐。 あまりにも長すぎて、こちらが置いて行かれそうになりつつ、波が寄せて返すように、またグーっとステージに持って行かれそうになるような、不思議な海洋訓練に強制参加。サーストン、まるでおもちゃのようにギターを扱う。叩く叩く、ハジくハジく、転がす転がす。 ■ JOHNNY MARR'S HEALERS (2日目) ドラムは林檎★の息子=ザック・スターキー、ベースは元クーラ・シェイカー=アロンザ・ビーヴァン。 そしてギターが元スミス=ジョニー・マー。 いやあ、こう見ると恐ろしいほどのスーパーバンド。もうこうなりゃボーカルはジョンボンジョビでもミリバニリでもコリーハートでもチャーリーセクストンでも誰でも良いわけであって、だから、ジョニーがボーカルを兼任するのもノープロブレム。なおかつクラプトンみたいにブルースギターソロ弾きまくっちゃってビックリ。 右横のアロンザはクーラ時代同様ピョンピョン跳ねまくりだが、ザックはよく見えねえ。 でもまさか、このバンドは永久に続くとは到底思えず、というかメンバー自体、そんなことは毛頭思ってなさげであり、どこまで続くか、それはザック次第ではないか、といった気もした。 ■ THEE MICHELLE GUN ELEPHANT (2日目)
上の曲目を見ていただいて一目瞭然。ベスト・オブ・みっしぇる。「ゲット・アップ・ルーシー」「スモーキン・ビリー」はまさかだったでしょう。それはないでしょう。シングルぐらいしか知らないけど、ホワイトのRUN DMCはもっと知らないしぃ〜、ってな人を前にしても、最新作「カサノバ・スネイク」全曲制覇で全てお終い、といった潔いライヴを期待していたので、この選曲でミッシェルに対するワタシの自信がやや揺らいだ。いや、かなり揺らいだ。意外なふりして実はここんとこ予定調和になりつつあるデビューシングルですべてが終わるのはやだ。CISCOでの出だしは2年前のフジロックと一緒だが、音が小さいし、ハッピーフジロックなチバの声もよく聞こえない。でも「アウト・ブルーズ」では持っていかれた。「Break on thru the other side〜♪」というドアーズのフレーズでほんとに違うところに意識が飛びそうになった。やっぱこの曲のインプロビゼーション部分はいい。そしてそこから「ドロップ」への流れは最高。これがライヴの終わりの曲だったら素晴らしかったと思う。しかしその後、未発表の曲を2つ持ってくるところにまたミッシェルらしさが見えたといえば見えた。「俺らはここまで車で来たんだけど、単車で来たやついる? ・・・・・・・・ああ、ごくろうさん。」と笑わせて「GT400」。ツアーを通してそうだったが、ここでもさらにアクセルを吹かしたか如く高速。ライヴの終わりの世界の終わりには、チバがギターをステージ上に投げ捨てた。チバは再びそのギターを拾うのか? 拾ってまた「ゲット・アップ・ルーシー」を歌うのだろうか? ■ DEADWEIGHT (3日目) 飛行機に乗れなかったEVE6に代わり、急遽この日の出演が決まったdeadweight。ギターらしきものも、キーボードらしきものもなく、チェロとバイオリンとドラムのみで、低くて重い、その名も重低音という名のヘヴィロックで、寝ぼけた3日目の朝を吹き飛ばした。 ■ ZEBRAHEAD (3日目) 各日外れなしのグリーンステージ2バンド目、今日はゼブラヘッド。イクタくんに2000円で譲ってもらったチケットを胸に、スーツ姿で行った渋谷クアトロライヴから1年ちょっと。早くもあのバカどもが戻ってきました。そしてさらにそのバカぶりはパワーアップしていました。メタリカ、オジー、スパイスガールズ。もうなんでもありです。ラップでポップで陽気なヘヴィロック。ペットボトルだけじゃなくて、Tシャツも無料で配っちゃいます。しかし、グリーンデイにも通ずる彼らのプロフェッショナリズムが、どんどこどんどこ客を集める集める。閑散としていたステージ前も、セット半ばにしてもう満員近くになってしまった。この手のバンドは、演奏の巧いのはもう当たり前のボトムライン。 そこにどんな彩りを付けて行くか、それで生き残れるかが決まってくる。ゼブラヘッドのバカっぷりに肝が据わっているように感じるのはそんな理由からなんだろう。でもどうせやるならもうひと超え。苗場の空にスウィート・チャイルド・オブ・マインを! 次はよろしく頼みます。 ■ ELASTICA (3日目) 終わった・・・・。そう感じた。演奏、呼吸、力量、MC、全てがバラバラな上に、度重なった機材トラブル。 しかしそこからどうにも立ち直れないまま、ファーストアルバムからの曲「のみ」で、ファーストアルバムからの楽曲の優秀さ「のみ」で、空虚に盛り上がるグリーンステージ。ジャスティーンの顔は終始困惑していた。ギタリストは巧すぎてバンドに合っていなかった。ドラムは張り切りすぎてるんだか、テンパってるんだかで、無意味に外しぎみの奇声を上げ続け、はっきり言って耳障りだった。 自分にはこのバンドが、ライヴ経験を積んできた、プロフェッショナルなバンドには到底見えなかった。大好きなバンドなので、それはとても悲しかった。 かなり近いところから観ていたので、その悲しみは余計に募った。 ■ A PERFECT CIRCLE (3日目) このフジフェスだけ、A PERFECT CIRCLE「featuring Maynard from Tool」という余計な冠がかぶせられ、見ているととても恥ずかしい気持ちにさせられていたのだが、そんなメイナードはさらに恥ずかしいかっこでステージに登場。内股でロングヘアーのプロレスラー、といった趣か。 だが、しかーーーーし!!!!!!!!!!!! 彼ら、パーフェクト・サークルが出す音といったら・・・・・・・・・・・。もちろんアルバムは聴いていたし、どんなバンドかも分かっていたつもりだったが・・・・・・・・・・・・・とにかくグワーーっと持っていかれちゃうのである。大きなグルーヴが体の中に宿っちゃうのである。そうすると気が付かぬ間に体がぐわんぐわんと大風車を始めてしまうのである。とてつもないタイミングで変化する変拍子リズムに、このリズム音痴な自分の体が自然と付いていっているのである。こりゃあアンビリーバボーな体験なのである。どこまでも伸びゆくメイナードの声、そしてもう信じられないほどのバカテク(スウィープ、タッピング、摩訶不思議スケールなどなんでもあり!)でありながら、そんなプレイを見せびらかせるわけでもなく、ハードロックバンドにありがちなマッチョイズムに過剰に訴えるわけでもなく、このリズムにはこのフレーズが、このフレーズにはこのリズムが、至極当然のように結びつき、存在し、明確なベクトルを持って我々の聴覚を刺激する。 はっきり言ってガラガラのグリーンステージだったが、俺はこの瞬間をこの目で見て、体で感じられたことを感謝したい。 破格のサイズを持つロックバンドには、日本の山ん中じゃちょっと狭すぎたかもしれないが。 ■ IAN BROWN (3日目) 今年はスリラーじゃなくてビリー・ジーンだった。「Be There」では音をたくさん外していたが、やっぱ曲はいい。 というか曲はいいのだが、ライヴパフォーマンスはイマイチ。 それが今のイアン・ブラウン。 なにか仕草をするだけでフロアから歓声が上がる、そんな佇まいはすでにジャイアント馬場?? ジェームス・ブラウンになるのには早すぎるよ! ■ PRIMAL SCREAM (3日目) 文句の付けようのない完璧なステージ。構成的には2月の来日公演とほぼ同じだったが、ボビーの気合はその時を遥かに凌ぐものだった。「うわ!」「ぐわ!」「おえ!」といった声にならない声を上げる度に、彼の眼が3次元の世界に飛んでゆく。 3年ぐらい前の絶好調プロディジーを思い出させるような音の塊はさらに強く柔やかになっていた。 なんかこう、うまい形容が見つからないほど、すべてが完璧だった。 ここまで来て、まだかなり好調に踊れる自分に、これまた驚きにけり。 ■ SOUL FLOWER UNION (3日目) 名前しかしらなかったソウルフラワーユニオン。 ただ圧倒された。 いや、ソウルフラワーじゃなくて、ここまで来てまだ踊り呆けるみなさんに。 もう壮観としか言いようがないその眺めにしばし呆然となっていた自分。 未だにあれはなんだったのか、よく分からずに今日に至る。 ![]()
Last updated: 8/ 21/ 00 |